京都で紫式部と源氏物語をめぐる旅へ。雅な物語絵や麗しの花園、ご利益めぐりも♪

京都で紫式部と源氏物語をめぐる旅へ。雅な物語絵や麗しの花園、ご利益めぐりも♪

提供:ことりっぷ

 

今年の大河ドラマは平安時代の京都が舞台。日本のみならず、海外でも翻訳され、千年以上読み継がれてきた長編小説『源氏物語』の作者である紫式部が主人公です。時代を謳歌した藤原氏の一員として生を受けた紫式部は、その生涯のほとんどを京都で過ごしました。
当時、紫式部が足を運んだとされるスポット、そして物語に登場する社寺などを訪ね、雅な王朝ロマンの世界を体感してみませんか。

 

絵で見るきらびやかな源氏物語にうっとり「廬山寺」

絵で見るきらびやかな源氏物語にうっとり「廬山寺」 本堂前庭「源氏庭」は、夏から秋にかけて紫のキキョウが花をつける

「廬山寺」へは、京都駅からバスで約25分の府立医大病院前で下車、京都御苑を目指しましょう。御苑手前の寺町通りを北へ行くと、右手に「紫式部邸宅址」と記された石碑が見えてきます。

この地は、紫式部の曽祖父の邸宅があったところで、屋敷は紫式部の親族へと受け継がれました。紫式部もこの邸宅で育ち、結婚生活を送り、一人娘の賢子(かたこ)を育て、そして『源氏物語』を執筆したと伝わります。

 

住吉廣尚筆『若紫』。光源氏と後に妻となる若紫の運命の出会い

今年の「京の冬の旅」では、色彩豊かな源氏絵が特別公開されます。『若紫』で描かれるのは、病の祈祷のために北山へ出かけた光源氏が、密かに慕っていた義母の藤壺に似た少女を見初める場面。この大長編小説の最初の山場です。

 

土佐光起筆『浮舟』。光源氏が亡くなった後、宇治で繰り広げられる恋物語

こちらは、匂宮が浮舟を舟に乗せ宇治川を渡るシーン。匂宮と薫大将から愛され、思い悩む浮舟の悲しげな表情が涙を誘います。
絵画のほかにも、貝合わせやかるたをはじめ、与謝野晶子自筆の和歌集『源氏物語礼賛』が展示されるので、源氏物語の世界感をたっぷり感じとってくださいね。

 

まだ見ぬ結婚相手を想い紫式部がお参りした「片岡社」

まだ見ぬ結婚相手を想い紫式部がお参りした「片岡社」 楼門前の玉橋は神事のときにだけ使われる特別な橋

歴史に残る大長編小説を残した女流作家といえど、紫式部もひとりの女性。良縁を願って参拝したお社が上賀茂神社にあります。

京都駅からは、バスで約50分の上賀茂神社前で下車。明るく開けた参道を進み、小川にかかる橋を渡ると朱色の楼門が現れます。その前を流れる御物忌川(おものいがわ)に、そっと寄り添うようにたたずむのが片岡社です。

 

片岡社の社殿の前には、立派な屋根の付いた片岡橋

片岡社にお祀りされているのは、上賀茂神社の御祭神の母神である賀茂玉依姫命(かもたまよりひめのみこと)。平安の昔から縁結び、安産、子授けのご利益で知られており、紫式部も良縁を願って繰り返し参拝をしました。

 

絵馬がハートの形をしているのは、ご神紋の二葉葵にちなんでのこと

社殿の前には、縁結びを願う絵馬がぎっしり。十二単姿の女性がほどこされた絵馬には、紫式部の歌「ほととぎす 声まつほどは 片岡の もりのしづくに 立ちやぬれまし」が記されています。将来の結婚相手をほととぎすにたとえ、ここ片岡社でずっと待っていますという想いが込められた歌です。

紫式部は夫に先立たれ短い結婚生活を終えますが、その悲しみを乗り越えようとするかのように『源氏物語』を執筆し始め、千年を超えるベストセラーを生み出したのでした。

 

源氏物語を彩る季節の花が咲き誇る「城南宮」

源氏物語を彩る季節の花が咲き誇る「城南宮」 しだれ梅と落ち椿は、早春の城南宮を代表する風景

紫式部の生きた平安時代に、京の南で国と都を守護するために創建された城南宮。京都駅からはバスで約30分の城南宮で下車します。その神苑は、「春の山」「平安の庭」「室町の庭」「桃山の庭」「城南離宮の庭」と、名前を聞くだけでもときめく5つの庭からなり、源氏物語に登場する80種以上の植物が見られることから「源氏物語 花の庭」と呼ばれています。

 

古典椿の一種「有楽(うらく)」は、ハッとするようなピンクが目をひく

毎年、2月中旬から3月中旬にかけて「しだれ梅と椿まつり」が開かれ、神苑の「春の山」がしだれ梅や椿で華やぎを見せます。とくに今年は「光源氏」と名付けられた大輪の椿も見逃せません。期間中には、参道で椿餅のお店が出たり、しだれ梅モチーフの御朱印帳が登場したりするので、ぜひ足を運んでみましょう。

 

光源氏がかつての恋人を訪ねた「野宮神社」

光源氏がかつての恋人を訪ねた「野宮神社」 樹皮がついたままのクヌギを使った「黒木の鳥居」

嵐山の竹林の道にたたずむ野宮神社へは、JR嵯峨嵐山駅から徒歩10分。源氏物語の『賢木(さかき)の巻』の舞台です。光源氏が野宮を訪れたのは、かつての恋人である六条御息所に会うためでした。斎王に選ばれた娘に付き添って伊勢に向かう御息所との別れの場面が、嵯峨野の風景とともに美しく、そして切なく描かれています。

 

黒木の鳥居や牛車など平安時代がモチーフの「良縁絵馬」

物語では悲しい恋が繰り広げられましたが、今では健康や知恵授け、縁結びの御利益で知られています。今も息づく王朝の雅な世界に思いを馳せ、源氏物語にちなむ絵馬やお守りに良き縁をお願いしてみませんか?

 

源氏物語ゆかりの清凉寺境内のカフェ「Bhagavan」

源氏物語ゆかりの清凉寺境内のカフェ「Bhagavan」 昔のお寺にちなみ、内装には赤や青などの原色が使われている

野宮神社から徒歩で10分ほどで行ける清凉寺は、『源氏物語』の主人公・光源氏のモデルとされる源 融(みなもとのとおる)の山荘跡やお墓が残る名刹です。そんなお寺の境内に、注目の庭茶屋「Bhagavan(ヴァガバァーン)」があります。

 

「愛宕詣」のお団子は、モチモチしているけれど歯切れがよく、絶品!

漆調のテーブルに窓辺の景色が映り込むリフレクションが神秘的。テーブル席だけではなくお座敷席もあり、靴をぬいでくつろぐこともできます。香ばしく炙ったお餅に、白味噌や醤油のタレをからめた昔懐かしい茶屋団子で、ほっと一息つきましょう。

2024年は、紫式部や源氏物語ゆかりの地がある京都へ、足を運んでみませんか。

 

 

文:戸塚江里子(らくたび)

 

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