提供:ことりっぷ
1915(大正4)年に東京駅丸の内駅舎の中に誕生した東京ステーションホテル。発着列車本数日本一、多くの人が行き交う東京駅に位置するホテルは、文豪の執筆の場としても愛されてきました。丸の内駅舎の復原にともなって、ホテルも2012年にリニューアル。丸の内駅舎の壮麗さと調和する、ヨーロピアンクラシックスタイルの空間に生まれ変わりました。
日常を離れてシャンデリアが灯るお城のような客室にステイ
ドームの装飾が間近で見られるドームサイドの客室
東京駅丸の内南改札からわずか30歩というロケーションにありながら、二重窓で防音されたホテルの中は静けさと優雅な雰囲気に包まれた別世界。なかでも南北の駅舎ドームに沿ってレイアウトされたドームサイドの客室は駅舎の縦長窓に合わせ天井の高さが約4m、部屋の窓から丸の内駅舎の美しいドームレリーフを間近に眺めることができ、まるで自分専用の美術館で過ごしているような体験ができます。
(左上)二重窓で部屋は静粛な空間(左下)アメニティのラベルは切符の形(右)鏡の周りの装飾もエレガント
東京駅丸の内駅舎のドームが間近で見られるアーカイブバルコニー
創建時の意匠に復原されたドームが鑑賞できる
国の重要文化財に指定されている東京駅丸の内駅舎の中にあるホテルなので、館内には建築物としての見どころが点在しています。長い歴史に思いを馳せながら、宿泊者だけが見学できるスポットを鑑賞して回りましょう。
ドームに面した3階にあるアーカイブバルコニーは、ホテルの中から丸の内駅舎のドームを間近に見学できるスポット。普段は下から見上げているドームが目の前に広がり、レリーフのディテールまでしっかり鑑賞することができます。駅舎の復原に関する説明も展示されています。
(左)アーカイブバルコニー(右)バルコニーから見る南ドーム
駅舎創建時の赤レンガが見守る屋根裏のゲストラウンジ
駅舎の屋根裏を活用したゲストラウンジ・アトリウム
ホテル中央部最上階にあるゲストラウンジ・アトリウムは、かつて駅舎の屋根裏だった場所を活用したスペースです。2012年のホテルリニューアル時に文化庁をはじめ関係各所の理解のもと屋根の片側をガラス張りにすることで、天窓から光が美しく降り注ぐラウンジに生まれ変わりました。壁の一部には100年以上前の赤レンガの壁がそのまま残されています。
壁の一部には駅舎創建時の赤レンガが残る
天井の高さ最大9m、床面積400㎡を超えるこの開放的な空間は、朝は宿泊者専用の朝食ラウンジになります。朝食はブッフェ形式で、新鮮なフルーツや野菜はもちろん、和洋の料理からスイーツまで幅広いメニューが揃い、アイテム数は100種類以上。シェフが目の前で調理するコーナーもあり、つくりたてのおいしさが味わえます。
約100種類のメニューが揃う朝食ブッフェ ゲストラウンジの一角にはライブラリーが設けられ、自由に本を読むことができる
客室エリアの廊下に飾られた、東京駅の歴史をたどるアートワークを見学
客室エリアの長い廊下
客室エリアの長い廊下は、全長335mにおよぶ東京駅丸の内駅舎の中にあるホテルならではの光景です。廊下の壁には東京駅にまつわるアートワークが飾られており、これらを見学しながら歩くのも楽しみのひとつです。かつて作家の松本清張が滞在した部屋のそばの壁には、このホテルでトリックを着想したといわれる小説『点と線』の連載ページと時刻表(ともに複製)が展示されています。
東京駅や鉄道に関するアートや写真が時代順に展示されている
文豪にちなんだオリジナルグッズをおみやげに
客室に置かれているのと同じ原稿用紙のマス目が入ったメモ用紙、ロゴ入りペン、ステッカーの文豪セット815円
文豪の執筆の場としても愛され、松本清張が列車の時刻表を使ったトリックを着想したり、江戸川乱歩の推理小説の舞台になったりと、数々のエピソードが残る東京ステーションホテル。
客室にセットされているメモ用紙は「文豪に愛されたホテル」としてのストーリーから生まれた、ホテルオリジナルの原稿用紙デザインです。このメモ用紙とホテルロゴ入りボールペン、オリジナルステッカー2種をパッケージにした文豪セットが購入できます。滞在の記念に、おみやげとして入手するのもおすすめです。
文:Chiaki Senbon(Crescente) 撮影:河上真純