秋の奈良のおすすめ紅葉スポットをご紹介!
秋といえば紅葉の季節。奈良公園や若草山など、隣県の京都にも負けない秋の奈良の絶景を、鹿と一緒に紅葉が撮れるスポットを中心にご紹介。奈良県出身の写真家・高橋良典さんが、すぐに実践できる撮影法とともに解説します。
写真家
高橋 良典(たかはし よしのり)さん
1970年、奈良県生まれ。2000年にフリーの写真家として独立し、写真事務所「フォト春日」を設立。風景写真を中心とした作品をカレンダー・観光ポスター等へ提供。また、写真雑誌や出版物への写真提供、および原稿執筆を行う。生まれ育った奈良県の撮影と併行して、国内各地にて自然の織りなす旋律をテーマに撮影を続けている。
(公社)日本写真家協会会員・日本風景写真家協会会員・奈良県美術人協会会員
目次
おすすめの絶景スポット【1】飛火野
奈良といえば奈良公園、奈良公園といえば鹿と言っても過言ではありません。奈良公園周辺で最大の芝生広場である飛火野(とびひの)では、たくさんの鹿たちがのんびりと過ごす様子が見られます。また、11月中旬にはナンキンハゼ、下旬にかけてはもみじが彩りを添えます。
古来より神の使いとされてきた奈良の鹿を神々しく撮るには早朝の時間帯、逆光で撮影するのがおすすめです。露出の難しい光線状態なので露出補正をプラス側やマイナス側に調整し、自分好みの明るさを探りましょう。
飛火野
- 住所
- 奈良県奈良市春日野町8
- アクセス
- 【電車】近鉄「奈良」駅より徒歩約15分、またはバス「春日大社表参道」下車すぐ
【車】西名阪自動車道「天理」ICより約20分
おすすめの絶景スポット【2】浮雲園地
東大寺へと続く参道の東側に開けている浮雲園地(うきぐもえんち)。その中心を流れる吉城川(よしきがわ)には、両岸を埋め尽くすようにもみじが植えられています。普段は水量もそう多くないので川に降りることもでき、美しい紅葉の映り込みが撮影できます。
奈良公園の中でも人気の紅葉スポットの一つだけに観光客も多いエリアで、周辺では鹿せんべいが売られているお店もたくさんあります。
浮雲園地
- 住所
- 奈良県奈良市春日野町23-2
- アクセス
- 【電車】近鉄「奈良」駅より徒歩約15分、またはバス「東大寺大仏殿・国立博物館」下車、徒歩約5分
【車】西名阪自動車道「天理」ICより約20分
おすすめの絶景スポット【3】大仏池
東大寺大仏殿の北西に位置する大仏池。その周辺にはイチョウの大木があり、秋になると黄色のじゅうたんを敷き詰めたような風景が見られます。
こちらでも鹿とイチョウを絡めた撮影が可能。画面の大部分をイチョウの黄色のような明るい色が占める場合、写真がやや暗めに写る傾向があります。少しプラス側に露出補正をすることで、肉眼で見たときの明るさに近くなるようにすると良いでしょう。PLフィルターを装着して回転枠を調整し、紅葉・黄葉の色をより鮮やかに仕上げましょう。
大仏池
- 住所
- 奈良県奈良市雑司町406-1
- アクセス
- 【電車】近鉄「奈良」駅より徒歩約15分、またはバス「今小路」下車、徒歩約5分
【車】西名阪自動車道「天理」ICより約20分
おすすめの絶景スポット【4】浮見堂
奈良公園内の鷺池(さぎいけ)に浮かぶ六角形のお堂「浮見堂」。その周辺も奈良公園の中では屈指の紅葉スポットで、鷺池に映り込む浮見堂ともみじの風景が撮影できます。そう大きな木ではないので、広角~超広角レンズを使って遠近感とボリューム感を表現しましょう。
日の出前~日の出の時間帯にかけてはカメラマンで混雑しますが、少し時間をずらすとゆっくりと撮れますよ。
浮見堂
- 住所
- 奈良県奈良市高畑町
- アクセス
- 【電車】近鉄「奈良」駅より徒歩約15分、またはバス「春日大社表参道」下車、徒歩約5分
【車】西名阪自動車道「天理」ICより約20分
おすすめの絶景スポット【5】若草山
一重目・二重目・三重目と、3つのこぶが連なった形の若草山。標高342mの山頂からは、奈良市内を一望することができます。ふもとから山頂までは整備された道を歩いて約30分。プチ登山になりますが、登る価値は大! 途中の二重目からは、東大寺大仏殿を望めます。
山頂付近では鹿が出迎えてくれます。おすすめは夕方の時間帯。夕日の色づきがいまひとつだなと感じた場合は、ホワイトバランスを「曇り」や「日陰」に設定すると、より印象的な夕景になりますよ。
新日本三大夜景に数えられる夜景も、時間が許せば楽しみたいところ。暗くなってくるとカメラブレを起こしやすくなるので、三脚を使用するのが理想的ですが、持っていない場合はISOを高感度側に設定することでブレを防ぎましょう。ただし、あまり高く設定しすぎるとノイズが出てざらついた写真になるので、注意が必要です。
徒歩の場合、暗い中の下山となりますので懐中電灯などを必ず持っていきましょう。ちなみに、車の方は「奈良奥山ドライブウェイ山頂駐車場」から若草山山頂まで、徒歩5分ほどです。
若草山
- 住所
- 奈良県奈良市雑司町
- アクセス
- 【電車】近鉄「奈良駅」駅よりバス「東大寺大仏殿・春日大社前」下車、徒歩約40分
【車】西名阪自動車道「天理」ICより奈良奥山ドライブウェイ経由で約35分
おすすめの絶景スポット【6】春日山原始林
世界文化遺産「古都奈良の文化財」の一つにも登録されている春日山原始林(かすがやまげんしりん)は、市街地が隣接しているとは思えないほど豊かな森が広がっています。紅葉の見ごろは11月下旬~12月にかけてとやや遅め。さほど混雑しない、穴場の紅葉スポットです。
原始林内に整備されている春日山遊歩道をすべて歩くとなると、健脚向きの長距離、長時間の歩行となりますが、北コース、南コースそれぞれの入り口から500m~1kmほどを歩くだけでも、十分に春日山原始林の雰囲気を感じられます。
歩きながらの撮影ではできるだけ荷物を減らし、身軽に動きたいもの。高倍率ズームレンズの使用がおすすめです。
春日山原始林
- 住所
- 奈良県奈良市春日野町
- アクセス
- 【電車】北コース/近鉄「奈良」駅よりバス「春日大社本殿」下車、徒歩約20~60分
南コース/近鉄「奈良」駅よりバス「破石町」下車、徒歩約20~60分
【車】北コース・南コース/西名阪自動車道「天理」ICより約20~30分
奈良市内でランチにおすすめのお店
興福寺からほど近く、玄関前からは五重塔が望める「ホテル尾花」。ホテル名は、かつてこの地にあった芝居小屋「尾花座」から冠しています。
「ホテル尾花」のB1Fにあるのが「日本料理 おばな」。旅行中は何かと慌ただしいものですが、優雅な店内でゆったりとランチを楽しみましょう。
朝岡順之料理長が手掛ける、地元食材を生かした一品一品は繊細かつ優しい味と評判。日本料理の素晴らしさを再認識させてくれます。男性でも満足感のあるボリュームで、リピーターが多いのも納得です。
そして、食事の写真は旅の大切な記録。おいしかった料理や楽しかった旅行が思い出せるよう残しておきたいですね。明るい単焦点レンズを持っている方は、絞りを開け気味にして背景の雰囲気を伝えつつ、少しぼかしてみるのがおすすめ。全体を入れることにこだわらず、少しはみ出すくらい画面いっぱいに撮影するのがコツです。
風景を撮る時のホワイトバランスは、「太陽光」に設定するのが基本ですが、店内での撮影では肉眼と違った色味に写ることがあるので、「オート」に設定すると良いでしょう。
日本料理 おばな
- 住所
- 奈良県奈良市高畑町1110 ホテル尾花 B1F
- アクセス
- 【電車】近鉄「奈良」駅より徒歩約10分
- 営業時間
- ランチ/11:30~15:00(L.O13:30)、デイナー/17:30~21:00(L.O19:30)
- 公式サイト
- 日本料理 おばな
おすすめの絶景スポット【7】平城宮跡
紅葉の時期は、朝靄(あさもや)が出やすい季節でもあります。前日や前々日に雨が降り、地面が湿度を蓄えた状態で雲がない快晴の夜を迎えると、地表の熱が奪われてぐっと気温が下がる放射冷却現象が起こります。その冷やされた空気と地面が接し、温度差が生まれると霧が発生するのです。
平城京の中心であった宮跡・平城宮跡(へいじょうきゅうせき)一帯も、紅葉の季節になると朝靄が湧き、朱雀門が浮かんで見えます。朝靄はいつ消えてしまうかわからないので、撮影はとにかくスピード勝負。とはいえ、朝靄は形を変えながら出たり消えたりを繰り返すので、三脚を使用しながらシャッターチャンスをうかがいましょう。
平城宮跡
- 住所
- 奈良県奈良市二条大路南3-5-1
- アクセス
- 【電車】近鉄「大和西大寺」駅より徒歩約15分
【車】西名阪自動車道「郡山」ICより約20分
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撮影・文/高橋 良典