時間を忘れて羽を伸ばす「越後長野温泉 妙湶和樂 嵐渓荘」で自然と温泉に癒やされる滞在

越後長野温泉 妙湶和樂 嵐渓荘

新潟県三条市の山間部に位置している「越後長野温泉」。豊かな緑に囲まれ、守門川(すもんがわ)の沿いに佇むのが「越後長野温泉 妙湶和樂 嵐渓荘(らんけいそう)」です。

 

秘湯という呼び名がしっくりくるロケーションで、日本旅館のエキスパートである作家の柏井壽氏も認める「日本 味の宿」のひとつ。地域に根差した宿づくりの実践や、地産地消をベースにした山の幸を堪能できる食事も、ここでしか出会えない楽しみ。おこもりステイにもぴったりな秘湯宿を、1泊2日の宿泊体験記でご紹介します。

 

 

新潟の秘湯「越後長野温泉 嵐渓荘」へのアクセス

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東京都心から上越新幹線で約2時間。「燕三条駅」より車で40分ほどの場所に佇む「越後長野温泉 嵐渓荘」。チェックインとチェックアウトの時間帯であれば無料送迎バスもありますが、好きな時間に宿へ向かいたい場合は、三条市のタクシーサービス「デマンドタクシー」の利用がおすすめです。乗車の1時間前までに予約すれば、リーズナブルな料金で嵐渓荘までアクセスできます。(燕三条駅から嵐渓荘まで、2名以上乗車の場合800円/人、1名の場合2,500円)

 

 

越後長野温泉 妙湶和樂 嵐渓荘

五十嵐川(いからしがわ)の上流方面へ向かい、観光スポットである八木ヶ鼻(やぎがはな)を越えてすぐ、窓外の景色を楽しんでいるうちに嵐渓荘へ到着。敷地内に足を踏み入れて、驚くのはその自然の豊かさです。宿の周囲には緑が溢れ、滞在に没頭できるロケーションとなっています。

 

越後長野温泉 妙湶和樂 嵐渓荘

嵐渓荘が創業したのは、約100年前のこと。創業者である大竹保吉さんが深い井戸を掘り、ぬるいお湯が湧き出たことから始まりました。現在の館主さんは四代目、保吉さんのひ孫にあたります。越後長野温泉として営業しているのは嵐渓荘一軒のみ。ここだけの楽しみが詰まっています。

 

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本館である「緑風館(りょくふうかん)」は、昭和初期に燕駅前に建設された建物を1955年に移築したもので、2012年に国の有形文化財に登録されました。創業当時の建物がそのまま残っており、重厚感のある外観は、昭和のレトロ建築ともいえる佇まい。

 

最初は療養所のような施設として利用されていましたが、後に温泉宿に。本館のほかに、「渓流館(けいりゅうかん)」「翠悠館(すいゆうかん)」の改装・増築を重ねて、現在は16部屋での営業を行なっています。

 

越後長野温泉 妙湶和樂 嵐渓荘

本館の前に広がる前庭も嵐渓荘の大きな魅力のひとつ。春は新緑、秋は紅葉など季節を感じることができ、苔むした石や湧き水「真木(まぎ)の清水」を飲めるなど、散策するだけで十分に楽しめます。すぐそばに川が流れているので、夏も朝晩は川風吹いて涼しく、心を空っぽにして自然を眺めるだけでも癒やしを感じられる場所。

 

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テラスではドリンクをオーダーして飲むこともできます。昼は日光浴をしながら外で、夜はバーで楽しめるのも魅力。嵐渓荘で使われている水は全て湧き水のため、コーヒーもまろやかな口当たりになっているので、ぜひお試しください。

 

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前庭には水車が置かれ、小さな川が敷地内を通っていますが、こちらは守門川とつながっている人工の水路。そのまま周辺エリアの田んぼに水を運ぶ機能も果たしています。

 

ラウンジで触れるさまざまなおもてなし

越後長野温泉 妙湶和樂 嵐渓荘

本館の中に入ると、1階は受付と売店、ラウンジとなっており、さまざまな趣向を凝らしたものが置かれています。新潟の茶舗「富士美園」のほうじ茶を嵐渓荘の源泉と湧き水で煮出したお茶は、源泉の濃厚な塩分と旨味を感じる一杯。

 

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こちらは12年後の10月29日に手紙を発送してくれる「みらいポスト」。送る相手は自分でも、大切な人にでも可能です。嵐渓荘で過ごした時間を手紙という形で未来の誰かに伝えることができれば、より特別な思い出になるでしょう。

 

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ほかにも、ラウンジの奥にはレコード設備一式がそろっており、併設のバーで好きな音楽を聴きながら、コーヒーや柚子ジュースなどのソフトドリンクやお酒を飲むこともできます。レコードはビートルズや美空ひばりなど、懐かしい洋楽と邦楽、クラシックやジャズなど多ジャンルのものが並んでいるので、気になった一枚をかけてみてはいかがでしょうか。

 

貸し切り風呂「山の湯」でのリラックスタイム

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チェックインの際に、貸し切り風呂「山の湯」の予約も一緒に行っておくのがおすすめ。ひとつの枠が30分となっており(22:00以降はフリー貸し切り。利用時間もフリー)、あらかじめ時間を決めておくことで滞在中のスケジュール調整がしやすくなりますよ。

 

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山の湯は「石湯」と「深湯」の2タイプ。どちらも洗い場と内湯に加え、露天風呂も併設。「石湯」の露天風呂は五十嵐川の石で囲まれた浴槽が、よりワイルドで開放的な空間を演出しています。

 

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「深湯」は130センチメートルの深さがあり、立ったまま浸かる立ち湯タイプの露天風呂となっています。不思議な浮遊感を感じる理由は、源泉の塩分濃度が高いから。どちらの貸し切り風呂もそれぞれの魅力があるので、好みのタイプを選んでください。

 

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貸し切り風呂は予約制と予約なしでも入れる時間帯で分かれています。日中は男女入れ替え制で日帰り利用者向け。夕方から翌朝までは宿泊者限定で、22:00までは予約貸し切りの時間帯です。夜間から朝は宿泊者のフリー貸し切りとなっているため、空いているタイミングであればいつでも利用できます。空いているかどうかは、入り口の札付きの鍵で確認しましょう。

 

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渓流館の一階には大浴場も用意あり、清掃時間(9:30~11:00、14:30~15:30)を除き、24時間利用可能です。泉質は、貸し切り風呂も大浴場も同じ自家源泉の「ナトリウム塩化物冷鉱泉」。浸かるとトロリと肌にまとわりつく、無色透明の湯が特徴です。冷え性や肩こりにも効果的で、美肌の湯としても知られています。

 

 

それぞれ趣の異なる洗練された客室

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客室はそれぞれの館によって趣が異なります。2022年秋にリニューアルした「翠悠館」は、アートの融合をテーマに、畳の床にベッドを置いたテラス付きの部屋。和洋折衷のスタイルは小さな子どもや高齢の方にも利用しやすい設計に。部屋の中にはデスクがあり、ワーケーション利用にも最適です。

 

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部屋の壁に三条市ならではの装飾が施されている点にも注目。燕三条は「ものづくりの町」として有名な地域です。日用品である爪切りやお箸、アウトドア商品など、さまざまな製品が燕三条で生産されていますが、翠悠館にある3つの客室の壁面装飾には、そんな燕三条で作られた名品が飾られています。

 

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翠悠館のアメニティは、嵐渓荘の源泉と国産オーガニックハーブを使った100%自然派化粧品「妙湶」の化粧水と美容液が用意されています。農薬を使わずに育てたハーブやバラなど、植物由来の天然成分のみを使用しているため、赤ちゃんの肌にも安心して使えるのがうれしいポイントです。

 

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守門川に近い渓流館の客室では大きな一枚窓から渓谷を、本館の2・3階の客室からは前庭が望め、自然の景色の中で滞在することができます。

 

湧き水を使って調理した豊富な山の幸を堪能

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食事は専用の個室での提供。2022年秋にリニューアルされた食事処「鞍掛」の窓の外には中庭が広がっており、夕暮れには優美な自然を眺めながら食事を楽しむことができます。

 

越後長野温泉 妙湶和樂 嵐渓荘

自然が豊かな土地であることは、自然の恵みが豊富な場所でもあるということ。充実した食事のメニューの中でも、特に山の幸を活用した料理が自慢です。

 

「ぜんまいの一本煮」は、山間部でしか食べられない山菜ですが、こちらのぜんまいは極太で、その歯ざわりと味わいは上質な山菜を伝統の方法で調理するから味わえるもの。先代の女将からの伝統の味付けを守り続け、お土産品としても販売されています。

 

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山間部に位置し、渓流のすぐそばにある嵐渓荘では、新鮮な川魚料理も味わえます。鮎や山女など、一つひとつ丁寧に串に立てて焼く川魚は、ふっくらとした身にぎゅっと自然の味が凝縮されています。

 

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鯉の洗いも名物料理のひとつ。清流に育った鯉に泥臭さは一切なく、提供される直前に冷たい湧き水で洗われるため、歯ごたえもよく、つけだれの甘辛い酢辛子味噌との相性も抜群です。

 

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お肉料理は、「別格雪室貯蔵にいがた和牛」の石焼き。新潟の銘酒「八海山」の貯蔵にも使われる、雪を使った貯蔵庫「八海山雪室」で熟成されたA4等級の牛肉のため、上品な脂と旨味が口の中に広がります。火で熱した石の上で少し焼き、特製のタレでいただきましょう。

 

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新潟は日本屈指の酒どころとしても知られ、嵐渓荘でも料理に合う県内の銘酒を各種取りそろえています。地域のお酒には、すっきりとした喉越しが特徴で食中酒にも適した「五十嵐川」が用意されているので、料理と一緒に楽しみましょう。三条市唯一の酒蔵「福顔(ふくがお)酒造」の逸品です。

 

 

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中庭に出ることも可能なので、食事が終わった後は、ライトアップなどを見ながら休憩をして部屋に戻ります。

 

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外が暗くなると、前庭や駐車場に続く小道など、昼とは違った情緒を感じられます。初夏のシーズンには、蛍が見られることも。詳しくはスタッフの方に尋ねてみてくださいね。

 

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朝食も個室でいただきます。鮭の味噌漬けや蕗味噌など、手間をかけられた滋味深い朝食は、旅立ちの朝の体に優しく沁み渡ります。

 

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嵐渓荘の源泉で地元のコシヒカリを炊いた温泉粥は、塩分とミネラルが多く含まれており、源泉そのものの風味を楽しめます。ほかにもおぼろ豆腐やヨーグルトなど、自家製ならではの味わいを堪能しましょう。

 

 

お土産には燕三条の名産品を

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フロント横には売店があるので、お土産はこちらで購入しましょう。燕三条のものづくり関連では、SUWADAのニッパー型爪切り「クラシック L」や、翠悠館の部屋の装飾にも使われているマルナオの「極上 一六角箸」などが置かれています。

 

越後長野温泉 妙湶和樂 嵐渓荘

また、夕食でいただいた宿の名物料理「ぜんまいの一本煮」や、源泉を練り込んだ塩味と旨味がやみつきになる嵐渓荘オリジナル「山の塩羊羹」(1,080円)も見逃せません。

 

楽しみ方はゲスト次第。余白を使った自分だけの時間を

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嵐渓荘でのおすすめの楽しみ方を館主の大竹啓五さんに伺ってみました。「嵐渓荘では、チェックインの時に食事と貸し切り風呂の時間を相談させていただきますが、それ以外はお客様が気の向くままにお過ごしいただけます。滞在に余白があるので、お客様自身の好きな形で楽しんでもらえたら、と思っていますね」と話してくださりました。

 

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極上の温泉と豊かな自然があるので、お風呂に浸かって何もしない贅沢を味わうのも良さそうです。

 

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また「嵐渓荘のスタッフに働きやすさや楽しみを感じてもらえるような環境づくりも、強く意識しています。私たちが楽しんでいるからこそ、サービスを受けるお客様も、滞在を楽しめると思うので」とおっしゃっていました。

 

実際に訪れて感じたのは、温泉や食事といった魅力だけではない、おもてなしによって作られる居心地の良さ。接客においても、食事においても、「ひと手間」を惜しまない姿勢に触れることができ、とても豊かな気持ちになりました。

 

越後長野温泉 妙湶和樂 嵐渓荘

自然あり温泉あり、そしておいしい食事あり。新潟の秘湯「越後長野温泉 妙湶和樂 嵐渓荘」で、あなただけの自由な時間を楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

越後長野温泉 妙湶和樂 嵐渓荘

住所
新潟県三条市長野1450
チェックイン
15:00 
チェックアウト
10:00
総客室数
16室
駐車場
50台

 

取材・撮影・文/岡本大樹

 

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