古民家で
暮らすように過ごす
HÏSOM(島根県大田市)
温泉津(ゆのつ)町の
古民家×北欧の暮らし
ノスタルジックな町でゆっくり、
ひっそり、自然に親しむ
島根県のほぼ中央、日本海に面した大田市にあり、2007年に世界文化遺産に登録された「石見銀山遺跡とその文化的景観」に含まれる温泉津町。16世紀後半には、石見銀山から採掘した銀を運ぶ港町として栄えました。また、温泉津はその名が示す通り、薬効の高い湯が湧く、古くからの温泉地。昔ながらの趣が残る街並みは、温泉地で初めて国の重要伝統的建造物保存地区に選定されました。湯治場として多くの人々を癒してきた源泉そのままの温泉は、現在も外湯で気軽に楽しむことができます。今回宿泊する一棟貸しの古民家「HÏSOM」があるのは、温泉街から車で5分ほどの日祖(ひそ)地区。小さな集落に佇む古民家は、のんびりと暮らすように過ごしたい人におすすめです。
古民家の佇まいを生かしつつ快適性も重視
自然を慈しみながらのんびり滞在を
昭和初期に建てられた古民家の外観や建具は残しつつ、海外からのゲストも快適に過ごせるようにと改装を施した「HÏSOM」。大きく広がる空と豊かな緑が印象的な日祖地区で、暮らすように過ごしてほしいと、中長期の滞在を意識してつくられています。「HÏSOM」を開業した近江さんによると、参考にしたのは北欧フィンランドにある水辺のサマーコテージでの暮らし。プライベートな空間で、周囲の自然に寄り添いながらゆったり過ごす北欧の休日のように、滞在中はゆるやかな時間の流れに身をまかせます。
リノベーションに際しては、柱や欄間、すりガラスなど元の構造にあった素材をなるべく生かし、新たな建材も古材や天然の木材を使うなど、古民家らしい趣を大切にしています。リビングやゲストルーム、洗面台など、いたるところに飾られた花や草木は庭で摘んだもの。楚々とした控えめな存在感に癒されます。
ベッドルームは2つ。どちらも10畳の畳敷きで、1部屋にはクイーンサイズのベッドが1台、もう1部屋にはセミダブルのベッドが2台あります。各部屋にワーキングスペースが設けられているので、ワーケーションにも最適。布団も用意されており、子どもを含め最大10名まで宿泊可能です。家にいるようなくつろぎを感じてほしいと、リネン類はダブルガーゼを使用。やさしい肌触りで、朝までぐっすり眠れます。
3方向に窓があり、明るい日差しに包まれたリビングルーム。クッションなどのファブリックは、藍染めなど天然染色のみを使っています。一角に設けられた本棚には、洋書やフォトブックなどが並んでいるので、ゆるやかな時間のお供に手に取ってみては。ソファはベッドとしても利用できるので、3家族で滞在してもしっかりとプライベートを確保できます。
長く滞在しても不便がないようにと、充分な設備を整えたダイニング&キッチンエリア。ガラスの引き戸を開ければ、屋外のバーベキュースペースともつながり、開放感たっぷり。IHコンロに鍋やフライパンなどの調理器具、基本の調味料のほか、バルミューダのオーブンレンジやバーミキュラのライスポットといった最新の調理家電も完備しています。事前にお願いすれば、農家さんの採れたて野菜や島根産の肉をセットにした食材(1人前4,400円)の手配もOK。このほか、お隣の江津市からシェフを招いてのケータリングサービス(要事前予約、1名8,800円~、出張料1回につき5,500円)も。ジビエや魚などをメインにした、本格的なフレンチのコース料理が味わえます。
食器棚にずらりと並ぶお皿やカップは、焼き物の町でもある温泉津の名窯・椿窯の作品。使い勝手が良く、普段使いにもぴったりな器が多いので、気に入ったものがあれば、窯元を訪れて購入するのも良さそうです。
バスルームにはシャワー、自動給湯器付きのバスタブを完備。庭からアクセスできる扉もあり、海水浴など海遊びを楽しんだあと、部屋に上がることなく風呂場に直行できるよう工夫されています。洗面台と温水洗浄付きトイレは2つずつ設置されていて、石鹸やシャンプー&リンス、歯ブラシ、ドライヤーなどのアメニティも揃っています。
2つの寝室を囲むように伸びる縁側の先には、広々とした庭が広がります。手を加え過ぎることなく自然を生かした庭には、夏みかんや青紫蘇、クレソンなど季節ごとのフルーツや野菜も育つのだとか。もちろん自由に取って食べてもOKなので、自炊に活用するのも良さそう。片隅にある木製のブランコに座り、清々しい朝の空気を吸い込んだり、移りゆく夕暮れの空を眺めたり。緑の中でのんびり過ごすのも素敵です。
「HÏSOM」から3分ほど歩いたところには小さな砂浜があり、夏にはプライベート・ビーチ感覚で海水浴を楽しめます。また、夕暮れ時に足を運べば、海面を赤く染める美しいサンセットが見られることも。滞在中は、ぜひ集落で出会った人に「こんにちは」と挨拶を。地元の人と交流すると、都会では経験することのできない、人と人のつながりや、温かさを感じられるはずです。
HÏSOM
住所/島根県大田市温泉津町温泉津イ588-1
交通/出雲空港から車で約1時間30分、またはJR温泉津駅より車で約10分
チェックイン/14:00〜18:00
チェックアウト/10:00
宿泊料/1泊1名24,000円〜(税込み/2名利用時)
※連泊利用で割引あり
日本最大級の登り窯が連なる陶器の里で
手びねりにチャレンジ!
温泉街から少し歩いた小高い丘にある「やきものの里」。まず、長さ30m・15段と長さ20m・10段の2つの巨大な登り窯に目を奪われます。これは江戸時代中期の窯を復元したもので、当時は「はんど」と呼ばれる水がめを中心に、すり鉢や壺など、実用陶器が数多く焼かれていたといいます。幕末から昭和初期にかけては、温泉津港から北前船で全国へと出荷されていました。現在は春と秋の年2回、「やきもの祭り」に合わせて、登り窯に火入れが行われています。周辺には3つの窯元があるので、登り窯や窯業の歴史を物語る史跡の散策や、窯元めぐりを楽しめます。
登り窯に隣接するやきもの館では、手びねりを体験。1人500gの粘土を使って、皿やカップ、動物の置物など、好きなものを2つまで作れます。早速、インストラクターの指導のもと、粘土に指をあてて形作りをスタート。土と向かいながら、無心に作業をしていると、ついつい時間を忘れてしまいます。30〜40分ほどかけてやっと完成。あとは焼き上げを行い、約1か月後に自宅へ送ってもらいます。どんな作品に仕上がっているか、到着が楽しみです。
やきもの館には、温泉津焼の歴史を示す資料館や、過去の名品の展示館も。そのほか、3つの窯の作品を揃えた販売コーナーもあるので、窯元まで足を運ぶ時間がない時はこちらへ。かつて実用陶器が主流だった温泉津焼は、素朴な風合いで日常使いにもぴったり。写真は京都で活躍した河井寛次郎の流れを汲む(有)椿窯の作品。小皿は1,650円、花瓶は3,300円と、手に取りやすい価格なのも魅力的です。
温泉津やきものの里・やきもの館
電話/0855-65-4139
住所/島根県大田市温泉津町温泉津イ22-2
交通/出雲空港から車で約1時間30分、またはJR温泉津駅より徒歩約15分
開館時間/9:00〜17:00、創作体験は9:00〜11:00、13:00〜16:00受付
定休日/水曜、年末年始、臨時休館あり
料金/入館無料、手びねり体験コースは2,000円、中学生1,700円、小学生1,400円(材料費、焼成代込み。送料は別途)
※事前に要予約
温泉津沖直送の魚介や地元野菜など
ローカルファーストの素材を独自にアレンジ
温泉津の温泉街にある「Café&bar 路庵(ろあん)」は、築100年以上の古民家を活用した食事処。温泉津沖でとれた地魚や特産品の板わかめ、周辺の農家さんが育てた新鮮な野菜など、ローカル食材にこだわった創作料理が味わえる、地元でも評判の店です。カフェタイムには、大山小麦を使った「パンケーキ」(1,200円)も楽しめます。バターの風味豊かなしっとり食感のパンケーキは、添えられたバニラジェラートとの相性も抜群!
こちらは人気の3品。「わかめピザ」(1,750円)は、春から夏にシーズンを迎える特産品の板わかめがたっぷりで、口の中でふんわり磯の香りが広がります。「島根和牛ミックス煮込み」(1,040円)は、さまざまな部位を煮込んでいるので、和牛の旨味が濃厚。最後の1品は新鮮な魚を使った「地魚丼」(2,080円)。この日はタイとアオハタ、三瓶(さんべ)山の湧き水で育てられた三瓶サーモンの3種盛り。その日の水揚げによって、地魚丼はメニューにないこともあるそう。どれも温泉津でしか食べられない、素材を存分に生かした味わいです。
また、料理と一緒に楽しみたい地元のお酒も豊富に取り揃えています。温泉津の酒蔵、若林酒造の「開春」は、定番の「上純米」(550円)から幻の米・亀の尾が原料の激レア酒「亀五郎」(715円)まで4種類をラインナップ。このほか、地元産の夏蜜柑を使った「温泉津ビール」、柚子が香るフルーティーな「ゆのつエール」(各825円)も。料理の美味しさも相まって、ついついお酒が進みます。(※お酒は20歳になってから)
Café&bar 路庵
電話/0855-65-2777
住所/島根県大田市温泉津町温泉津ロ31
交通/出雲空港から車で約1時間30分、またはJR温泉津駅より徒歩約12分
営業時間/17:00〜22:00
定休日/火曜、不定休
石見地域に根付く伝統芸能
大迫力の石見神楽を鑑賞
石見(いわみ)神楽は、温泉津町がある石見地域に伝わる伝統芸能で、日本遺産にも認定されています。これは、古くから地域の秋祭りなどで行われてきた神事のひとつ。現在も130を超える団体が伝統を受け継いでいます。ここ温泉津町では、毎週土曜日の夜に伝統の石見神楽を見ることができます。会場となるのは、北前船の守り神として信仰を集めてきた龍御前(たつのごぜん)神社。厳かな雰囲気に期待が高まります。
石見神楽は八調子のアップテンポなリズムが特徴です。豊作や豊漁に感謝する「儀式舞」と、日本神話に基づいたストーリーを舞う「能舞」とがあり、演目は合計30種類ほどにのぼります。中でも有名なのは、大蛇退治を描いた「大蛇(おろち)」や、漁業、商業の守護神である恵比須の大神の鯛釣りの様子を舞う「恵比須」など、動きが激しく分かりやすいストーリーのもの。どこか哀愁を感じる笛の音と、活気に満ちた太鼓囃子に合わせて、豪華な衣装で舞う様子は、まばたきするのも忘れるほどの迫力です。
「ゆのつ温泉 夜神楽」は所要約1時間で、2つの演目が行われます。絢爛豪華な衣装や和紙で作られる面など、舞を彩る職人技にも目を奪われていると、1時間はあっという間。1回の公演の定員は40名、事前予約制なので、観光シーズンは早めの予約がおすすめです。また、年に数回はろうそくの明かりの中で舞うプレミアム公演、毎年9月には夕暮れの浜辺で行う海神楽なども行われています。
ゆのつ温泉 夜神楽
電話/0855-65-2998(温泉津温泉旅館組合)
住所/島根県大田市温泉津町温泉津イ736 龍御前神社
交通/出雲空港から車で約1時間30分、またはJR温泉津駅より徒歩約12分
拝観時間/土曜20:00〜
拝観料/1席2,000円
※要事前予約
シェアリングキッチンで
日本全国からさまざまな料理が温泉津に上陸
温泉津の温泉街に2021年5月にオープンした「WATOWA」は、コインランドリー、ドミトリータイプの宿泊施設とレストランが一体となった新業態。中でも注目のレストラン「WATOWA KITCHEN」は、日本全国から料理人がやって来て期間限定で腕を振るうというユニークなスタイルです。時には地元の農家さんや漁師さんと料理人をつないで、新しい料理が生まれることもあるといいます。
この日の出店は大阪から。アメリカ人オーナーの元で腕を磨いたという2人が作る、本格的なアメリカンハンバーガーです。メニューにはメインのハンバーガー3種に、チーズボールやチキンウイングなどのサイドメニューが数種類、スイーツのオレオチーズケーキが並びます。おすすめの「オリジナルバーガー」(1,300円)は、肉感の強いパティに香ばしいバンズ、とろけるチーズが絶妙にマッチ。初出店ということもあり、店内は多くのお客さんで大賑わいでした。
これまでには、島根県出雲市のカフェや東京のイタリア料理店、フリーランスのシェフによるスパイスカレーやアジア料理など、バラエティーに富んだメニューが「WATOWA」で提供されてきました。次はどんな料理に出合えるか、地元の人はもちろん、周辺地域に暮らす人々も楽しみにしていて、出店者が変わるたびに、ここでの料理を目当てに温泉津へやって来るのだとか。2度、3度とリピートする出店者も増え、地元の人と料理人の交流が深まっています。
WATOWA KITCHEN
電話/090-9349-6558
住所/島根県大田市温泉津町温泉津ロ19
交通/出雲空港から車で約1時間30分、またはJR温泉津駅より徒歩約20分
営業時間/出店者により異なる
定休日/出店者により異なる
※出店のスケジュールはInstagramを参照
日本神話ゆかりの地を散策
美しい海景色も魅力のみやげ店へ
自社で製造するふぐの加工品や、石見地域の名産品などを揃える「和田珍味本店」。広々とした店内には、創業以来の人気商品「ふぐ味醂干」(48g 648円〜)をはじめ、「ふぐぞうすいスープ」(2人前540円〜)など、自慢の商品がずらりと並びます。2020年には日本海を望むオープンテラスを備えた「VIEW&CAFE SHINWA」が新設され、景色を楽しみながら、ふぐだしを使ったカレーやふぐフライバーガーなどを味わえるようになりました。
みやげ探しももちろんですが、ここで注目したいのが、駐車場からの絶景。国土交通省が一般からの情報を元に情報提供している「とるぱ」で、人気ランキング1位を獲得したこともある絶好のロケーションです(2011年6月)。「とるぱ」とは、「写真を撮るパーキング」の略称で、安全な駐車場とそこから歩いて行ける撮影スポットがセットになっている場所のこと。こちらの駐車場からは、晴れた日の日中は抜けるような青空と海、夕暮れ時には海に沈む見事な夕日を望めます。
和田珍味本店
電話/0854-87-0030
住所/島根県大田市五十猛1550-1
交通/出雲空港から車で約1時間10分
営業時間/10:00~18:00
定休日/不定休(1・2月に各1回、3〜12月は無休)
宿泊施設の紹介
島根県大田市温泉津町の小さな集落にある、昭和初期の古民家を改装した一棟貸しのゲストハウス。調理家電が充実したキッチンやモダンなバス&トイレなど、快適性も重視してリノベーションされています。豊かな自然に囲まれた静かな環境の中で、暮らすように過ごしたい人にぴったり。地元の人々との交流を楽しむ、中長期での滞在もおすすめです。
HÏSOM
住所 | 島根県大田市温泉津町温泉津イ588-1 |
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交通 | 出雲縁結び空港から車で約1時間30分、またはJR温泉津駅より車で約10分 |
チェックイン | 14:00〜18:00 |
チェックアウト | 10:00 |
宿泊料 | 1泊1名24,000円〜(税込み/2名利用時)
※連泊利用で割引あり |
<新型コロナウイルス対応>
- ○スタッフ対応
- マスク着用
- ○除菌対応
- 共用箇所の除菌清掃
- ○換気対応
- 来訪前の共用箇所の換気
- ○客室対応
- 消毒液の設置
※掲載している観光情報は2024年6月時点の情報です。
※掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。
※店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
島根県大田市の
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