里山里海の
美しい景色が広がる宿
大呑ビレッジ 遊心庵(石川県七尾市)
絶景を独占する
石川県・七尾市の宿で
里山里海のもたらす
恵みの豊かさを知る
七尾市のある石川県能登地方は、豊かな幸に恵まれた美しい山と海があり、その自然と共存して暮らす人々の営みが評価されて、2011年に日本で初めて「世界農業遺産」に認定されました。『大呑ビレッジ「遊心庵」』のある大呑地域もその一部で、七尾市街地から車で20分ほどのところに位置するのどかな農漁村です。このような場所だからこそ、目の前に広がる山と海の景色、自然の香りや音が、この上なく豊かなものであることに気づかされます。
立山連峰まで見渡す景色が
宿一番のおもてなし
七尾市大呑地域は、深い森に覆われる丘陵地に挟まれた、熊淵川沿いに広がるエリア。まさに能登の里山里海らしい景色が広がる場所です。集落は山あいと海沿いに分かれ、『大呑ビレッジ「遊心庵」』は山側の集落にあります。宿の受付は、集落の中心にある南大呑郵便局横の「大呑ハウス」で行うので、まずはこちらへ。手続きを終えたら350mほど離れた山林の中にある一棟貸しの宿『大呑ビレッジ「遊心庵」』へ向かいます。
宿の敷地に入って思わず歓声をあげました。三方向が山に囲まれていて扇状に視界が開けているので、景色自体がまるで絵画のような美しさです。人工物がほとんど見えず、すぐそばには田んぼの緑、目の先には富山湾。天気がよければ対岸の立山連峰まではっきりと見えるそうです。今日はやや雲が出ていましたが、それでもこれだけの素敵な眺め。今から30年ほど前、この場所を気に入ったとある画廊のオーナーが林を切り開いて棚田の上に別荘を建てたのですが、その建物をリノベーションしたのが『大呑ビレッジ「遊心庵」』です。
七尾市在住の建築士が改修の設計に携わったというこの建物は、元のアトリエの梁を生かした伝統的な構造を残しながらも、大きな窓や白木の能登ヒバやスギがフレッシュでモダンな印象。居間、小上がり、寝室が段差だけで分けられたワンフロアの造りも広々としていて、贅沢です。最大6名まで利用できます。
小上がりのソファから眺める風景は、窓枠で切り取られ、より一層絵画のような美しさが際立ちます。寝室や居間からもふと目に入り、空や緑の色、雲の形など、刻々と移ろう自然の表情に気づかされるのもこの宿ならではの楽しみです。
ひと休みしてから大呑の散策へ。宿のおすすめは、集落最奥の杉林に鎮座する「阿良加志比古神社（あらかしひこじんじゃ）」を目指す所要約1時間30分の神社コース。「阿良加志比古神社」は平安時代に編纂された延喜式にも記載されている由緒ある社です。大呑には「熊淵の長者」という伝説があり、その話に登場する長者がこの社に祀られているそう。戦国時代に上杉謙信が七尾へ攻め入った際に兵火に遭ったため、神社についての古い記録が残っていませんが、その事実を聞くだけでも、この神社に長い歴史があることが窺えます。
神社へ向かう途中に、この地で木彫制作を行うご夫婦の工房「たきかわ木彫」に立ち寄りました。富山県の井波で木彫刻を学んだご主人の瀧川千春さんと、奥様の佐智子さんが創作活動をする場で、お二人とも日展作家。素敵な作品を見ているうちに木にふれてみたくなって、木彫のトレー作りに挑戦しました（2,000円、材料費別）。彫刻刀にふれるのは久しぶりという方も、瀧川さんが丁寧に教えてくれるので安心です。「たきかわ木彫」を訪れる際は「大呑ビレッジ」にご相談ください。
散策から戻ってきたら夕食の時間。「遊心庵」ではBBQセットが無料で借りられるので、夕食は庭でのBBQが人気です。食材は宿に到着するまでの間に、七尾市街地で購入。地元産の能登牛や能登豚、朝採れ野菜はもちろんですが、ここのBBQでこそ味わいたいのは、能登近海の幸。種類豊富な魚はもちろん、夏ならサザエ、冬なら能登カキもお忘れなく。
翌朝、寝室のブラインドを開けると、あたたかな日差しに照らされた景色が目に飛び込んできます。部屋の中にいるのはもったいない気がして、さっそくウッドデッキへ。里山里海の自然に抱かれながら、ヨガのポーズなど軽くストレッチをするのも気持ちいいですし、何もしないでのんびりコーヒーを飲むだけでも、心満たされる時間を過ごせます。
大呑ビレッジ「遊心庵」
住所／石川県七尾市花園町甲44-1
交通／七尾自動車道七尾大泊ICから車で約3分、またはJR七尾駅よりタクシーで約20分
チェックイン／15:00〜18:00
チェックアウト／9:30
宿泊料／1泊1名9,000円〜（税・サ込み／5名以上利用時）※1〜6名まで利用可能
※無料BBQセットは要事前連絡
※粋な屋坂本の食事付きプランあり、1泊1名20,900円〜（税・サ込み／3名利用時）
能登の味覚を知り尽くす料理人が
厳選食材で作る料理を味わう
大呑集落の中にある食事処「粋な屋坂本」は、能登の旬食材を味わえる店。料理人の坂本博文さんは、能登町の「百楽荘」で料理長を務めるなど、能登の有名温泉旅館で30年以上の経歴を積んできた能登食材のスペシャリストです。能登にあるたくさんの食材を使いこなし、見た目にも華やかな料理に仕上げてくれます。坂本さん曰く、能登の食の魅力は、海の幸や山の幸が豊富にあることだそう。さらに料理をする上で最も大切にしているのは、「自分の目で選んだ食材を使うこと」。魚ひとつとっても、一匹一匹、良いものを見極めることが重要だと言います。
こちらは夕食の一例。一つひとつが丁寧に作り込まれた美しい前菜から始まり、刺身、焼き魚、鍋、天ぷらなどが一皿ずつ運ばれてきます。国内有数の漁獲量を誇る能登のフグや七尾湾で獲れる巻貝の赤西貝、石川県では「ハチメ」と呼ばれて親しまれる磯の魚、夏場の岩ガキなど、能登の里海らしい食材がたっぷり。坂本さん自ら採った山菜や、近所の農家がわけてくれた野菜など、里山の味覚も鮮度は折り紙付きです。
前菜の中にある「巻き鰤」は、冬に獲れた天然ブリの身を塩でしめて縄で巻き、寒風で干して熟成させる能登の保存食。凝縮したうま味と、ブリ特有の脂が口の中に広がる珍味で、大呑の米で造られた地酒「大呑雫」がよく合います（※お酒は20歳になってから）。店で食べられる「巻き鰤」は坂本さんたちの手作りで、店の軒下にぶら下がっているので見つけてみてください。スライスをパッケージした商品はおみやげにもぴったりです。
粋な屋坂本
電話／090-7082-2456
住所／石川県七尾市花園町ワ部1
交通／七尾自動車道七尾大泊ICから車で約3分、またはJR七尾駅から車で約20分
営業時間／11:45〜14:00（ランチ）、18:00〜（ディナー）
定休日／月・火曜（祝日の場合は翌日）
料金／ランチ3,300円〜、夕食会席8,800円〜
※予約は2日前までに電話で予約
サイクリングを通じて知る
ありのままの能登島の魅力
大呑地域から車で約30分、七尾湾に浮かぶ能登島。周囲約72kmの島内に、3,000人ほどの人々が自然とともに暮らしています。島のゆったりとしたムードを感じながら風景や文化を見て回るなら、サイクリングがおすすめです。「クラシノサイクル」でサイクリングツアーを行っている小山基さんは、大阪からこの地へ越してきた移住者。「移住したいと思うほど、自分の心を動かした数々の能登島の魅力を知って欲しいです」と話す小山さん。代表的な観光スポットとはまた違った能登島の一面を教えてくれます。
コースは比較的平坦な島の東側を走ります。集合場所で自転車の説明を受けたら、さっそくスタート。田園や岬、集落、海岸沿いなど、次々に変わる景色の中を走りながら、能登三大火祭のひとつ「向田の火祭」の会場や、定置網の魚が揚がる「鰀目（えのめ）漁港」、海水を炊いて作る塩づくり小屋などに立ち寄ります。通りすがりの畑で農作業する人に気さくに声をかける小山さん。小山さんは島の人のほとんどと知り合いだそうで、話しかけられた方も気負わず旅人に心を許してくれるよう。このローカルな感覚が小山さんのサイクリングツアーの持ち味です。
塩作り小屋の脇にある海に面した小さな東屋が最終目的地。心地よい海風を浴びながら涼んでいると、小山さんがリュックから何やら取り出しました。「能登島の梅で作ったシロップを、湧水で割ったドリンクをどうぞ」。繊細な模様のガラスに入れられた梅ドリンクは、サイクリングで乾いた喉を潤し、程よい酸味と甘さが疲れを癒してくれます。小山さんが知る能登島の素敵なところをしっかり共有させてもらえたことで、この島が身近に感じられました。
クラシノサイクル
電話／080-2065-5542
住所／石川県七尾市能登島向田町ろ部8番地1能登島地区コミュニティセンター内
交通／JR和倉温泉駅から車で約15分
営業時間／サイクリングツアーは9:00〜12:30または13:30〜17:00の約3時間30分
定休日／要問合せ
料金／1名7,500円
経験豊かなガイドと一緒に
七尾湾に棲む野生のイルカと泳ぐ
能登島には野生のイルカが生息しています。九州からやってきた2頭のミナミハンドウイルカが2001年に七尾湾に棲みつき、今では10数頭のファミリーになっているそうです。ミナミハンドウイルカは、国内では熊本県の天草、東京都の御蔵島・三宅島、利島、小笠原諸島とこの七尾湾で見られますが、七尾湾は日本だけでなく世界で最北端の生息地になります。能登島では、そのイルカファミリーとの共存・共栄を目指しながら、船でのウォッチングを行っていて、「ドルフィンスマイル」ではイルカと一緒に泳ぐドルフィンスイムも体験できます。
そわじ浦という静かな浜辺で「ドルフィンスマイル」を営むあんりさん。七尾で育ったあんりさんは小さい頃からイルカに関わる仕事をしたいという夢があり、御蔵島・三宅島でガイドとしての経験を積み、七尾のイルカのために故郷へ戻ってきました。「七尾湾は他の生息地に比べてアクセスが便利なのも体験しやすいポイントです」とのこと。事前のブリーフィングはもちろんのこと、目の前のビーチでスノーケリングの方法をトレーニングしてくれたり、浮力を保ったウェットスーツを提案してくれたりと、泳ぐ人のレベルに合わせた適切なアドバイスをしてくれるので、スノーケリング初心者でも安心して挑戦できます。
ウェットスーツに着替えたら、ウォッチングポイントへむけて出航。その日によってイルカの泳いでいる場所は異なるので、まずはイルカファミリーを探します。七尾湾ではおよそ98%の確率で見つかるとか。出会えたら、スタッフの案内で海へダイブ。海の中を気持ちよく泳ぎ回るイルカファミリーと一緒に泳げるなんて、まるで自分もファミリーの一員になれたような気分です。イルカたちは超音波で対象物を認識していて、目はほとんど見えないはずなのに、近くで泳いでいると目が合うような瞬間があってドキドキ！イルカのかわいさにすっかり魅了されてしまいました。
ドルフィンスマイル
電話／090-7088-3219
住所／石川県七尾市能登島向田町そわじ浦地内
交通／JR和倉温泉駅から車で約15分
営業時間／体験プランによって異なる。所要時間は約3時間30分〜半日
定休日／不定休
料金／スイム ウィズ ドルフィン1万5,900円〜（催行2名〜）※ウェットスーツレンタルの場合は4〜10月のみ、ドライスーツ持参の場合は冬でも体験可。スノーケリングトレーイングプログラム参加は別途3,300円
山城ファンの間でも人気の
七尾城跡をガイドさんと歩く
室町時代の初め、足利将軍によって能登国守護職に任命されて以降、およそ170年間にわたって畠山氏によって治められていた七尾。築城は15世紀末ごろと定かではありませんが、能登畠山氏の居城であり要塞として建てられたのが七尾城です。深い緑の中に石垣などの遺構が残る「七尾城跡」を、地元でボランティアガイドとして活躍する「はろうななお」の佐野藤博さんと歩きました。
七尾城は、城山（じょうやま）の山頂を切り開いて本丸や二の丸、三の丸のほか、重臣の屋敷などを築いた巨大な山城で、日本五大山城の一つです。同じく五大山城に数えられる新潟県上越市の春日山城を居城とした戦国武将の上杉謙信であっても、この城に攻め入るのには1年かかったといわれ、難攻不落の城として知られています。遺構の中で最も見どころとなるのが、本丸の土台部分に当たる四段構造の石垣。「15世紀末ぐらいに造られたこの石垣は、のちに石垣のスタンダードとなる野面積みとなったものです」と佐野さん。現在まで遺構として残っているのかと思うと、この技法による造りの強固さがよくわかります。
豊富な知識を軽妙なトークで披露してくれる佐野さんの説明を聞きながらゆっくりと城跡を見て歩き、スタートの本丸駐車場から10分ほどで本丸に到着しました。ここからは七尾の町と七尾湾、能登島、能登半島までが一望でき、能登国の守護がこの地に山城を構えたのも頷けます。佐野さんのガイドとともに約1時間30分ほどで城跡全体を一周できます。
七尾城跡
電話／0767-53-8437（七尾市スポーツ・文化課）
住所／石川県七尾市古府町、古屋敷町、竹町入会地大塚14-1、2-4、15-2
交通／本丸駐車場まではJR七尾駅から車で約15分、JR七尾駅から市内循環バス「まりん号」順回り便で約13分、城史資料館前バス停下車徒歩約40分
※七尾市観光ボランティアガイド「はろうななお」は要事前予約（0767-53-8815）、七尾城跡の案内は2,000円（人数により異なる）
廻船問屋が創業した醤油蔵を
ルーツとする老舗醤油店
海運が盛んだった江戸〜明治にかけて活躍した北前船。七尾はその寄港地として栄えた歴史も持っています。ここで廻船業を営んでいた西尾与平が北前船の積荷として醤油を醸造していましたが、時代の流れとともに海運は衰退。1912年旅館業をしていた小山家が西尾与平から引き継いだのが、この「小山屋醤油店」です。複数の醤油蔵だけでなく、母屋までが蔵造りとなっていて、明治に起こった2度の七尾の大火にも耐えたそう。ですが、2007年の能登半島地震によって醤油蔵のいくつかを失ってしまいました。こうしたさまざまな出来事を乗り越えながら、今も女将さんの小山順子さんとご家族がこの蔵の歴史を守り継いでいます。
醤油4種とだしつゆ、味噌などを家族で製造・販売しており、看板商品は「本醸造醤油」（1ℓ550円）。料理の味を豊かにするキリッとした塩味がありながら、大豆のふくよかな香りとうま味が広がります。もちろん商品の購入だけで訪れても大丈夫ですが、今回は女将さんの蔵案内とともに楽しめる醤油麹作りを体験します。奥に入るほど、醤油の香りが濃厚になる蔵の中で醤油の醸造方法を聞いたり、建物の歴史を教わったりしてから醤油麹作りへ。作業は簡単で、板麹を瓶に割り入れ、「本醸造」「天醤油」「旭醤油」の中から好みの醤油を注ぎ入れるだけです。
「あとは麹菌がおいしくしてくれるのを待つだけ。1日に1回くらい『おいしくな〜れ』と言いながらふりふりしてね」と話す女将さん。夏は1週間〜10日、冬は2週間くらいでできあがるそうです。できあがった醤油麹は野菜に付けてディップにすると簡単に食べられ、そのほか醤油麹に漬け込んだ肉を焼いて食べるのもおすすめ。家に持ち帰って瓶をふりふりするたびに、女将さんとの楽しい時間を思い出せそうです。
小山屋醤油店
電話／0767-52-0428
住所／石川県七尾市相生町41
交通／JR七尾駅から徒歩約6分
営業時間／8:00～17:00
定休日／日曜、第2・4土曜
※醤油麹作り体験1,000円（要予約）
宿泊施設の紹介
石川県七尾市の大呑地域にある一棟貸しの宿『大呑ビレッジ「遊心庵」』。30年前に山林を切り開いて建てられた画廊の別荘が快適空間にリノベーションされた宿です。宿に泊まった人だけが独占できる、棚田と富山湾、立山連峰の織りなす絶景が見ごとです。
大呑ビレッジ「遊心庵」
| 住所 | 石川県七尾市花園町甲44-1 |
|---|---|
| 交通 | 七尾自動車道七尾大泊ICから車で約3分、またはJR七尾駅よりタクシーで約20分 |
| チェックイン | 15:00〜18:00 |
| チェックアウト | 9:30 |
| 宿泊料 |
1泊1名9,000円〜（税・サ込み／5名以上利用時）※1〜6名まで利用可能 ※無料BBQセットは要事前連絡 ※粋な屋坂本の食事付きプランあり、1泊1名20,900円〜（税・サ込み／3名利用時） |
＜新型コロナウイルス対応＞
- ○スタッフ対応
- 手洗い・うがい・マスク着用
- 定期検温を実施
- ○除菌対応
- 客室の除菌清掃
- ○換気対応
- 定期的な館内の換気（一棟貸しの宿なので宿泊客が対応）
- ○客室対応
- 消毒液の設置
- 体温計の設置
石川県七尾市の
いいもの、美味しいもの
-
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