歴史ある禅宗の寺に
宿泊する
Temple Hotel
大泰寺(和歌山県那智勝浦町)
熊野古道沿いに立つ開創1200年の寺に泊まり、
太田川に沿って山から海へのグラデーションを楽しむ
和歌山県の南部に位置する那智勝浦町は、世界遺産に登録されている那智の滝や熊野古道のほか、源泉数県内一を誇る多種多様な温泉や生鮮マグロの水揚げ日本一を誇る勝浦漁港など、歴史と自然、グルメを堪能できる屈指の観光地。町を流れる太田川に沿って、霊験あらたかな山間部から流域の農村、そして海までのグラデーション豊かな景観や体験が楽しめます。そんな那智勝浦町にある開創1200年以上の歴史を持つ禅宗の寺・大泰寺は、宿泊できる寺「Temple Hotel 大泰寺」として注目を集めており、宿泊するだけでなく、お勤めや坐禅など寺ならではの体験ができるほか、那智勝浦町の郷土料理作りや、近くの山でのトレッキング、海でのビーチクリーニングなどさまざまな体験ができます。ゆっくりと時が流れる大自然の中で過ごす時間は、自分自身を見つめ直すきっかけとなりそうです。
1200年以上の歴史を持つ
大自然に囲まれた古刹に宿泊
「Temple Hotel 大泰寺」は、その名の通り宿泊ができる禅宗の寺。大泰寺は比叡山の開祖・最澄によって開かれた薬師霊場で、地元の人々を苦しめる大蛇を封じるために最澄が柳の木に薬師如来を彫り上げ、お祀りしたのが始まりと言われています。「お寺はかつて、子どもから大人までさまざまな人が集まる場でした。昔のようにお寺をもっと身近に感じてほしい」との思いで住職の西山さんが歴史ある寺を宿泊できる施設にしました。ここでは、朝のお勤めや坐禅など寺ならではの体験のほか、熊野地方の伝統料理のめはり寿司作りやトレッキング、ビーチクリーニングなどが体験できます。
客室は、客殿と離れの2つのみ。最大でも2組の宿泊となるので、プライベート感たっぷりです。客殿は、入口の受付のすぐそばにあり、襖を開けると広々とした和室。奥に5部屋続き、それぞれが異なる雰囲気になっています。定員は8名なので、大人数での宿泊も可能。食事は付きませんが、住職おすすめの地元の飲食店へ出かけるのも楽しみのひとつです。また共有スペースの食堂にある、電子レンジやトースターは自由に使用できます。
客殿でのんびりとしたら鐘撞体験にチャレンジしましょう。鐘は境内の小高い場所にあり「開運の鐘」と呼ばれており、大泰寺のある太田地区に時刻を知らせる鐘としても地元の人に親しまれています。毎日17時から煩悩の数に見立て18回鐘を鳴らします。煩悩の数は108ですが、毎日鳴らすと大変なので真ん中の0を取って18回鳴らすそうです。思ったより撞木が重く、みなさん鐘の真ん中に当てるのに苦労するとか。また夜空も美しく、天気の良い日には天の川が見えたり、流れ星が簡単に見つかったり、ついつい見とれてしまいます。
寺では、熊野地方の郷土料理・めはり寿司作り体験(1人1,500円)もできます。めはり寿司とは、刻んだ高菜を混ぜた、白米や寿司飯を高菜の葉で包んだもの。かつて漁や山仕事の合間に手軽にエネルギーと塩分がとれる弁当として広まったと言われています。めはり寿司の材料は、米、刻んだ高菜、高菜の葉、醬油、うま味出汁といたってシンプル。米と高菜を混ぜながら、醬油などを少しずつ加え、味付けをしていきます。
味付けした米を高菜の葉で包みます。このとき、高菜の葉をしっかりと広げるのがポイント。葉の中央に米をのせて、包みやすいように丸く形を整えた後は左側から葉で包みます。左右を巻いたら上も巻き、最後は下から上に巻き上げると、あっという間に完成です。めはり寿司の名前の由来は「目を見張るほど大きくておいしい」(諸説あり)。大きさに圧倒されますが、塩味が絶妙で女性でもぺろりと食べられます。漁や農作業の人たちは、天候などで帰って来られなくなったときのため、めはり寿司を一つ残して帰って来るという習慣があったそう。豆知識なども交えながら教えてくれるスタッフさんのもと、楽しく伝統料理を作ることができます。
大泰寺には寺では珍しいサウナ(2時間5,000円/要水着着用)もあります。住職によると「サウナでととのうは、坐禅で目指すところの悟りに近い感覚が得られる」とのこと。テントサウナはそばを流れる太田川の河原に設置されています。サウナでよい汗をかいた後は、目の前の太田川に入り、そのままテントのすぐそばのチェアでととのう…リフレッシュするのにぴったりな体験です。また大泰寺の薬師堂にはサウナおみくじもあり、サウナを楽しむコツのほか、禅語と解説が書かれています。「サウナだけではなく、寺にも参拝してほしい」という住職の思いから生まれました。禅語にも触れられて、新たな知識を習得できます。
翌朝は毎朝6時から本堂で行われているお勤め体験(2023年7月現在、無料)からスタート。住職のお経に耳を傾けて心を無にしていると、なんとも言えない晴れやかな気分になります。本堂でのお勤めの後は、本尊薬師如来を祀る薬師堂に移動してお勤め。太鼓が使われるため、本堂のものとまた違った雰囲気です。お勤めの後は質疑応答の時間があり、お堂内の装飾や仏像についても教えていただけます。
そのあとは6時30分からは坐禅(1,000円)も体験できます。坐禅堂で住職に丁寧に指導していただきながら、取り組みます。足や手の組み方を一から教えてくれるので、初心者でも大丈夫。何も考えずに約10分間、心を無にして坐禅を組みます。そのあと坐禅についてのあり方などのお話を伺い、再び15分間座禅。希望すれば棒で叩く警策(けいさく)もいただけます。意識的にパソコンやスマートフォンから離れる時間を作ったので、心も体もすっきりました。
Temple Hotel 大泰寺
住所/和歌山県東牟婁郡那智勝浦町下和田775
交通/那智勝浦新宮道路那智勝浦ICを通って新宮市から車で約20分、またはJR紀勢本線太地駅より車で約5分
チェックイン/15:00~21:00
チェックアウト/10:00
料金/1泊1名5,000円~(税込み/素泊まり/大人2名1室利用時)
初心者にもおすすめのトレッキングで
雄大な自然を楽しむ
「Temple Hotel 大泰寺」では寺を拠点としたトレッキングも実施しています。熊野古道・大辺路のひとつで比較的低い八郎山を登るガイド付きのツアーに参加しました。八郎山は標高249.6mと難易度が高すぎず、初心者でも気軽にトレッキングが可能です。
緑豊かな大自然の中を歩いて行きます。途中、急な坂道や険しい道もありますが、ガイドさんが八郎山や自然の豆知識を織り交ぜながらゆっくりと道案内をしてくれます。所々に落ちていた滑りやすい葉っぱはウバメガシの葉。ウバメガシは紀州備長炭の原木となっているそうです。また、道には食器の一部のようなものも落ちていて、かつてここに人々の暮らしがあったことが伺えます。
山道を登ること約45分、遂に頂上に到着。頂上からは紀伊半島や本州最南端の潮岬、那智勝浦町の町並みを見渡せます。空と海が繋がっているような景色をじっくりと目に焼き付けて下山です。行きと同様の道のりですが、帰りは下りとなるので比較的楽に降りることができます。
八郎山トレッキング
電話/080-2781-3483(Temple Hotel 大泰寺)
住所/和歌山県東牟婁郡那智勝浦町下和田775(Temple Hotel 大泰寺にて受付)
交通/Temple Hotel 大泰寺から八郎山への登山口まで車で送迎・約5分
料金/1人3,000円(2時間半)
どこまでも広がっているような
広大な棚田や茶畑に心を奪われる
「Temple Hotel 大泰寺」から車で約30分の里山・色川(いろかわ)地区。名産の色川茶の生産や、シカやイノシシなどのジビエの解体・生産が行われています。また、色川地区は美しい棚田がいくつもあり、なかでも色川小阪地区の棚田「小阪の棚田」が有名。約500枚の壮観な棚田で、農林水産省が認定する「つなぐ棚田遺産~ふるさとの誇りを未来へ~」にも「南平野の棚田」「田垣内(たがいと)の棚田」など、6つの棚田と共に色川の棚田群として選ばれています。
「小阪の棚田」は、移住者や地元の農家により結成された「棚田を守ろう会」によって休耕していた田んぼを復活させ、米作りを行っています。階段状に連なった棚田は、辺り一面が緑で本当に美しく、四季折々でさまざまな表情を見せてくれます。
「小阪の棚田」から西に車で約30分のところに、田垣内地区の茶畑「色川の茶畑」があります。規則正しく並んでいるのではなく、独自の波打つような形をした茶畑が続く様子が圧巻です。ここで生産されるお茶は「色川茶」と呼ばれ、谷間の寒暖差と美しい水で育んだ、まろやかな味わいが特徴。和歌山県を代表するお茶として人気を誇っています。
小阪の棚田
電話/080-2781-3483(Temple Hotel 大泰寺)
住所/和歌山県東牟婁郡那智勝浦町大字小阪
色川の茶畑
電話/080-2781-3483(Temple Hotel 大泰寺)
住所/和歌山県那智勝浦町垣内地区
交通/Temple Hotel 大泰寺から車で約30分
青い海と空が広がるビーチクリーニングで気分爽快
引き潮の時だけに現れる神秘的な洞窟の探検も
南紀のベニスと言われるほど青い空と海が美しい浦神湾(うらがみわん)。山を越えると太平洋の荒波が大きな音をたてる外海に出ます。大小様々な岩が連なる磯の探検と、美しいビーチを守るためのビーチクリーニングも「Temple Hotel 大泰寺」宿泊で体験できます。浦神地区へは車で移動し、降りたあとはちょっとしたハイキングを楽しみながらビーチに向かいます。
ビーチは一見きれいに見えますが、よく見るとペットボトルや漁に使われる網が落ちています。ビーチクリーニングの所要時間は約1時間。わずかな時間とはいえ、ビーチがきれいになると清々しい気分になります。
ビーチを15分ほど歩くと海蝕洞、耳ノ鼻洞窟にたどり着きます。耳ノ鼻洞窟は浦神半島の先端(鼻)にあるため、「耳ノ鼻海蝕洞」と呼ばれています。引き潮のときだけ入ることができ、洞窟内はひんやり。なかなかできない貴重な体験です。
ビーチクリーニング
電話/080-2781-3483(Temple Hotel 大泰寺)
住所/和歌山県東牟婁郡那智勝浦町下和田775(Temple Hotel 大泰寺にて受付)
交通/Temple Hotel 大泰寺から浦神湾に続く山道の登山口まで車で送迎・約15分
料金/1人3,000円(3時間半)
駅チカのおしゃれなカフェ&バー
和歌山のクラフトビールもオンタップ(※お酒は20歳になってから)
JR紀伊勝浦駅のすぐそばに佇むカフェ&バー「Wine Kumano」。ナチュラルワインやクラフトビール、カクテルなどのアルコールとそれに合うおつまみのほか、コーヒーやチャイなども扱っています。「Wine Kumano」は「那智勝浦町にない店を作ろう」というオーナーの考えのもと、2022年3月にオープン。観光客も、地元の人も気軽に立ち寄れるカフェ&バーを目指しています。
店内は熊野古道の石畳をイメージしたカウンター席が4席、テーブル席が10席。カウンターの奥に並ぶワインやジュースの瓶を見て「あれは何のドリンクですか?」とスタッフさんと会話しながら注文を決めるのも楽しみのひとつです。
今回注文したのは「ポテトサラダ」(770円)&「ナチュラルワイン(白)」(1,080円)と、「チキンバスケット」(1,280円)&「クラフトビール・ITALIAN PEELS」(1,080円)の組み合わせ。ナチュラルワインは酸化防止剤などを一切使わずに作られており、独特な風味はしますが、爽やかで飲みやすさ抜群です。ポテトサラダは、ピリ辛の毛沢東スパイスがアクセントで、温泉卵とよく絡めるのがポイント。チキンバスケットは揚げ立てのチキンとポテトフライがバスケットにたっぷり。自家製のヤンニョムソースと、タルタルソースをつけていただきます。クラフトビールのITALIAN PEELSは和歌山県の有田川町のブルワリー「NOMCRAFT BREWING」のもの。みかんやレモンなど柑橘類を配合した、すっきりとした味わいです。クラフトビールは常時2種類を用意。ナチュラルワインとクラフトビールも堪能して、おしゃれなディナーとなりそうです。
Wine Kumano
電話/0735-29-6024
住所/和歌山県那智勝浦町築地4-1-1
交通/JR紀伊勝浦駅からすぐ
営業時間/18:00~22:00(土・日・祝日は12:00~22:00) LO21:00
定休日/木曜日
宿泊施設の紹介
世界遺産に登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」がある那智勝浦町の薬師霊場、大泰寺。「Temple Hotel 大泰寺」は名前の通り、寺に宿泊できる施設として注目を集めています。広々とした客殿でのんびりするだけでなく、お勤めや坐禅など、豊富な体験プログラムも堪能できます。
Temple Hotel 大泰寺
住所 | 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町下和田775 |
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交通 | 那智勝浦新宮道路那智勝浦ICを通って新宮市から車で約20分、またはJR紀勢本線太地駅より車で約5分 |
チェックイン | 15:00~21:00 |
チェックアウト | 10:00 |
宿泊料 | 1泊1名5,000円~(税込み/素泊まり/大人2名1室利用時) |
※掲載している観光情報は2024年6月時点の情報です。
※掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。
※店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
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