美意識を
映した自然
目に入るのは、山だけだった。ただし、それは原始のものではなく、人の手によって植えられたのだという。森への入り口として、人の息遣いのする自然がある。川沿いの星のや京都は、景観保護区の中に作られている。その日本庭園の美しさは、人工と自然の境界にあるのだろう。大堰川さえも、角倉了以という江戸時代の豪商によって治水されたものであるという。人の美意識を映した自然。掃き清められた通路には、道先案内するようにツツジの花がポツポツと残されていた。
目に入るのは、山だけだった。ただし、それは原始のものではなく、人の手によって植えられたのだという。森への入り口として、人の息遣いのする自然がある。川沿いの星のや京都は、景観保護区の中に作られている。その日本庭園の美しさは、人工と自然の境界にあるのだろう。大堰川さえも、角倉了以という江戸時代の豪商によって治水されたものであるという。人の美意識を映した自然。掃き清められた通路には、道先案内するようにツツジの花がポツポツと残されていた。
静けさは、音によって感じられるものだと、水が流れる音で気づいた。部屋の脇を流れる沢の音と大堰川の音がそれぞれ違う。沢の音は少し高く、川の音は少し低い。水の流れに耳を澄ますうち、遠くの森で母鹿が仔鹿を呼ぶ声が聞こえた。夕方には一斉に虫が鳴き出して、夜には蛙の声がする。朝は、鳥の時間だ。生き物たちの声が、庭を覆う苔に吸い込まれていくよう。水の流れる音に高低差があるなんて、星のや京都を訪れるまで知らなかった。
額縁のような窓によって切り取られるのは、桜やもみじの古木の先端。庭師がどれほど綿密に10年先を計算しても、その野生の動きを測ることはできない。野生に宿る、無作為の美しさ。葉のついた桜の枝が、夏の渡り鳥・ノビタキが止まって大きく揺れた。この視線の高さは、鳥や虫たちの目線であることに気づく。季節がめぐるたび、また違う鳥が渡る。額縁の中の自然は常に動いていて、一瞬も止まることはない。
新幹線の場合、京都駅からタクシーで約30分。
お車の場合、京都南ICを降り約30分。
※星のや京都では駐車場をご用意しておりません。誠に恐れ入りますが、お車でお越しの場合は、嵐山エリアや市内の駐車場をご利用下さい。