茅葺き屋根の
一棟貸し古民家
そよも
(滋賀県米原市)
満天の星が輝く琵琶湖源流の里で
大自然の恵みと人の温もりに癒される
滋賀県の北東部に位置する米原市は、新幹線も停車する「米原駅」があるほか、名神高速道路、北陸自動車道が分岐するなど、近畿、東海、北陸をつなぐ全国屈指の交通の要衝です。その一方で、薬草の宝庫として知られる伊吹山の豊かな自然に恵まれ、農業地域の穏やかさを感じられる場所でもあります。特に、伊吹山は積雪量の世界記録11m82cmが観測された豪雪地としても有名で、琵琶湖にそそぐ水資源が豊富なことから、米原は「びわ湖の素」と呼ばれています。今回は、米原市内でも最北端にある伊吹山西麓の山村地域へ。近年では、広大な自然と人々の温かさに魅了され、移住する人も増えているのだそう。そんな村にある一棟貸しの古民家に滞在し、大自然が育む食と暮らしを体験します。
茅葺き屋根一棟貸しの古民家に宿泊
地元食材と村のおもてなしにほっこり
米原市の北東部には、日本遺産「東草野の山村景観」に登録された地域があり、その最北に位置する甲津原という集落に、古民家一棟貸しの宿泊施設「そよも」があります。この地域では、村人の家を当主の名前で呼ぶ風習があり、宿泊施設として生まれ変わる前から、かつての当主の愛称である「そよも」と呼ばれていたそうです。2020年開業と新しい施設ですが、観光客が歩いていると、「そよもに行くの?」と村の人たちが気にかけてくれることもしばしば。アットホームな周辺環境に安心して滞在することができるゲストハウスです。
築150年を越える古民家をリフォームした内装は、日本家屋の木組みの良さを生かしつつ、和モダンで洗練された空間が印象的。元々あった天井を取り払ったという部屋は、開放感があり、茅葺き屋根や立派な梁を眺めることができます。
「そよも」から南へ3分ほど歩いた場所に、地域の交流拠点である甲津原交流センターがあります。漬物作りや袋詰めなどを行う「甲津原漬物加工部」という作業場が設置されていて、村の女性たちが集まって、毎日作業をしています。地元でとれた野菜の下処理や梅干しなどの漬物作りの全てを手作業で行っているのだそう。梅干しは、雪深い冬の保存食として重宝され、今から50年ほど前、「奥伊吹スキー場(現:グランスノー奥伊吹)」の建設に伴って20件以上の民宿が建てられた時も宿泊者の食事として大活躍。現在、当時の民宿は残っていませんが、そこで働いていた女性たちが今もなお、地元で元気に活動され、訪れる観光客を温かく迎え入れています。
「そよも」での夕食は、BBQ、地鶏鍋の2種類。今回は大自然の空気を感じながら贅沢な時間が過ごせる「近江牛と飛騨牛の食べくらべBBQ」をチョイスしました。新鮮な滋賀県の近江牛と、中山道で繋がる岐阜県の飛騨牛といった、県境にあるこの地域ならではの食材を楽しむことができます。グリルや炭(料金別途)も用意されているので、手軽に楽しめるのも嬉しいポイント。ダイニングルームでもいただけますが、この地域の伝統家屋の玄関には、雪から逃れるための「カイダレ」とよばれる長い庇をいかした小上がりのような場所があり、山のすがすがしい空気の中で楽しめます。
日が暮れてからのお楽しみは、宿から望むことができる星空。滋賀県で一番高い伊吹山は、天体観望のスポットとして知られ、星空に関するイベントも多数開催されています。夏の大三角形や見事なグラデーションを描く天の川など、街中では見ることができない美しい星空は必見です。
朝食は、自分たちで村のお米と味噌を使って作ります。事前に予約をしておくと、下ごしらえされた食材が届けられるので、初心者も安心。IHヒーターや魚焼きグリルが完備されたアイランドキッチンは、調理台も広々と使えるので快適です。自分たちで好きな食材を持ち寄り、好きな料理を楽しむことも可能です。朝食セットは、ごはん、味噌汁、納豆、焼魚、漬物のほか、温泉卵に湯豆腐と盛りだくさん(※季節により変動あり)。甲津原で育った甘くておいしいお米と、地元の大豆を使い、「甲津原漬物加工部」で作られる味噌のやさしい味わいを堪能しましょう。
「そよも」では、宿泊者限定でランタン作りが体験できます(3,000円、約1時間)。作り方は、自然の竹を切り、印が描かれた型紙に沿って、電動ドリルで穴を開けていくだけ。印の中に書かれた番号に合わせて、ドライバーのサイズを変えていくので、迷うことなく作業ができます。型紙のデザインは、花火のような細かい模様から、星やハートなど、チャレンジしやすいものまで種類豊富。好きな図柄を組み合わせて作る自分だけのランタンは、旅の思い出にぴったり。作ったランタンは、ロウソクやLEDライトを使ってライトアップもできます。
地域の文化や歴史を伝える古民家として生まれ変わった「そよも」。事前に連絡すれば、滞在プランに合わせた食事や体験、周辺施設のことなどが相談可能です。大自然が生む美しい景観のなか、地域の人と触れ合い心温まる特別な体験です。
そよも
住所/滋賀県米原市甲津原457
交通/JR近江長岡駅より車で約30分、または北陸自動車道・米原ICより車で約36分
チェックイン/15:00~18:00
チェックアウト/10:00
料金/1泊1棟30,000円~(税・サ込み/素泊まり/4名まで)※5名以上の場合は、追加1名につき8,000円(最大8名まで)
里山に佇むヴィーガン&オーガニックカフェで
心も身体もリフレッシュ
琵琶湖へとそそぐ一級河川・姉川の源流域に、曲谷(まがたに)と呼ばれる集落があります。そこへ移住したご夫婦が営むカフェレストラン、「MAGATANIA」があるのは、姉川ダムを望む森の中。四方を山に囲まれた草原に立つ山小屋風のカフェの非日常的なロケーションは、訪れる人々の心を魅了します。
「MAGATANIA」は、無添加・無農薬の食材にこだわり、動物性食材や小麦、砂糖、精製塩なども不使用のヴィーガン&オーガニックカフェ。自然栽培野菜や厳選した食材、調味料を使った一汁三菜ランチや、常時約10種類が揃う創作おむすびなど、豊富なメニューを展開し、店で使用する食材や調味料も販売しています。
今回は、週替わりで楽しめる「一汁三菜ランチセット」(1,500円)をいただきます。季節で異なる新鮮な食材を使ったヴィーガンおかずプレートに、分づき米ごはん、味噌汁が付く人気メニューです。この日の惣菜は、豆腐ハンバーグと、豆乳マヨネーズを使ったマカロニサラダ、栄養価の高いモロヘイヤやツルムラサキを肉団子風に調理したピーマンの詰め物など、バラエティー豊か。自然のうま味が凝縮された一品一品は、無添加かつ動物性食材不使用とは思えない満足感です。
ひとり暮らしの近隣住民への配食や、オーガニック食材の宅配サービスなど、地域にとってかけがえのない存在となっている「MAGATANIA」。カフェだけでなく、時にはレストラン、ショップとして地域の活性化を担っています。おむすびやドリンクをテイクアウトして、周辺を散策しながらピクニック気分を味わうのもおすすめです。
MAGATANIA
電話/090-2192-7676
住所/滋賀県米原市曲谷926 石臼荘
交通/北陸自動車道米原IC・長浜IC、名神高速道路関ヶ原ICから車で約40分
営業時間/11:00~17:00(ランチメニューは14:00 LO)
定休日/月~木曜、12月~4月上旬は積雪のため休業※詳細はHPを要確認
そば本来のうま味が際立つ
滋賀米原の郷土料理・伊吹そばを堪能
伊吹山周辺の山村地域で、1,000年ほど前から栽培されてきた在来種のそば「伊吹そば」。数々の文献によると、江戸時代には全国で知られるほど有名で、彦根藩の領主へ献上品として伊吹そばが納められていたという記録も残されています。伊吹そばは、そばの実の直径が4.5㎜以下と小さく、甘みがあるのが特徴。「麺工房 伊吹長兵衛」では、伊吹そばの本来の味をダイレクトに味わうことができるよう、小麦や塩などを使用せず、そば粉と水だけで練った手打ち十割そばがいただけます。
「もりそば」(1,000円)はコシが強く、そばのコクと甘みが感じられ、のど越しよく、上質な香りが広がります。ここでは、週替わりでそばの実の殻をむいた抜き実そばと殻のままひいた玄そばを提供。少しザラついたような舌触りでそばの風味が強く香ばしい玄そばと、ほどよいコシの強さでそばの味と食感のバランスがいい抜き実そばの異なる味が楽しめます。
この店は、伊吹そばの取扱店を中心に結成された「伊吹在来そばの会」の会長、膽吹(いぶき)邦一さんが営む伊吹在来そば専門店。地域に根付く伊吹そばを伝統の味として継承し、再び全国ブランドへと成長することを願い、伊吹そばの生産拡大や、販売拠点の開拓などの取り組みを実施されています。伊吹そばは、生産地の特徴と伝統が結びついた特産品を、知的財産として国が保護する「地理的表示(GI)」に登録されており、「さらなる地域の発展に貢献していきたい」と膽吹さんは語ります。長年の研究を重ねて作り上げた、上質で香ばしく、のど越し抜群の伊吹そばが堪能できます。
麺工房 伊吹長兵衛
電話/090-9617-0528
住所/滋賀県米原市伊吹621
交通/北陸自動車道長浜ICから車で約20分
営業時間/金曜11:00~14:00(土・日曜~15:00)
定休日/月~木曜 ※臨時休業あり
薬草の聖地・伊吹山を借景にした
“薬草”がテーマの複合施設
伊吹山は古くから国内有数の薬草の自生地として知られ、平安時代には伊吹山の薬草が宮中に献上されていました。織田信長も薬草の宝庫である伊吹山に目を付け、薬草園を開かせたと伝えられています。「伊吹薬草の里文化センター」では、開設当時から伊吹山の貴重な薬草を含む植物を植栽。敷地内にある薬草園は、誰でも自由に見学することができます。
薬草園では、伊吹山の固有種をはじめ、北方系の植物や漢方薬として親しまれている薬草、ハーブなど、約150種近くの薬草を見ることができ、ガイドの話を聞きながら散策することも可能(有料)。それぞれの効果・効能のほか、薬草にまつわる歴史を分かりやすく解説してくださり、薬草やハーブにより関心が深まります。
館内には、日帰り湯「いぶき薬草湯」もあります。冷え性や腰痛、疲労回復などの効果が期待できる薬草湯は、ヨモギを中心に、センキュウ、チンピ、シャクヤク、ハッカ、ジュウヤク、トウキといった7種類もの薬草を使用。毎月第3土・日曜には、「わくわく露天風呂の日」と題し、薬草の生葉や旬の果実などを入れた変わり湯に入ることができます。
伊吹薬草の里文化センター
電話/0749-58-0105
住所/滋賀県米原市春照37
交通/JR近江長岡駅から近江バス伊吹山登山口行きで約6分、「ジョイいぶき」下車すぐ
営業時間/8:30~21:30
定休日/月曜(祝日の場合は翌日)
料金/薬草園:無料(自由見学)、ガイド付き見学2,000円(20名まで※要予約)
いぶき薬草湯
営業時間/12:30〜19:30(最終入場19:15)※7・8月の土・日曜、祝日は11:30~
定休日/月曜(祝日の場合は翌日)※11~3月は土・日曜のみ営業。月・金曜が祝日の場合は営業
料金/大人620円、小学生以下310円※詳細はHPを要確認
伊吹山麓ならではのこだわりが詰まった
おみやげ探しにぴったりな道の駅
伊吹山の近くで地元食材や特産品を販売する道の駅「伊吹の里 旬彩の森」。とれたての野菜や総菜が揃う産直市場や、産地直送の米と味噌を使った定食が食べられる食堂、焼き立てパンを提供するベーカリー、手作りの小物や雑貨を扱うハンドクラフトコーナーから成ります。
おみやげにおすすめなのは、地元の食材を利用した品々です。伊吹大根を利用したのど飴「伊吹の梅干し飴」(324円)、「伊吹大根ドレッシング」「伊吹の梅たっぷりドレッシング」(550円)、地元の味噌を使用したせんべい「心ばかり」(330円)、地元の大豆・黒豆を使用した豆菓子「一寸いっぷく」(400円)、「道の駅 伊吹の里 山麓蕎麦」(810円)など、さまざまな品物が揃っています。
2階の展望テラスに登ると、壮大な伊吹山の風景を眺めることができます。イートインスペースも設置されているので、焼きたてのパンをここでいただくのも一興。山を眺めながらのティータイムは、すがすがしい気持ちになれます。
道の駅 伊吹の里 旬彩の森
電話/0749-58-0390
住所/滋賀県米原市伊吹1732-1
交通/北陸自動車道長浜ICから車で約15分
営業時間/直売所9:15~17:00(7・8月~17:30)
定休日/4~12月は無休、1~3月は木曜(祝日の場合は水曜)※季節により異なる
宿泊施設の紹介
滋賀県米原市の最北端、伊吹山西麓の山村地域に佇む古民家一棟貸しの宿泊施設「そよも」。日本遺産に登録されている昔ながらの山村風景のほか、美しい星空も堪能できる癒しの空間が広がっています。琵琶湖にそそぐ姉川源流の里で、伊吹山の豊かな自然が育んだ食と人々の暮らしを体験できます。
そよも
住所 | 滋賀県米原市甲津原457 |
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交通 | JR近江長岡駅から車で約30分、または北陸自動車道・米原ICから車で約36分 |
チェックイン | 15:00~18:00 |
チェックアウト | 10:00 |
料金 | 1泊1棟30,000円~(税・サ込み/素泊まり/4名まで)※5名以上の場合は、追加1名につき8,000円(最大8名まで) |
<新型コロナウイルス対応>
- ○スタッフ対応
- 手洗い・うがい・マスク着用
- 定期検温を実施
- ○除菌対応
- 定期的な館内の除菌清掃
- 客室の除菌清掃
- ○換気対応
- 定期的な館内の換気
- 定期的な館内共有部分の換気(スタッフが常駐しないので宿泊客が対応)
- ○客室対応
- 消毒液の設置
※掲載している観光情報は2024年6月時点の情報です。
※掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。
※店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
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