大正6(1917)年創業、
6500坪の敷地に点在する木造建築1500坪、
棟ごとに渡り廊下で結ばれ、ほぼ全館が登録有形文化財指定の宿です。
部屋は間取りが全て異なり、それぞれに当時の宮大工が手掛けた
意気込み・遊び心を垣間見ることができます。
当時の建物をそのままに伝統と趣を守り続けております。
大正期の上田は蚕糸業の発展が目覚ましく、
「蚕都上田」とも呼ばれており、
別所温泉は県外から蚕種を買付に来た商人などで賑わってきました。
ただ、当時の別所温泉には湯治客を泊める
小さな宿「籠屋」が数件あるのみでした。
そこで地元の有志が「温泉にゆっくり入れる宿をつくろう」と団結。
大正5年に村民の出資によって「別所温泉株式会社」が設立されました。
(旅行業としては県下初の株式会社)
観光客相手の宿として建築された旅館が花屋のはじまりです。
創業当時の温泉
創業当時は、真ん中のしきりが かなり低くなっておりました。
現在の温泉
稀少で贅沢な大理石で つくられていて、 大正期の雰囲気を残しております。
創業当時の玄関
玄関・本館・帳場・大浴場は 創業の頃に ほぼ完成していました。
現在の玄関
玄関に向かって右手にあるお城棟は 現在はダイニング/個室食事処として 使用されていますが、昔は卓球、 ビリヤード場として賑わいを見せて いました。
創業当時の渡り廊下
ロビーから見た本館から 浴室に至る渡り廊下と中庭。
現在の渡り廊下
本館から大理石風呂に至る渡り廊下 中庭など創業当時の建物が 変わらずに受け継がれています。
「この建造物は貴重な国民的財産である」ことが認められ、
登録有形文化財として登録されました。
花屋には現在も修繕のための大工が常駐しており、
歴史ある木造建築と花屋の伝統を守り続けています。
ご宿泊のお客様が快適にお過ごしいただけますように
一部には修繕を施しつつも、できる限り現在の建物を
そのまま維持する努力を続け、日本の宝を大切に守ってまいります。
宮大工の技と心意気
別所温泉には、古い寺院が数多くあるため、 昔から宮大工が多くおり、その方々の力を借りて手懸けたのが始まりです。 部屋は間取りがすべて違い、それぞれに当時の宮大工が手懸けた 意気込み・遊び心を垣間見ることができます。 千曲川、浅間山、カタツムリ、竹など、 身近な自然物をモチーフに彫り込んだ柱や欄間が花屋を美しく彩ります。
大正ロマンの世界へ誘うレトロな調度品
花屋の時を刻んだ置時計、レトロな趣のランプ、 シャンデリア、黒電話、琥珀色に灯る白熱灯、 食堂のオルガンなど、古くから使われてきた 備品・装飾品は清潔を保ちながら今も大切に 使用しています。
趣を残しつつ、特別室へ
宮大工の美しい技を残しつつ、 大切に改修し特別室に生まれ変わった 72番、73番、23番。 大正浪漫の香る、贅沢なお部屋となっております。
大正時代の登録有形文化財に泊まる、
花屋だけの特別な時間。
夕暮の空が水色に染まるころ
白熱灯の灯がともり、おだやかで温かな花屋の宵が始まります。
6500坪の広大な敷地に点在する建物は、渡り廊下で結ばれており
館内をめぐるたびに、風趣ある景色をのぞむことができます。
時の移ろい、草木の匂い、静寂の音。
大正時代から受け継がれた登録有形文化財の建築物と
自然が融合して創り出す
どこかなつかしく、そして儚い時間。
花屋だけの美しい時。
いつしか五感がうるおってゆくことと思います。