ひとえに松葉かにといっても浜で水揚げされるものには、上質な物、キズ物、大きさなどのよって50〜100通りほどに分けられます。
上質な物とは、身の詰まっている(みそも含めて)ものです。
それを見極めるのは、甲羅の硬さや、色形、活きの良さなので、見た目の大きさだけでは、判断できません。
我が魚屋が特に気を付けて仕入れるのは、この甲羅の硬さが硬めの活きの良い、津居山港産と柴山港産の松葉かにです。
山陰の各漁港では、それぞれの漁師の自負の表れとして「ブランドタグ」が付けられ、松葉ガニに漁港の名前が冠せられます。漁港によりタグの色は異なり、津居山港は青色、柴山港はピンク、香住港は黄緑、浜坂港は水色、が付けられます。
そして、その最高のかにを漁師達がプロの厳しい目で選別し、それをくぐり抜けたかにだけが漁港内で競りにかけられ、中卸業者のもとへと渡ります。
津居山港から沖合約50km・約2時間半で松葉ガニの漁場に到着できます。
津居山漁港には大小15隻の漁船があり、日帰り操業に適した小型船と、海のシケにも強い大型船がある事が、安定した魚介類の供給を可能にしています。
柴山港から松葉ガニの漁場までおよそ12時間。一度漁に出ると5日から7日操業します。
水温2度前後にちょうせいした「海水」の入った生け簀にカニを活かしておき、漁港内の水槽に移されます。実はその海水が特別なもので、赤灯台の沖300mあたりから取水した海水を、紫外線殺菌装置、冷却装置を循環させたものなのです。松葉ガニの体表に傷があると、そこから雑菌が入ることがあるが、紫外線殺菌された海水ではその心配が減ります。
柴山ガニの選別方法は特別で、110ランクものクラスに選別されます。大きさはもちろん、汚れ、身のつき具合、色つや、生育状態など、その基準は世界一の厳しさといっても過言ではないでしょう。長年カニを見続けた地元漁師とそのおかみさんたちによって、厳密に迅速に選別されていきます。20〜30年のキャリアがないと不可能とされる技術です。
厳密に選別される柴山ガニの中で頂点に立つのが“柴山GOLD”と呼ばれる最高級ランクのカニです。
まず、指揃いで1.4kg以上の良質のものでなければなりません。
その確立は1000分の1匹とも、漁船にして40隻に1匹とも言われ、ほとんど幻のカニと言っていいほどの存在なのです。
もちろん、あまりに少ないから基準を甘くするなんてもってのほか。
特筆なのは、売り手が「柴山GOLD」として出しても、買い手が認めなければ、却下されてしまい「柴山GOLD」とならないこと。
つまり、船、選り手、仲買い、全てがOKを出さなければダメというのが「柴山GOLD」なのです。
船内で活かす技術が上がったとはいえ、長期航海での漁では帰港までにせっかくの身が痩せてしまいます。
競りにかけられるカニは、その日に捕られたものもあれば、数日船の中で活かされたものあり、それを見分ける確かな目が必要です。
風月魚匠では、長年の経験と目利きで確かなカニだけを選び抜き、上質なカニだけをお客さまのもとへお出しいたします。
茹でガニ、かにすき、かにしゃぶ、焼きガニ…身の詰まったかにをふんだんにつかった料理長自慢の料理の数々。 思う存分かに料理をお楽しみください。