7人の町民が
宝石のように輝いた。
学生が制作した深浦町の魅力を写した7枚のポスターが世界自然遺産の中に貼り出されました
世界自然遺産のブナ林を展示会場にして
フィールドワーク最終日の6月21日に成果報告会が行われました。参加した学生15人が制作したポスターを、招待した町民ら約30人の前で披露しました。
熱心に拝観者へ語りかける寺の案内役の女性に「一段、一段」と文章を添えたポスター、海鮮の直売所を開いた漁師の想いをつづりながら「好きなことをやろう!」と力強い言葉で締めくくったポスターなど7作品が、会場となった白神山地にある青池の広場に貼り出されました。制作した学生がポスターに込めた想いをそれぞれ発表し、3日間の活動をまとめた映像も披露しました。
来場者の男性は「知っている人がポスターになっているので嬉しくなりました。住んでいる人間ではわからない深浦の魅力に、学生の目線を通して気づかされました」と話していました。
2003年から学生とともに人の集まる“場”をコンセプトに、地域の活気の源などを研究している加藤教授は「今回は力作が多かった。受け入れてくださった深浦の方々との波長が合っていた感じがします。ポスターが新たなコミュニケーションのきっかけになれば」と振り返りました。
ポスターになった深浦町のみなさん
古川広志さん
企業組合広福丸・理事長。平成19年に当組合前身の漁師のおやつ屋さん「津軽の潮騒」を、夫婦だけで開始。2012年に国が推奨する六次産業認定者になり、事業の拡大と地元の活性化に貢献しています。
「商売は大変だけど、やっててよかった」と語る言葉が印象的でした。好きなことをやろうという古川さんの生き方を表現しました。
斉藤崇さん
(総合政策学部・4年)笹野利輝さん
(環境情報学部・3年)
岩森わかさん
高齢化率が青森県内3位の深浦町。そんな高齢者の多い町内の中でも90歳の年齢を感じさせないパワフルな話しぶりと毎日の行動ぶりで、元気のあるお年寄りの代表として有名です。
わかさんはすべて自分の生活を自分の手で作っていました。自分で日常に彩りを加えている、ということを伝えたかった。
小竿まゆるさん
(総合政策学部・4年)此下千晴さん
(総合政策学部・3年)
坂本正人さん
農事組合法人 舮作(へなし)興農組合・代表。昭和51年に海岸段丘地を活用した農業に取り組み、ブランド野菜「ふかうら雪人参」の栽培を中心に安全で安心な農作物栽培に取り組んでいます。
東京ドーム30個分もある坂本さんの畑を見て、海だけじゃない深浦の魅力を教えてもらいました。深浦と坂本さんの「豊かさ」を伝えたかった。
秋庭大志郎さん
(環境情報学部・4年)堀越千晴さん
(総合政策学部・4年)
板谷正勝さん
今では数少ない地元のマタギ。通称「白神自然の番人」とも呼ばれ、仙人のような風貌と温厚な性格で人気の自然ガイドです。実は漁師の顔もあり、ハタハタの最盛期には漁の最前線に立っています。
一緒にスポットを歩き回るうちに、私たちへの対応が温かくなっていくのを感じました。孫のように思ってくれたそのやさしさを表現しました。
香川早苗さん
(総合政策学部・4年)中島彩也香さん
(総合政策学部・4年)
海浦由羽子さん
国の重要文化財 「薬師堂内厨子」や日本最古といわれる「北国船の船絵馬」などが奉納されている円覚寺の案内役。抑揚のある説明が、訪れる者を引き込みます。
境内の階段をのぼる姿が、毎日を一歩一歩ふみしめている生き方に重なりました。そのエネルギッシュな印象を文章や2枚の写真で表現しました。
枡野友香さん
(環境情報学部・4年)梅澤健二郎さん
(環境情報学部・2年)
佐藤晃三さん
人気温泉旅館「黄金崎不老ふ死温泉」の支配人。柔和な笑顔と緻密な営業戦略でスタッフからの信頼も厚い。同施設のフェイスブックページは支配人自らが書いています。
何を話しても深浦の話をされていた。それくらい自然にこの土地に根を下ろして生活されていると感じ、その想いをコピーにしました。
秋庭大志郎さん
(環境情報学部・4年)堀越千晴さん
(総合政策学部・4年)
勢州谷富佐子さん
健康増進を目的とした町営のフィットネス施設「ゆとり」内の食堂をひとりで切り盛りしています。温厚で優しい雰囲気から来館する老若男女のお客さんに人気です。
お店のメニューには書かれていない品が並んでいるのに気づきました。自由気ままに楽しく仕事をされている姿を描きました。
原田ふくみさん
(総合政策学部・4年)檜山永梨香さん
(総合政策学部・3年)
深浦の町民が宝石のように輝いた
吉田満 深浦町長
ポスターによって町の観光資源である「自然」の良さ、「食」の良さに、「人」の良さが新たに加わり、人で人を呼べる思いがしました。
学生のスポットライトの当て方にとても力がある。深浦の住民ではない人によって、身近な人ではわからない本当は宝石だったものが輝き出した。登場した7人の町民が、深浦の財産になりました。
ポスターを見てくれた方が、そこに写る人に会ってみたいと思ってくれれば嬉しい。