レトロも温泉も!昭和のレジェンド宿「ホテルニューアカオ」でゆったり熱海女子旅
昭和48年開業。熱海のシンボル「ホテルニューアカオ」が、約2年の休業期間を経て、2023年7月に完全復活。今回は、そんな昭和のレジェンドホテルへ、1泊2日で行ってきました!レトロかわいい写真を撮り、源泉が違う3つの大浴場をめぐり、感動のフレンチに舌鼓……。懐かしくて新しい、レトロ女子旅の様子をたっぷりご紹介します。
目次
ホライゾン・ウイングでチェックイン

熱海駅からホテルのシャトルバスに乗って10分ほど。やってきたのは、ごつごつした岩続きの海岸線に佇む「ホテルニューアカオ」です。
ホテルは2棟に分かれており、崖の上に建つ「ホライゾン・ウイング」と波打ち際の「オーシャン・ウイング」が、連絡通路でつながっています。

今回泊まるのは、平成6年に建てられたホライゾン・ウイング。館内に足を踏み入れると、中は平成レトロとヨーロピアンテイストが混在した、非日常空間が広がります。
左手には、アーティスティックなクジラがゲストをお出迎え。このクジラは、大小島真木さんによる作品『木と石の発芽/ Germination of trees and stones』。よ~く見ると、凸凹があってふっくら立体的。胸ビレは垂れ下がり、まるで泳いでいるような躍動感があります。

ホライゾン・ウイングは、エレベーターもおしゃれ。スモーキーピンクの扉に花が描かれ、ガーリーな雰囲気たっぷり。ロマンティックでやわらかな雰囲気がたまりません。
ずっと眺めていたくなるオーシャンビューの客室

今夜のお部屋は、2021年にリニューアルされた、デラックスツイン。壁一面に大きな窓があり、どこにいても、海に見守られているような癒やしのステイがかないます。

窓際にはテーブルと椅子があり、ここに座って、ぼんやりと海を眺めるのが幸せ。テレビや大きな鏡もあり、しっかり快適さも兼ね備えています。

枕元にあると便利なコンセントや間接照明も完備。ツインベッドの枕元にそれぞれあるので、女子旅にありがちなコンセントが足りない問題も発生しません。

海を眺められるのはうれしいけれど、気になるのは紫外線。ホライゾン・ウイングのアメニティは、紫外線を浴びたお肌をケアできる「雪肌精」のスキンケアが用意されています。思いがけない日焼けをしても、美白ケアできるのはうれしい限り!

ルームウェアは、動きやすく快適な作務衣(さむえ)タイプ。浴衣のようにはだける心配もなく、寝返りも楽々です。

そして、お部屋のリラックスタイムに欠かせないお菓子は「あおさなのさせんべい」。磯の香りが漂うおせんべいが、リゾート気分を高めてくれます。
ロイヤルラウンジで無料のウエルカムドリンクを満喫

部屋でひと息ついたら、広い館内を探検することに。客室を出て、ホライゾン・ウイング2階のロイヤルラウンジへ向かいます。
シャンデリアが輝く階段を降りると、弧を描く、180度オーシャンビューの開放的な空間が広がります。目の前に広がるのは、とびきりの絶景!ぼんやりと眺めているだけで、たまった疲れから開放されていきます。

14時から17時までは、ジュースやコーヒー、お茶が無料で提供されます。すぐ横には有料のセルフワインサーバーもあるので、お酒とともに海を眺めるのもいいですね。
昭和レトロ全開のオーシャン・ウイングでレトロ活

ラウンジでまったりしたら、ノスタルジーな写真を撮りに、オーシャン・ウイングへ向かいます。シャンデリアがまたたくフロントロビーは、照明もじゅうたんもカーテンも、ここにあるものすべてがレトロモダンな昭和遺産。「古い」ではなく「おしゃれ」という言葉がぴったりな空間です。

「ニューアカオ」のレトロなフォントの看板は、絶対外せないフォトスポット。心に染みるような、ノスタルジーな雰囲気あふれる写真が撮れます。
ちなみに、この外観、どことなく船のようにも見えませんか?そう!実はオーシャン・ウイングは、建設当初、豪華客船をイメージして造られました。
限りなく広がる海や空、そして頬をなでる潮風……。テラスから見渡すと、遠くには水平線が続き、まるで大海原へ繰り出す、船旅をしているような気分になります。

レトロジェニックなポイントは、まだまだたくさん!フロアガイドを照らす照明は、ポセイドンのイラストがとてもキュート。

フロントロビーから続くらせん階段も、長い歴史を刻んだ荘厳さを秘めています。

レトロ好きな人の心をわしづかみにしているのが、踊り場にあるこの鏡。時代が変わっても、その魅力は色あせることなく、存在感を増しています。

さらに、気品あふれるアールデコ調のシャンデリアを発見。照明ひとつとっても、絵になります!

圧巻すぎて言葉を失ったのが、「サロン・ド・錦鱗(きんりん)」です。ここは、かつて社交ダンスが行われていたというダンスホール。贅沢で豪奢なシャンデリアがきらめき、まるで貴族になった気分です。

個人的に気になったのが、青い大理石の柱。オーシャンビューの絶景に青い大理石が溶け込み、不思議とうまく調和しています。これぞ、写真に収めておきたい最強の映え。いろいろな角度から撮影したくなります。
源泉がすべて異なる3つの大浴場を満喫

昭和レトロを満喫した後は、温泉でリフレッシュ。館内には、大浴場が3つありますが、すべて源泉が違うんです!……そう聞けば、湯めぐりしたくなりますよね。
1つ目の「彩海」は、ホライゾン・ウイング3階にある大浴場。ヒノキと石づくり、2種類の内風呂と露天風呂があります。

彩海の源泉は、熱海196号泉。 温泉分析書をチェックすると、泉質名は、カルシウム・ナトリウム-塩化物泉(弱アルカリ性・高張性・高温泉)。ぱっと見は、無色透明で大人しい湯に見えますが、特筆すべきは成分の濃い「高張性」だということ。日本では、圧倒的に低張性の温泉が多いので、高張性の温泉はめずらしい!成分が濃いので、短時間の入浴でもよく温まります。

3つの中で最も新しい大浴場が、2018年に完成した別棟「スパリウムニシキ」。オーシャン・ウイングとホライゾン・ウイングをつなぐ渡り廊下沿いにあり、ドラマティックな海景色を楽しむことができます。
内風呂は、さえぎるもののない大パノラマビュー。ざぶんと湯船につかれば、一気に別世界へと誘ってくれます。

こちらは、心地よい潮風を浴びながら、リフレッシュできる露天風呂。段々になった湯船から、それぞれ高さの異なる絶景を楽しめます。海と空の間には松の木があり、洗練された空間に和の風情が加わっています。
源泉名は熱海402号泉(錦浦源泉)。泉質名は、ナトリウム・カルシウム-塩化物泉(弱アルカリ性・高張性・高温泉)。さらりとした湯感ですが、3つの中で天然の保湿成分「メタケイ酸」を最も多く含むのが、この湯。美肌をサポートするといわれるうれしい温泉です。

男女入れ替え制で入れる、もう1つの露天風呂は、天空に浮かぶようなインフィニティ風呂。たっぷりの湯に身を任せれば、宙に浮かんでいるような浮遊感を味わえます。海や空とひとつになったような一体感を感じられるのは、この露天風呂ならでは。

オーシャン・ウィング1階にある大浴場「波音」は、なんと海までの距離が約5m。ざぶ~ん!という波音を聞きながら入れるワイルド温泉です。しかもこの温泉は、湯船に身体を沈めた瞬間、「んんっ!」と思わず声を上げてしまうほどパワフル。
温泉分析書をチェックしてみると、3つの中で総成分が最も濃く、「スパリウムニシキ」の総成分と比べると、約1.8倍も濃いのが分かります。塩分が強く、保湿効果は抜群。少しつかっただけでも、汗がどっと吹き出します。

聞けば、波音の源泉・熱海353号泉(錦湯)の場所は、「波音」から近い海岸の岩場。オーシャン・ウィング1階の窓から、源泉を見られるので、気になる人はチェックしてみて。温泉がじゃぼじゃぼと海へ流れ落ちる様子を眺められます。
お気に入りを探すのが楽しい!缶詰BARで気軽にちょい呑み

お風呂上がりの乾いたのどを潤すため、オーシャン・ウィング1階の「缶詰BAR 缶蔵 ~KANZO~」へやってきました。ここは、肩肘張らず、ちょい呑みを楽しめるスポット。気軽に利用できる樽のテーブルから足を伸ばしてくつろげる座敷席まであり、使い勝手は抜群です。

奥のカウンター席には、懐かしのホーロー看板がたくさん。この看板は、すべて実際に使われてきたものばかり。作りものではない、本物のレトロ感が漂います。眺めているだけで、なんだかほっこり。

「ご自由にお入りください」の看板に導かれ、缶詰BARの中へ。棚には、ちょっとリッチなおつまみ缶のほかに、ジビエ缶や静岡おでん缶など、めずらしい缶詰がずらり。オープン当初から種類を増やし、現在は約80種類もの缶詰がそろいます。

おしゃれなパッケージのこちらは、「横浜ハイカラ」が作る缶詰タイプのガトーショコラとチーズケーキ。クリエイターとコラボしたポップなイラストがおしゃれです。種類も多いので、お土産にもよろこばれそう。

今夜のおつまみは、京都老舗の味を手軽に味わえる「だし巻き缶詰」(900円)。これに合わせたのは、レトロなお酒「電気ブラン」のソーダ割り(800円)です。お会計を済ませると、スタッフがだし巻きを缶から出して、温めてくれます。
缶詰なので、そこまで期待していませんでしたが……、これが大当たり!ふわっふわのだし巻きにやさしいお出汁が染みこみ、本格派の味わいです。

ちょい呑みの楽しさを味わったら、次は遊ぶとしましょう!缶詰BARの横には、縁日気分を味わえる「にぎわい横丁」があり、昔懐かしのゲームや射的など、遊べる要素が盛りだくさん。
ゲームコーナーでは、今ではすっかりめずらしくなった、懐かしのパックマンやスペースインベーダーを発見!100円で遊べて、テンション爆上がりです。
フレンチ目当てで泊まりたくなる、感動の食体験

「ホテルニューアカオ」といえば、たくさんの人でにぎわうバイキングが有名ですが、ゆっくりと食事がしたい……ということで、今回はホライゾン・ウイング3階のレストラン「ボヌール」を予約しました。
フランス語で「幸福」の意味がある、こちらのお店。さあ、今夜はどんな幸福体験が待っているのでしょう?

地元の柑橘「ニューサマーオレンジ」を使ったモヒートを飲んで、お料理の到着を待ちます。シュワシュワ爽快な炭酸と生のミントがスッキリ感を醸し出し、のど越し抜群。お酒が苦手な人でも飲みやすい、癒やし系の1杯です。

いよいよ、夢の宴がスタート。1品目の「小さなオードヴル」は、フランスパンの上に、ラムの旨味を凝縮した田舎風パテとモッツァレラチーズがのった、パテ・ド・カンパーニュ。手で持ってパクっと1口。豊かなスパイスの香りが口の中で広がり、食欲をそそります!
「ボヌール」では盛り付けにも注目。重厚感のある黒い食器は、なんと天然石を加工したものだとか。

2品目の前菜は、春野菜のおいしさをギュッと詰めこんだ「サーモンと春野菜のテリーヌ スルガエレガントのエキューム」です。色とりどりで、美しい!ふわふわとした泡のソースにつければ、スルガエレガントのさわやかな香りが鼻孔をくすぐります。

驚いたのが、このパン。とことん素材にこだわり、パンの種類ごとに酵母を手作りして、使い分けているのだとか。1口食べた瞬間、想像を上回るおいしさにびっくり!カリッと、もっちり。この味わいは、感動すら覚えます。

続いてのお料理は、カリフラワーを使ったクリーム仕立てのスープ。お野菜はすべて、三島の農家から直送されたもの。黒いパウダーは、竹炭を練り込んだ黒いパン粉です。細長い形状のクルトンは、そのまま食べてもよし、スープにひたしてもよし。おいしいのはもちろんのこと、クリエイティブな発想に脱帽です。

ついに、この日のメインディッシュ「国産牛ロースのポワレ エストラゴンとトマトソース 三島馬鈴薯とトリュフのピューレ添え」が登場。
脂がのったリブロースの下には、プチっとした食感が楽しいクスクスも隠れています。そして横に添えられた、塩麹と合わせたマスタードシードやトリュフ香るピューレは、香りさえもおいしい!口へ運ぶたびに感じる、高揚感と充足感は、これまで味わったことのないものでした。

食後のデザートは「熱海不知火とローズガーデン」。地元の柑橘・熱海不知火に、エレガントな香りのバラのアイスやローズヒップのゼリーが添えられた、初夏を感じる味わい。目を閉じれば、脳内で美しいローズガーデンが広がります……!
※コース料理の内容は季節に応じて異なります。
熱海の夜景を楽しみにテラスへ

お腹いっぱいでコースを終え、ひと息つくため、オーシャン・ウイングへ。テラスに出ると、「ニューアカオ」のネオンサインが夜空に映えてカッコいい!

テラスから見る夜景がすばらしくて、うっとり。まさに100万ドルの夜景です。
美しい朝日に包まれる贅沢な朝時間

「ホライゾン・ウイング」の客室は東向き。美しい朝日を拝める絶好のロケーションです。ちょっぴり早めにセットした目覚ましが部屋に響き、寝ぼけまなこで窓の外を見ると……、ちょうど日の出時刻。水平線から朝日が顔を出し、海も空もオレンジ色に染まっていました。
この絶景が、起きてすぐに見られるなんて!すてきな1日になる、ハッピーな予感にときめかずにはいられません。
海を眺めながら、至福の朝ごはん

朝ごはんを食べに、レストランへ向かいます。朝食会場は、昨夜と同じ「ボヌール」。目の前に広がる相模灘を眺めながら、開放的な気分で朝食を待ちます。


朝食膳は、静岡県産のしらす、静岡県産大粒納豆、小田原の老舗蒲鉾店のさつま揚げ、伊豆わさび漬け、箱根西麓野菜など、地元の食材たっぷり!静岡県産コシヒカリをふっくら炊き上げたご飯は、白ごはんまたはお粥から選べます。

「お待たせしました~!」そう言って運ばれてきたのは、こだわりの干物。できたて熱々の干物を、ハフハフしながらいただくのが醍醐味です。
レトロかわいいオリジナルグッズをお土産に

旅のお楽しみといえば、お土産探し。ホライゾン・ウイング、オーシャン・ウイング、それぞれにショップがあり、気軽にお土産を買うことができます。



ロゴ入りアイテムは、「ニューアカオ」の大ヒットアイテム。Tシャツ、トートバッグ、ボールペン、グラスなど、種類も豊富です。昭和レトロなセンスが光るものばかりで、ついつい、あれもこれも……と欲しくなります。

チェックアウトまでの時間は、ひたすらお部屋で海を眺めて過ごします。初島から行き交うフェリーや漁船を眺めて、のんびりと。空や海も、いつもと違って見えて、なんだか新鮮です。
「ホテルニューアカオ」は、1泊では時間が足りないぐらい、たくさんの絶景とレトロジェニックな映えが詰まった宿。オトナ女子に響く、大満足の旅ができます。
「ホテルニューアカオ」
- 住所
- 静岡県熱海市熱海1993-65
- アクセス
- 「熱海」駅より車で約10分
※熱海駅往復の無料送迎バスあり - 駐車場
- あり(207台・有料1,000円/1泊 ※駐車後24時間まで。以降30分500円)
- チェックイン
- 15:00
- チェックアウト
- 10:00
- 総部屋数
- 350室
取材・写真・文/安藤美紀