旅先でも、素の自分でいられるような
そんな場所を目指して。
昔から田中家は、なぜか人が集まりやすい家でした。 それはKISSUIENでもそうなんです。ここも昔から人がよく集う場所で、 気がついたら初めて会ったお客様同士が仲良くなっていたり。
長い間不思議だったのですが、最近になって少し思うことがあります。 それは、もしかしたら田中家やKISSUIENには 「あうん」が生まれているのかも?ということ。
「あうん」がある場所では、人は素の自分でいられると思うのです。
「あうん」といえば「阿吽の呼吸」ですが、それは気持ちよくコトが運ぶ空気感。 これは、多くの時間を一緒に過ごさなければ、生まれないものなのかもしれません。
それでも、相手をよく感じ取り、共に過ごす空間を大切にすれば、 初めて会った人との間にも「あうん」は生まれるのかも… もしそうなら、大切にしていきたい、と思うのです。
私たちは、この玄関をくぐってくださった皆様が「あうん」の空気感で、 自然に過ごしていただけるよう寄り添っていきたい。 そして多様な人が行き交い、気持ちよく出会い、 また出発していただけるように。
お仕事の疲れや、肩書を背負う緊張感、ざわざわとした忙しい自分を脱いでいただき、 素の自分で過ごせるような場所を、私たちは目指していきたいと思います。
KISSUIEN Stay & Food スタッフ一同
KISSUIENのある京丹後市峰山町の金刀比羅神社には日本で唯一、神社を守る「あ・うん」の狛猫が存在しています。高級シルク織物「丹後ちりめん」発祥の地として知られるここ京丹後では、実は「猫」がとても大切な存在なんです。
それこそ「猫の手も借りたいくらい」忙しかった、丹後の機織り。織物に使うシルクの糸はお蚕さんがつくる繭からできるわけですが、その養蚕の過程で大敵だったのが”ネズミ”です。そのネズミからお蚕さんや繭を守ってくれたのが猫というわけです。
さて、神社といえば狛犬ですが、峰山の金刀比羅神社に鎮座しているのは「狛猫(こまねこ)」です。向かって左側の猫は子猫を抱き、頭に手をのせて「あ」と口をあけ、右側の猫は口を閉じて「うん」。
初めから終わりまで、ひいては万物を表すと言われているこの「あ・うん」。すべてがつながっている、この世界。初めてお出会いした方とも、まるでずっとつながっていたかのような「あうん」の瞬間を共有したいという思いで、KISSUIENもこの狛猫を大切にしています。
KISSUIENはもともと、ホテルではなく宴会場「吉翠苑」から始まりました。当時、この地域には多くの人が一度に集まれる場所がなく、そんな場所ができたら、というのが地域の人の願いだったのです。そんな中で、地域の有力者が弊社の創業者である田中冨男(とみちゃん)に、「とみちゃんがやらな、誰がやるん」と持ちかけたと言います。
冨男は、「ほな、やろか」と。
一見、乗せられた…?とも思うけど、それも魅力の1つなのかもしれません。
創業者が、自分自身の強い思いで「絶対これをやるんだ!」と立ち上げた会社も素晴らしいけど、誰かに望まれて生まれてくる会社も、あっていいのではないでしょうか。
これからも、誰かに望まれて存在する場所でありたい、と思っています。