成田山×歌舞伎を体感する唯一無二の宿「和空 成田山門前」

天慶3年(940年)に開山し、千年の時を超えて信仰を集める「成田山金剛王院新勝寺」。成田山周辺には名物グルメや土産店も建ち並び、全国各地からの参拝者でにぎわいます。

 

その「成田山金剛王院新勝寺」につづく表参道で、今注目の新しい宿が「和空 成田山門前」。成田山ゆかりの「歌舞伎」を深く体感できる唯一無二の門前宿です。館内には「成田屋」の屋号で知られる市川團十郎家の貴重な所蔵品が展示され、成田山参拝ツアーなど成田山と歌舞伎について学べるアクティビティも開催。極上の滞在とともに日本の伝統文化を知る、「和空 成田山門前」1泊2日の滞在記をお届けします。

 

 

 

十三代目・市川團十郎がブランドアドバイザー「和空 成田山門前」

和空 成田山門前

2022年10月、成田山から徒歩約2分の場所に開業した「和空 成田山門前」。十三代目市川團十郎丈がブランドアドバイザーを務める、お墨付きの日本旅館です。

 

市川團十郎家と成田山の強い絆が生まれたのは、遡ること300年以上前。江戸時代に歌舞伎役者として人気を博していたものの、跡継ぎに恵まれなかった初代市川團十郎が成田山で子授けを祈願し続け、大願成就したことがきっかけです。その後、初代市川團十郎は成田山の御本尊である「不動明王」を演じ、その頃より「成田屋」という屋号で呼ばれはじめ、現在に至るまで伝統が続いています。

 

和空 成田山門前

「和空 成田山門前」へのアクセスは京成成田駅、もしくはJR成田駅より表参道を歩いて約10分。吉祥文様「青海波」のタイルが美しい日本旅館が和空 成田山門前です。新しい建物ながら、以前建っていた「梅屋旅館」の建築を踏襲しているため、古き良き街並みになじんでいます。

 

市川團十郎家秘蔵の浮世絵も。美術館のような館内

和空 成田山門前

白檀のお香が焚かれた館内に入ると、ロビーに展示されていたのは実際の歌舞伎で使用されている本物の衣装。時期によって展示品は代わり、この日は歌舞伎十八番の一つ「助六由縁江戸桜」、通称「助六」の衣装「黒塩瀬着付」を鑑賞できました。この衣装は十三代目市川團十郎丈も袖を通した貴重なもの!糸の一本一本まで確認できるほど、近距離で見られます。

 

和空 成田山門前

チェックインを終え「こちらへどうぞ」と案内された、特徴的な柿渋色の門。これは成田屋の定紋「三升(みます)」紋 をモチーフにしたゲートで、外界から非日常の空間へと誘います。

 

和空 成田山門前

客室に向かう前に、1階レストラン「嘉肴(かこう)」でウェルカムドリンクとして抹茶とお着き菓子をいただきました。嘉肴の壁に飾られている松の絵は、歌舞伎の舞台背景を手がける松竹の大道具さんによる作品。歌舞伎座にいるかのように、食事を楽しんでほしいという想いが込められています。

 

和空 成田山門前

見た目にもかわいらしい和菓子は季節の練り切り。宿泊客一人ひとりのために点てられた抹茶に心が安らぎます。

 

和空 成田山門前

館内はまるで美術館のように歌舞伎にまつわる資料や貴重な絵画が展示されています。迫力ある十三代目市川團十郎丈の写真とともに紹介されているのは、「歌舞伎十八番」と呼ばれる演目。歌舞伎十八番は「助六」「勧進帳」「暫」など七代目市川團十郎が選定した演目で、成田屋に伝わる芸の集大成です。

 

和空 成田山門前

各階に展示されている歌舞伎十八番の「浮世絵」は、市川團十郎家が代々受け継いできた秘蔵の品。それまで一般公開されていなかった貴重な浮世絵で、各階に18枚+目次1枚の合計19枚が展示されています。作者は江戸時代末期から明治時代にかけて活躍した浮世絵師・鳥居清貞。100年以上経過しているとは思えないほど保存状態が良く、鮮やかな色彩に目を奪われます。

 

 

細部に宿るこだわり。成田山を望む「デラックススイート」

和空 成田山門前
デラックススイート

客室は2階〜4階に位置する6タイプから選ぶことができ、今回宿泊したのは人気の「デラックススイート」。大きな窓から成田山を望むことができる表参道側のお部屋で、4階と2階の3室限定のお部屋です。

 

和空 成田山門前
デラックススイート

和モダンなインテリアで統一された客室は50平米以上の広々とした空間。お寺の参拝前に宿泊する「宿坊」から着想を得ているため、心落ち着くデザインとなっています。定員は3人〜4人。3人以上宿泊の場合はエキストラベッドもしくは布団が用意されます。

 

和空 成田山門前
和空 成田山門前

机の上に置かれていたのは、支配人からのお手紙と本。手書きで書かれた言葉一つひとつに、心が温まります。本は歌舞伎の衣装図録と成田山だよりで、「和空 成田山門前」らしい選書です。

 

和空 成田山門前

温かい飲み物はコーヒー(エスプレッソマシン)や和空オリジナルブレンドの日本茶。南部鉄器の急須で煎れる緑茶はとても香り高く、まろやかな甘みです。

 

和空 成田山門前

冷たい飲み物は冷蔵庫に入っているビール、日本酒、サイダー、炭酸水がすべて無料。すっきり飲みやすい日本酒は千葉県の鍋店株式会社神崎酒造蔵が造っている和空オリジナルの純米大吟醸です。「空のサイダー」は成田の蔵元「長命泉」監修のご当地ドリンク。好きな飲み物を片手に成田山を眺める、極上のひとときを過ごせます。

 

和空 成田山門前
和空 成田山門前

シックなバスルームはバスタブ付き。速乾性のあるダイソンのドライヤーやロンドン発のフレグランスブランド「モルトンブラウン」の上質なバスアメニティが用意されています。

 

和空 成田山門前
和空 成田山門前

和空 成田山門前ならではの館内着も注目。江戸時代の町奴(まちやっこ)が好んでいたという歌舞伎古典柄の一つ「かまわぬ」の判じ絵がプリントされている浴衣です。判じ絵とは絵から謎を読み解くなぞなぞで、「かまわぬ」の柄は「鎌」「○(輪)」「ぬ」の絵と文字の組み合わせ。客室には、竹かごと雪駄の用意もあるので、江戸の文化を感じられるユニークな浴衣を着て、周辺を散策するのもおすすめです。

 

1室限定のスイートルームやグループ旅行におすすめの客室

プレミアム和空スイート

和空 成田山門前
プレミアム和空スイート

館内には全23室の客室があり、デラックススイートのほかにも旅のスタイルに合わせた選択ができます。1室のみの特別な客室が3階「プレミアム和空スイート」。成田山と表参道を見渡せる眺望抜群のお部屋で、約99平米もの広さです。

 

和空 成田山門前
プレミアム和空スイート

レイアウトは真紅の絨毯が印象的なリビングエリアと、小上がりになっている畳敷きのベッドエリア。「梅屋旅館」から受け継いだという調度品やスタイリッシュな家具に囲まれ、ラグジュアリーな滞在が叶います。

 

和空 成田山門前
プレミアム和空スイートの入口

入り口の専用アプローチにあるプライベートギャラリーも、「プレミアム和空スイート」に宿泊する醍醐味。「歌舞伎十八番」の浮世絵のうち5枚が展示され、ここに宿泊した人しか鑑賞できません。

 

スーペリアスイートトリプル

和空 成田山門前

「スーペリアスイートトリプル」は家族旅行やグループ旅行など3名で宿泊の場合におすすめのお部屋。約51平米の広さを確保しているので、3人で過ごしてもゆったりとくつろげます。

 

和室

和空 成田山門前

和空 成田山門前の客室のうち、最も気軽に宿泊できるのが2階と3階にある「和室」。約38平米とコンパクトながら表参道側に面しており、多くの人でにぎわう表参道を間近に見ることができます。定員は4人で、就寝前に敷布団を用意してもらえます。

 

 

食べ歩きが楽しい!目の前の表参道で観光

和空 成田山門前

宿は表参道沿いなので、客室で荷ほどきを終えたら、さっそく観光を楽しみましょう。成田山の表参道は老舗うなぎ専門店をはじめとする名店がひしめく楽しい観光地!ちなみに成田山でうなぎが有名なのは、江戸時代に江戸から歩いて参拝していた人たちが精をつけるために栄養価の高いうなぎを食べていたことが由来となっているそう。

 

林田のおせんべい
福耳柿餅の串せん ねぎみそ200円、みたらし150円
林田のおせんべい
林田のおせんべい

食べ歩きグルメも充実。人気は大正元年(1912年)に創業した「林田のおせんべい」で販売している「福耳柿餅」。おせんべいに串が刺さった「串せん」が3種あり、福耳の形をした福耳柿餅は、甘辛の「みたらし」とピリッと辛い「ねぎみそ」から選べます。サクサク、ふわふわの食感がおいしい!

 

林田のおせんべい

営業時間
9:00~17:00
定休日
月曜(祝日の場合は営業、翌平日に休み)
所在地
千葉県成田市幸町490

 

長命泉
麹甘酒プレーン 350円、麹甘酒いちご 500円(季節限定商品)
長命泉
長命泉

成田駅に向かって坂を登り、見つけたお店が蔵元直売店「長命泉」。客室に置いてあった「空のサイダー」を監修している蔵元で、店頭で甘酒類を飲むことができます。一番人気の米麹で作った「麹甘酒プレーン」は甘すぎない爽やかな味わい。ホットとアイスから選べる麹甘酒は、しょうがや抹茶、ゆずなどの味もあり、時期によって季節限定の味も登場します。

 

蔵元直売店 長命泉

営業時間
10:00~18:00
所在地
千葉県成田市上町540

 

歌舞伎に魅了される、無料の「館内トークショー」

和空 成田山門前

宿に戻り、16:30から開催される「館内トークショー」に参加。歌舞伎の歴史や成田山と成田屋との関わりについて、「語り部」がスライドとともに教えてくれる約45分の宿泊者限定の無料アクティビティです。

 

歌舞伎初心者にもわかりやすく、軽快なトークで教えてくれるので楽しく学べます。例えば、宿のロビーに衣装が展示されていた演目「助六」は、吉原の美女「揚巻」とヒーロー「助六」の美男美女カップルのお話ということで、トークショーの後は歌舞伎を見に行きたくなりました!

 

館内トークショー
料金:参加無料、宿泊者限定(予約不要)
時間:夕方16:30頃スタート(約45分)
※開始時間は当日の状況により変更になる場合もあります。

 

 

歌舞伎発祥の地に由来。素材本来の味わいを活かした「和空会席」

和空 成田山門前

夕食はレストラン「嘉肴(かこう)」で、伝統と地域を掛け合わせたオリジナル「和空会席」をいただきます。そもそも歌舞伎は出雲の阿国(おくに)が京都・北野天満宮境内で「かぶき踊り」を見せたことがはじまり。嘉肴では歌舞伎発祥の地である京都の「京料理」をベースに、旬の食材を用いた料理が味わえます。

 

和空 成田山門前

献立は季節によって変化し、この日は食前酒・先附・替り・煮物椀・造里・焼肴・合肴・進肴・強肴・御飯・菜・汁・香の物・水物の豪華13品。みずみずしい蟹と白魚に菜の花が添えられた「先附」、そして彩り豊かな手綱寿司が印象的な「替り」からはじまり、上質な味わいに胸が高鳴ります。

 

和空 成田山門前

「合肴」は白魚、車海老、タラの芽の餅粉揚げ。サクッと揚がった食材を、贅沢にもトリュフ塩でいただく天ぷらです。春らしい白魚やタラの芽で旬のおいしさを感じました。

 

和空 成田山門前

一人用のお鍋とともに提供された、強肴「和牛と芹の味しゃぶ、蕨」。和牛を濃いめの出汁にくぐらせ、春の山菜とともにいただきます。トロける和牛とシャキシャキの山菜の組み合わせが絶品!

 

和空 成田山門前

御飯は成田山らしい「鰻」とともにいただく「豆ごはん」。豪華な料理の数々でお腹は満たされているはずなのに、箸が止まらないおいしさでした。

 

 

黒鉛珪石(ブラックシリカ)の大浴場で、身を清める

和空 成田山門前

1日の最後は「大浴場」で身を清め、成田山への参拝の準備をします。参拝前に身を清めるのは、古くから続く習わしです。

 

和空 成田山門前
和空 成田山門前

大浴場の浴槽に練りこまれているのは、「神宿る石」とも言われる「黒鉛珪石(ブラックシリカ)」。北海道の上ノ国町でしか産出されない珍しい石で、石から発する遠赤外線が身体を温めます。入浴後は不思議とつるつるした肌触りになり、普通のお湯との違いを実感。湯船の給湯口にも、黒鉛珪石がそのまま置いてあります。

 

洗い場には、日本生まれのナチュラルコスメ「Waphyto(ワフィト)」のシャンプー・コンディショナー・ボディーソープを用意。柑橘とハーブの香りが心安らぐ使い心地です。

 

和空 成田山門前
和空 成田山門前

洗面台には、お部屋と同じダイソンのドライヤーと歯ブラシなどのアメニティが揃い、女性用には雪肌精のメイク落とし、化粧水、乳液が置かれています。

 

 

土鍋で炊かれた千葉県産「多古米」が絶品の朝食

和空 成田山門前

心落ち着く客室で普段以上に眠れた翌朝、レストラン「嘉肴」で朝食をいただきます。松の絵柄があしらわれた二段重には縮緬山椒や鮪おろし和えなど小鉢が詰め込まれ、朝からこんなにも豪華な食事を楽しめる幸せを噛みしめました。

 

土鍋炊きの御飯は千葉の三大銘柄に数えられている「多古米」。旨味あふれる美しい艶の多古米は1杯のみならず2杯、3杯とおかわりしたくなります。

 

和空 成田山門前

焜炉にていただくのは、佐賀県「嬉野温泉」から取り寄せた「湯豆腐」。大豆の甘さを感じる湯豆腐はトロトロで、ほっこり温まります。

 

 

参加しないともったいない、宿泊者限定の「成田山参拝ツアー」

「和空 成田山門前」成田山参拝ツアー
「和空 成田山門前」成田山参拝ツアー
「和空 成田山門前」成田山参拝ツアー

チェックアウト後、9:30に予約していた「成田山参拝ツアー」に参加。宿泊者限定の無料アクティビティで、若草色の作務衣を着た「語り部」が成田山を案内してくれます。この日案内してくれたのは、成田山で働いていた珍しい経歴を持つ大川幸一郎さん。成田山の基本情報、初心者が見るべきポイント、知られざるパワースポットなど、豊富な知識とともに教えてくれました。

 

「和空 成田山門前」成田山参拝ツアー
「和空 成田山門前」成田山参拝ツアー
「和空 成田山門前」成田山参拝ツアー

所要時間は約1時間20分となっており、「南門・総門」→「御水舎」→「参籠堂」→「仁王門」→「三重塔」→「一切経堂」→「大本堂」が基本コース。成田山の正面玄関である「総門」は普通に参拝すると何気なくくぐってしまいそうになりますが、大川さんのおすすめは総門の欄間に施された自分の生まれ年の十二支の彫刻の下をくぐる入り方。十二支の彫刻の上には、各十二支の仏様が奉安されているそう!自分の生まれた干支の彫刻の下で一礼して入ることで、自分を守ってくれている仏様へとお参りすることができます。

 

「和空 成田山門前」成田山参拝ツアー

境内には成田山と成田屋のつながりを感じられる史跡が点在しています。総門を入ってすぐの石灯篭は七代目市川團十郎と八代目市川團十郎の親子が奉納したものの、安政の大地震で崩壊し、九代目市川團十郎が修復したという歴史あるもの。このツアーではただ見るだけではわからない、隠された背景まで教えてくれます。

 

参拝ツアー終了後は、11:00から大本堂で行われる「御護摩祈願」を体験するのが、大川さんのおすすめ。成田山の御本尊「不動明王」御宝前で特別な薪「護摩木」を焚き、心願成就を祈る修法です。荘厳な太鼓の音からはじまり、燃え盛る炎の前で祈りを捧げる儀式は圧巻。鞄や財布など参拝者の大切なものを御護摩の火にあて、不動明王様からのご利益をいただく「御火加持(おひかじ)」は、事前申し込みなしで誰でも参加可能です。

 

和空 成田山門前

成田山と歌舞伎について深く学びながら、洗練されたおもてなしを受けられる「和空 成田山門前」。特に「成田山参拝ツアー」は、和空 成田山門前に宿泊したら、参加しないともったいないほどの内容です。現代的な日常から離れ、日本の伝統文化に触れる旅へと出かけてみませんか。

 

和空 成田山門前

住所
千葉県成田市仲町379-1
アクセス
京成電鉄「京成成田駅」、JR線「成田駅」より徒歩約10分/成田空港より電車で約20分
チェックイン
15:00 (最終チェックイン24:00)
チェックアウト
11:00
総部屋数
23室
駐車場
あり※近隣の提携駐車場に無料でご案内

 

 

撮影/岡村智明 取材・文/小浜みゆ


※この記事は楽天トラベルガイドによって取材・作成されたものです。

2023/4/5
この宿の情報