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久米島ジョーグーぶらり旅 春

~久米島の歴史・文化~

那覇から飛行機で約30分。車で周囲を回れば、一周約40分。人口約8000人の久米島は沖縄のいくつもの離島の中でも、海も山も畑もあり豊かな水に恵まれて、人々の暮らしがちょうどよいサイズで成り立っている印象がある島だ。この島の風景は、なんだかまるで故郷のように懐かしい。きっと、たんたんと重ねられた人々の暮らしの営みが、島の風や土に染み込んでいるからなのだろう。サトウキビの葉を波立たせる風が「おかえり」と言ってくれているような気がして、ふと、大きく息をつく。

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伝えられ育まれる
久米島紬の技術

久米島紬 機織り体験

久米島紬の里「ユイマール館」

久米島紬の里「ユイマール館」の門構えは糸車がモチーフ

「トン、トン、カシャン…、トン、トン、カシャン…」と独特のリズムを刻む機織りの音。私は沖縄で暮らすようになって、はじめてこの音を耳にした。あるときは八重山の離島の民家で、またあるときは沖縄本島で伝統工芸の織物を学んだ若い人たちの工房で。沖縄県外で生まれ育った私にとって「機織り」というのは昔話や物語のなかに出てくるようなもので、なかなか身近には感じられないものだったけれど、沖縄では織物の文化が今も息づいている、と知ることができたのだ。

実は、久米島はそうした織物の文化、なかでも「紬」と呼ばれる蚕から糸をつむいで織り上げる手法が日本に伝わる起点となった、「発祥の地」といえる島なのだそうだ。糸をつむぎ、柄を生み出すために丁寧にくくり、島に自生する植物たちで染め上げ、さらに島の土の泥などで繰り返し染め、幾度も手をかけて、明るくうつくしい色合いや深みのある渋い色合いへと仕上げる。その糸を高機(たかばた:手織機のこと)という木製の機を使い、ひと織りひと織り手作業で織り上げていく。

染料の材料について説明してくれる山城さん(右)

染料の材料について説明してくれる山城さん(右)

「とても手間と時間がかかる行程を分業せずに、すべて一人の織り子の手で行うのも久米島紬の特徴なんですよ」と教えてくれたのは久米島紬の里「ユイマール館」の山城智子さん。

ユイマール館は、国指定の重要無形文化財である久米島紬を紹介する展示資料館であり、伝統継承のため織り子を養成する作業場でもある。そして、織りや染めの体験もできる場所だ。こちらでは、技術を持つ織り子さんの指導で実際に高機を使ってコースターを織ることができるというので、体験させてもらった。

高機に腰掛け、手投げ杼(ひ)と呼ばれる緯糸(よこいと)を通す木製の道具を右手に持って経糸(たていと)の間を横にすべらせ、足踏みで上下の経糸を入れ替え、筬(おさ)で手前に打ち込み、また緯糸を逆方向にすべらせる――。言葉にすると単純な作業だけれど、手と足をいっしょに動かすので最初は思っていた以上にあたふたしてしまう。丁寧に指導をしていただいて、ようやく糸の通し方のタイミングがつかめてくる。トン、トン、と糸を押さえる時の力が強すぎても弱すぎても柄がゆがんでしまうので、ほどよい一定の強さで手を動かすのがコツのようだ。

山城さんに手取り足取り教えていただいた

山城さんに手取り足取り教えていただいた

経糸が綺麗にセットされた状態から始める

経糸が綺麗にセットされた状態から始める

筬(右手で引いている部分)でトントンと糸を押さえる

筬(右手で引いている部分)でトントンと糸を押さえる

緯糸の色を変えるときは左手の手投げ杼を変える

緯糸の色を変えるときは左手の手投げ杼を変える

糸の色を変え、織り進めていくうちに徐々にリズムがつかめてきた……と思う頃、ちょうど10数センチ四方のチェック柄のコースターができあがった。布地と柄が手元から生まれてくる感覚は新鮮でとても面白く、つい「もっと作ってみたいな」という気持ちになる。そして、気づくと、物語のなかのことのように思っていた機織りを自分自身の手でやっていたことに、なんだかちょっと感動する。

この日指導をしてくださった山城さんは久米島紬の織り子として仕事を始めてもう19年目になるそう。
「でも、私はまだまだひよっこなんですよ。久米島には80代後半でも現役の方がたくさんおられます。その方々の技術はすばらしいです」と山城さん。

久米島では島の人々の暮らしの中で、久米島紬の技術が伝えられ、今も身近なものとして育まれている。ユイマール館は単にそのことを「知る」だけでなく、「感じる」ことができる場所だった。「世界でひとつ」の自分が織ったコースターを手にして、しみじみとそう思った。

生まれて初めて織ったコースターを手に山城さんと記念撮影

生まれて初めて織ったコースターを手に山城さんと記念撮影

「ユイマール館」は資料館としての他、久米島紬のかりゆしウェアや小銭入れなど、手頃なお土産も充実していた
「ユイマール館」は資料館としての他、久米島紬のかりゆしウェアや小銭入れなど、手頃なお土産も充実していた

久米島紬 機織り体験情報はこちら

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ガイドによる街歩きで
島の歴史と暮らしに出会う

紬の里 真謝集落散策

沖縄の島々では人々が暮らす場所の路地を歩いて、家並みや街のあちらこちらにさりげなくある史跡や古い建物、「シーサー」や「石厳當」など、島ならではの光景と出会うのも醍醐味のひとつだ。そして、そんな時、歴史や由来にくわしい地元の人がいっしょだと、見える風景はさらにぐっと魅力的になる。

久米島にガイドさんといっしょに街を歩く散策プログラムがあるということで参加させてもらった。散策したのは久米島の中でも昔ながらの風情が色濃く残る真謝集落。久米島紬の里ユイマール館からほど近い場所だ。

「このあたりは古くから久米島紬の織り子さんがたくさん住んでいた場所です。今でも自宅で機織りをされる方が多いので、機の音が聞こえることがよくありますよ」と歩き始めてすぐに、この日案内してくれた新垣希さんが話してくれた。日差しがまぶしい午後の集落はひっそりとしていて、今は機の音は聞こえない。「ご自宅で作業されているのは年配の方が多いから、今日のような暑い日の午後は少し休憩しているんでしょうねー」と新垣さん。

まずは、子供たちのイラストと「しにうむさん(とってもおもしろいよ)」と島の言葉が書かれたヒンプン(沖縄独特の門を入ってすぐにある壁)のある久米島町立美崎小学校の近くを回り、学校の敷地のすぐそばにある「仲里間切蔵元」という昔の役場跡を訪ねる。約250年前に築かれたという高さ約3メートルの珊瑚石灰岩の石垣はなかなかの壮観で、水や作物に恵まれた豊かな島である久米島の歴史を垣間見ることができた。

子供達の素朴な笑い声が聞こえる美崎小学校前で

子供達の素朴な笑い声が聞こえる美崎小学校前で

1700年代半ばに完成したといわれる仲里間切蔵元は国の重要文化財に指定されている

1700年代半ばに完成したといわれる仲里間切蔵元は国の重要文化財に指定されている

さらにのどかな住宅地の路地を歩き、沖縄では有名な伝説の妖怪「キジムナー」がもともと住んでいたというウスク(アコウ)の木や、18世紀に中国から贈られた船舶の守護神である女神「天后」がまつられている「菩薩堂(ブサドー)」、樹齢200年以上のフクギが残る「チュラ福木」の並木など、さまざまな見所を紹介してもらった。けれど興味深いのは歴史的な場所だけではなく、たとえば路地や住宅の庭のこんな風景だった。
「ぶら下げられているのは家の守りになると言われているスイジガイ。漢字の『水』の字のように見える貝なので、火事から守ってくれるといわれています」
「よく見ると集落の中の道はゆるやかにカーブしています。それは台風の強い風がまっすぐ吹き抜けてしまわないよう、風の力を弱めるためです」
「煙突がある家が多いのは、久米島紬の糸を染めるために何十時間も煮出していたから。このあたりには染料になるティカチ(シャリンバイ)などの植物もあります」

歴史の流れや習慣と今ここで暮らす人たちの生活の有り様が、地元の人の言葉によって重なる。

フリップを使って説明してくれるガイドの新垣さん

フリップを使って説明してくれるガイドの新垣さん

かなり歴史を感じる菩薩堂

かなり歴史を感じる菩薩堂

お守りとしてぶら下げられたスイジガイ

お守りとしてぶら下げられたスイジガイ

緩やかにカーブする集落の道

緩やかにカーブする集落の道

機織りをしているお宅におじゃましてお話を伺う

機織りをしているお宅におじゃましてお話を伺う

そのとき、風に乗って「トン、トン…」と機織りの音が聞こえてきた。訪ねてみると、ご自宅の高機で久米島紬を織っている方に出会うことができた。
「あい、おうちにいる格好だから恥ずかしいさー」と言いながら、その方は突然訪れた私たちに織っている途中の布を見せてくれた。紬の布は素朴でありながらとても深みがあってうつくしく、まさに伝統の技が生きていた。街のなかで、暮らしのなかで、さりげなく力強く続く歴史や伝統と出会うことができる。それがきっと、久米島の豊かさなのだ。

新垣さんのガイドを受けながら、ゆったりと流れる島の歴史と人々の暮らしに思いを馳せ

新垣さんのガイドを受けながら、ゆったりと流れる島の歴史と人々の暮らしに思いを馳せた

紬の里 真謝集落散策情報はこちら

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文・長嶺陽子

フリー編集者兼ライター。結婚を期に沖縄へ移住。
那覇の泡盛居酒屋「カラカラとちぶぐゎ~」で女将としても奮闘中。

久米島紬 機織り体験(取材協力)久米島紬の里 ユイマール館

機織り体験
コースター織り 2,100円(約30分)
バンダナ染め 2,300円(約60分)
ショール(小)染め 3,400円(約60分)

※料金については予告なく変更する場合があります。

資料館入館料
大人200円 / 中学生以下100円

TEL098-985-8333

 

紬の里 真謝集落散策(取材協力)久米島町観光協会

紬の里 真謝集落散策(ガイド料・ユイマール館入館料込み)
大人2,300円 / 小人(6~11才)1,300円

※料金については予告なく変更する場合があります。

TEL098-896-7010

TOPIX

2017 楽天イーグルス 春季キャンプ開催!

楽天イーグルスの2017年の春季キャンプ

楽天イーグルスの2017年の春季キャンプが沖縄県島尻郡久米島町にて行われます。久米島町にて春季キャンプを行うのは、球団創設以来13年目となり、島の人々がプロのプレーを間近で見ることのできる貴重な機会となっています。

期間:2017年2月1日(水)~(一、二軍ともに)

使用球場:久米島野球場、仲里球場

「こじまップ~久米島・楽天キャンプの歩き方」
おすすめスポット

※東北放送で毎週土曜日放送されている「スポッち!」の久米島町特別スピンオフ企画です。

こじマップ ダウンロード

久米島MOVIE

久米島町役場ページ※外部サイトへリンクします。

久米島町観光協会ページ※外部サイトへリンクします。

久米島町FaceBook※外部サイトへリンクします。

クーポン概要

  • クーポン名:【国内宿泊】久米島町内の宿泊で使える1,000円割引クーポン 
  • 予約対象期間:2017/1/16(月) 10:00 ~ 2017/3/12(日) 9:59 
  • 宿泊対象期間:2017/1/16(月) チェックイン ~ 2017/3/13(月) チェックアウト
    ※宿泊対象期間内にチェックイン日・チェックアウト日の両方が含まれるご利用が対象となります。 
  • クーポン割引額:1,000円 
  • 利用上限枚数:100枚(すでに100枚が利用されている場合はクーポンは表示されません) 
  • 利用人数条件:1室大人1名様以上 
  • 利用条件:1会員様3枚までのご利用
  • 金額条件:1部屋あたり5,000円(税込)以上のご宿泊料金
  • 対象サービス:国内宿泊(日帰り・デイユース除く) 
  • 対象施設:沖縄県久米島町の宿泊施設(※一部ご利用頂けない施設がございます) 
  • ※1予約につき利用できるクーポンは1枚までです。例えば1室2名利用予約の際も、使えるクーポンは1枚までとなります。一度に複数部屋をご予約される際は、各部屋に対し、1枚ずつクーポンを利用することができます。ただし、1会員あたりの利用数が制限されているクーポンもございますので、ご注意ください。
  • ※クーポンの利用条件に合致したクーポンのみが、予約STEP中に表示されます。獲得していても、クーポンが表示されない場合、クーポンの利用条件等をご確認ください。(予約条件が一致しない、有効期限を過ぎている、利用枚数を超えた場合等)。
  • ※予約確定の前に、他の予約が成立し利用上限枚数に達した場合には、予約がエラーとなり、クーポンをご利用になれません。
  • ※クーポンは、楽天トラベル(サイト上)での予約時にのみご利用いただけます。いずれかの事情により、予約時のSTEPで割引クーポンが利用できなかった場合でも、予約成立後など後から利用することはできません。また、クーポンを印刷してチェックイン時にお持ちいただいても割引することはできません。
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平成28年度久米島町観光誘客促進事業

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