山梨県南部身延山にある「宿坊　行学院　覚林坊（かくりんぼう）」は、日本文化に触れながらプチ修行ができる歴史ある宿坊です。美しい日本庭園を眺めながら、身延名産の湯葉料理やお寺でのランチ、写経や朝ヨガ、着物体験など、さまざまな体験プログラムに参加できます。自分自身と向き合い、心と体が癒やされる非日常な時間を過ごしてみませんか？

山梨県身延山の「宿坊　行学院　覚林坊」

「覚林坊」は日蓮宗総本山の身延山久遠寺の門前にある、550年の歴史ある宿坊です。そもそも宿坊とは、修行に訪れた僧侶が宿泊する施設でしたが、現在では参拝者や一般の観光客も受け入れる施設が増えてきました。最近では古き良き日本の体験ができるということから、海外からの観光客も増えています。

四季折々の庭園を眺めながら過ごすゆったり時間

広々とした風情あふれる客室には、浴衣やアメニティなど宿泊に必要なものはすべてそろっています。旅館やホテルとはさほど変わらない印象ですが、古くからの造りのままなので隣の部屋を区切るものは襖のみということにびっくり。
宿泊ができる部屋は20室以上ありますが、一般客には角部屋などのプライベート空間を重視していますのでご安心くださいね。

日本文化を再発見する体験

覚林坊では宿坊ならではのお経体験や写経体験のほかにも、着物体験や朝ヨガ、茶道体験などさまざまなプログラムが充実。サイクリングや周辺スポットを巡るガイドツアーのほか、季節ごとにイベントも開催しています。

写経を体験

まずは一番人気の写経から。写経の見本は初級・中級・上級と3種類あり、半紙の上から筆でなぞっていきます。ここでは椅子に座ったまま書けるので、正座が苦手な方でも安心です。

副住職から説明を受けたあと、心を落ち着かせて墨を磨っていきます。墨を磨るのは学生時代以来という方も多いかもしれません。なかなか色味が出ない、墨を磨る作業に少し戸惑いながらも、呼吸を整えて写経に向かいます。

実際に書いてみるとこれがなかなか難しく、集中して取り組まないとうまく書けません。自分自身に向き合いながら、余計な事を考えずにひたすら無心になって文字を書く。写経体験の目安は1時間ほどですが、2時間ぐらい続けられる方もいるそうです。書き終えた後は、心がリラックスできて穏やかな気分になれました。

気軽にできる着物体験

日本文化を体験してほしいという想いで、覚林坊では着物体験（お一人様1,000円※宿泊者無料）が簡単にできます。館内に飾られている美しい打掛の中から、好きなものをチョイスしましょう。

扇子や髪飾りなどの小物もあり、着付けはすべてスタッフがしてくれますので、着付けができない方でも安心です。

着付けが済んだら美しい日本庭園前で写真をパチリ。
最近では日本の伝統文化を感じられることから、海外の方からも大人気のプランです。着付けは5分程度で簡単にできるので、旅の思い出にぜひ体験してみてはいかがでしょうか？

自然や庭園を楽しめる客室

静寂の中に佇む個室で自分をみつめる

2023年にオープンしたのが、日本庭園の裏手にある離れの個室。本堂へ続く長廊下の先にある静かな場所にあり、コンパクトな客室内にはトイレ、洗面台が完備されています。

プライベートのデッキからは豊かな自然を満喫できます。外国人観光客からは「まるで日本の茶室のようだ」と、長期滞在される方も多くいるとのこと。大自然の中で自分をみつめ、非日常な時間を感じられる空間になっています。

こちらは離れにある「ヒノキ風呂」。ヒノキが香る大きなお風呂の窓からは緑豊かな自然が望め、ゆったり気分で贅沢な時間が過ごせます。（※時間制貸し切り）

伝統的な庭園を眺める特別室

こちらは「庭園特別室」。かつての貴賓室で漆塗りの天井の桟や市松の畳などから当時の贅が感じられます。

身延町指定文化財でもある、禅僧･夢想国師作の日本庭園を大きな部屋の窓からゆったりと眺めることができます。春は美しいしだれ桜が心をほっと癒やしてくれますよ。夜はライトアップされた庭園も素敵です。

宿坊　行学院　覚林坊　宿泊プラン

身延名産の湯葉料理

覚林坊での夕食は生湯葉を贅沢に使用した、創作精進料理です。湯葉は身延町の名産で、日蓮聖人の体を気遣った弟子たちが栄養源として湯葉を用意したのが始まりなのだとか。

そんな伝統の味を、現代的にアレンジした料理の数々が楽しめます。豆乳のトマト鍋や、湯葉の桜蒸しなど、目にも楽しく趣向を凝らした料理はすべて手作り。

なかでも地元産の「あけぼの大豆」を使った自家製の納豆は人気の一品です。生産地が限られているため「幻の大豆」とも呼ばれているそう。大きめの大豆はクセがなく、納豆が苦手な方でもまろやかで食べやすい味わい。お土産としても購入できます。

デザートは山梨県産のフルーツのコンフィチュールを添えた「豆乳のアイスクリーム」です。やさしい甘さにほっと一息。

夕食後は桜寺栖（さくらてらす）で乾杯

身延山久遠寺周辺は、「日本さくら名所100選」に選定されている桜スポットです。覚林坊には、美しい桜を眺めて楽しめるオープンテラス「桜寺栖（さくらてらす）」があります。昼はオープンテラス、春の夜にはしだれ桜を眺めながら優雅に食事とお酒を堪能できる場所。桜の季節以外でも宿泊者や参拝者の休憩スペースとしても活用されています。

お酒は覚林坊オリジナルの「寺（じ）ビール」もおすすめ。富士山をイメージしたグラスに注がれた見た目にも華やかな寺ビールは、上品な味わいの湯葉料理とも相性抜群です。このほかにも、山梨県の名産「甲州ワイン」を飲み比べできるプランもあります。

朝ヨガと朝食で健康的な1日を

翌朝は本堂で行われる朝ヨガへ。静寂さに包まれた寺院の中、日常とは違う時間の流れを感じることで心も体もリトリートできます。ヨガ体験は約1時間、ゆったりとした動きが中心なのでヨガ初心者でも簡単に参加できますよ。

心も体も目覚める早朝ヨガは、一日の始まりにぴったりで、そのあとにいただく体にやさしい朝食も楽しみの一つです。

贅沢な朝のひとときを演出してくれる健康的な和朝食

朝食は身延名産の食材を使った豆腐や自家製納豆など、栄養バランスが考えられた体にやさしい和食メニューが堪能できます。

※精進料理希望や、ベジタリアンの場合は予約が必要

カフェや寺院を巡る周辺観光

電動アシスト付きレンタサイクルがおすすめ

身延山周辺は坂道が多く、アップダウンもあるので徒歩での観光や散策はなかなか大変。そこで便利なのがレンタサイクルです。

覚林坊では電動アシスト付きの自転車を1時間500円でレンタルが可能です。電動アシストのおかげで坂道も楽々。久遠寺を参拝したり、寺院や宿坊を見て回ったり、富士川沿いを走ったり、レンタサイクルがあると効率よく周辺観光ができます。

カフェでゆったりくつろぐ時間「農cafe ZENCHO」

身延山久遠寺の参道入口にある「農caféZENCHO」。以前は酒蔵だった築90年以上の古民家をリノベーションした、お洒落なカフェです。地元の食材を使ったこだわりのメニューが人気で、お料理はすべて手作りです。

店内は落ち着いた雰囲気で、庭園やテラス席もありゆったりとした時間を過ごせるスペースになっています。

覚林坊の宿泊者は焼き立て「身延カヌレ」（250円）が無料になる、うれしいサービスも。身延山の観光や散策中にぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか？

農cafe ZENCHO

営業時間: 10:00～17:00
住所: 山梨県南巨摩郡身延町身延3955

日蓮宗総本山身延山久遠寺

身延山久遠寺は日蓮宗の総本山で、日蓮聖人が9年間を過ごした聖地です。日蓮の遺骨や真筆の曼荼羅など多くの貴重な文化財や経典が宝物館に展示されています。見どころは日本三大門の一つとされる三門、立体曼荼羅を安置する本堂、日蓮聖人像を祀る祖師堂など。

また三門から境内にかけて菩提梯（ぼだいてい）という、287段もある長い階段が設置されています。その高さはなんと107メートル。登るのにはなかなか体力が必要ですが、登った後にはなんともいえない達成感や爽快感を味わうことができます。

一日の始まりに行なう朝のお勤め、朝勤（ちょうごん）にもぜひ参加してみましょう。久遠寺では毎朝5:30～（10月～3月は6:00～）本堂で読経が行われます。この朝勤は誰でも無料で参加ができます。太鼓の音に合わせながら、読経がスタート。荘厳な雰囲気に包まれた中で、響き渡る読経に身が引き締まります。

日蓮宗総本山身延山久遠寺

住所: 山梨県南巨摩郡身延町身延3567

身延山ロープウェイ

全長1,665メートル、関東一の高低差763メートルを誇る「身延山ロープウェイ」。山麓･久遠寺駅と山頂･奥之院駅を結ぶ片道約7分のロープウェイです。身延山山頂の標高は1,153メートル。山頂には3つの展望台があり、富士山や伊豆半島、南アルプス、八ヶ岳連峰、など雄大な大パノラマを満喫できます。

身延山ロープウェイ

住所: 山梨県南巨摩郡身延町身延字上の山4226-2
営業時間: 3/16～11/15　9:00～16:00上り最終（16:40下り最終）
11/16～3/15　9:00～15:40上り最終（16:20下り最終）
料金: 大人　往復1600円、片道960円
小人　往復800円、片道500円