新型コロナウイルス感染症の流行により、感染防止に向けた「新しい生活様式」が推奨される昨今。旅行者に安心して旅を楽しんでもらおうと、宿泊施設では新たな取り組みが始まっています。楽天トラベルが行った「旅行に対する意識調査」では、旅行へ意欲のある人の約半数が、ホテルや旅館に対して「消毒除菌」などの対策を求めていることが分かりました。
そこで今回は、チェーンホテル各社が取り組む最新の衛生管理対策について、「チェックイン&アウト」「お部屋・お風呂」「食事」の3つの観点からご紹介します。
チェックイン&アウトにおけるホテルの取り組み
チェックイン&アウト時において、実際にどのような取り組みが行われているのでしょうか?ここではパーテーションや消毒剤の設置をはじめ、「密」な状況を回避するための工夫が見受けられました。
「最高水準のコロナ対策」を宣言する「星野リゾート」
「衛生管理」と「3密回避」の 2つの対策軸を掲げてサービスを展開している星野リゾート。「最高水準のコロナ対策」を行うことを宣言し、衛生管理・3密回避対策を進化させていくと発表しています。
入列規制や客室チェックインで3密を回避
星野リゾートでは飛沫感染対策のため、各施設のフロントカウンターにパネルなどのパーテーションを設置しています。
また、ラグジュアリーブランド「星のや」、全国に16施設展開する温泉旅館ブランドの「界」では、フロントを経由しない客室でのチェックインを導入。人との接触を避けて客室に向かえます。
フロントをはじめとする館内各所には手指消毒用アルコールが置かれていて、好きなタイミングで使えます。
チェックイン時には、検温と海外渡航歴の確認があるなど、健康確認にも力を入れています。また、都市観光ホテルブランド「OMO」、仲間とルーズに過ごせるホテルブランド「BEB」、滞在型リゾートホテルブランド「リゾナーレ」では2m程度の間隔で並ぶ等の入列規制も。
「星野リゾート」の3密回避・衛生管理について動画で見る
館内の衛生強化に取り組む「住友不動産ヴィラフォンテーヌ」
リゾートホテルブランドの「ヴィラージュ」都市型ホテルブランドの「ヴィラフォンテーヌ」を運営する住友不動産ヴィラフォンテーヌ。各ホテルでは館内の消毒・除菌をはじめとする特別衛生対応に努めています。
チェックイン時の「密」を回避できるプランも
全室オーシャンビューが魅力の「ヴィラージュ伊豆高原」では、混雑を避けてチェックインできるプランも用意されています。このプランでは、通常15時チェックインのところ、朝8時以降の好きな時間にチェックイン可能。フロントでの「密」な状況を回避して滞在できます。
「コンフォートホテル」も感染症予防に向けたフロントでの取り組みを開始
全国でビジネスホテルを展開する「コンフォートホテル」でもチェックイン&アウトの際での衛生対応に取り組んでいます。
全店においてフロントにクリアパーテーションを設置。フロントやロビーには、アルコール消毒剤が置かれています。スタッフはマスクを着用のうえ、ルームキーや金銭の受け渡しの際には、トレーを使うなどの配慮をしています。
お部屋・お風呂におけるホテルの取り組み
お部屋における取り組みとしては、除菌清掃の強化に加え、各客室に消毒用アルコールを設置するホテルが増えています。また、安心して温泉を堪能できるようにと、大浴場の混雑状況をスマホでチェックできるサービスも登場しています。
「星野リゾート」のお部屋・大浴場での対策
星野リゾートでは、通常の客室清掃に加え、ドアノブや引き出し、リモコン、スイッチなど、よく手が触れる部分については、アルカリ電解水による除菌清掃を実施。客室に限らず、ホテル館内においてアルカリ電解水による清掃・拭き上げを行っています。
衛生検査組織を新たに発足したアパホテル
全国展開を行うビジネスホテルグループ「アパホテル」でも、社内に「衛生検査組織」を発足し、衛生管理基準を強化。
ユニットバス、部屋での衛生・消毒対策
「接触感染、飛沫感染対策を強化した衛生基準」に基づき、消毒・清掃管理の強化やITの導入など多方面から対策に取り組んでいます。お部屋のユニットバス内では、プラスチック製のメラミンカップに代わり、個包装の紙コップ・使い捨てスリッパを導入設置。
ゲストが部屋に入る前の衛生・消毒ケアも
ホテル内での複数の人が手を触れる高頻度接触部位(ドアノブ、電気のスイッチ、電話、エレベーターのボタン)などは頻度を上げて清拭消毒を行っています。またアルコール消毒剤をホテル入り口やフロントカウンターにも設置。ゲストが部屋に入る前の手指の衛生対策にも配慮しています。
「JR東日本ホテルメッツ」での取り組み
首都圏を中心に北関東、東北・新潟まで、駅から徒歩約1~3分圏内にホテルを展開する「JR東日本ホテルメッツ」でも、お部屋での衛生管理の取り組みを行っています。
部屋には加湿機能付き空気清浄機を完備するほか、チェックイン時に携帯用アルコール配合除菌液を宿泊人数分配布。滞在中や外出の際に活用することができます。
※在庫がなくなり次第終了
※一部メッツでは取り扱いなし
食事におけるホテルの取り組み
食事については、レストランのテーブル席の間隔を広く設けるなど、密集・密接を避ける工夫が目立ちます。ビュッフェ形式に代わり、新たなスタイルを取り入れているホテルも。
「星野リゾート」3密回避を実現した食事に
2020年5月より、ビュッフェ形式の料理提供を一時中止している星野リゾート。ビュッフェ形式に代わり、セットメニューとテイクアウトを強化しています。
その地域ならではの食材を使用したセットメニューでは、前菜からデザートまで、彩り豊かな料理をコース感覚で楽しめます。
各レストランでは、入店時間の分散化によって3密を緩和。テーブル席の間隔も2m程度に保たれています。
「リゾナーレ那須」をはじめとする一部の施設では、セットメニューのテイクアウトが可能。お部屋や施設内の自然豊かなパブリックスペースで、のびのびと食事を楽しめます。
無料朝食サービスが人気の「京王プレッソイン」での取り組み
東京都心に11店舗を構え、出張・観光に人気のホテル「京王プレッソイン」も、感染症拡大防止の観点から、朝食のビュッフェスタイルを一時中止し、人気の焼きたてパンから個包装スタイルへ変更。
挽き立てのコーヒーとスープ類はサーバーから直接提供されているので飲み物でも安心していただくことができます。また、テーブル席も人と人同士が対面にならないように配慮されています。
今回ご紹介したようなホテルの感染症対策は、今後さらに広がっていくと考えられます。今後のホテル選びでは、ぜひ衛生管理を中心とした新たな取り組みにも注目してみてはいかがでしょうか。