島根県には日本庭園に関するアメリカの専門誌のランキングで17年連続1位を取り続けている「足立美術館」をはじめ、数多くの見応えのある日本庭園があります。今回の旅は鳥取県の「米子鬼太郎空港」を起点に、島根県内にある日本庭園をめぐりながら玉造温泉で『日本一大きな混浴露天風呂』にも浸かる、1泊2日の欲張ドライブ旅に出かけます。

庭園のみならず、温泉や美術鑑賞、城下町の町並み、絶品のグルメ…。どの一瞬を切り取っても絵になるひとときを、パートナーと一緒に体験しませんか? 縁結びの神様に護られた出雲国ならではの、カップルや夫婦にぴったりの旅をどうぞ。

美しい日本庭園が豊富な島根県

1日目
足立美術館の日本庭園

古代の日本神話にも登場する縁結びの地・出雲国こと島根県ですが、城下町・松江をはじめとした町並みや自然は、とても美しく絵になります。松江藩の名君・松平治郷(はるさと、別名・不昧公)が 島根に茶の湯の文化を広めたこともあり、茶室から鑑賞する日本庭園は古くからあったそうです。

今日でも島根県には、演出に趣向を凝らしたり、探検気分を味わえたり、背景の雄大な自然を生かしていたりと、個性豊かな日本庭園が数多くあります。今回の旅は数ある島根県の日本庭園の中から、アメリカで発行されている日本庭園専門誌『ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング』にランクインした3つの庭園をめぐります。

米子鬼太郎空港からスタート

米子鬼太郎空港

首都圏から島根県へは飛行機で「米子鬼太郎空港」から向かうのが便利です。東京・羽田空港を朝6時台に出発した場合、飛行機は現地に8時ごろに到着(※取材時)。1泊2日なら最終便は20時台なので、たっぷり40時間近くも山陰の旅を楽しめます。

特急「やくも」

大阪からであれば、新大阪駅を朝6時台の新幹線で出れば、岡山駅で特急「やくも」に乗り替えて9時ごろ米子駅に到着します。帰りの特急の最終便は19時台です。

ベタ踏み坂で知られる「江島大橋」

空港や駅でレンタカーを借りたら出発しましょう。米子鬼太郎空港の所在地は鳥取県ですが、内陸の汽水湖・中海(なかうみ)にかかり、『ベタ踏み坂』で知られる「江島大橋」で県境を越えて島根県に入ります。

日本庭園と牡丹と高麗人参の里「由志園」

由志園

江島大橋を越えて約10キロメートル、車で16分ほどで第1目的地「由志園」に到着します。中海に浮かぶ面積7キロメートル四方ほどの「大根島」にあるこの庭園は、総面積4万平方メートルの日本庭園と牡丹や高麗人参の栽培で知られています。

火山岩が多い大根島

大根島はもともと伯耆大山(ほうきだいせん)の活動によってできたもので、島内には大きな火山岩が多く、 日本庭園を造るには適さなかった土地でした。しかし、初代園主である門脇栄は、島に何トンもの重い土や庭石、樹木を運びこみ、8年もの歳月をかけて築山式の日本庭園を造成したのです。

そうして1975(昭和50)年に完成した日本庭園は、栄の父である門脇由蔵の名をとって「由志園」と名付けられました。今ではアメリカの日本庭園専門誌『ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング』で25位(島根県内で3位 ※2020年1月現在)に選ばれるほどの知名度を誇り、多くの観光客で賑わっています。

由志園のめぐり方

由志園のマップ

約1万2千坪もの広さがある由志園ですが、その配置には地図の中央右側が中海とその中央にある大根島、赤い橋を挟んで左側が宍道湖(しんじこ)、その奥に続く斐伊川(ひいかわ)・奥出雲などが表現され、出雲国の地形が凝縮されています。

速足で歩けば1周20分ほどで回れてしまう由志園の日本庭園ですが、立ち止まってゆっくり眺めて欲しいスポットをご紹介します。

池泉

チケットカウンターから園内に出て「紅葉橋」の左手に広がる「池泉(ちせん)」は、中海の周辺に広がる島根の自然が表現されています。

遠くには中海に浮かぶ島々を模した岩も見えます。橋の上から中海を眺めつつ、「あれは大根島かな?」「背後の丘は伯耆大山?」などと確認しながら進むのも良いですね。

ミストシャワーで中海の湖面に立ちのぼる霧を表現

由志園では期間によって「中海の湖面に立ちのぼる霧」の体験も。池泉の周りからは数分おきにミストシャワーが散布され、湖面は幻想的な霧に包まれます。まるで朝もやに包まれているかのような景色を、橋の上から眺めてみましょう。
※季節や天候条件によって、実施しない場合もあります。

由志園の紅葉

紅葉橋の周辺は、その名の通り秋にモミジが真っ赤に色づきます。渓谷に分け入らなくても、由志園では白い霧をバックに浮かび上がるモミジを眺めることができるのです。

梅恵橋

小さな川の上にかかる「梅恵橋(ばいけいばし)」は、カエデが橋を覆うように伸び、湖面に影を落としています。この場所は少し広くなっているので、木々と橋をバックに記念撮影をする人々でいつも賑わっています。

牡丹の館

梅恵橋から1分ほど進むと、「牡丹の館」にさしかかります。白壁の建物の中に入ってみましょう。

色とりどりの牡丹が咲き乱れる

ここでは、牡丹の花を年間を通じて楽しむことができます。牡丹は古くから大根島の特産物として知られていますが、花をつけた牡丹を一年中観賞できる場所は、世界でも珍しいのだとか。開花時期以外でも色とりどりの牡丹が咲き乱れるこの空間は、とても貴重です。

石原和幸さんによってデザインされた苔の庭園

牡丹以外にも水の流れや植物の一つひとつに細心の注意が払われ、不思議な清新さを醸し出しています。特に、その苔の美しさは目を奪われます。実はこの室内庭園は、景観アーティスト・石原和幸さんによってデザインされたもの。

世界で最も権威のある「チェルシー・フラワー・ショー」でエリザベス女王から「MossMan(苔の魔術師)」と称えられたほど、苔の使い方に定評がある石原氏ならではの瑞々しい空間が広がっています。

赤橋

牡丹の館を過ぎて5分ほど散策すると、「赤橋」にさしかかります。出雲の自然を模した庭園も、徐々に奥出雲の山々に入ってきました。わずかな時間で島根県全体を旅した気分になれるのは、由志園の大きな魅力です。

赤橋や木々が映える湖面

奥出雲に源流を発した川は宍道湖を模した池泉に流れ込み、赤橋や木々が映える湖面はとても色鮮やかです。歩き疲れた方は、写真の左奥にゆったり休めるベンチがあるので、腰掛けてひと息つきましょう。

枯山水庭

赤橋から2、3分ほど歩くと、日本庭園もいよいよ終盤。先ほどの渓流とはがらりと様相を変え、なだらかな平地に広がる「枯山水庭」にさしかかります。水を模した白い砂に、島を連想させる岩が浮かび、斜めに生える松が影を落とします。この枯山水の後ろ側にも屋根付きのベンチがあります。

由志園の日本庭園は、四季の「演出」がスゴい!

足立美術館の日本庭園
写真提供:由志園

美しく手入れされた日本庭園だけでなく、季節ごとに趣向を凝らした演出も由志園の魅力の一つ。例えば4〜5月の牡丹の開花時期に行われる「三万輪の池泉牡丹」では、池の水面に牡丹の花が敷き詰められます。

これだけの牡丹の花がなぜ手に入るのかと尋ねたところ、苗木を育てるために不要になった花が再利用できるとのこと。牡丹栽培とともに歴史を重ねてきた、大根島でしか見ることができない光景です。

イルミネーション
写真提供:由志園

冬の風物詩となっているのが、園内いっぱいに広がるイルミネーション。百数十万球ものLEDを使用して7つの世界を描き出す「和のイルミネーション」の光に、大切な人と包まれてみたいものです。

冬咲牡丹

風も強く雪も多い山陰ですが、由志園では冬に藁の傘を被った「寒牡丹」を見ることもできます。もともと12〜1月が開花時期の品種ですが、ほとんど葉をつけず健気に咲くその花は、白い雪とのコントラストが際立ってより美しく見えます。

茶房「一望」の高麗人参コーヒーでティ―タイム

茶房「一望」

歩き疲れたら、池庭を眺めながらのティータイムはいかがですか? 日本庭園の出口近くにある茶房「一望」では、ゆったりした座席で庭を眺めながら、江戸時代から松江で栽培が盛んな高麗人参を使ったオリジナルメニューをいただくことができます。

由志園オリジナル・高麗人参珈琲

世界でもトップブランドとして知られる大根島の高麗人参エキスを配合した由志園オリジナル「高麗人参珈琲」(650円・税抜)は、ほのかな酸味の中にまろやかさがあり、高麗人参の香りが鼻から爽やかに抜けていきます。

高麗人参を配合した「ソフト」

高麗人参を配合した「高麗人参ソフトクリーム」(550円・税抜)もおすすめ。ほのかな高麗人参の薄紅色も楽しく、ソフトクリームの甘さがじわりと口の中に染み渡ります。

カラダすっきり!高麗人参を楽しむ

高麗人参茶の試飲

長屋門の中には高麗人参の加工場もあり、収穫が始まる10月頃には加工の過程を見ることができます。「高麗人参って体に良いとは聞くけど、飲みやすいの?」と思われている方は、加工場の斜め前にあるカウンターで高麗人参茶の試飲ができます(9:00〜16:00、人数制限あり)。クセがなくサラッとしたのど越しで、毎日でも飲める味ですよ。

由志園

住所
島根県松江市八束町波入1260-2
開園時間
9:00~17:00(夜間ライトアップ期間やGWは開園時間を延長)
定休日
無休
入園料
レギュラーシーズン(ベストシーズン・ハイシーズン以外)
一般800円、70歳以上700円、小中高生400円
駐車場
300台(無料)
アクセス
米子自動車道「米子IC」から車で約40分、山陰自動車道「松江玉造IC」から車で約30分、松江だんだん道路「西尾IC」から車で約12分
詳細
由志園公式ページ

屋敷跡の風情を感じる「八雲庵」でランチ

出雲そば処 八雲庵

由志園から車で約15キロメートル、30分弱ほど走ると松江市内に入ります。松江城外堀のほとりにある1975(昭和50)年創業の「出雲そば処 八雲庵」で、日本三大そばの一つ「出雲そば」をいただきましょう。

そばは厄を断ち切る縁起物として知られています。縁結びの神様・スサノオノミコトが護るこの地で、「出雲そば」をいただけば、運気もグッと上がるかもしれません。

鴨なんばんと割子そば

八雲庵の出雲そばは、そばの実を挽く際に外側の甘皮ごと挽いているため風味が力強く、少し辛味のあるかけ出汁とよく合います。不動の人気No.1は、「鴨なんばんと割子そば」(割子2段1,460円、割子1段1,210円)。

八雲庵の名物「鴨なんばん」と、丸型の容器に盛られた器に上から出汁をかける定番の「割子そば」を同時に味わえる欲張りなメニューです。他にも「天ぷら割子」などの人気メニューもあるので、別なものを頼んでシェアするのも良いですね。

不昧公

松江の町は茶の湯文化を広めたとされる藩主・松平治郷公が和菓子好きだったこともあって、和菓子やスイーツのレベルが高いことでも知られています。八雲庵も、例外ではありません。松平治郷公の茶人としての号から名をとった「不昧公(ふまいこう)」(680 円)は、島根県の「縁結びSweets」にも選ばれています。

ほろ苦い抹茶ゼリーと白玉が、練乳・こしあん・バニラアイスの甘みとドラマチックな出会いを繰り返し、様々な味の組み合わせを発見しながら最後までいただけます。

八雲庵の建物

八雲庵の建物は、もともと松江藩の剣術指南役・大石源内の屋敷跡を店舗にしたもの。樹齢260年の黒松がそびえ、錦鯉が泳ぐ庭を眺められます。

塩見縄手

また、「塩見縄手(しおみなわて)」と呼ばれるこの界隈は、山陰有数のデートスポットとしても知られています。松江城のお堀沿いに松並木や武家屋敷が並ぶ様は、まるで時代劇のワンシーンを見ているかのようです。

通りの一角には、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が、妻・節子と出逢った旧宅に「小泉八雲記念館」もあります。のちに国籍を越えて結ばれ、「パパさん」「ママさん」と呼び合い協力しながら『怪談』を後世に残した夫婦のように、情緒あふれる町並みを歩いてみませんか?

出雲そば処 八雲庵

住所
島根県松江市北堀町308
営業時間
10:00~L.O.14:00 ※そばがなくなり次第終了
定休日
無休(年始休みあり)
電話番号
 0852-22-2400
駐車場
6台(無料)
※満車時は市営「城山西駐車場(有料)」を利用
アクセス
山陰自動車道「松江東IC」より約12分

島根の美人の湯「玉造温泉」へ

玉造温泉

神話にもその名が登場する「玉造温泉(たまつくりおんせん)」は、界隈で勾玉(まがたま)が作られていたことから玉造と呼ばれるようになりました。平安時代の『枕草子』には、「日本三代名湯」と書かれています。松江の市街地から車で約20分、10キロメートルほどと近いため、今でも湯治客が途絶えることがありません。

日本一の混浴露天風呂と名庭園の「湯之助の宿 長楽園」

湯之助の宿 長楽園

玉造温泉を代表する温泉旅館の一つといえば、「湯之助の宿 長楽園」でしょう。松江藩主から玉造温泉の一切を任せる「湯之助」に任命され、今に至るまで温泉宿を受け継いでいます。

長楽園は自前で源泉を持っているため、湧き出す温泉は湯量が豊富で湯の花の香りも新鮮です。また、敷地に広がる日本庭園は、2019年度の『ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング』のランキングで28位に選ばれています。

長楽園の竜宮の湯
画像提供:湯之助の宿 長楽園

この旅館に宿泊するからには、様々な部門の日本一を決める日本一ネットが「日本一大きな混浴露天風呂」に認定した「竜宮の湯」にたっぷりと浸かりたいもの。その広さなんと約120坪! 25メートルプールよりもはるかに広大な露天風呂に、夫婦やカップルで浸かることができるのです。

専用の湯浴み着

更衣室は男女別々に設けられ、それぞれ専用の湯浴み着(女性は巻き布、男性はトランクス)を着用します。

長楽園の混浴露天風呂・竜宮の湯
画像提供:湯之助の宿 長楽園

入浴は一際ムードが増す夜がおすすめ。視界に見えるのは庭園の木々と星空のみ。聞こえるのは木々のざわめきだけで、湯気に包まれているせいか混浴なのにプライベートな空間にいるような不思議な感覚になります。

玉造温泉は「美人の湯・若返りの湯」として知られ、天平時代の書物『出雲国風土記』にも「いで湯に一度入ると容姿が端麗になり、再び入れば万病が治る」と記されています。まるで化粧水のようなとろみがあり、その泉質は美肌を促進する効果があると近年の研究から分かっています。

長楽園の男女別露天風呂
画像提供:湯之助の宿 長楽園

混浴以外にも、男女別で庭園を眺めることができる露天風呂もあり、こちらもおすすめです。

探検気分を味わえる長楽園の日本庭園

長楽園の日本庭園

長楽園の敷地には露天風呂のほかに、約1万坪もの広大な日本庭園が広がっています。美しい庭園を眺められるだけでなく、山裾の起伏を生かした仕掛けが随所に施されています。

長楽園の日本庭園

庭園はゆっくり歩いて20分ほど。道程には、ウグイスやサギなどの野鳥もいるそうです。

離れの部屋

回廊の途中には、温かみのある休憩処があります。温泉で火照った身体をそよ風で冷ましながら、ゆったり池庭を眺めてはいかがでしょう。心地良い空間で何もせずにぼーっと過ごす時間は、何よりも贅沢に感じられそうです。

御座所
画像提供:湯之助の宿 長楽園

庭園の散策コースを進むと、1982(昭和57)年に昭和天皇がこちらの宿に宿泊する際に作られたという「御座所」も。宿所蔵の美術工芸品と合わせて歴史的な空間を見学することができます(入館料500円)。

ライトアップされた池庭

また、日がとっぷり暮れてライトアップされた池庭も、昼間とは違った趣が味わえます。

夜の洞窟

ちょうど庭園を一回りしたところに、冒険心がくすぐられる洞窟があります。ここでは年を重ねた夫婦やカップルも子どものようにはしゃぎながら、ほの暗い闇を進んでいくそうです。

温泉の癒しと日本庭園の美に包まれる時間を、大切な人と過ごしてみてください。

玉造温泉 湯之助の宿 長楽園

住所
島根県松江市玉湯町玉造323
総部屋数
65室
駐車場
あり(40台・無料) 
アクセス
山陰自動車道「松江玉造IC」より車で約10分

まるで絵画のように美しい日本庭園「足立美術館」

2日目
足立美術館

長楽園で心と体をほぐした後は、日本一の庭と芸術に触れましょう。玉造温泉から30キロメートル弱、車で35分ほど移動した先にある安来市の「足立美術館」が2日目の最初の目的地です。

同市出身の実業家・足立全康によって1970(昭和45)年に創設されたこの美術館は、多様な趣の庭からなる約5万坪もの日本庭園でその名が知られています。『ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング』で17年連続1位を獲得(2020年1月現在)するほどの庭園は、季節ごとにその表情を変えるため、何度も訪れる人も珍しくないといいます。

足立美術館

また、足立美術館の本館には、横山大観や北大路魯山人などの日本画や陶芸、童画、木彫、漆芸などが多数展示されています。季節ごとに展示作品が変わるため、訪れる度に発見があります。

広い館内は目安として2時間ほどで回れますが、景色に心を奪われて時間を忘れてしまいそう。余裕を持ったスケジュールを組みましょう。

足立美術館の枯山水庭

チケットカウンターからゆっくりめに15分ほど歩くと、最大の見所の「枯山水庭」の前に出ます。背後に見えるのは、手つかずの自然が残る勝山(かつやま)などの山並み。

足立美術館の日本庭園の魅力は、背後の自然を庭園の一部のようにいただく「借景」を楽しめることにあります。庭に美しく敷き詰められた白砂は渓谷から流れ出た流水が大河となる様をイメージし、石組みや植栽、築山で雄大な山々が表現されているのです。

枯山水庭が眺められるロビー

また枯山水庭が眺められるロビーにはベンチがあり、ゆったりとくつろぎながら鑑賞できるのもうれしいところ。

広い敷地を持つ足立美術館ですが、順路のほとんどが室内または屋根があるので、雨でも十分に楽しむことができます。むしろ、雨天に山々から立ち昇る霧はとても美しく、見物ですよ。

喫茶室・翆

足立美術館の中には喫茶室が2室、茶室が1室があり、それぞれから庭を眺めることができます。枯山水庭を望むなら、こちらの「喫茶室・翆(みどり)」へ。大きくとられた窓越しの情景を前に、こだわりのコーヒーなどが楽しめます。茶室では島根県内の窯元で焼かれた茶碗でお抹茶をじっくりと味わってください。

足立美術館

住所
島根県安来市古川町320
開館時間
夏季(4〜9月)9:00〜17:30、冬季(10〜3月)9:00〜17:00
定休日
無休 ※新館のみ展示替えのため休館日あり
入館料
大人2,300円 、大学生1,800円、高校生1,000円、小・中学生500円
駐車場
400台(無料)
アクセス
山陰自動車道「安来IC」より約10分
詳細
足立美術館公式ページ

お寺の境内の「紅葉館」で精進料理の昼食を

瑞光山 清水寺

足立美術館から10キロメートルほど、車で約15分移動して「瑞光山 清水寺」へ昼食を食べに向かいましょう。室町初期の1393(明徳4)年に建立されたこの寺は、戦国時代の動乱をくぐり抜け、幾多の改修を経て今に至ります。境内には千年杉と椿が仲良く生える縁結びのパワースポットもあり、本堂内の授与所では縁結びや家内安全、厄除けなどの様々なお守りを受けることができます。

紅葉館

境内にある「紅葉館」は、江戸時代末期に茶屋として開業し、以来参拝客や出雲巡礼の人々に精進料理を提供し続けています。代々受け継がれた料理の数々は、野菜や海草、穀物や豆腐などの素材を使い、それぞれの持ち味が存分に生かされています。

紅葉館の精進料理

こちらは3,300円のコース。左端から反時計回りに、茶碗蒸し・前菜五点盛り(栗・落花生・銀杏)・お漬物・白飯・胡麻豆腐・お吸い物・出雲そば割子・精進うなぎの蒲焼き・なめこ酢の物・果物・柚香(自家製柚子ジャム)・煮物盛り合わせ・精進いか刺し。

紅葉館の精進料理は、2,200円・2,750円・3,300円・4,400円・5,500円のコースがありますが、3,300円以上の場合は事前に予約が必要です。

精進料理

多種多彩な精進料理は、季節や自然を映し出すような見た目の美しさもさることながら、清水寺周囲の山々の恵みが最大限に生かされています。
都会ではなかなか口にできない細い竹の子の破竹(はちく)やぜんまい、豆腐を卵焼き風に焼き上げた犠製豆腐(ぎせいどうふ)など、この自然の中だからこそいただける素材の滋味にあふれています。

精進うなぎ

こちらは一見すると肉厚のうなぎに見えますが、もちろんこれも精進料理です。水気を切った豆腐を成形し、海苔をつけて植物油で揚げた「精進うなぎ」は、醤油ダレの旨味もあって本物のような食感が味わえます。

このほかにも、わらび粉を使ったイカの刺身、豆腐を使った茶碗蒸しなど、先人の知恵には驚かされるばかり。境内の静かな空間で、窓の外に三重塔を眺めながらいただく精進料理は、おいしさと驚きの連続です。

境内の宿・精進料理御食事処 紅葉館

住所
島根県安来市清水町528(清水寺構内)
営業時間
[食事処]11:30~L.O.14:00、17:30~L.O.19:30
定休日
不定休
駐車場
30台(無料)
総宿泊部屋数
7室
アクセス
山陰自動車道「米子西IC」より車で約15分

名残を惜しみつつ帰路へ

中海

清水寺から車で約40分、20キロメートルほど走って旅の出発地点である「米子鬼太郎空港」へ戻ります。夕方は米子市内も渋滞があるので、余裕を見て移動しましょう。運転に疲れたら、このような爽快な景観が広がる中海のほとりで休憩するのもいいでしょう。

1泊2日で島根の日本庭園をめぐってきました。紹介した庭園は季節によってがらっと趣を変えるので、何回も訪れる人が多いのも頷けます。雄大な自然と、人の手で生み出された庭園美を味わいに、夫婦やカップルで島根を訪れてみては。

取材・撮影・文/宮武 和多哉

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