
2025年はちょうど「昭和100年」。そんな節目の年にあわせ、昭和の時代を彩ったしつらえやデザインなど、古き良きレトロな魅力を五感で体験できる一棟貸しの宿泊施設「タイムトリップOTOWA」が静岡市にオープンしました。
空き家だった昭和の住宅をリノベーションして誕生したという建物は、一歩足を踏み入れると、まるで当時の暮らしにタイムスリップしたような不思議な感覚を味わえます。
買い手不在の昭和レトロな空き家をリノベーション

「昭和の日」の4月29日に誕生した「タイムトリップOTOWA」は、「泊まれるレトロミュージアム」をテーマに、昭和を知る世代には懐かしく、当時を知らない若い世代にとっては新しい思い出づくりの場となることを目指した、一棟貸しの宿泊施設です。


少子高齢化や人口減少により、空き家の数が年々増加の一途をたどり、現在、日本国内で全住宅の13.8%にのぼる約900万戸もの空き家があるといわれています。「タイムトリップOTOWA」の建物も、もともとは買い手がつかず売買困難だった築47年の空き家でした。
室内にはかつての所有者が残した家財道具や生活用品などが山積みとなっていたほか、雨漏りが目立つなど建物自体の老朽化も進行。加えて、住宅につながる道は細い小道1本だけと利便性も悪いことから、売却も再生も難しい物件だったそうです。
ただ、こうした空き家が放置されることは、地域の景観悪化や防災上のリスクにつながる懸念も。そこで、空き家の買い取りを行う地元企業が、物件に新たな価値を見出す転換プロジェクトとして、宿泊事業に乗り出しました。
昭和風情が愛おしい! レトロな雰囲気に浸れる体験型宿泊施設

最大10名まで宿泊できる建物内は、昭和の暮らしを再現した設計や装飾が満載。キッチンやダイニングは往時の「純喫茶」をイメージしたデザインで、昭和らしさを感じるレトロな食器や雑貨なども置かれています。

メニュー表を模したレシピブックも置かれていて、ナポリタンやクリームソーダといった純喫茶の定番メニューを作って楽しむこともできます。

室内には街角のたばこ屋さんが再現されていたり、1970年代に日本中で熱狂的なブームを巻き起こした「インベーダーゲーム」も置かれています。

どこかノスタルジーを感じさせる、パターン柄の壁紙が特徴的なキッズスペースには、当時の子どもたちが遊んだおもちゃの数々が用意されています。昭和の雰囲気を知らない人たちにとっては、一周回って新鮮さすら感じられるかも?


そのほか、室内にはレコードプレーヤーやブラウン管テレビ、ダイヤル式電話など、昭和の住宅には必ずあったさまざまな家電も配されています。
お茶の間でテレビを囲み、家族みんなで語らう……今ではあまり見なくなった、そんな一家団らんの時間をゆったり楽しむこともできそうです。

朽ちてゆくだけだった空き家に新たな命が吹き込まれて誕生した「タイムトリップOTOWA」は、まさに昭和の博物館ともいえる特別な体験型宿泊施設です。
また、建物周辺にも昭和風情あふれる街並みなどSNS映えするスポットがいっぱい。懐かしさと新しさが融合したリノベーション宿で、100年目を迎えた昭和時代に思いを馳せてみませんか?
タイムトリップOTOWA
- 住所
- 静岡県静岡市葵区音羽町28-3
- 総部屋数
- 1室(一棟貸し)
- アクセス
- 静鉄電車「音羽町」駅から徒歩約4分
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