駅構内だけで、日本全国の200種類以上もの駅弁が販売されているという東京駅。その東京駅の開業110周年を記念し、テストするモノ批評誌『MONOQLO(モノクロ)』が、“絶対に食べるべき”東京駅の駅弁ランキング110を発表しました。
この記事では、なかでも人気が高かったTOP10を紹介します。
東京駅構内にひしめく駅弁を実食してランキング化
このランキングは、さまざまな商品・サービスをテストする批評誌『MONOQLO』が2024年に立ち上げたグルメジャンル「MONOQLOグルメ」がまとめたもので、編集部員とモニター、そして料理のプロたちが忖度なしの厳しい本音で各商品を評価。2024年12月20日に東京駅が開業110周年を迎えたことを記念し、実に110種類もの駅弁がランキング化されています。
「駅弁屋 祭」「踊」「祭 セレクト」など、東京駅改札内6カ所のお店で購入できるお弁当のなかから、有名なもの・評判の良いものをピックアップし、各界のプロ3人とともに、100点満点でおいしさを採点。なお、コスパの良い1,000円以下の商品には加点評価がなされています。
堂々の1位に輝いたのは、福井の番匠本店「おとなの焼き鯖寿し」(実勢価格1,430円)でした。編集部によると、圧倒的なおいしさに100点満点をつけたプロもいたそうです。
駅弁に多い「〆鯖」ではなく「焼き鯖」のお寿司という点が他との大きな違いで、旨みがたっぷり詰まった鯖に焼き目の香ばしさが相まって、深みのある味わいに仕上がっています。
さらに、炙ることで表面化する鯖の脂が、ごはんに入った茎わさびとちょうど良い塩梅で調和。ジューシーなのにしつこさを感じさせない絶妙さもポイントです。また、わさびはツンとくる辛みがなく、爽やかな香りだけをプラス。シャキッとした食感も楽しく、箸が止まらなくなる極上の駅弁です。
2位には横浜の有名店・崎陽軒(きようけん)の「シウマイ弁当」(同950円)がランクインしました。
審査にあたった全員がごはんを絶賛。またシウマイはもちろん、だしの効いたタケノコ煮、しょうゆが香るマグロ漬け焼きなど、どれも主役級のおかずが詰まった名作です。
それでいて950円というお手頃な価格は、まさに神コスパと言えるでしょう。
同率2位に選ばれたのは、秋田の花善「鶏めし弁当」(同980円)でした。
やわらかいのに肉感たっぷりの鶏肉がのっていて、冷めて固くなりやすいお肉の駅弁のなかでダントツの高評価だったそうです。甘辛いタレの中に旨みを感じる鶏肉に、鶏だしが染みたごはんがベストマッチ。
さらに、栗甘露煮やコクのある卵そぼろがアクセントとなり、全体のバランスも抜群です。
4位も同率で2商品がランクイン。一つは「源の旅めし ぶりかま 紅ずわい蟹 白えび」(同1,550円)です。
パッケージを開けてまず目に飛び込んでくるのが、インパクト大のぶりかま。脂がたっぷり乗ったぶりかまは、箸を入れるとほろっとほどけて、口いっぱいに香ばしいしょうゆの風味が広がります。
さらに白えびの天ぷら甘酢漬けや紅ずわい蟹の酢漬けフレークといったぜいたくな食材も入った、これぞ至高のお弁当です。
4位にはもう一つ、福島の福豆屋から「海苔のりべん」(同1,200円)が選ばれました。
風味の良い海苔とおかかに、味わい深いしそ昆布の組み合わせが食欲をそそります。脂が乗った焼鮭は塩味がちょうど良く、手作りの大きな卵焼きもだしが効いてふんわり。ごはんが進むお弁当です。
6位は宮城「伯養軒の炙りえんがわずし」(同1,600円)でした。
「えんがわずしは、香ばしく、脂の旨みも濃厚に感じられる『炙り』がまさに最強」とプロも絶賛。しそとガリが混ぜ込まれた酢めしも秀逸で、風味が増し、サッパリと食べられます。
そのままはもちろん、スタンダードにしょうゆをつけてもおいしいですが、付属の塩やライムで味変を楽しめるのもうれしいポイントです。
7位に選ばれた青森「津軽めんこい懐石弁当 ひとくちだらけ」(同1,500円)は、一口サイズになった青森の郷土料理をたっぷり詰め込んだ、見た目にもおいしい24マスのお弁当。
素朴な甘みのかぼちゃ餅や、コク旨のホタテ、イカメンチ、酸味のきいた赤カブ漬けなど、全てが異なる調理法で手間暇かけて作られていて、食べ終わりまで飽きさせない魅力にあふれています。お酒を片手に、おつまみとしても楽しめそう。
2位にシウマイ弁当がランクインした崎陽軒からもう一品、今回のランキングで最安クラスとなる「横濱ピラフ」(同730円)が同率7位につけています。
蒸してあるモチモチのピラフは粒立ちがバツグンで、エビの旨みとコンソメ、バターの風味も立っています。
もちろん名物のシウマイは安定の味わいで、さらにナポリタンや鶏唐揚げも味がハッキリしていて、それぞれしっかり主張してくれます。この内容で730円は、まさに驚異のコスパと言えるのではないでしょうか。
9位には、1位の焼き鯖寿しを手がける福井の番匠本店から「特選かにめし」(同1,500円)がランクインしました。
「駅弁にかにめしは数あれど、番匠本店がダントツにおいしい!」とは審査員の談。カニのだしが効いた炊き込みごはんの上に、ふっくらと大きなカニ足とほぐし身にがのっていて、北陸・日本海の濃厚な旨みがお弁当の中に詰まっています。
また、しっかりカニ味噌がのっているのもたまらないポイントです。
同率9位には、山形の新杵屋から「牛肉どまん中」(同1,480円)が選ばれました。
一面に敷き詰められた牛肉のしぐれ煮とそぼろ煮は、甘さとしょうゆの風味、牛の旨みの全てが活きる絶妙なバランス。そこにふっくら甘い山形県産米「どまんなか」が加わり、一度食べ始めたら止まらないパワフルなお弁当に仕上がっています。これこそまさに「最強の牛めし」と言えそう。
また今回のランキングとは別に、JR東日本が開催した駅弁頂上決戦「駅弁味の陣2024」では、新杵屋の「牛肉どまん中 塩味」が、エントリー全61品のなかで総合評価1位の「駅弁大将軍」に選出されています。
こちらは牛肉を特製の塩だれで味付けした、「牛肉どまん中」シリーズでも屈指の人気を誇る一品。レギュラーの「牛肉どまん中」はもちろん、肉の旨味がダイレクトに伝わる「塩味」も要チェックです。
みなさんが口にしたことのある駅弁はありましたか? 各商品の詳しい検証結果や、惜しくもTOP10入りを逃したお弁当の情報は、現在発売中の『MONOQLO』2025年2月号に掲載されています。旅行や出張など、鉄道旅にとって欠かせない楽しみの一つでもある駅弁。それぞれの地域の個性がたっぷり詰まったお弁当を手に、2025年も列車に揺られてさまざまな土地を訪れてみませんか?
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