初心者でも満喫!札幌YOSAKOIソーラン祭りの歩き方


「YOSAKOIソーラン祭り」は、初夏の札幌を彩る風物詩です。個性的な衣装を身にまとい、鳴子を手にした踊り手たちの躍動感あふれる演舞は人々を魅了し、毎年約200万人が訪れています。祭りは、市内十数か所の会場で行われ、出場チームも多く、初めての方はどこで何を見ればよいのか迷うことでしょう。誰もが安心して楽しめるよう、YOSAKOIソーラン祭りの見どころをまとめました。興奮と感動を味わいに出かけてみてください。

大学生のアイディアが、北海道を代表する祭りを生み出した

YOSAKOIソーラン祭り

YOSAKOIソーラン祭りは、北海道大学の学生の企画により誕生しました。高知で見たよさこいの迫力に感動し、「札幌でも、こんなイベントを開きたい」と思ったことから、1992年に「よさこい祭り」と北海道の民謡「ソーラン節」をミックスした「YOSAKOIソーラン祭り」を開催。初回は10チームでスタートしました。以来、回数を重ねるごとに参加チームが増加し、2019年には約280チームが参加する一大イベントにまで成長しました。

YOSAKOIソーラン祭り

YOSAKOIソーランは、年齢や性別、出身地に関係なく楽しめることから、今や人気は全国区となり、道外のみならず海外のチームも参加しています。

YOSAKOIソーラン祭り

演舞のルールは、2つだけ。「鳴子(なるこ)を持って踊ること」「曲にソーラン節のフレーズを入れること」のみが定められ、あとは自由です。そのため、同じチーム内でも少しずつ異なるデザインの衣装を身にまとっているなど、細かな発見もあるのが、祭りの楽しみの1つでしょう。

YOSAKOIソーラン祭り時期の服装

祭りは、毎年6月上旬に開催されています。札幌の6月の最高気温は平年20度前後。長そでか、日が照れば半そででもちょうど良いくらいの気候です。夜や日差しのない時間には冷え込むこともあるので、パーカーやトレーナーぐらいの少し厚手の上着を用意することをおすすめします。

舞台は札幌市中に!初心者必見の会場ガイド

基本情報をおさえたところで、さっそく会場へ。期間中メインとなるのは、札幌市の中心部、東西約1.5キロメートルに渡って広がる、「大通公園」です。

大通公園 大通公園 普段の様子

YOSAKOIソーラン祭りを始め、日頃より数々のイベントが行われる観光名所としても有名な公園ですが、祭り期間中には車両通行止めにして「大通南北パレード会場」となります。

YOSAKOIソーラン祭り 大通南北パレード会場

最長、朝10:00から夜の22:00まで。踊りや音楽に加え、「地方車(じかたしゃ)」と呼ばれる各チームお手製の先導トラックも走り、昼夜にぎやかに演舞が繰り広げられます。コンテストの一次会場にもなっており、各チーム気合もひとしおです。到着したら、まずは大通公園でパレードの雰囲気を味わってください!

YOSAKOIソーラン祭り 大通南北パレード会場

パレードを沿道から鑑賞しているだけでも十分に祭りを楽しめるのですが、ステージは札幌市内各所に毎年10か所以上点在しています。せっかく行くなら、それぞれに特色がある個性豊かな会場をめぐっておきたいもの。そこで、初めての方にもおすすめの訪れるべき4会場をご紹介します。(※2019年開催時の情報です。会場情報は開催年によって異なる場合があります。)

大通公園西8丁目会場

パレードが行われるのと同じ「大通公園」の中に造られる、ステージ形式としてはメインとなる会場。着席しながら、迫力の演舞を間近で鑑賞することができます。開催期間中、全参加チームが登場するほか、オープニングやファイナルステージなど、目玉となるイベントも多数。公園内では飲食ブースも充実し、終日賑わいを見せます。

YOSAKOIソーラン祭り 大通西8丁目会場 フリースペース

鑑賞エリアは、ステージ前に設けられた「フリースペース」と、ひな壇状に有料の席を配した「特別観覧席」の2つ。

フリースペースは、ステージの真正面で演舞を見られるのが最大の魅力です。地面に腰を下ろすことになるので、ビニールや手ぬぐいなど簡単な敷物があると便利です。

YOSAKOIソーラン祭り 大通西8丁目会場

比較的、収容人数には余裕のあるスペースですが、人気チームが出演する時間などで混雑した場合は、入場制限がかかり待機列が作られ、入れ替え制となる場合も。入場制限中にお手洗いなどの理由で一時退場する際は、出口のスタッフに申し出て再入場券を受け取れば、列に並ばずに再入場が可能ですよ。

混雑が不安な場合は、お目当ての演舞の30分ほど前に会場に入っておくと安心です。

YOSAKOIソーラン祭り 大通西8丁目会場 特別観覧席

こちらは、有料で座席指定の「特別観覧席」。フリースペースよりもステージからの距離は離れますが、高い位置に設置されているのでステージ全体を見渡すことができます。

前年度の受賞チームが熱い演舞を見せる「ソーランナイト」や、優勝を決定する「ファイナルステージ」など、人気プログラムをゆっくりと見たいのなら、特別観覧席の利用がおすすめ(2019年開催時は、1,000円・税込~。観覧日・観覧時間によって異なります)。

YOSAKOIソーラン祭り 大通西8丁目会場 特別観覧席

特別観覧席は、全国のコンビニで観覧の前々日まで購入することができます。また当日券も大通公園西8丁目会場内のブースで販売されているので、当日の状況次第で購入するのもよいでしょう。

道庁赤れんが会場

札幌の人気観光地や商業施設も会場となっているのがこの祭りの特徴の1つ。観光やお食事がてら演舞を楽しめる、一石二鳥の会場をご紹介します。

YOSAKOIソーラン祭り 道庁赤レンガ会場

その1つが、「道庁赤れんが会場」。北海道の歴史を讃える赤れんが造りの道庁に、新しい北海道を象徴するYOSAKOIソーランの演舞が見事にマッチしています。大通公園の会場と札幌駅「駅前会場」との中間あたりに位置しており、それぞれへ徒歩5~10分程度とアクセスも良好です。道庁赤れんが館内は祭り期間中も一般に無料公開されており、北海道の歴史をたどる資料展示もこの機会にあわせて見学したいところ。

他にも、国内初のビール工場を改装して造られた趣ある建物が印象的な商業施設「サッポロファクトリー」など、観光と一緒に楽しめる会場が毎年複数用意されています。

平岸会場

大通公園付近を離れた場所には、「地域密着型」と言われる会場も。メインステージとは少し違った地元の熱狂を体感することができます。

YOSAKOIソーラン祭り 平岸会場

「平岸会場」は、平岸を拠点とする強豪チーム「平岸天神」のホームグラウンドとも呼ばれています。大通公園周辺からは、地下鉄「大通」駅より「平岸」駅まで南北線で約6分、駅から会場まで徒歩約1分の距離で、アクセスも良好です。
国道を通行止めにしたパレードは圧巻! たくさんのチームが演舞をしますが、期間中2度登場した平岸天神に送られる声援はひときわ大きく、そしてフレンドリー。地元チームを誇りに思う平岸の熱気が伝わります。

平岸会場のように、「ファイターズ通り会場」「サッポロファクトリー会場」など、大通公園から離れた会場をいくつかめぐる場合には、1日地下鉄が乗り降り自由になる「ドニチカキップ」(520円)がおすすめ。土日祝であれば利用可能で、駅の券売機で購入することができます。

ワオドリスクエア

最後に番外編として、観客が主役の会場をご紹介。たくさんの素敵な演舞を見て踊りたくなってきたら、「ワオドリスクエア」に立ち寄ってみましょう。

YOSAKOIソーラン祭り ワオドリスクエア

大通公園西8丁目会場のすぐ隣に設置された、誰でも飛び込みで踊りに参加できる会場です。出演チームも一緒に踊ってくれるので、初めての方も安心です。

YOSAKOIソーラン祭り ワオドリスクエア

気分を盛り上げる衣装や鳴子も無料で貸し出してもらえます。

楽しく踊るためのポイントは、「まずは鳴子を鳴らしてみる」「楽しくなってきたら、音楽に合わせてリズムを取る」「隣で踊っている人の真似をしてみる」の3つです。動画などで基本的な踊りが配信されていますので、不安な方は予習してからチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

祭りのもう1つのお楽しみ!グルメにも注目

祭りに来たら、演舞はもちろん、グルメ情報も気になるところ。飲食ブースは会場ごとに設置され、北海道グルメを中心としたおいしいものが集結しています。初夏の清々しい気候の中での食事は格別です!

YOSAKOIソーラン祭り 十勝濃厚チーズバーガー

酪農王国・十勝からは、「十勝肉バル」が出店。「十勝濃厚チーズバーガー」(850円・税込)は、肉のうまみが閉じ込められたパティと、トロトロとしたチーズのバランスが良く、十勝の恵みが口いっぱいに広がります。祭り限定ラベルのドリンクと一緒にいただくのがおすすめ。

YOSAKOIソーラン祭り エゾシカの串焼き

北海道ならではの食材にも出会えます。こちらは、「シュハスカリア あぷかの森」の「エゾジカの串焼き」(800円・税込)。エゾシカは、北海道を代表するジビエです。脂肪が少なくあさっりとしており、鉄分がたっぷりと含まれているので、たくさんの会場を駆け巡る日の栄養補給にぴったりの一品。

YOSAKOIソーラン祭り ザンギ

あちこちで見かける「ザンギ」は道民のソウルフードです。釧路市が発祥と言われ、醤油やしょうが、ニンニクなどで濃厚な味付けをした北海道の唐揚げのようなもの。タレがかけられた「ザンタレ」も人気です。

大通会場では、たくさんのお店でザンギが販売されていました。価格は350~400円ほど。お店によって味付けが異なるので、食べ比べてみるのもおすすめです。

強豪「平岸天神」に聞いた、演舞鑑賞のポイントは?

会場の雰囲気はわかっても、およそ280ものチームの中からどの演舞を見に行くべきなのか、どういう点に着目して鑑賞するとより楽しめるのかは、事前に予習をしておきたいところ。YOSAKOIソーラン祭りで行われるコンテストで、最多受賞回数を更新し続ける強豪「平岸天神」の総括・穴澤剛志さんに、チームのこだわりや祭りの楽しみ方をインタビューしました。

YOSAKOIソーラン祭り 平岸天神

平岸天神は、「平岸天神太鼓」として郷土芸能活動をしていたメンバーが、第1回YOSAKOIソーラン祭りを手伝ったことがきっかけとなり、地元有志により結成されました。祭りには「平岸天神」として第2回目から参加。躍動感あふれる独創的な踊りで人々を魅了しています。

YOSAKOIソーラン祭り 平岸天神

――今回参加する人数を教えてください。

スタッフも含め120人が参加します。実際に演舞するのは約80人です。メンバーは平岸近郊のみならず、札幌全域のほか「平岸天神で踊ってみたい」と希望して、週末に東京や名古屋から飛行機でやってきて練習に加わっている人もいます。

YOSAKOIソーラン祭り 平岸天神

――2019年のテーマと見どころを教えてください。

「前へ踏み出せ!前へ」がテーマで、力強さを強調しています。2018年に発生した北海道胆振東部地震からの復興や、2019年に札幌でも行われるラグビーワールドカップなどをイメージして、「前進」を表現した振付を取り入れました。2019年の見どころは、その振付。集合したり、広がったり、波のようにうねる踊りの他、3台の大太鼓を駆使します。太鼓から始まった平岸天神らしい演舞に注目してほしいですね。

YOSAKOIソーラン祭り 平岸天神

――おすすめの会場を教えてください。

私たちのホームタウンでもある「平岸会場」です。地元商店街や連合町内会のバックアップを受けて、国道を使用したパレードを行っています。声援が大きく、お客さんとの一体感を感じます。また、ステージとパレードでは、演舞の見せ方を変えていますので、そうした違いを見比べてもらうと、楽しいと思います。

YOSAKOIソーラン祭り 平岸天神

2019年も見事「準大賞」を勝ち取った平岸天神。「前進」する力強さを表した振付は立体的で、チームの持ち味である大太鼓は躍動感を増幅、さらに色とりどりの衣装が芽吹きや開花をイメージさせるようでした。

振付や演出から、どんなテーマなのだろう? と想像しながらさまざまなチームを見て回ると、より楽しめるはず。ぜひお気に入りのチームを見つけてみてください。


北海道初夏の風物詩、YOSAKOIソーラン祭り。縛りの少ないルールの中で出演者たちは各々の表現を楽しんでいました。祭りの自由な雰囲気は、初心者もきっと歓迎してくれるはずですよ。

また、6月の北海道は雪が解け始める過ごしやすいシーズン。「サッポロビール博物館」や「白い恋人パーク」など札幌市内の観光施設だけでなく、少し足を伸ばして北海道の大自然を体感しに行くのもおすすめです。

 
 

北海道を代表する祭りの熱狂を体感しに、そして6月の札幌を満喫しに、訪れてみてくださいね。

 

 

YOSAKOIソーラン祭り

時期
毎年6月上旬
場所
札幌大通公園を中心に、札幌市内全域
その他詳細
YOSAKOIソーラン祭り公式Webページ(別ウィンドウで開きます)で開催情報を随時公開

 

取材・写真・文/吉田 匡和

※掲載内容は公開時点のものです。ご利用時と異なることがありますのでご了承ください。
※掲載写真は過去開催時のものです。

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