かまくらの中にも入れる!雪国の魅力がつまった秋田・横手の雪まつりへ行こう

かまくらの中にも入れる!雪国の魅力がつまった秋田・横手の雪まつりへ行こう

日本有数の豪雪地帯である秋田県横田市で、毎年2月に開催される「横手の雪まつり」。およそ450年の歴史を持つ小正月の伝統行事「かまくら」は、市内各地に作られた約60基のかまくらに地元の子どもたちが入り、訪れた人たちに甘酒をふるまいます。

また、江戸時代から伝わる「ぼんでん」は、高さ5メートルを超える巨大な梵天(ぼんでん)を地域の若衆が担ぎ、旭岡山神社へ奉納する神事。「ジョヤサ!」の掛け声とともに激しく押し合いながら進む姿は迫力満点です。

幻想的なかまくらや、ダイナミックな梵天を楽しめる、横手の雪まつりの見どころをご紹介します。

 

 

「横手の雪まつり」概要、アクセス

「かまくら」や「ぼんでん」など見どころいっぱい

横手の雪まつり

「横手の雪まつり」は大きく「かまくら」「ぼんでん」「雪の芸術」という3つの行事で構成されていて、毎年2月15・16日に「かまくら」「雪の芸術」、2月16・17日に「ぼんでん」が開催されます。

「かまくら」は水神様をまつる行事で、市内各地に作られたかまくらに入ったり、ライトアップされたかまくらを観賞したりできる雪国ならではのもの。「雪の芸術」は町内会や各団体による雪像が市内のあちこちに出現し、訪れた人たちの目を楽しませてくれます。

「ぼんでん」はまつりのクライマックスと言える神事で、大きな梵天の出来栄えを競い合い、最終日には大勢の若衆がもみ合いながら山頂にある旭岡山神社へと奉納します。

 

横手駅

「横手の雪まつり」が行われる横手市へは、東京からは新幹線と在来線を乗り継いで約4~5時間で到着。大曲駅経由、北上駅経由、新庄駅経由のルートがありますが、大曲駅経由なら秋田新幹線で東京駅から大曲駅まで3時間15分ほど、そこからJR奥羽本線に乗り換え、20分弱で横手駅に着きます。

「横手の雪まつり」の会場は横手市内に点在しており、各会場の詳しい場所などは公式サイトをご参照ください。ここからは、主な会場と見どころをご紹介します。

 

横手市役所本庁舎前

大きなかまくらがお出迎え

かまくら会場の一つである「横手市役所本庁舎前」は、横手駅から徒歩約10分。道路沿いにかまくらが設置されています。これらは「かまくら職人」と呼ばれる地域の職人さんたちが作り上げたもので、大人も余裕で入れる大きさ。街中に並ぶかまくらは風情があります。

 

横手の雪まつり

横手市役所本庁舎には雪まつりの案内所などがあり、一年中かまくらを体感できる「かまくら館」も隣接しています。

 

横手市役所本庁舎

住所
秋田県横手市中央町8-2
アクセス
JR「横手」駅より徒歩約10分
詳細
横手市役所本庁舎

 

きらびやかな梵天が集結する「梵天コンクール」

梵天コンクール

「横手市役所本庁舎前」では、2025年2月16日9:30~12:00頃に「梵天コンクール」が行われます。

梵天とは神霊が降臨するための標示物である依代(よりしろ)で、五穀豊穣や家内安全などさまざまな願いを込めて、毎年2月17日に横手市にある旭岡山神社に奉納されます。さかのぼれば約300年の歴史があると言われ、もともと旧暦1月17日に奉納されていましたが、1952(昭和27)年に新暦2月17日に改められ、2年後の1954(昭和29)年から現在のように雪まつりの行事になりました。

 

梵天コンクール

横手の梵天は約4.3メートルもの竿の先に直径約90センチメートルの円筒形の籠が取り付けられていて、全長5メートル、重量30キログラムを超える大きなもの。奉納前日の2月16日には梵天の出来栄えを競い合う「梵天コンクール」が行われ、各団体の梵天が集結します。

さまざまなデザインで趣向を凝らした頭飾りだけでなく、布や麻糸などでできた「さがり」と呼ばれる装飾や鉢巻も華やかで、冬空の下に梵天がずらりと並んだ様子は壮観です。

 

梵天コンクール
梵天コンクール

番号とともに各梵天が紹介されると、「ジョヤサ!ジョヤサ!」の掛け声とともに審査員の前に梵天が入場。笛やほら貝の音も響き渡り、会場が熱気に包まれます。どの梵天も豪華絢爛で、なかには話題の人物などを模したユニークなものも。子どもたちが参加する「小若ぼんでん」も加わり、結果発表まで大勢の人たちでにぎわいます。

 

横手名物を味わえる「ほっこり横丁」

ほっこり横丁

小腹が空いたら、「梵天コンクール」の会場からすぐ近く、光明寺公園前道路公園に広がる「ほっこり横丁」へ。「横手やきそば」をはじめ、横手や周辺地域の名物グルメが勢ぞろいしています。

 

ほっこり横丁
ほっこり横丁

秋田といえば「きりたんぽ」、そして横手といえば半熟の目玉焼きがのった「横手やきそば」。甘味噌ダレを塗って炙ったきりたんぽは香ばしく、やきそばは麺がモチモチでトロリとした卵の黄身とよく合います。雪まつり見学の合間に、ご当地グルメを堪能できるのはうれしいですね。

 

ほっこり横丁
ほっこり横丁

2024年の雪まつりでは、岩手県釜石のホタテの浜焼きなどもいい匂いを漂わせていました。温かい食べものもあるので、冷えた体を温めたいときにもぜひ立ち寄ってみてください。

 

無料の巡回バスで会場をまわろう

巡回バス
巡回バス

各かまくら会場へは徒歩でも回れますが、無料の巡回バスを利用するのがおすすめです。運行時間はかまくら行事が始まる少し前の17:40頃から21:00頃まで。「市役所角(横手市役所本庁舎前)」「南小(横手南小学校)」「横手公園」「本町(蛇の崎川原)」の4カ所を結んでいます。

 

巡回バス

車内ではスタッフが次の会場の見どころなどを紹介してくれるので、聞き逃さないようにしましょう。

 

旧片野家

貴重な有形文化財を開放

旧片野家住宅

横手南小学校の近くにある「旧片野家」には、2024年3月に国の登録有形文化財に登録された歴史ある住宅があります。横手城下の旧武家地を利用して明治から大正時代にかけて建てられ、5,200平米もの敷地に木造一部2階建ての主屋と3つの蔵を有しています。

 

旧片野家住宅

「旧片野家」は、通常は一般開放されていませんが、1~2月の一般開放デーと雪まつり期間中は敷地内に大きなかまくらを設置し、訪問客を迎えてくれます。かまくらの入口に続くように灯りがライトアップされ、趣のある建物と相まってとても幻想的な雰囲気に。

 

旧片野家住宅

かまくらの中には水神様をまつる神棚が置かれ、家内安全や商売繁盛、五穀豊穣などを祈願しています。敷地内では温かい「あまえこ(甘酒)」もふるまわれ、心も体もほっこり温まる体験ができます。

 

旧片野家住宅

住所
秋田県横手市羽黒町10-20
アクセス
JR「横手」駅より徒歩約20分

 

横手公園

横手城とかまくらの壮大なコラボ

横手公園のかまくら

高台にある「横手公園」には、かつての横手城跡に模擬天守が建てられていて、雄大な天守閣をバックにしたかまくらを撮影することができます。ライトアップされた天守閣と、ほのかな光を放つかまくらの対比が美しい日本の風景を作りだしています。

 

横手公園

地元の子どもたちが「はいってたんせ(入ってください)」と、訪れた人たちを中に迎え入れてくれるのも横手のかまくらの特徴。お餅を焼きながら暖を取る姿は、まさに横手の冬の風物詩です。

 

横手公園

「横手公園」にはかまくらが何基もあり、自由に出入りできるかまくらも。しっかりと踏み固めて作られたかまくらは頑丈で、高さ約3メートル、直径約3.5メートルもの大きさ。入ってみると中は意外と暖かいことに気付きます。雪国以外ではあまり機会のない貴重なかまくら体験を楽しみましょう!

 

横手公園

秋田弁で「おざってたんせ(どうぞおいでください)」と書かれたかわいらしい雪だるまの灯りも。かまくらを楽しんだあとは、横手の街並みを見渡せる高台や、横手城内の展望室(入場券100円)からの眺めを堪能するのもいいですね。

 

横手公園

住所
秋田県横手市城山町4
アクセス
JR「横手」駅よりバス「幸町」下車、徒歩約10分

 

蛇の崎川原

川原にミニかまくらの光がきらめく

蛇の崎川原

“地上の天の川”と呼ばれる、「蛇の崎川原」のミニかまくらも見逃せません。ボランティアによって川原に3,500個ものミニかまくらが作られ、一個一個に火が灯されて美しい光を放っています。橋の上から眺めると、本当に光の天の川のよう。

 

蛇の崎川原

川原に降りて、間近でミニかまくらを見学することもできます。小さなかまくらの中でロウソクの火が揺らめき、おとぎ話のような光景にうっとり。ミニかまくらは「蛇の崎川原」のほか、「横手南小学校」でも見ることができます。

 

蛇の崎川原

住所
秋田県横手市蛇の崎町2
アクセス
JR「横手」駅より徒歩約18分

 

かまくら館

一年中かまくらが体験できる!

かまくら館

日程が合わず、「横手の雪まつり」に参加できなくてもご安心を。横手市役所本庁舎に隣接した「横手市ふれあいセンター かまくら館」の「ファンタジックギャラリー」では、一年中かまくらを体感できます。

 

かまくら館

「ファンタジックギャラリー」のかまくら室は常時マイナス10度に保たれ、横手の雪を使った本物のかまくらを体験できます。昔ながらのはんてんを羽織り、中に入って記念撮影をすることも可能です。毎年8月中旬~9月中旬と2月中旬~下旬の各1週間程度はメンテナンスでお休みになるので、事前に公式サイトを確認しましょう。

 

かまくら館

横手の四季を紹介する映像コーナーや、かまくらの歴史や文化を知ることのできる展示も。雪まつりに参加して、かまくらや横手についてもっと知りたくなった方も、ぜひ訪ねてみてください。売店コーナーもあり、お土産を買うこともできます。

 

横手市ふれあいセンター かまくら館

住所
秋田県横手市中央町8-12
アクセス
JR「横手」駅より徒歩約10分
公式サイト
かまくら館

 

かまくら館

昼は勇ましいぼんてんに圧倒され、夜はかまくらの幻想的な美しさに心を奪われた「横手の雪まつり」。伝統文化を守り、後世に伝えていく地域の人々の思いも感じられます。

2024年は暖冬の影響で雪不足の中での開催となりましたが、2025年は積雪量もばっちり。歩きやすいスノーブーツや長靴、厚手の上着やダウンなど防寒対策をしっかりして、真っ白な雪景色の中のお祭りを目いっぱい楽しみましょう!

 

横手の雪まつり

会場
横手市役所本庁舎前、旧片野家、横手南小学校、横手公園、蛇の崎川原 など
日程
毎年2月15日・16日
公式サイト
「横手の雪まつり」情報

 

取材・文/土田理奈 撮影/岡村智明

 

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