
提供:テレビ静岡
静岡・掛川市に、明治時代からくず湯を作り続けている和菓子の老舗「桂花園(けいかえん)」があります。手づくりにこだわった“もなか”や、一本焼きのカステラも必見です。

いつもの見慣れた街並みも、裏を巡ればそこはまるで別世界。静岡県民必見の裏スポットを巡ります。今回は静岡県西部屈指の城下町、掛川城大手門周辺の東海道を散歩します。
明治創業の歴史ある和菓子店

やってきたのは、明治中期に創業した和菓子の老舗「桂花園」。
「丁葛(ちょうくず)」と書かれた看板が目印です。丁葛は桂花園の看板商品で、葛粉を熱湯で溶く、くず湯です。
ちょうど店頭では「栗蒸し羊羹(1,500円)」用のクリを一つ一つ、手作業でむいているところでした。
薬としても重宝された丁葛
店内には初代から作り続けている丁葛がずらりと並びます。

掛川は秋の七草のひとつ、クズの産地です。ツルは葛布(かっぷ)と呼ばれる布に、根っこはくず湯にするなど、古くから東海道の名物でもあります。

桂花園 女将・中村泰子さん:
昔は今のようにすぐに病院に行けるわけではないので、お薬代わりでもありました
クズの根っこを乾燥させた粉末に、沸騰したアツアツのお湯を加えて作るくず湯。お茶やユズなど、いろいろな種類がありますが、一番スタンダードな「くずゆ(130円)」を飲ませてもらいました。

とろっとろで優しい甘さが広がります。
女将の中村泰子さんによると「白いくず湯でその店の味が分かる」と言われているそうです。
温かくてほっとするので、寒い季節におすすめです。
新しい味も加わって13種類
「くずゆ」「葛汁粉」「くず茶」は初代から続いている商品です。

その他にもアロエ、ウコンなど時代ともに新しいフレーバーが加わって現在13種類。
抹茶味の「くず茶(130円)」は、ふわりと抹茶が香ります。
「ココア葛湯(151円)」はホットチョコレートのような控えめな苦味がありました。

「コラーゲン葛湯(248円)」もあるんですよ!
一口もなか「ゆずっこ」
店の看板「丁葛」を飲んだ後は、店の裏側を見せてもらえることに。
そこでは職人さんが、見慣れない年代物の機械で“もなか”の皮を焼いていました。

桂花園ではもなかの皮も、お店で作るこだわりよう。
これにユズあんを詰めた紅白の一口もなか「ゆずっこ(15個入り540円)」が常連さん御用達の商品です。
1袋540円とお手頃でお年賀にも喜ばれています。

特別に焼きたての皮を試食させてくれました。ほんのり甘くてサクサクです。
桂花園 女将・中村泰子さん:
焼きたての皮は割れやすいので、少し乾かしてからあんを詰めます

皮が乾いたら次はたっぷりあんが詰められていきます。23~24年のキャリアがあるという職人さん、皮の中にぴったり入る量のあんを一発で見極め、次から次へと詰めていました。
桂花園では、秋口に仕入れた大量の本ユズの皮をひとつひとつ薄くむき、あんを錬るごとにすり下ろしたユズの皮を混ぜ込んでいるとのこと。
桂花園 女将・中村泰子さん:
着色料・香料などを一切使わないことで、ユズ本来の味を楽しめるのが自慢です。昔から作り方は本当に変わらないんです

完成したゆずっこは、パリッとした皮の食感と、爽やかなユズあんの香りがマッチ。一口サイズながらぜいたくな気分になる“もなか”でした。
昔ながらの一本焼きカステラ
そしてもう一つの定番商品が「昔かすていら(600円)」です。

卵を感じ甘味がしっかりとした蒸しパンのようなカステラで、牛乳がよく合いそうです。
カステラは大きく焼いたものをカットするのが主流の今、桂花園では昔ながらの製法を守り続けています。ひとつひとつ型に流し込んで焼き上げる一本焼き。キュッとしまった感じに仕上がります。
桂花園 女将・中村泰子さん:
初代はレンガを自分で積んで窯を作り、そこで焼いていたそうです

昔から変わらない製法と年代物の機械、熟練の職人さんが生み出す和菓子とくず湯。長く愛されてきた伝統の味を楽しめる和菓子の老舗でした。
桂花園
- 住所
- 静岡県掛川市仁藤町10-1
- 営業時間
- 9:00~18:00
- 定休日
- 水曜日
- 電話番号
- 0537-22-2607
※この記事は、2024年12月5日にテレビ静岡「テレしずWasabee」で公開された記事を転載したものです。