『東京のお伊勢さま』として親しまれている東京大神宮は、恋愛成就はもちろん仕事や対人関係など、ありとあらゆる縁にご利益があるといわれています。オフィスビルが密集するエリアにあるものの、四季折々の草木に囲まれ、ほっと一息できる雰囲気が魅力。落ち着いた空間に身を置けば、今の自分が本当に求めているものが見えてきそうです。
東京の神社で良縁祈願といえば、ここ!
飯田橋駅から徒歩約5分の場所にある東京大神宮。大通りから小路に入り、奥まった場所にひっそりと建っている景観が印象的です。
交通が普及していなかった江戸時代、一生に一度は伊勢神宮へ参拝することが当時の人たちの憧れでした。その夢を叶えようと伊勢神宮の遥拝殿(ようはいでん)として明治時代に創建されたのが東京大神宮。東京にいながら伊勢神宮を参拝でき、同様のご利益を得ることができます。
伊勢神宮と同じく天照皇大神(あまてらすすめおおかみ)と豊受大神(とようけのおおかみ)に加え、結びの働きを司る造化の三神(ぞうかのさんしん)も祀られ、縁結びにご利益のある神社として有名に。
そのうえ、今でこそ一般的となった神前結婚式を日本で最初に行ったのが東京大神宮でした。今も年間数百組以上の結婚式がこちらで挙げられるほどの人気ぶりで、多くの人たちが訪れます。
お参りの際に注目したいアレコレ
伊勢神宮と同じ神明造(しんめいづくり)という建築様式の社殿は、ヒノキなどの木材を主に使って建てられ、年月と共に色が濃くなり、重厚感と柔らかみが感じられます。
お参りする際は社殿の屋根や賽銭箱にご注目を。装飾部分にはイノシシの目をかたどった猪目(いのめ)という文様が刻まれていて、これがハート型にそっくり。
携帯電話の待ち受けにすると恋愛運がアップするという噂があるほどですが、もともとは厄除けの意味を込めて、多くの寺社仏閣で使われていたもの。まるで『ウォーリーをさがせ!』のようにさり気なく飾られた猪目を見つけると、今まで厳格な印象だった神社も親しみが感じられます。
大切な人にも贈りたくなる、お守り
恋愛成就はもちろんのこと、厄除開運や学業成就、それに家内安全に商売繁盛など東京大神宮のご利益は幅広く、豊富なお守りの種類がそれを物語っています。
縁結びのお守りだけでも、幸せの小槌がついたものや、赤や白の伝統的な袋型をしたものなど数種類ありますが、特に人気なのが鈴蘭守(各700円)。 すずらんには幸福が訪れるという花言葉があり、対になった純白のすずらんがゆらりゆらりと揺れる様も可憐です。3種類あり、真ん中の社紋と紐の色が異なります。
東京大神宮のお守りでユニークなのが、恋愛成就の結び札(700円)。結び札には、お願いごとが実を結びますようにという意味があります。
結び札は真ん中で分かれ、白い紐が結ばれている札には自分の名前を書き、神社に納めます。赤い紐が結ばれている札は祈願の証となります。小指サイズの小ささなのでお財布やポーチにつけられ、お守りとして大切に持っていられます。
季節によって登場するものも
ひな祭りの3月近くと七夕の7月近くに東京大神宮へ参拝すると、形代(かたしろ)を受けることができます(写真の2点はひな祭りの形代/各300円)。形代とは人の形をした和紙に自分の名前や年齢を記入することで自分の穢れが紙に移り、自身が清められるといわれています。
記入例や納め方の説明が付近にありますので、初めてでも分かりやすいのが嬉しいところ。その他にも、お願いごとを記入する願い文は通年授与しています。
ここだから引きたい、おみくじ!
縁結びで有名な場所なだけあり、おみくじの種類も豊富です。授与所で引けるおみくじは縁結びみくじ、おみくじ、恋みくじの3種類。おみくじ箱を振り、竹串に書かれた数字を伝える昔ながらのものです。
縁結びみくじ(200円)はお花のイラストが見える、可愛らしいデザイン。中を開くとほのかにお花の香りが漂い、本や手帳に挟む使い道も。有名な歌人が綴った恋の和歌も記されています。
当たると評判なのが恋みくじ(100円)。相性の良い相手の星座や血液型、方位など事細かく書かれているだけでなく、待ち合わせに関する場所のアドバイスまでも。次の日から色々と意識してドキドキしてしまいそうです。
境内には箱から選ぶおみくじもあります。こちらの恋みくじ(200円)は授与所と同じものですが、女の子のお人形付きです。どのお人形も髪飾りや帯の色、それに表情が微妙に異なりますので、お気に入りの人形を探してみるという楽しみ方も。
淡い色合いが可愛らしい御朱印帳
東京大神宮の御朱印帳は持っているだけで、気持ちがうきうきしてくる明るい色合いが特徴。優しい緑色で気持ちも和む「うぐいす」、桜が全面にあしらわれた「桜」、そして婚礼の舞に登場する雄蝶雌蝶(おちょうめちょう)という対の蝶々をイメージした「蝶」の3種類(各1,000円)です。
御朱印は通年同じデザインです。参拝の証として御朱印を集めていけば、それだけで縁起が良い素敵なアルバムのようになりますね。
絵馬は月替わりも含め4種類
東京大神宮の絵馬掛所は色彩が鮮やか。デザインが3種類(各500円)あり、どれもご利益が期待できそうです。
左のすずらんはおまもり同様、幸福が訪れることを願いに込めたもの。中央はイザナギノミコトとイザナミノミコトが行なった日本最古の結婚の様子を表現。右は願いごとが叶うという縁起の良い紐結び、叶(かのう)結びが描かれています。
絵馬は3種類のほか、月ごとの花が描かれている花祈願絵馬(500円)も。2月は梅、3月は桜と絵馬からも東京大神宮が季節感を大切にしていることが伝わります。
季節ごとに訪れたくなる東京大神宮
堂々とした本殿に、どれにしようか迷う種類豊富なおみくじやお守りなど、東京大神宮では次から次へと好奇心くすぐるものが視界に飛び込んできますが、本殿の横に立つ控えめな御神木もお見逃しなく。樹齢100年以上の椎木は、境内において癒しの空間づくりに必要不可欠な存在です。
東京大神宮を訪れると、『東京』という地名が入っているにもかかわらず、ここが東京であることを忘れてしまいそうになります。
それは入り口に植えられた紅白梅の木に始まり、滝のせせらぎが辺り一帯に流れ、その時期に旬を迎える草木が景色を彩るなど、都会のオアシスのような空間のおかげ。頭上を見上げれば、ぽっかりと空いた空の青さ、陽のあたたかさに自然と目を細めてしまいます。
ちょこんと並べられた木の椅子は、お参りに訪れた人たちが心を落ち着かせられるようにという配慮から。神聖な空気に包まれて自分の気持ちも整えば、今まで見えなかった願いに気づくことも。
そうしたら、そのまま今の気持ちを大切にお参りへ。ありとあらゆる良縁にご利益がある東京大神宮だからこそ、その想いも聞いてくれるはずです。
東京大神宮
- 住所
- 東京都千代田区富士見2-4-1
- 電話番号
- 03-3262-3566
- 受付時間
- 8:00~19:00
- アクセス
- 各線飯田橋駅より徒歩約5分
歴史とモダンさを兼ね揃えた赤城神社
東京大神宮で落ち着いた時間を過ごしたら、次は飯田橋駅方面に向かい、そのまま駅の反対側に続く坂道を上ぼって神楽坂エリアへ向かいましょう。徒歩約16分で小路が張り巡らされた奥ゆかしい町並みに入ります。
そして神楽坂にある赤城神社は、悩める女性にとって心強い場所。祀られている赤城姫命(あかぎひめのみこと)はお参りに訪れた女性の願いごとを叶える神様といわれています。
淡い色に統一された境内やガラス張りの本殿は、現代アートのようなオシャレ感が印象的。本殿を守る狛犬もスフィンクスのような出で立ちです。
こちらには各干支をイメージして編まれたブレスレット(各1,000円)があり、自然に切れるとその思いも叶うといわれています。普段使いにも映えるデザインで、自分の干支にしようか、好きな色の組み合わせにしようか、思わず悩んでしまう可愛さです。
赤城神社
- 住所
- 東京都新宿区赤城元町1-10
- 電話番号
- 03-3260-5071
- 受付時間
- 9:00~17:00
- アクセス
- 東京メトロ東西線神楽坂駅より 徒歩 約1分
参拝後に寄りたい憩いのカフェ
赤城神社の境内には、参拝した後にのんびりできるようカフェも併設。「あかぎカフェ」はランチやディナータイムには本格イタリアンが味わえ、それ以外はケーキやお茶で常に参拝客や近所の人たちで賑わいます。
窓際のテーブル席からは赤城神社の景色を眺められ、夜になればライトアップされて、より神秘的な世界観を見ることができます。
特製お神酒ジェラート(税込450円)は、神社カフェらしいメニュー。酒粕に生姜、生クリームと砂糖から作られたジェラートで、ほのかな甘さに気持ちもほどけます。アルコールが含まれていないので、お子様にもおすすめです。
あかぎカフェ
- 住所
- 東京都新宿区赤城元町1-10 赤城神社内
- 電話番号
- 03-3235-6067
- 営業時間
- 平日10:00~21:30、土曜11:30~21:30、日祝日11:30~17:00
- 定休日
- 毎週火曜、第2月曜
- アクセス
- 東京メトロ東西線神楽坂駅より徒歩約1分
神楽坂が楽しくなるのはここから
空が黄昏始めたら、神楽坂の魅力がいっそう増す頃。小路が集まり、東京の花街だった面影が垣間見え、坂の両側では昔ながらの商店街が活気づきます。気になる方へ、自分の赴くままへ。迷路のような神楽坂では、思いがけない素敵なものに出会えるかもしれません。
東京と聞くと人混みや高層ビルのイメージが浮かびますが、東京大神宮や神楽坂エリアは都会のオアシスのような癒しの雰囲気が漂います。まだ知らない東京を見つけに、訪れてみてはいかがでしょうか。
取材・写真・文/浅井みらの
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