
兵庫県の中東部にあり、神戸や大阪から車で1時間ほどのところに位置する丹波篠山(たんばささやま)。篠山城跡や河原町妻入商家群など、城下町の名残がある街並みをはじめ、丹波の黒豆や栗などの特産品や、瀬戸や信楽焼と並ぶ「日本六古窯(ろっこよう)」のひとつ・丹波焼などがあります。ゆったりとした時が流れる丹波で、お気に入りの丹波焼を探して窯元へ訪れたり、こだわりの黒豆や栗を使ったスイーツをほおばる時間は、まさに究極の「ていねいなくらし」。
そんな丹波篠山で、新しい「お気に入り」が見つかる、おすすめのモデルコースを紹介します。
目次
10:00 大正ロマン館で観光情報を仕入れよう

丹波篠山へは、車なら、神戸や大阪から車で1時間ほど。京都府の観光スポット「天橋立」からも車で約1時間とアクセスが良いため合わせて旅行する人も多いのだとか。
電車の場合は、JR篠山口駅から、バスで約15分で篠山城下町へ。JR大阪駅から一本で行けます。
バスを降りると、周囲には昔ながらの家が立ち並び、気分はまるでタイムスリップしたよう。そんな旅の始まりは「大正ロマン館」から。

「大正ロマン館」は、1923(大正12)年に建てられた元篠山町役場の庁舎をリノベーションした施設です。


丹波といえば、黒豆や栗。そんな特産品をふんだんに使用したさまざまなお店の食品やお土産品が所狭しと並びます。丹波篠山でお土産を買いたい時に必見のスポットです。
ここで気に入ったお店を探して、直接訪れるのも通な楽しみ方。
そのほか、地元食材を使用した丹波篠山ならではの料理がいただけるレストランもあります。
- 営業時間
- 10:00~17:00
- 定休日
- 火曜日、臨時休館日あり
- 住所
- 兵庫県丹波篠山市北新町97
- アクセス
- JR「篠山口」駅より神姫バスで約15分「二階町」下車、徒歩約1分
- 公式サイト
- 大正ロマン館

また、「大正ロマン館」の正面にある「篠山観光案内所」でレンタサイクルをするのもおすすめ。
城下町の端から端まで観光しようとすると、直線距離で1.8キロメートルほどで細い道も多いため、観光には自転車が便利です。
- 電動自転車
- 90分600円、1日(9:00~17:00)1,000円
- 普通自転車
- 90分500円、1日(9:00~17:00)800円
※いずれの自転車も11月~2月までは16:00まで
基本的にレンタルサイクルは大人用で、幼児2人と乗れる自転車は1台しかないので注意。
そのほか、周辺の観光スポットや飲食店、お土産、開催中のイベント情報などを案内してもらえます。手荷物を預けられるコインロッカー(300円・400円、9~17時)もあるので、観光の最初にぜひ立ち寄ってみて。
- 営業時間
- 9:00~17:00
- 定休日
- 年末年始
- 住所
- 兵庫県丹波篠山市北新町97
- アクセス
- JR「篠山口」駅より神姫バスで約15分「二階町」下車、徒歩約1分
- 公式サイト
- 篠山観光案内所
11:00 【定番観光スポット】篠山城大書院を見学

続いて訪れたのは、「大正ロマン館」や「篠山観光案内所」から徒歩約7分のところにある「篠山城大書院」。関ヶ原の戦い後、徳川家康の命によって1609(慶長14)年に築城された篠山城と同時に建てられました。藩主の生活した場所と伝えられ、1944年に火災で焼失しましたが、2000(平成12)年に復元。木村拓哉主演の映画『The LEGEND&BUTTERFLY』など、数々の映画のロケ地でもあり、篠山観光の名所のひとつとなっています。

篠山の街が一望できる天守台は、地元のガイドもおすすめの場所。東には「丹波富士」とも呼ばれる高城(たかぎ)山(八上城跡)が見えます。高城山はその昔、織田信長が丹波を攻めた際に、戦いの舞台となった歴史ある山です。高城山の周囲では「丹波霧」が発生し、雲海のように見えることもあるのだそう。
敷地内には篠山城本丸跡や二の丸御殿跡、天守台、青山神社なども。「篠山城大書院」の中では、展示物やシアター映像を通して篠山城の歴史を学ぶことができます。
- 営業時間
- 9:00~17:00(受付は16:30まで)
- 定休日
- 月曜日、年末年始(12月25日~翌年1月1日)※祝祭日は開館、翌日休館
- 大書院入館料
- 【大人】400円【高・大学生】200円【小・中学生】100円
- 住所
- 兵庫県丹波篠山市北新町2-3
- アクセス
- JR「篠山口」駅より神姫バス「二階町」下車、徒歩約3分
- 公式サイト
- 篠山城大書院
12:00 【ランチ】「JOTETSUAN 條鐵庵」

篠山城大書院周辺を散策した後は、休憩がてらランチタイムに。城の南東、レトロな古民家が立ち並ぶ「河原町妻入商家群」へ向かいます。

今回ランチをいただくのは、「JOTETSUAN 條鐵庵(じょうてつあん)」。丹波篠山の食材を取り入れた、本場のアメリカンフードが楽しめるお店です。

古民家を改装した趣ある外観から一転、中に入ってみると、ヴィンテージの家具やお酒のボトルが並ぶおしゃれな空間が広がっています。

お店の名物は「BBQスペシャルランチプレート」(2,900円)。スペアリブやプルドポーク、ベトナムのサンドイッチ「バインミー」がセットになったボリューミーなランチプレートです。
きなこを加えた飼料を食べて育った宮崎県産の「きなこ豚」を使ったスペアリブは、スパイスに2日間漬け込み、2時間じっくりとローストしたお店自慢の一品。バインミーの中のキュウリやニンジンをはじめ、新鮮な地元産の野菜もふんだんに使われています。

分厚い卵焼き入りの「たまごサンド」(1,300円)もおすすめ。ひと口ふくめば、卵焼きの優しいだしが体に染み渡ります。
夕食には猪鍋など和食を食べる観光客が多い丹波篠山だからこそ、ランチはエネルギッシュなアメリカン料理をいただくのもよいのではないでしょうか。
17:00から22:00まではディナー営業もしています。国内外のカクテルコンペティション受賞経験のあるバーテンダーがいるので、宿で夕食を楽しんだ後の一杯を目当てに訪れてみては。
- 営業時間
- 【ランチ】11:30~14:00【ディナー&バー】17:00〜22:00
- 定休日
- 月曜日
- 住所
- 兵庫県丹波篠山市河原町93-2
- アクセス
- JR「篠山口」駅より神姫バス「本篠山」下車、徒歩約5分
- 公式サイト
- JOTETSUAN 條鐵庵
14:00 【お土産1 陶芸品】ハクトヤ

ランチをたっぷり堪能した後は、お土産を探しに街歩き。「JOTETSUAN 條鐵庵」から徒歩1分ほどのところにある「ハクトヤ」は、器やカトラリーなど手仕事の雑貨を販売する雑貨店です。

店内には丹波焼はもちろん、オーナー自ら世界中で買い付けてきたかわいいプレートやカップなどがずらりと並んでいます。センスのあふれた品々を求め、全国からファンが集まる名店です。

かわいらしいデザインの器たちに、思わず心がときめきます。「この器は何に使おう?」と想像を膨らませながら、これだ!と思う雑貨を、ぜひじっくり探してみて。
- 営業時間
- 【平日】11:00~18:00【土日祝】10:00~18:00
- 定休日
- 木曜日
- 住所
- 兵庫県丹波篠山市河原町121-1
- アクセス
- JR「篠山口」駅より神姫バス「本篠山」下車、徒歩約5分
14:30 【お土産2 黒豆】小田垣商店

丹波篠山の名産といえば黒豆!そこで伺ったのが「小田垣商店」。1734(享保19)年に創業した、丹波篠山を代表する老舗黒豆専門店です。
熟達の職人が厳選した丹波黒大豆と丹波大納言小豆、またこれらを使用したオリジナル商品が並ぶ、歴史の長い老舗店で、地域の方に深く愛されています。

本店ショップでは、工場直送の商品が買えるほか、併設のカフェ「ODAGAKI mamedou 小田垣豆堂」では「小田垣豆堂 黒豆ドリア」(1,500円)や、「ODAGAKI モンブラン」(1,500円)など、丹波篠山が誇る四季折々の食材や、黒豆を使ったこだわりの料理やスイーツがいただけると人気。
※料理やスイーツは季節によって変わります

看板商品の「黒豆しぼり豆200g」(864円)は、大粒の丹波黒大豆を100%使用した薄甘納豆です。黒豆の風味がギュッと詰まった、ほんのり甘い味わいでお茶請けにもぴったり!おしゃれなパッケージの商品も多く、友人や職場の方への手土産にも喜ばれそうです。
- 営業時間
- 【本店ショップ】9:30~17:30
【ODAGAKI mamedou 小田垣豆堂】11:00~17:00(16:00 LO) - 定休日
- 【本店ショップ】年末年始のみ
【ODAGAKI mamedou 小田垣豆堂】木曜日(祝日の場合は翌平日)・年末年始 - 住所
- 兵庫県丹波篠山市立町19
- アクセス
- JR「篠山口」駅より神姫バス「上立町」下車、徒歩約2分
- 公式サイト
- 小田垣商店
15:00 【お土産3 自家焙煎珈琲豆】珈琲豆誠

続いては徒歩約15分ほどの西町に移動。
訪れたのは、西町エリアにある「珈琲豆誠」です。オーナーこだわりの高品質なコーヒーを多数取りそろえた、丹波篠山の魅力が詰まった自家焙煎珈琲豆のお店。
「篠山城下町ホテルNIPPONIA」の宿泊棟1階にあり、古民家を改装した店内には焙煎機が並び、ふわりと香るコーヒーの香りに癒やされます。

ここでは、珈琲豆の購入だけでなく、丹波焼の全窯元から集めた丹波焼のカップの中から、自分のお気に入りを選んでコーヒーがいただけます。ここでお気に入りの作家を見つけてから窯元巡りをするのも楽しそう。

せっかくだから丹波篠山らしいものを飲みたい!という方におすすめなのが、「黒豆100%珈琲」(600円)。

丹波黒豆発祥の地と呼ばれる、丹波篠山の川北で作られた黒豆のみを深入り焙煎して作りあげたコーヒーで、飲んだ瞬間に黒豆の香りが口いっぱいに広がるのが印象的です。ドリップバックも購入できるので、お土産にもぴったり。

「コーヒーや焙煎をもっと身近に感じてもらえたら」との思いから、生豆の選定から試飲までを学べる焙煎体験も実施しています。興味がある方は、ぜひこちらも合わせてチェックしてみてくださいね。
- 営業時間
- 10:00〜17:00
- 定休日
- 火曜日・水曜日
- 住所
- 兵庫県丹波篠山市西町1 篠山城下町ホテルNIPPONIA SAWASIRO棟1F
- アクセス
- JR「篠山口」駅より神姫バス「篠山本町」下車、徒歩すぐ
- 公式サイト
- 珈琲豆誠
16:00 【お土産&カフェ】Breath&Roy

「Breath&Roy」は、丹波焼や各地の職人が手がけた生活雑貨、工芸品など扱う雑貨店と、地元産の小豆や栗を使った料理がいただけるカフェ。


店内のカフェスペースでは、小豆や丹波栗を使用した料理がいただけます。座席はカウンター席と、板敷きの座敷席を用意。特に中庭を望む座敷席は風情があり、ほっと落ち着くひとときが過ごせると人気です。

期間限定(10月~1月ごろ)で、いただけるのが「丹波栗の渋皮煮」(680円)。オーナー自ら丁寧に皮をむき、シロップに漬けた逸品で、あまりの大きさと味の濃厚さに驚かされます。
ほかにも、丹波篠山大納言小豆を使用した「白玉ぜんざい」(980円)や、丹波篠山産大納言小豆あんをサンドした「あん・バタークロワッサン」(460円)など、ここでしか食べられない丹波の味をたっぷりと味わって。


店内には、素敵な器や雑貨がたくさん。のんびりカフェタイムを楽しみながら、大切な人に渡したいお土産を探してみては。
- 営業時間
- 9:00~18:00
- 定休日
- 火曜日
- 住所
- 兵庫県篠山市西町16-1
- アクセス
- JR「篠山口」駅より神姫バス「篠山本町」下車、徒歩約2分
- 公式サイト
- Breath&Roy
より深く丹波焼に触れられるスポットへ
丹波の名産である丹波焼に興味がある方は、丹波焼の窯元が点在する今田エリアに足を伸ばしてみましょう。
「丹波伝統工芸公園 陶の郷」で丹波焼を知る

「丹波焼」とは、日本六古窯といわれる焼きもののひとつ。平安時代末期から鎌倉時代のはじめに生まれた850年以上の歴史がある焼きものです。丹波焼の郷である丹波篠山市今田の立杭エリアには約60軒の窯元があり、人気の観光地となっています。

お気に入りの窯元へ行って、買い付けるのが「通」の楽しみ方ですが、「そもそも、お気に入りってどうやって探すの?」という方も多いのでは。
そんな、丹波焼初心者が行くべきスポットが、「丹波伝統工芸公園 陶の郷(すえのさと) 」。51軒の窯元の作品が、窯元別のブースに分かれている「窯元横丁」で、窯元の作品を気軽に見ることができます。
デザインも色もさまざまな丹波焼の中から「お気に入り」を探して、実際に窯元を訪れてみて。


食事用の器だけでなく、花瓶や置物などもありました。

「丹波伝統工芸公園 陶の郷」には、ほかにも、鎌倉から江戸時代にかけて制作された「古丹波」を展示するミュージアム、陶芸体験教室、レストランなどがあります。
- 営業時間
- 10:00 〜 17:00
- 定休日
- 年末年始(12月29日〜1月1日)、火曜日(祝日は営業)
- 住所
- 兵庫県丹波篠山市今田町上立杭3
- アクセス
- JR「相野」駅より神姫バス「陶の郷前」下車、徒歩すぐ
- 公式サイト
- 丹波伝統工芸公園 陶の郷
昇陽窯で丹波焼体験

工房を併設した店舗には、作家が手がけた作品がずらりと並びます。丹波焼体験ができると聞き、訪れたのは「昇陽窯(しょうようがま)」。1968年に創業した三代続く窯元です。

2階には「リビングギャラリー」と名づけられた多目的スペースがあるほか、渡り廊下に備え付けられたベンチに腰掛けながら、向かい合う山や田園風景などの景色を楽しめるスペースも。

そんな「昇陽窯」では、「楽焼(らくやき)」という陶芸体験ができます。

素焼きされたぐい呑みに筆で釉(くすり)がけをして、窯の中に器を入れ、取り出す作業までを体験。

自分で塗った器を火にかけます。どんな仕上がりになるのかわくわく。

器を焼いている間は、持ち帰り用の桐箱に墨で自分の名前などを書き入れる時間。桐箱に入れると高級感がグッと増し、自分で手掛けたぐい呑みがまるでプロの作品のように見えるかも。大切な人へのプレゼントにもおすすめです。

焼きあがった器を取り出し、冷やします。粗い箇所をやすりにかけたら完成! 「焼きあがるまでどうなるかわからないのが陶芸体験の面白さ」だと窯元の大上さんは話します。頑張って作った世界でひとつの作品は、かけがえのない「お気に入り」になりました。

完成したぐい呑みは、そのまま桐箱に入れて当日中に持ち帰り可能。丹波篠山の地酒を買って、自分の作ったぐい吞みでお酒を楽しむ、なんて過ごし方も素敵です。
- 営業時間
- 9:00~17:00
- 定休日
- 年末年始
- 体験料
- 12,000円
- 住所
- 兵庫県丹波篠山市今田町下立杭8
- アクセス
- JR「相野」駅より神姫バス「バス停試験場前」下車、徒歩約1分
- 公式サイト
- 昇陽窯
豊かな自然に、趣深い街並みが広がる城下町、丹波焼、おいしい食材と見どころいっぱいの丹波篠山。のんびりお気に入りの陶芸品を探しにいくもよし、丹波篠山の食材を使ったおいしいグルメを味わうのもよし。秋は丹波栗や黒豆、冬は牡丹鍋と季節の楽しみ方もたくさん。休日のおでかけ先候補に、ぜひいかがでしょうか。