JR東日本の只見線は「絶景ローカル線ランキング2022」で第1位、香港のサウスチャイナ・モーニングポストで「世界一ロマンティックな鉄道」と取り上げられるなど、国内外から注目を浴びている秘境路線です。
沿線には渓谷や雄大な山々など四季が織りなす風景のほか、古民家など日本の原風景を感じられる景色が広がり、1年を通して多くの人が訪れます。そんな只見線と自然の絶景を見られて、写真も撮影できるおすすめスポットを紹介します。
目次
絶景ローカル線として人気のJR只見線
JR只見線は、福島県会津若松市の「会津若松」駅と新潟県魚沼市の「小出」駅を結ぶ、全長135.2キロメートルの路線。
沿線周辺は日本有数の豪雪地帯であり、冬は福島・新潟県境の国道252号線の六十里越峠(ろくじゅうりごえとうげ)が通行止めになるため、地域の人にとって大切な交通機関です。しかし、2011年7月に新潟・福島豪雨が発生し、第五只見川橋梁から第八只見川橋梁までが損壊しました。
2012年10月に「会津川口」駅から「只見」駅間以外は復旧しましたが、この区間は被害が甚大だったことからバスによる代行運転が行われていました。
その後、只見線を復活したいという地元住民の思いが実を結び、2022年10月に全線の運転が再開。現在は「会津若松」駅から「小出」駅までの約4時間半、車窓から景色を眺めながら楽しめるようになりました。
只見線は秋の紅葉、冬の雪景色、春の桜、夏の緑など、四季を通して幻想的な風景を堪能できることでも有名です。
特に只見川沿いを走る「只見」駅から「会津坂本」駅の間は橋梁が続き、絶景スポットが点在。車内の人も外から撮影する人も楽しめるようにと、各橋梁の手前で汽笛を鳴らし、橋の上では徐行してくれます。
①只見線を代表する絶景「第一只見川橋梁」
只見線の代名詞的撮影スポットなのが、アーチ型鉄橋「第一只見川橋梁」。「会津桧原」駅と「会津西方」駅の間に位置する全長174メートルの橋です。
雄大な渓谷美と自然が生み出す風景に心が奪われます。好天で風のない日には川が水鏡のようになり、只見線の車両と橋が鮮明に映し出され、まさに絶景!
第一只見川橋梁を走る只見線を見るためのビューポイントへは、国道252号沿いの「道の駅 尾瀬街道みしま宿」から歩いていくことが可能です。
以前はロープを伝って登っていくような場所でしたが、現在は遊歩道が整備され、第一只見川橋梁と只見川の絶景を気軽に楽しめます。ビューポイントはB〜Dまで計3カ所設置されていて、遊歩道入口のA地点から階段を上って向かいます。
A地点から階段を十数段上れば、ビューポイントBに到着。「道の駅 尾瀬街道みしま宿」から歩いて約5分です。ここからは、三島町の町花・桐の花に合わせた薄紫色のアーチ型鉄橋と、その上をゆっくり走る只見線を一望できます。
ビューポイントCは、道の駅から徒歩約12分。S字にカーブしながら悠然と流れる只見川、水面に美しい曲線を描く橋を撮影することが可能です。途中の階段は段差が大きいので、スニーカーなど歩きやすい靴がおすすめ。雪の季節は、スノーブーツや滑り止めなどの装備もあると安心です。
上に行くほど眺望が開け、一番上にあるビューポイントDからは第2只見川橋梁も遠くに見られます。
第一只見川橋梁
- 住所
- [ビューポイント]
福島県大沼郡三島町川井 - アクセス
- [道の駅 尾瀬街道みしま宿]
JR「会津宮下」駅よりバスで約5分、「道の駅尾瀬街道みしま宿」下車 - 詳細
- 只見線の絶景ポイント
②幻想的な「霧幻峡の渡し」と「眼鏡橋」
「早戸」駅付近の只見川では、春から秋にかけて情緒ある手こぎ渡し船の「霧幻峡の渡し」が運航されます。
只見川は、6~8月の朝晩や雨の日に霧が発生しやすいことで知られており、只見線の車窓から幻想的な風景に包まれた渡し船を見られることも。
霧幻峡の渡し
- 住所
- [船着場]
福島県大沼郡三島町早戸19 - 営業期間
- 4月中旬~11月中旬(冬季休業)
- 運航時間
- 7:00~日没まで(5日前までの予約制)
- 料金
- 周遊プラン/3名まで6,000円、4名以上は1名あたり1,800円 など
- アクセス
- JR「早戸」駅から徒歩約3分
- 公式サイト
- 霧幻峡の渡し
「霧幻峡の渡し」に乗船中、時間が合えば愛らしい形の「細越拱橋(通称:眼鏡橋)」の上を走る只見線や、「早戸」駅に停車する様子を眺められることも。船上から眺める只見線も、また趣がありますね。
細越拱橋(眼鏡橋)
- 住所
- 福島県大沼郡金山町水沼中久保
- アクセス
- JR「早戸」駅から徒歩約13分
③日本の原風景が美しい「かねやまふれあい広場」
国道252号沿いにある「かねやまふれあい広場」からは、赤い屋根の家が建ち並ぶ大志(おおし)集落と、川沿いを走る只見線を撮影できます。自然の中に人間の暮らしが溶け込む、日本の原風景を感じられるでしょう。
かねやまふれあい広場
- 住所
- 福島県大沼郡金山町川口中山
- アクセス
- JR「会津川口」駅から徒歩約10分
④会津のマッターホルンと収める「第八只見川橋梁」
「会津塩沢」駅から徒歩約4分の場所にある「第八只見川橋梁」は、「会津のマッターホルン」と呼ばれる蒲生岳(がもうだけ)と、青いトラス橋が川面に映えるポイント。
国道252号線の寄岩(よりいわ)橋からカメラを構えると、蒲生岳と第八只見川橋梁を一緒に収めることができます。寄岩橋の両側には数台ずつ駐車できる場所もありますが、歩道はありませんのでご注意ください。
第八只見川橋梁
- 住所
- [ビューポイント(寄岩橋)]
福島県南会津郡只見町十島間々田 - アクセス
- JR「会津塩沢」駅から徒歩約5分
⑤全国でここだけ!「宮下アーチ三兄(橋)弟」
3つのアーチ橋を一度に見られるのは全国でここだけという、「宮下アーチ三兄(橋)弟」。上段が国道252号の新宮下橋、中段が只見線の大谷川橋梁、下段が県道宮下橋です。最寄りの「会津宮下」駅から徒歩約3分の場所に駐車場、そこから徒歩すぐの場所に撮影スポットも整備されています。
宮下アーチ三兄(橋)弟
- 住所
- [ビューポイント]
福島県大沼郡三島町宮下 - アクセス
- JR「会津宮下」駅から徒歩約4分
⑥迫力ある列車が撮れる「第二只見川橋梁」
「会津西方」駅から歩いて数分の場所にある「第二只見川橋梁」。近くにあるビュースポットからは、ほぼ水平な視点で列車と橋を眺めることができ、迫力のある写真や動画を撮れるのが魅力です。
第二只見川橋梁
- 住所
- [ビューポイント]
福島県大沼郡三島町大登 - アクセス
- JR「会津西方」駅から徒歩約7分
⑦トンネルを抜けた列車が見られる「第三只見川橋梁」
トンネルを抜けた只見線が、蛇行した川の上にかかる第三只見川橋梁を渡る姿は、「会津宮下」駅と「早戸」駅間にある国道252号内のスノーシェッド(※雪崩や積雪などから道路を守る防雪施設)から一望できます。ただし、駐車できるスペースは数台分しかなく、一時停車もできないので注意が必要です。
第三只見川橋梁
- 住所
- [ビューポイント]
福島県大沼郡三島町国道252号内 - アクセス
- JR「早戸」駅から車で約4分
⑧橋梁全体を写せる「第四只見川橋梁」
第四只見川橋梁は、「会津水沼」駅と「会津中川」駅の間に架かるトラス橋。国道252号の水沼第二スノーシェッド東出口付近、または水沼橋から橋梁全体を見ることができます。豪深く切り落ちる渓谷と、秋になると錦絵のように彩られた紅葉の山々を楽しめる場所です。
第四只見川橋梁
- 住所
- [ビューポイント]
福島県大沼郡金山町水沼後山977 - アクセス
- JR「会津水沼」駅から徒歩約9分
⑨東北の駅百選に選ばれた「会津川口」駅
JR「会津川口」駅は只見川の雄大な流れに沿い、船着場のように見える駅として「東北の駅百選」にも選ばれた絶景駅。停車時間が長く、プラットフォームで列車を撮影しやすいのも魅力です。この駅始発や終点の列車があること、列車待ち合わせのための停車時間が10〜40分間というダイヤもあることから、ゆっくりと列車と風景を撮影できます。
電車に乗らない人でも入場券を購入すればプラットフォームから撮影できるので、ぜひ立ち寄ってみてください。ただし、マナーをしっかり守って撮影するようにしましょう。
JR会津川口駅
- 住所
- 福島県大沼郡金山町川口新町
- アクセス
- JR「会津若松」駅から只見線で約2時間
⑩東北地方で最も西にある「只見」駅
JR「只見」駅は、背後に要害山(ようがいさん)がそびえる自然に溶け込んだ駅。2013年のダイヤ改正で西隣の「田子倉」駅が廃止されたため、東北地方最西の駅となりました。駅舎とプラットフォームの位置が離れているため、開放的な空間が広がっているのが特徴です。
JR只見駅
- 住所
- 福島県南会津郡只見町只見上ノ原
- アクセス
- JR「会津若松」駅から只見線で約3時間
季節だけでなく、風や太陽、雲の動き、時間などによって、さまざまな景色が見られるのも只見線の魅力。何度も訪れて、さまざまな場所から絶景を眺めつつ、その一瞬をカメラに収めてみてはいかがでしょうか。
JR只見線
- 詳細
- 只見線ポータルサイト
取材・写真・文/北川りさ