旅館甲子園グランプリ「秀花園 湯の花膳」で味わう最高のおもてなし

全国の宿泊施設が予選を勝ち抜き、その施設ならではの魅力やおもてなしをアピールしてトップを目指す「旅館甲子園」。2025年の激戦を制したのが熱海にある「秀花園 湯の花膳」です。3代目の藤間さん、リーダーの斎藤さんにお話を伺うと、耳にするのは独自のおもてなしに関するキーワードの数々でした。

 

アクセス

秀花園 湯の花膳

全国有数の温泉地として常に多くの観光客で賑わう、静岡県の熱海温泉。「秀花園 湯の花膳」は熱海港の目の前に位置し、相模湾を一望できる絶好のロケーションにあります。

 

 

インタビュー「旅館甲子園を終えて」

秀花園 湯の花膳

旅館甲子園に初出場で最高得点を獲得してグランプリに輝いた「秀花園 湯の花膳」。旅館甲子園の決勝戦では、宿泊施設が旅館業の魅力や自館の取り組み、仕事への想いを審査員や観客を前にプレゼンテーションを行います。旅館甲子園での「秀花園 湯の花膳」のプレゼンテーションでよく使われたのが「1分の1の接客」という言葉。これは社長の藤間さんの体験が基になっているそうです。

 

「接客されて不快な気分になった時、よくよく考えてみたら、それは僕を個人としてではなく、その他大勢の1人として見られていたことが原因だと気付いたんです。100名の人がいたらその数と同じ分の個性があるはずです」(藤間さん)

 

秀花園 湯の花膳

「今は日本全国だけでなく海外まで旅行に行けるという時代です。その中でわざわざ熱海を選んでくださり、さらに当館に宿泊してくださる。それは本当にありがたいことですし、既にお客様にとって当館はその他大勢の旅館ではなく、1分の1としてお越しいただいているのですから、それにお応えするのが私たちのおもてなしだと思っています」(藤間さん)

 

秀花園 湯の花膳

秀花園では、お客様一人ひとりにあったおもてなしを実現するために大切にしているのが滞在時のコミュニケーション。23室という限られた客室数だからこそ、仲居さんがしっかりとお客様と会話することで記念日や好みなど些細な情報も把握し、より快適な滞在になるよう皆が自分流のおもてなしを心がけているそうです。

 

秀花園 湯の花膳

仲居の経験もあり、今はスタッフの採用と教育も担う斎藤さん。

「『即決即実行』『常時進化』といった8つの行動指針をスタッフ同士で常日頃から言葉に出しています。この行動指針があることでスタッフの意識も変わりました」(斎藤さん)

 

秀花園 湯の花膳

「簡単に諦めることなく、新たな方法を試してみたり、スタッフ同士で連携したりと、できる可能性を模索しています。お客様には『秀花園 湯の花膳』にご滞在していただいたからこその思い出や特別感をぜひ味わっていただきたいですね」(斎藤さん)

 

チェックイン

秀花園 湯の花膳

その言葉通り、「秀花園 湯の花膳」ならではのあたたかな歓迎は、旅館に到着して早々に感じることができます。熱海駅から無料送迎バスに乗っていると、建物の前にはスタッフ一同がお出迎え。笑顔と「いらっしゃいませ」の言葉に、早くも胸が高鳴ります。

 

秀花園 湯の花膳
秀花園 湯の花膳

館内に一歩足を踏み入れれば天井いっぱいに豪華絢爛な藤棚が。藤の花言葉は「歓迎」。ユリの優美な香りにも包まれ、自分の気持ちが非日常に切り替わるのが感じられます。

 

秀花園 湯の花膳

チェックインは木のぬくもりが漂うロビーにて。ゆったりとくつろげるソファが置かれ、壁には旅館のYouTubeチャンネル「秀TUBE」が映し出されています。スタッフ自らが出演しているので、「あの動画に出ていましたね」とスタッフに声をかけるお客様もいるそう。

 

秀花園 湯の花膳

国産レモン発祥という熱海の歴史を感じられるようウェルカムドリンクにはアイスレモネードを。さっぱりとした風味とほのかな甘みが夏の火照った身体にぴったり。お茶どころ静岡らしく茶香炉からは芳醇な香りが漂い、まるで一服したようなリラックスした気持ちになります。

 

客室

秀花園 湯の花膳
秀花園 湯の花膳

今回は客室棟「花風館」にある露天風呂付き客室「花束の間」へ。広さ10畳のお部屋は、琉球畳のさらりとした感触が懐かしく、思わず寝転びたくなる空間。仲居さんが笑顔で荷物を運んでくださる姿に、旅の疲れが一気に和らぎます。

 

秀花園 湯の花膳

網代張りの壁が光の移り変わりで優しく変化し、傍らにある季節の草花が静謐な美でお部屋を彩ります。

 

秀花園 湯の花膳

居間からはすぐに外に出られるようになっていて、その先には専用の露天風呂が。とくとくと絶え間なく温泉が注がれる御影石の浴槽は1人で浸かるのにぜいたく過ぎる広さですが、ここはぜひ思う存分、自分へのご褒美として堪能したいところです。

 

秀花園 湯の花膳
秀花園 湯の花膳

露天風呂の隣には2人で景色を望めるようにテラス席も用意。熱海の町並みが広がり、改めて海と山に囲まれた風光明媚な土地柄ということに気づくはず。目の前からは大島行きのフェリーが出港し、港町らしい活気が感じられます。

 

秀花園 湯の花膳
秀花園 湯の花膳

露天風呂の隣にはパウダールームがあり、使いやすい大きな鏡に洗顔フォーム、化粧水、乳液も備わっています。

 

秀花園 湯の花膳

露天風呂なしのお部屋は「純和風客室」と呼ばれ、10畳のゆとりある空間になっています。全室がオーシャンビューで、広縁にあるチェアは熱海名物の花火大会を望める絶好の観覧席です。

 

「お部屋からは朝日がきれいですよ」と、仲居さんが教えてくれたひと言が印象的。土地の魅力やおすすめの過ごし方をさりげなく話してくださり、まるで親戚の家に遊びに来たような安心感がありました。

 

湯処

秀花園 湯の花膳

お部屋でひと段落したら、絶景と温泉を一度に満喫できる湯処へ。「花の湯処」と「月の湯処」の2カ所があり、男女入れ替え制です。

 

秀花園 湯の花膳

「花の湯処」は露天風呂と内風呂が隣接し、一体感が感じられる配置。視線の先には水平線と青い空が永遠に続き、まるで空に浮いているような開放感があります。

 

秀花園 湯の花膳

露天風呂近くには信楽焼のつぼ風呂も。温泉が常に注がれ、自分専用のぜいたくを実感できます。

 

秀花園 湯の花膳

一方の「月の湯処」も、周囲の自然にとけこんでいる内風呂は明るく開放感たっぷり。そして、その奥には露天風呂に続く階段「月の小径」があります。

 

秀花園 湯の花膳

展望露天風呂【月下美人】は広々とした屋上に悠々と。視界を遮るものは何もなく、熱海のパノラマ風景を目の当たりにしながら浸かる温泉はまさに格別。時間帯を変えて何度でも訪れたくなる場所です。

 

秀花園 湯の花膳

一人専用のカメ風呂も屋上に。カルシウム・ナトリウム-塩化物温泉の温泉は保温効果が高く、肌への刺激も少ないことから幅広い年代の人が安心して入れます。

 

秀花園 湯の花膳
秀花園 湯の花膳

湯処は夕食の時間を境に入れ替わるので、翌日を待たずに一日で両方のお風呂を堪能できると好評。部屋数も少ないので脱衣所や洗面ブースもあまり混み合わないそうです。

 

夕食

秀花園 湯の花膳

お風呂でリフレッシュしたら、楽しみにしていた夕食の時間。ゆっくりと部屋食でいただきますが、前菜には相模湾で捕れたエビやサザエが登場し、早くも熱海らしい海の幸を味わえます。どの料理も酸味、塩味など五味豊かで食前酒の梅酒とも相性抜群です。

 

秀花園 湯の花膳

ほかにも晩餐におすすめなのが「静岡麦酒(ビール)」。きめ細かい泡が特徴の静岡県限定の樽生ビールは口あたりもなめらか。スタッフ考案の「あたみ だいだいサワー」も熱海で栽培されている、かんきつ類を使ったスペシャルドリンクで、甘さは控えめですっきりとし、ノンアルコールでも注文できます。

 

秀花園 湯の花膳

マグロ、イカ、生しらすなどのお刺身盛り合わせには、お醤油以外にレモン塩、甘口のかき醤油で。一切れがどれもでっぷりと肉厚で、素材が持つ味の濃厚さに驚きます。またニンジンや大根を蝶の形に切り抜いた飾り切りも見事。食卓を華やげようと料理人の心配りが細部にまで宿っています。

 

秀花園 湯の花膳
秀花園 湯の花膳
秀花園 湯の花膳

新鮮な状態で火を点ける「アワビの踊り焼き」は弾力が凄まじく、シンプルな塩とバターで十分のおいしさ。「ふじのくにポークと夏野菜の陶板」は海の幸に留まらない静岡県の豊かな食文化を実感する一品。自家製のところてんも箸休めにぴったりです。

 

伊豆半島に訪れたのなら、名産の金目鯛も外せません。スタンダードコース以上であれば2名に1尾提供される「金目鯛の元祖熱海煮」は、華やかな見た目に加え、その大きさにも感激。艶やかな色味や甘じょっぱいタレの香りが食欲をそそります。さらに、料理の魅力を楽しく説明してくれる仲居のマニサさんのおもてなしが加わり、食卓のひとときがより一層心温まる時間へと変わります。

 

秀花園 湯の花膳
秀花園 湯の花膳

ご飯ものには桜エビごはんが登場し、土瓶蒸しと組み合わせることでお茶漬けにも。出汁の風味が加わることで、満腹でも最後までさらさらと完食してしまう締めの逸品です。

 

秀花園 湯の花膳

終始、仲居さんが様子を見ながら絶妙なタイミングで料理を提供。その度に会話が生まれ、とびきりの笑顔でこちらも和やかな気持ちに。熱海のおすすめスポットや旅館ならではの魅力について語ってくださり、仲居さんの人となりがにじみ出るひととき。

 

秀花園 湯の花膳

気が付けば熱海の町並みがいっそう輝き始める時。最後に女将からの差し入れのおにぎりもいただき、まさに身も心も満たされた状態で眠りにつきます。

 

 

朝食

秀花園 湯の花膳
秀花園 湯の花膳

翌朝、熱海の朝は海から始まります。太陽が水平線から上り、その光を浴びて漁船も次から次へと出航していきます。

 

※客室から朝日は見ることはできません。

 

秀花園 湯の花膳

せっかく早起きしたのなら朝風呂に浸かったり、目覚めのドリンクを味わったり。ロビーではホットコーヒー、アイスコーヒーに加え、マンゴージュースが朝限定で用意されています。

 

秀花園 湯の花膳
秀花園 湯の花膳

朝食も昨夜に引き続き、部屋食を仲居さんが届けてくれます。新鮮な野菜サラダはみずみずしく、アジの干物やがんもどきなど、ご飯のお供になるおかずも豊富。盃サイズのお味噌汁にはたっぷりとアサリが入っていて、旨みが身体にしみ込みます。

 

秀花園 湯の花膳

「朝活セット」は小鉢に盛られた白だし、漬けマグロ、納豆、とろろ、めかぶ、イカをすべて混ぜ合わせるという豪快なメニュー。組み合わせることで栄養価も高まり、朝から元気も湧いてきます。

 

秀花園 湯の花膳
秀花園 湯の花膳

直前に火をつけることで完成する手作り豆腐は、できたてならではのまろやかさに思わずにっこり。さらにアジの干物も温め直すことで、より香ばしさが増します。

 

秀花園 湯の花膳

ゆっくりと朝食もいただけ、気が付けばチェックアウトの時間。旅館を出発する前にロビーに隣接しているショップ「花ざかり」でお土産もチェックしたいところ。

 

秀花園 湯の花膳
秀花園 湯の花膳

伊豆を代表する銘菓や朝食に登場したお漬物など幅広い商品を購入できます。

 

秀花園 湯の花膳

もし時間があれば、「若女将のお散歩マップ」を片手に熱海観光へ。来宮神社やサンビーチなどの名所をイラストと共に達筆な文字で紹介していて、熱海への愛があふれています。

 

秀花園 湯の花膳
秀花園 湯の花膳

帰りも熱海駅まで無料送迎バスを利用できますが、そのお見送りも心が熱くなるもの。別れの挨拶をスタッフがバスに乗り込んで行い、バスが出発すると後ろ姿が見えなくなるまでスタッフたちが手を振り続けてくれます。まさに一期一会が身にしみる瞬間です。

 

秀花園 湯の花膳
秀花園 湯の花膳

「目指すは熱海ナンバー1」という合言葉を持つ「秀花園 湯の花膳」。

「温泉や料理だけでなく、ここで働くあの人に会いに行きたいと思っていただく旅館になることです」(斎藤さん)と話していた通り、滞在中は仲居さんとの会話が印象に残ります。どうやら1分の1の接客はお客様だけでなくスタッフも唯一無二の存在にしてくれるみたいです。仲居さんのおもてなしは、決して形式的ではなく、自然体で心に寄り添ってくれるもの。小さな気遣いが積み重なって「またここに帰ってきたい」と思わせてくれる滞在になりました。

 

秀花園 湯の花膳

住所
静岡県熱海市和田浜南町7-13
アクセス
JR熱海駅よりタクシーで約7分※熱海駅より無料送迎バス有【要予約】
チェックイン
15:00
チェックアウト
10:00
客室数
23室
駐車場
有り 26台 1,000円(税別)/泊
 
取材・撮影・文/浅井 みら野

 

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