日本で唯一の2階建てロープウェイで標高2,156メートルの雲上へ。岐阜県高山市奥飛騨温泉郷にある新穂高ロープウェイに乗って、山頂の展望台に行けば、360度見渡す限り広がる山々を楽しめます。しかも周辺は登山家にも人気の3,000メートル級の山が連なる絶景エリア!登山はしないけれど、美しい山の風景を見たい人にぴったりのスポットです。
新穂高ロープウェイの良さは景色だけではありません。人気のグルメや限定土産、立ち寄り温泉など魅力がいっぱい!今回はそんな新穂高ロープウェイのおすすめスポットをご紹介します。
新穂高ロープウェイの位置と料金、駐車場は?
新穂高ロープウェイは岐阜県北部、富山県や長野県との県境にあります。周囲には、日本で3番目に高い奥穂高岳(3,190メートル)や5番目に高い槍ヶ岳(3,180メートル)をはじめ、涸沢(からさわ)岳(3,110メートル)、北穂高岳(3,106メートル)など3,000メートル級の山々がたくさん!
本格的な登山をしないと見ることができないような山々の景色をロープウェイで気軽に見に行けます。遠くに見えていた山々が、ロープウェイが山を登るにつれ、近づいてくる様子は迫力満点です。
新穂高ロープウェイには、第1ロープウェイと第2ロープウェイがあります。2階建ては第2ロープウェイ。どちらの乗り場にも駐車場があるので第2ロープウェイにだけ乗ることもできます。
料金は2つのロープウェイを往復利用で大人2,900円(13才以上)、小人1,450円(小学生)。第2ロープウェイのみ往復利用で大人2,800円、小人1,400円です。
他にもロープウェイ往復と飲食・買い物チケット1,500円分、温泉の露天風呂入浴がセットになった「さわやかパック」も便利。大人3,900円(5,000円相当)、小人2,900円(3,350円相当)とお得です。
駐車場は各ロープウェイに近いところから、15分程度歩く場所まで様々ですが、遠い方は登山者向けの駐車場。ロープウェイ観光用の駐車料金は、第1ロープウェイ付近は500円~、第2ロープウェイ付近は600円~で利用できます。
混雑時期は第1ロープウェイ付近の駐車場は少ないため、第2ロープウェイ付近の駐車場の方が停めやすくなります。
新穂高ロープウェイへのアクセス
関東から自動車で行く場合は、中央自動車道を利用します。山梨県を抜け、長野自動車道の松本インターで下車。158号線を岐阜方面へ進みます。途中、安房トンネル(普通車770円・全長4,370メートル)を抜け、471号線、475号線を経由して新穂高ロープウェイに到着です。所要時間は、都内から約4時間です。
公共交通機関を利用する場合のアクセスは、JR新宿駅から松本駅まで中央線特急で約2時間40分。松本バスターミナルから平湯バスターミナルで乗り換え、約2時間10分で新穂高に到着です。
新宿から平湯バスターミナル行きのバスは所要約4時間半。平湯バスターミナルからは、新穂高ロープウェイだけでなく上高地や高山行のバスも出ており、バスの要所となっています。交通の便の良い平湯温泉に宿泊して、翌日に足をのばして周辺を観光するのもおすすめです。
気温差は意識しよう!おすすめの服装
新穂高ロープウェイでは、登山の装備は必要ありません。普段観光するような動きやすい格好で十分です。ただ山麓と山頂では6~10度の温度差があるため、体温調整しやすい上着が便利です。また夏場は涼しくても、標高が高いと紫外線が強いため、帽子やサングラスが役立ちます。
11~4月の冬場はダウンジャケットやセーター、マフラー、カイロ、手袋など、しっかりとした寒さ対策を。毛糸の帽子やムートンブーツもおすすめです。
ゴンドラに乗って標高2,000メートルの絶景を見に行こう
絶景空中散歩は新穂高温泉駅から始まります。1階には土産物店とトイレ、コインロッカー、2階にはロープウェイのチケット売り場と乗り場、屋外には岐阜名物が食べられるテイクアウトのお店「奥飛騨」があります。
岐阜名物のグルメといえば飛騨牛です。飛騨牛の串焼き(800円)や飛騨牛にぎり(2貫800円)、飛騨牛おやき(380円)など飛騨牛づくし、肉好きにはたまりません。
飛騨牛の串焼きを注文すると目の前であぶってくれました。お肉はとても柔らかく、肉汁がじゅわっとしみ出るほどジューシー。塩コショウを軽く振ったシンプルなお味は、より肉の旨さを引きたてます。店主の方曰く、お肉の質にもこだわっているとのこと。行きか帰りにぜひ立ち寄ってほしいお店です。
2階のチケット売り場でチケットを購入したら、いよいよ第1ロープウェイに乗車です。新穂高温泉駅から鍋平高原駅まで約4分で結びます。発車は毎時00分と30分で、高低差は188メートル。定員45名をいっきに運びます。
ここはまだ標高も低く、緑が青々と茂っています。遠くに見える山々を眺めていると、これからどんな景色が見えてくるのか、ワクワクしてきます。
鍋平高原駅に着いたら、第2ロープウェイが出るしらかば平駅はすぐ目の前。1分もあれば到着です。
駅と駅の間には、山野草ガーデンがあります。イワカガミやツバメオモトなど、季節によって様々な山野草や高山植物が楽しめます。
しらかば平駅の標高は1,308メートル。駅の1階には美術品や工芸品を展示するギャラリーと、飛騨牛コロッケやカレーパンをテイクアウトできる売店があります。天気の良い日は、大自然の中で景色を眺めながらくつろぐのに最適です。
2階には第2ロープウェイ乗り場と、飛騨牛カレーなどが食べられるレストラン「あるぷす」、クロワッサンが人気のベーカリーショップ「アルプスのパン屋さん」があります。
人気のクロワッサン(180円)は生地がサクサク、中はふわふわで、バターの味がほど良い絶品。他にもチョコクロワッサン(280円)や、あんこクロワッサン(280円)、トマトモッツァレラ(300円)や飛騨牛カレーパン(400円)などの焼き立てパンが食べられます。(注:時期によりメニューが異なる場合あり)
しらかば平駅のすぐ隣にあるのは、新穂高ビジターセンター「山楽館(さんがくかん)」。入場は無料で、1階には新穂高の自然や動物を紹介するコーナーや映像展示があり、地下1階では北アルプスの四季をテーマにした美しい写真を見ることができます。
さらに奥には、源泉かけ流しの露天風呂「神宝乃湯(かみたからのゆ)」があります。2つずつある男女別の露天風呂はとても気持ちよく、自然を見ながらくつろぐことができます。泉質は単純硫黄温泉。神経痛や筋肉痛、冷え性、高血圧、疲労回復に効果があるとされています。
神宝乃湯(新穂高ビジターセンター内)
- 営業時間
- 9:30~15:30(最終受付15:00)※季節による変動あり
- 利用料金
- 大人600円、小人400円
- タオル販売
- フェイスタオル200円、バスタオル400円
※露天風呂のみ。石鹸、シャンプーは利用できません。
目の前の広場には、気軽につかれる無料の足湯もあります。お湯は神宝乃湯と全く同じです。
ハイキングを楽しみたい方には、自然散策路がおすすめ。全長2.3キロメートルのコースで、ビジターセンターで台紙をもらいチェックポイントを巡るスタンプラリーを春から秋に行っています。もちろん、駅周辺を散策するだけでも豊かな自然を楽しめますよ。
しらかば平駅に戻り日本で唯一の2階建てのロープウェイに乗車です。第2ロープウェイは毎時15分と45分の出発。見える景色は変わりませんが、空いていれば1階でも2階でも好きな方に乗ることができます。しらかば平駅から西穂高口駅まで全長2,598メートルを約7分で結びます。
845メートルの標高差を登っていると、まわりの木々がだんだんと少なくなっていき、遠くにあった大きな山々が近づいてきます。
登るにつれ、手前の山に隠れて見えていなかった山々も姿を現します。2019年は4月になっても雪が降ったため、5月後半の取材日にも山に雪がありました。
上方に見えていた山がだんだんと目線の高さになってきます。写真は後方。乗車したしらかば平駅はだいぶ下になり、もう見えません。
まわりの景色に見とれていたら、あっという間に西穂高口駅に到着。目指す展望台は、建物の上の人がたくさんいるところです。
展望台に上ると、どこを見ても絶景という360度の大パノラマ!記念撮影をしたり、望遠鏡を覗いたり、ベンチでゆっくりくつろいだりして過ごせます。写真向かって左寄りの一番高い山は笠ヶ岳(2,898メートル)です。方角でいうと北になります。
南方向を向くと、大正時代に噴火した焼岳(2,455メートル)。その右後ろ白い雪をかぶっているのが乗鞍岳の一部です。
東方向には穂高連峰。一番高い少しとんがったところが日本で3番目に高い奥穂高岳(3,190メートル)、そして写真一番左、遠くにある三角に突き出た山が槍ヶ岳(3,180メートル)です。
この展望台には日本一標高の高いところにある常設ポスト「山びこポスト」があります。西穂高口駅の売店で限定の「はが木」を購入!切手も一緒に購入して500円。種類は写真にある新穂高ロープウェイの絵柄以外にも、おこじょや雷鳥など可愛いモチーフがあり、新穂高観光の記念におすすめです。
展望台の一つ下、4階から外へ出ると、千石園地と呼ばれる散策路があります。取材日はまだ雪が多く散策はできませんでしたが、雪がとければ気軽に散策できる20分程のコース。6月には水芭蕉を見ることができます。また、冬になると雪の回廊が来訪者を楽しませます。
4階にある「軽食喫茶マウントビュー」からもこの絶景!ラーメン(730円)や天ぷらうどん(780円)の他、コーヒー(380円)や生ビール(600円)もあり、一息つくことができます。
3階には山用品や土産物を扱うお店があります。注目はここでしか買えない山頂限定品。菓子類の人気1位が「雲海餅」(15枚入り1,080円/10枚入り700円)です。えごまを使用した餡を餅で包んだもので、柔らかくてほど良い甘さ。人気なのもうなずけます。
一方、食品部門の人気1位がこちらの「いわくらげ」(200g650円)。新穂高独自の味付けをほどこした、ごはんのお供にぴったりの商品です。
新穂高ロープウェイはいっきに登る場合、第1、第2ロープウェイを乗り継いでも所要時間は片道25分程。途中で立ち寄らずに景色を眺めるだけなら半日ほどで楽しめます。当日に天気が心配な場合は、新穂高ロープウェイの公式ホームページや、各ロープウェイ乗り場で見られる山頂のライブ映像を参考にしてみて下さい。
奥飛騨温泉に宿泊して、高山市や上高地へ
宿泊する場合は、新穂高ロープウェイの手前にある奥飛騨温泉郷がおすすめ。奥飛騨温泉郷は平湯温泉、福地温泉、新平湯温泉、栃尾温泉、新穂高温泉の総称で、それぞれ小さな温泉地ですが、泉質も良く自然に囲まれた名湯です。そこから足を伸ばし自然豊かな上高地や、古い町並みで有名な高山市も観光してみてはいかがでしょうか。
新穂高ロープウェイ
- 営業時間
- [のぼり(新穂高温泉発)]8:30~16:00
[くだり(西穂高口発)]8:45~16:45(季節変動あり)
- 運休日
- 無休 ※天候不良・定期点検の場合、運休あり
- 料金(往復)
- 第1・2ロープウェイ連絡乗車券 / 大人(13歳以上)2,900円 小人(小学生)1,450円
- チケット
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取材・撮影・文/まのあつこ