11月頃から本格的な旬を迎える「ふぐ」。肌寒くなると「ふぐ鍋」への憧れも募ります。そして、ふぐで有名な場所といえば、なんといっても山口県は「下関」!
漁場が充実していたこともあり、古来よりふぐの集積地となっていた下関。それにより加工や調理の技術にも磨きがかかり、下関ではふぐ食の文化が身近なものとして定着していきます。現在でもふぐの取り扱い量で日本一を誇り、「日本のふぐは下関に」と表現されるほどの「ふぐの聖地」に。
下関では「福」を呼ぶものとして、ふぐを「ふく」と言うのだとか。美味しいふぐ料理に舌鼓を打ちつつ、福までつくなんて…。 今回は、「ふぐの街」下関を味わいつくす、魅力的なスポットを巡ってみましょう。
海産物がいっぱい!唐戸市場で朝からふぐ三昧!
下関・ふぐ尽くしの旅は、活気あふれる市場めしからスタート!
関門海峡を望むように建てられているのが「唐戸市場」です。下関ICから車では約10分、下関駅からバスでは約10分の場所にあります。中国・四国~九州を中心に、全国で獲れた海産物、農産物などが一挙に集まる西日本最大級の市場です。
国道側の入口を進むと、まず目に入るのがふぐをかたどった巨大なオブジェ。唐戸市場のシンボルマークで、さすが「ふぐの街・下関」と思わせる存在感を放っています。観光客にも人気のスポットのようで、記念撮影をする人がちらほら。
唐戸市場でまず外せないのが、毎週末開催される海鮮市イベント「活き活き馬関街」。金・土曜は午前10時〜午後3時まで、日曜・祝日は午前8時〜午後3時まで開催。その日に水揚げされた新鮮な魚介類を使用した、寿司・丼などが所狭しと並べられます。
この日は海外からの観光客も多く、場内は活気に満ち溢れていました。売り子さんたちはとにかく商売熱心。「そこのお兄ちゃん!」「大トロ今日だけ200円!」「ふくの唐揚げもあるよ!」とあちこちから客引きの声が。つい買いすぎてしまうこと間違いなしです。
ぶりトロやサーモン巻き、赤えびやずわいガニなど様々なネタはもちろん、今回のお目当てでもある高級食材「とらふぐ」も並べられていました。お店の方が次々と追加してくれるので、どれを選んでも新鮮なものばかり。
店舗によって並べられている寿司・丼・揚げ物などの種類に違いがあるのも魅力のひとつ。寿司ネタの種類が豊富だったり、1貫を大ぶりにしていたり、他のネタと組み合わせていたりと、店ごとに特色豊か。複数の店舗を回りながら少しずつ選ぶのがポイントです。
この日はふぐ・タイ・ぶり・サーモンの寿司がどれも1貫200円(税込)。ふぐ白子・ウニでさえ1貫300円(税込)でした。時期や仕入れの状況にもよりますが、大抵の寿司ネタは1貫100円〜300円と驚きのお手軽価格で楽しめます。
大ぶりのふぐの身に、豆腐と玉ねぎ、薬味ネギの入ったシンプルな「ふく汁」は1杯400円(税込)。冷えた体に染み渡ります。また、ふぐを豪快に使った「ふくの一本揚げ」は1本800円(税込)。がっつりと食べ応えのある一品です。
馬関街で購入したものは、唐戸市場2階にあるフードコート、または場外のベンチに座って食べることができます。おすすめは場外。関門海峡や関門橋などを望め、海風を感じながらゆったりと食べられる人気のスポットです。
唐戸市場 活き活き馬関街
- 住所
- 山口県下関市唐戸町5-50
- アクセス
- 中国自動車道「下関」ICより車で約10分
JR「下関」駅よりサンデンバスで約7分「唐戸」バス停下車徒歩約3分
- 営業時間
- 10:00~15:00(金・土曜)8:00~15:00(日・祝日)
昼限定!本格ふぐ鍋をお得に食べる
ふぐ料理と言えば「ふぐ鍋」。ただ、ふぐ鍋は高級料理のイメージがあり、なかなか手が出せないですよね? しかし、さすが下関。本格的な味をリーズナブルにいただける専門店が多数集まっています。その中でもおすすめなのが「ふく専門 やぶれかぶれ本店」。唐戸市場から車では約5分、下関駅から徒歩では約5分の場所にあります。
最大200名程度入れる店内は広々としており、個人での利用から大人数での宴会まで対応可能。店内はテーブルごとに区切られており、落ち着いた雰囲気です。
昼限定の「とらふくちり鍋セット」はなんと3,000円(税別)! 大ぶりなとらふぐの身が8〜10切れほど入るだけでなく、キノコに白菜、水菜に豆腐などの具もたっぷり。さらに、ふぐの身の南蛮漬けや明太子和えなどの日替わり前菜3品までついた、贅沢なふぐ尽くしセットです。
お店の大将に、ふぐ鍋の美味しい食べ方を伺いました。
まずは野菜から鍋に入れていきます。ふぐの身は、食べる前にサッと茹でる程度に留めるのがポイント。茹ですぎは身が固くなり、旨みが逃げるのでNG! 鍋の中でふぐの身がチリチリと縮むように見えることから、ふぐ鍋は別名「てっちり」と呼ばれるようになったとか。
新鮮でうまみあふれるふぐはもちろん、少し酸味を効かせた特製ポン酢が、やぶれかぶれ本店のおいしさのポイントとなっています。
ふぐ鍋を堪能した後は、ふぐのだし汁を使った雑炊で〆を楽しみましょう。ベースの昆布だしにふぐの身、野菜やキノコの旨味が凝縮され、ほっとする一品。ちなみに、雑炊の代わりにふぐの「ヒレ酒」を選ぶこともできます。
ふく専門 やぶれかぶれ本店
- 住所
- 山口県下関市豊前町2-2-5 はぎわらビル1F
- アクセス
- 中国自動車道「下関」ICより車で約15分
JR「下関」駅より徒歩約5分
- 営業時間
- 11:00~14:00(昼)/17:00~21:00(夜)
- 定休日
- 水曜
持ち帰っても楽しいふぐ! お土産探しなら「カモンワーフ」へ
ちょっと一服、下関観光を楽しみたいのなら「カモンワーフ」で決まりです。唐戸市場からは徒歩で約1分、先ほどの「ふく専門 やぶれかぶれ本店」からは車で約5分。飲食店や土産物屋などが集まった、下関の総合商業施設です。
1階では、ふぐをかたどった提灯がお出迎え。丸みを帯びたフォルムが風でゆらゆら揺れる様子は、つい写真に収めたくなります。また、2階には「ふぐのキーホルダー」のクレーンゲームがあり、これまたゲットしたくなる可愛らしさです。
下関の施設なだけあり、館内にはふぐ関連を取り扱う土産物屋が複数件。「ふくの増谷」にはふぐ刺しやふぐ雑炊を始め、簡単に試せるふぐセットが。また、「ふぐかつドック」など、下関ならではのご当地ふぐメニューのテイクアウトもしています。
家族や友人へのお土産を探すのなら「ふくの里」で。デザインが可愛いふぐ関連商品が数多くあり、どれもつい手に取りたくなるものばかり。例えば、「ふくふく チョコサンド」はサクサクのウエハースが小分けにされていてお土産にぴったりです。
ふぐ関連のお土産と言えば「ふくのひれ酒」も外せません。ひれ酒とは、熱燗(日本酒)に軽く炙ったふぐのひれを入れたもの。ほんのりふぐの風味を感じられる酒好きにはたまらない1杯です。お土産として購入すれば簡単に楽しめますよ。
1階の関門海峡側にあるのが「愛の鐘」。ちなみに、「あなたの大切な人のために そしてあなたのために この愛の鐘を(一部省略)」と書かれています。カップルで来たのなら旅行の思い出に、永遠の愛を誓って鳴らしてみては?
カモンワーフ
- 住所
- 山口県下関市唐戸町6-1
- アクセス
- 中国自動車道「下関」ICより車で約10分
JR「下関」駅よりサンデンバスで約7分「唐戸」バス停下車徒歩約3分
- 営業時間
- 店舗によって異なる
- 定休日
- 年中無休
下関に来たならぜひ押さえておきたい!周辺観光スポット
海峡ゆめタワー
全長153mの、下関のランドマークです。頂上にある総ガラス張りの「球型展望フロア」は世界初導入されたもの。関門海峡や巌流島、瀬戸内海まで見渡すことができます。計611灯ものライトを使用したライトアップは、曜日ごとに異なるカラーで点灯。
- 住所
- 山口県下関市豊前田町3-3-1
- アクセス
- 中国自動車道「下関」ICより車で約15分、JR「下関」駅より徒歩約7分
巌流島(船島)
宮本武蔵と佐々木小次郎が決闘したとされる「巌流島(がんりゅうじま)」。正式名称は「船島」といいます。
昭和30年ごろまで島民がいましたが、現在は無人島に。歴史的聖地として石碑や銅像が建てられています。唐戸ターミナルから連絡船で約10分の近さで気軽に行くことができます。
- 住所
- 山口県下関市彦島彦島字船島
- アクセス
- 下関(唐戸ターミナル)より連絡船(関門汽船)で約10分
関門トンネル人道
九州と本州を結ぶ海底トンネル。上部が全長約3,461メートルの車道、下部が徒歩で通行できる780メートルの人道に分けられています。
自転車や原付でも渡れますが、その場合は降りて押して歩くのが原則。約15分ほどで渡り切ります。見どころはトンネルの中ほどにある、福岡県と山口県の県境の標識。珍しい海底の県境として有名です。
- 所在地
- 福岡県北九州市門司区門司
- アクセス
- 中国自動車道「下関」ICより車で約10分
門司港レトロ
約120年前、明治初期に開港した福岡県「門司港(もじこう)」。現在も当時の建築物が残され、「門司港レトロ」として年間200万人以上が訪れる人気の観光地に。下関市内からは関門橋を挟み車で約30分と、ちょっと立ち寄るのにぴったりです。
- 所在地
- 福岡県北九州市門司区港町
- アクセス
- 関門自動車道「門司港」ICより車で約10分
下関(唐戸ターミナル)より連絡船(関門汽船)で約5分
下関といえば、やはり「ふぐ」。そう納得できるほどの充実ぶりが伺えました。定番の「ふぐ鍋」「ふぐ刺し」だけでなく、様々なかたちでふぐを余すところなく味わえるのが魅力的。贅沢なイメージがあるふぐも、下関でなら思い切り食べられそうです。
さらに、周辺には素敵なスポットも多数! これからさらに寒くなり、旬を迎えたふぐがグッと美味しくなる季節。週末のちょっとした旅行に下関を訪れてみてはいかがですか?
取材・撮影・文/堀本一徳
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