瀬戸内の海と太陽と人に育まれたレモンの島町・瀬戸田

スイーツやスナック、ドリンクなど、最近よく目にするようになった「レモン味」。今や塩味や醤油味と並び、人気のフレーバーとして1つのジャンルを確立しています。レモンを使った商品があれこれ出回るなか、国産レモンのブランドとして注目されているのが広島県の「せとだエコレモン」です。広島県はレモンの生産量が日本一で、国内の約6割を生産しています。中でもしまなみ海道の中継地である生口島と高根島にまたがる尾道市瀬戸田町は、国産レモンのシェア約3割を誇ります。
島のいたるところでレモンが育てられ、「レモンの島」と呼ばれる瀬戸田町に生産者の方を訪ね、レモンが生活に息づく島の風景を見に行くことにしました。

尾道から船で約40分。しまなみ海道にあるレモンの島へ

尾道の路上で売られている瀬戸内レモン

今回、瀬戸田には尾道から船を利用して行きました。乗船前にJR尾道駅近くのアーケード街「尾道本通り商店街」を歩いていると、路上で瀬戸内のレモンが販売されているのを発見。この地域にレモンが根付いていることを感じます。

尾道港から瀬戸田港へ向かう連絡船「シトラス号」

JR尾道駅から徒歩約3分の尾道港から瀬戸田港まで約18km、乗船時間約40分(運賃1,200円)のショートトリップです。株式会社瀬戸内クルージングの「シトラス号」には、因島や生口(いくち)島を訪れる国内外のサイクリストの姿もちらほら。船には自転車も積めます。

美しい瀬戸内海の島々に広がるレモン畑

生口島と高根島を結ぶ「高根大橋」

穏やかな瀬戸内の海と島々の美しい光景を眺めながら船に揺られていると、生口島の瀬戸田港に到着。桟橋を渡り、空を見上げると目に飛び込んできたのは生口島と高根(こうね)島を結ぶ、橋長205mの「高根大橋」。オレンジ色の橋はこの町が栽培する柑橘類を表現しています。

瀬戸田町のレモン畑

訪れたレモン畑はこの高根大橋を渡った高根島にあります。
瀬戸田町のレモン畑は生口島と高根島にまたがり、どちらも島の約半分が日当たりの良い急傾斜地という、レモンの栽培に適した地形です。平均気温が15.5℃と温暖で、年間の降水量が比較的少ないことも柑橘類の栽培に大きく貢献しています。

皮ごと食べられる国産レモンへの情熱

高根島でレモン畑を営む片山武志さん

高根島のレモン畑を案内してくださったのは片山武志さん。祖父、父と三代にわたって瀬戸田のレモン畑を守っています。高根島の数カ所にレモン畑を所有されている片山さんはUターンで瀬戸田に戻り、平日はJA三原に勤め、週末はレモン農家を営んでいます。

片山さんが栽培するレモンはリスボン種で、糖度と酸味のバランスがよく、果汁をたっぷり含んでいるのが特徴。瀬戸田のレモンの9割以上がこの種だとか。栽培周期は5月頃に白い花が咲きはじめ、6月頃から実をつけます。

10月頃から収穫が始まるグリーンレモン

10月頃からグリーンレモンが、翌年1月から4月頃にかけてイエローレモンが収穫されます。

訪れた10月下旬のレモン畑では、早摘みのグリーンレモンの収穫が始まっていました。緑色のレモンは香りが高く果汁は少なめで、おなじみの黄色いレモンは香り控えめでジューシーな果汁がたっぷり含まれているのだそう。

レモンの成長を見守る片山さん

「レモンは寒さに弱く、気温が−3℃ぐらいで枯れてしまう木もあります。瀬戸田のレモンは気候と地形のおかげで比較的、太陽をたくさん浴びることができます。その結果、糖度が10度で酸味をほどよく含んだレモンが育ちます」と片山さん。

レモン畑には防風林も植えられ、強風からレモンの木を守ります。木の揺れで実に傷がつくのを防ぎ、なるべく地面に近いところで実がなるように調整しているそうです。

黄緑色の木はまだ若いレモンの木

高根島の高台から見おろすと、ところどころに黄緑色の木々が植えられているのが見えました。「あれがレモンの若い木です。木と木の間が離れ、枝がまっすぐ天に伸びるのが特徴です。見慣れてくると遠目にもよくわかりますよ」。

瀬戸田水道を挟んで向こう岸に見える生口島 瀬戸田水道を挟んで向こう岸に見える生口島

高根島から瀬戸田水道を挟んで生口島があり、しまなみ海道をつなぐ多々羅大橋がはるか向こうに見えます。この風景を眺めていると、瀬戸田のレモンは風光明媚な場所で育っていることがわかります。

グリーンレモンは直径5.5cmくらいになると収穫期を迎える

グリーンレモンは直径5.5cmの輪っかを用い、測りながら摘んでいきます。「出荷する時の規格も考慮していますが、レモンの真ん中あたりの直径がこれくらいに育つと果汁がじゅうぶん絞れる目安になります」と片山さんは話します。

ハート型のレモンも栽培している

レモンの切り口がハート型になる装置を付けたレモンの木も。ハート型のレモンは紅茶に浮かべるために使われるそうです。

皮ごと食べられる「せとだエコレモン」

今ではレモンの産地として知名度がある瀬戸田町ですが、1964年の輸入レモンの自由化により、かつての生産者はレモンの木の伐採を余儀なくされたことがあります。しかしその後、輸入レモンのポストハーベスト農薬が問題となり、安全性を求める声を受けて、瀬戸田では全島をあげてレモンを新植。安全・安心なレモンの生産地として復活をめざしました。

その努力の結果、化学合成農薬と化学肥料の使用量を50%以下に抑えて、防腐剤やワックスを使わない皮ごと食べられる「せとだエコレモン」が産まれました。広島県が特別栽培農産物に認証したそのレモンは加工品に多用されるようになり、栽培方法も全国に広がっていきました。

 

地元の人直伝! レモンを使った料理

日本一のレモンの産地だからこそ、その土地ならではのレモンを使った料理があるはず。片山さんの奥様より、旬のグリーンレモンを使った料理をおそわりました。

鶏肉のレモン煮

鶏肉のレモン煮

表面に焼き目をつけた鶏肉を輪切りにしたレモンとともに圧力鍋に入れ、5分間加圧。圧力が抜けたら蓋を開け、さらに煮汁が半分になるまで煮ます。なお、レモンは輪切りにすることでかさばらず、果汁が出やすくなります。鶏肉の旨みとフレッシュなレモンの酸っぱさが食欲をそそる一品。


サツマイモのレモン煮

サツマイモのレモン煮

カットしたサツマイモと一緒にレモンを煮ます。イエローレモンを使う場合は最初から鍋に入れ、グリーンレモンならサツマイモがほぼ煮えた頃に入れ、香りを引き立てるのがコツ。

また、片山家では自家製の「塩レモン」や「レモン胡椒」が常備されていました。塩レモンはおにぎりを作るときに刻んで塩の代わりに用いたり、野菜とともに浅漬けにすることもあるそうです。

なお、レモンの皮と種をとった青唐辛子に塩を混ぜ合わせて作るレモン胡椒は、ジューシーな豚肉のソテーなどにレモンの風味と唐辛子の辛味が絶妙なバランスで絡む万能調味料として活躍します。

 

レモンの歴史を感じさせる絶景&グルメスポット

瀬戸田の観光スポットは、西の日光といわれる「耕三寺」や瀬戸田ゆかりの日本画家である「平山郁夫美術館」、広大な大理石の庭園「未来心の丘」などが有名ですが、レモンをテーマに瀬戸田を巡るならぜひ訪れたい場所があります。

生口島の垂水地区にある「レモン谷」

それが生口島の垂水地区にある「レモン谷」です。
瀬戸田サンセットビーチを南下し、生口島と大三島をつなぐ多々羅大橋のたもとにあるこのレモン谷は、瀬戸田レモンのルーツとなった場所です。

瀬戸内海に広がるレモン畑と多々羅大橋のコントラストが美しい絶景

レモン谷もまた急傾斜地になっており、レモン畑が広がっています。
「レモン谷」の標識近くの坂道を上っていくとレモン畑と多々羅大橋が目に映ります。歴史あるレモン畑と翼ある白い鳥を思わせる橋長1,480mの多々羅大橋のコントラストは、自然と人工物とが織り成す目に焼き付けたい光景です。

旅の最中、ひと風呂浴びたい! という方は瀬戸田港の目の前にある「レモン風呂の宿 つつ井」へ。

レモン風呂の宿 つつ井

ここでは宿泊客以外でも湯船にレモンを輪切りにして浮かべたレモン風呂に入浴することができます。

つつ井のレモン風呂

季節によって、1日30~50個のレモンを用いるそうです。
見晴らしのよい展望風呂からは、瀬戸田水道の趣ある風景が楽しめます。(入浴料500円・予約不可 ※ビジターの受付は原則として16:00~20:00)

レモン風呂の宿 つつ井

住所
広島県尾道市瀬戸田町瀬戸田216
総部屋数
11室
駐車場
あり(20台・無料)
宿泊料金
おひとり様6,482円~(2名1室利用時・税抜)
※宿泊価格は2018年11月22日時点のおひとり様あたりの最低料金です。ご予約時と異なることがありますので予めご了承ください。

 

レモンをふんだんに使ったグルメを楽しむなら、生口島の耕三寺より徒歩約2分の場所にお店を構えるお食事処わか葉の「レモン鍋」はいかがでしょう。

お食事処 わか葉の「レモン鍋」

魚介類や野菜がたっぷり入り、スライスした瀬戸田産レモンをのせて煮る鍋はさわやかな酸味が出し汁に加わり、具材の旨みを引き立てます。 ※レモン鍋は期間限定(12月中旬~2月末まで/要予約)

お食事処 わか葉

住所
尾道市瀬戸田町瀬戸田520-1
電話番号
0845-27-0170
営業時間
11:00~15:00/17:00~21:30(L.O)
定休日
火曜日(祝日の場合は営業)

 

瀬戸田のレモンを使ったおいしいものをお土産に

瀬戸田や尾道のお土産屋さんで購入できるレモンを用いた商品を紹介します。

レモンの果皮まで使った香り高いスイーツ

島ごころ

島ごころ

レモンケーキの生地に練り込んでいるのは瀬戸田産レモンを丸ごと使ったジャム。 口に入れた瞬間に爽やかな香りが鼻先をくすぐります。ほどよい甘みは和やかな気分に。(1個250円)

島ごころSETODA(瀬戸田本店)
住所:広島県尾道市瀬戸田町沢209-32
営業時間:10:00〜17:00
定休日:無休(1/1除く・臨時休業あり)


レモン風味のやわらかい食感がクセになる!?

やわらかいか天 瀬戸内塩レモン味

やわらかいか天 瀬戸内塩レモン味

イカに衣をつけて揚げ、レモン風味をプラスしたソフトな食感のイカ天。お酒をすすませる肴としても、炒め物に加えてもおいしくいただけます。(砂田食品/324円)


JA三原と尾道市立大学の産学協同プロジェクト商品

がじゅり!

がじゅり!

レモンの皮を食べやすく仕上げたレモンピール。レモンの酸味と苦味がクセになりそう。 瀬戸田産ネーブルオレンジを使ったバージョンも販売されています。(JA三原/205円)


食材の風味を引き立てるレモン調味料

「塩レモン」「黒胡椒入り塩レモン」「旨塩ポン酢」

「塩レモン」「黒胡椒入り塩レモン」「旨塩ポン酢」

料理にレモン風味を添えられる、レモン調味料もお土産に人気です。瀬戸田産のエコレモンと瀬戸内産の旨塩で作った「塩レモン」(中央/130ml・450円)、塩レモンに黒胡椒をブレンドした「黒胡椒入り塩レモン 」(左/130ml・450円)、レモンと瀬戸の海水塩と室戸の海洋深層水塩を加えた「旨塩ぽん酢」(右/110ml・360円)※いずれも販売元はJA三原


ホットでもアイスでもOK

ふるさとレモン

ふるさとレモン

レモンの果肉と皮を丸ごと使った粉末タイプのレモン飲料。1杯にビタミンCが570mgも含まれています。清涼感のある味わいを楽しんで。(JA三原/1袋6杯分・216円)

なお、上記の製品は広島空港内の各売店でも購入可能です。

四季折々にレモンの魅力が異なるレモンの島・瀬戸田

瀬戸田町のレモンは初夏になると白い花が咲き、柑橘類の花と合わさって、島中が甘酸っぱい香りにあふれます。また、10月~12月には緑色の実が、12月頃からは実が黄色に色づくなど、四季折々にレモンの魅力が異なります。

古寺やレトロな路地など、昔ながらの情緒ある町並みを残しながらもお洒落なカフェやレストラン、雑貨店などが点在する尾道。そして、本州から四国までをつなぐ海の道「瀬戸内しまなみ海道」。広島観光の代表的なスポットから少し寄り道して、「レモンの島・瀬戸田」へ足を伸ばしてみませんか?

取材・写真・文/御田けいこ 取材協力/JA三原

※掲載内容は公開時点のものです。ご利用時と異なることがありますのでご利用の際は公式ホームページなどでご確認ください。

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