宮城県仙台市で1986年から続くイルミネーションイベント「SENDAI光のページェント」。毎年12月に仙台市の定禅寺通(じょうぜんじどおり)のケヤキ並木を60万球もの電球でライトアップし、訪れる多くの人たちを魅了します。そんな「SENDAI光のページェント」の様子をレポートします。
SENDAI光のページェントの魅力
SENDAI光のページェントは、2019年12月で34回目を迎えました。2019年のテーマは「~Always Be Happy!~」会場に足を運ぶたくさんの人々に幸せになってほしいという想いが込められています。
地上に舞い降りた「天の川」のような光の祭典
毎年12月になると「杜の都」仙台は「光の都」に姿を変えます。舞台となるのは、街のメインストリートの一つ、定禅寺通(じょうぜんじどおり)。
道の両脇に立ち並ぶ約160本ものケヤキ並木に、60万球とも言われるLEDの電飾が灯され、大通りが輝きに満ちた、光の舞台へ変化します。
イルミネーションの起点は、地下鉄南北線の勾当台(こうとうだい)公園駅のすぐ近く。地下鉄でこちらの駅まで行っても良いですし、仙台駅から徒歩15分ほどなのでクリスマスムードで華やぐ街の様子を眺めながら散策するのも楽しいです。
こちらはさまざまなイベントが行われる勾当台公園のシンボルツリー。
高さ30mのヒマラヤ杉は、約5万球ものLEDの電飾でデコレーションされて、とてもきらびやかなクリスマスツリーに!
定禅寺通を彩るイルミネーションは、街をオレンジ色の光で満たします。心にも明かりを灯して温めてくれるよう。
大通りの中央分離帯は遊歩道になっていて、光に照らされて行き交う人々が。
大通りの両脇のケヤキの街路樹はもちろん、中央の遊歩道の左右両側のケヤキ並木もイルミネーションで飾られます。この4列の織り成すイルミネーションが、温かみのある光の回廊を作り出しているようです。
SENDAI光のページェントはイベント盛りだくさん!
「~Always Be Happy!~」、いつも幸せでいるようにとの願いが込められた今回の光のページェント。 足を運んだ人々が幸せな笑顔に包まれるイベントが盛りだくさんです。
定禅寺通では、クリスマス衣装に身を包んだたくさんの市民・マーチングバンドの方々による盛大なパレード「サンタの森の物語」や、イルミネーションを見ながら生のピアノの演奏が聴ける幻想的なコンサートなど様々なイベントが催されます。
毎年、勾当台公園市民広場に設営されるアイスリンク「スターライトリンク」も注目イベントの一つ。貸スケート靴もあるので、手ぶらで来ていても飛び入りでスケートをすることができます。
大人から子どもまでスケートリンクを楽しむ世代はさまざま。ちなみに仙台は日本のフィギュアスケート発祥の地、羽生結弦選手も仙台市出身なのですよ。
スターライトリンク
- 場所
- 勾当台公園市民広場
- 開催期間
- 12月6日~12月25日
- 時間
- [平日]15:00~21:00[土日祝]12:00~21:00
- リンク協力金
- 900円(※貸靴料金含む。靴持参でも利用者すべてに発生)
勾当台公園の一角でジャグリングを披露するパフォーマーにも出会えます。実はこちら「まちくるパフォーマーズ仙台」ライセンスを持ったプロの大道芸人さんが、毎日大道芸を披露します。
今回、勾当台公園にポケモンの人気のキャラクター「ラプラス」のバルーンも発見!2019年7月に「みやぎ応援ポケモン」に任命されたラプラスによって東北全体の子どもたちを笑顔にしていく活動なのだそう。日本初の約6mのラプラス・巨大バルーンがライトアップされていました。
あまりの可愛さに思わず悶絶してしまったピカチュウサンタたち!ポケモンクリスマスツリーの前に集合して、参加者との記念撮影できるイベントもありました。
夜景とともにディナーやお酒を楽しもう
大人同士で訪れたらビールで乾杯!こちらは勾当台公園内に期間限定でオープンしているサッポロの特設テント「YEBISU BAR(ヱビスバー)」です。
広々としたテントに入ってみると、立ち飲み形式になっています。大きなツリーも飾られていて、クリスマス気分を盛り上げてくれます。
YEBISU BAR(ヱビスバー)
- 開催期間
- 12月6日~25日
- 時間
- [平日]16:00~22:00[土・日・祝]15:00~22:00
もう一つの特設テント、キリンビールが期間限定でオープンする「キリンビール仙台工場一番搾りキッチン」でのワンシーン。こちらも立ち飲みスタイルですが、ライブが楽しめる特設ステージもあります(12月6~25日の17:00 ~22:00 ※土・日 15:00~22:00)。
地元仙台工場が提供するのは、タップから注ぐ一番搾りの生ビール(500円)です。
おつまみは、蒸しホヤ(左)、三陸ワカメの唐揚げ(中央)、しいたけのペペロンチーノ(右)(各400円)をオーダー。隣にある人気カフェRoute277s'Cafeとのコラボメニューで、宮城ならではの旬の食材を楽しめます。
キリンビール仙台工場 一番搾りキッチン
- 開催期間
- 12月6日~25日
- 時間
- [平日]17:00~22:00[土・日]15:00~22:00
クリスマスマーケット風の屋台も
キリンの特設テントのちょっと先に、屋台が立ち並ぶコーナーもあります。山小屋(フュッテ)風の外観は、ドイツでは一般的な屋台スタイル。クリスマス仕様にカラフルに飾り付けられています。
こちらは山小屋風屋台のラーメン屋さん。イルミネーション鑑賞をして体が冷えてしまった後は特製味噌ラーメンを食べてあたたまりたいですね。
ドイツではポピュラーなホットワイン、グリューワインを販売している屋台も。飲むと身体が芯から温まると言われる、ドイツでは欠かせない冬の風物詩です。
一番人気のドリンクは、イチゴが入った「王様のホットワイン」(800円)。
シナモンやクローブといったスパイスを配合して、ちょっぴりスパイシーながらもほんのりとした甘さの飲みやすいワインです。
人々の心にも光を灯す「スターライト・ウインク」
スターライト・ウインク点灯前
イベント期間中、定禅寺通では毎日18:00~、19:00~、20:00~の計3回「スターライト・ウインク」というイベントが開催されています。
スターライト・ウインク点灯後
スターライト・ウインクでは、定禅寺通のイルミネーションが一旦全部消えて、1分後に再度一斉に点灯します。
写真の通り、点灯前と点灯後を比べてみれば一目瞭然。暗くなった定禅寺通に明かりが一斉に再点灯されると、見ている人の心にも、明るい希望がフワッと灯るような雰囲気を感じました。
定禅寺通に建つビルのガラス面にもライトが反射して、より温かみのある明るさを演出してくれます。
スマートフォン片手に写真を撮る人たちの姿も多く見られました。「ヒカペデビューなんです」というお二人。地元では「光のページェント」は「ヒカペ」と呼ぶそうです。
見つけると幸せになれるピンクの電球とは?
きらびやかに輝くオレンジの電飾の中に、一つだけピンクの電飾があり、それを見つけると幸運が訪れるとか。
「ピンクの電球はカップルで来ているときに見つけると別れるというジンクスがあるのですが、滅多に見つかりません(笑)だからカップルで来ても大丈夫ですよ」と話してくれました。
イルミネーションは16世紀にドイツでもみの木に明かりを灯したことが起源と言われています。冬の夜が長いドイツなど高緯度の地方では、クリスマスシーズンは街全体を明るくするためにイルミネーションで彩るイベントへと発展したようです。
ベルリン発祥のベロタクシー(人力の観光タクシー)も走っていました!
「スターライト~」と入ったイベント名は、光のページェントを「天の川」に見立ててなのだそう。夏の仙台には、天の川に想いを馳せる有名な「仙台七夕まつり」がありますが、その天の川が姿を変えて地上に降臨したのが冬のイルミネーションです。
通りを散策していると募金箱に目が留まります。善意の募金や協賛・協力があって成り立っている光のページェント。
これからも温かい光を届けようと、実行委員会やユース部会をはじめ、社会人ボランティアや学生さんが集って募金の声かけを行っているのです。
学生ボランティアが道案内などをしてくれる「おもてなしステーション」もあります。また、こちらでは「ひかりんぐ」(300円)という光る腕輪も販売しています。ひかりんぐを付ければ、光のページェントの一部になって楽しむことができちゃいます。
こちらは仙台市内の観光名所を走る観光バス「るーぷる仙台」。イベント期間中は、夜の定禅寺通を走る特別便も運行しています。まるで光のトンネルをくぐり抜けるかのようです。
テレビ番組の撮影をしている方たちに遭遇しました。SENDAI光のページェントのイルミネーション通りはとっても賑やかです。
記念撮影してその場でプリントしてくれるコーナーもあります。ご家族や友人で記念撮影をしてみてはいかがでしょうか?
2019年のテーマは「~Always Be Happy!~」。東北では2011年に震災があり、2019年も台風被害がありました。それでも光のページェントは、暗闇に灯った光のように、人々の心に灯った支援という光りに支えられて、今年も34回目の開催を迎えることができたのです。
仙台で観光を楽しみ、光のページェントを見に行くこと自体が地元の支援にも繋がっているようでした。そんな背景を知って改めて光を眺めてみると、心にも希望の光が灯る想いがしました。
温かい光で心を灯してくれるイルミネーションイベントに、ぜひ足を運んでみませんか。
SENDAI光のページェント
- 開催期間
- 12月6日~12月31日
- 点灯時間
- 17:30~22:00
- 実施区間
- 定禅寺通(東二番丁通~市民会館前)
- アクセス
- JR仙台駅から地下鉄南北線乗り換えて、勾当台(こうとうだい)公園駅下車後すぐ
- 料金
- 入場無料
写真・取材・文/久保田耕司
※掲載写真は過去開催時のものです。