旅の楽しみ方

世界遺産へ!百舌鳥・古市古墳群と堺を知ろう

大阪市内から電車で約30分。世界遺産登録間近の百舌鳥・古市(もず・ふるいち)古墳群と、古くから商業で発展した都市・堺で歴史と伝統文化に出会う旅。

大阪市内から電車で約30分。世界遺産登録間近の百舌鳥・古市(もず・ふるいち)古墳群と、古くから商業で発展した都市・堺で歴史と伝統文化に出会う旅。

「ものの始まりなんでも堺」。かつて貿易都市として栄え、数々の文化の発祥の地としても知られる大阪府堺市。堺といえば、1600年の時を経て今も数多くの古墳が残る地でもあります。 誰もが歴史の教科書で一度は見た世界最大の前方後円墳「仁徳天皇陵古墳」も、堺市にある「百舌鳥(もず)古墳群」の中の一つになります。

2018年、国が藤井寺市、羽曳野市にまたがる古市古墳群と合わせた「百舌鳥・古市古墳群」をユネスコの世界文化遺産に推薦。平成22(2010)年に世界遺産暫定一覧表に名を連ねてから10年近くが過ぎ、ついに令和元(2019)年6月に始まるユネスコの世界遺産委員会で世界遺産に正式決定される見通しとなりました!
天皇や皇族が葬られた陵墓が世界遺産になるのは初めて。堺の町でも令和最初となる悲願の世界遺産登録に盛り上がりを見せています。

ゆっくり徒歩?小回りのきくレンタサイクル?

堺観光レンタサイクル さかいコミュニティサイクル

大阪の中心地から電車で約30分の堺。今回ご紹介するスポットは、すべて5km圏内のため、脚力に自信のある方は歩いても回れます。おすすめは、小回りのきくレンタサイクル。 

堺観光コンベンション協会が運営する「堺観光レンタサイクル」は、電動アシスト自転車と普通自転車があり、無料でヘルメットとバッグが借りられます。貸出場所は、南海電鉄・堺駅ビル1階の堺駅観光案内所のほか2カ所。返却場所の変更は可能です。

そのほか、堺市営の「さかいコミュニティサイクル」は、市内の主要駅など8カ所の専用駐輪場であれば、どこでも貸出・返却OK。利用時間や料金などを比較して、どこで借りて返すのがベストか事前に決めておくと現地でスムーズでしょう。

さかいコミュニティサイクル

料金
1日利用:普通自転車300円、電動アシスト自転車400円
利用時間
貸出日の翌日10:00まで ※電動アシスト自転車は7:00~20:00
詳細
こちら(外部サイト)

堺観光レンタサイクル

料金
1日利用:普通自転車300円、電動アシスト自転車500円
利用時間
9:00~16:30 ※自転車博物館サイクルセンターは10:00~16:30
詳細
こちら(外部サイト)

まずは堺を高さ80mから楽しもう!

堺市役所の展望ロビー

南海高野線の堺東駅から徒歩約5分。堺市役所の最上階である21階まで上れば、町を360度見渡せる展望ロビーがあります。仁徳天皇陵古墳はもちろん、西側には明石海峡大橋、南側には関西国際空港が見えることも。有名スポットを方角から推測して探してみるのも楽しいです。

堺市役所の展望ロビー 景色

古墳というのは日本列島で3世紀中頃から8世紀初頭に造られた土を盛った墳丘を持つお墓。当時の身分の高い人が葬られていました。
その中でも5世紀中頃に約20年をかけて築造されたとされる日本最大の前方後円墳が「仁徳天皇陵古墳」。木々に覆われて、こんもりとしたところがそれです。堺観光ボランティアの方によると、冬は空気が澄んでいて、景色が比較的美しく見えるなど、季節によって見え方に変化があるそう。

堺市役所の展望ロビー 喫茶店

ロビーには喫茶店も併設されており、古墳にちなんだカレーやカフェラテなどもあるので要チェックです。

堺市役所21階展望ロビー 

住所 
大阪府堺市堺区南瓦町3-1
アクセス
南海高野線「堺東駅」より徒歩約5分
開館時間
9:00~21:00
休館日
年中無休
観覧料
無料

古墳の豆知識はここで!堺の文化・歴史を学ぶ

堺市博物館

堺市役所から徒歩約20分のところに、季節の花々が咲き誇り、木々に囲まれた大仙公園があります。景色を楽しみつつ、ゆっくりと歩みを進めると「堺市博物館」に到着します。
堺市制90周年を記念し、昭和55(1980)年に開設された同博物館。堺市の歴史や文化を伝える施設として、市民や観光客に長く愛されています。  

仁徳天皇陵古墳の拝所前から徒歩約5分なので、百舌鳥・古市古墳群を巡る前に訪れるのがおすすめ。成り立ちや歴史を知ることができ、古墳見学をより楽しむことができます。

堺市博物館 副葬品

堺市博物館では、古墳とともに埋葬された副葬品である鉄製のよろいかぶとなどを展示。
朝鮮半島から鉄や馬などがもたらされたことで進んだ、日本の文明化が学べます。 

堺市博物館 火縄銃

古墳時代は、古墳を作ることでさらに土木技術が進み、日本が豊かになっていった時でもあります。鉄鉾(てつほこ)などから、戦国時代に重宝された火縄銃、そして現在では外国人にも人気の包丁…。商売人たちが、技術を昇華させ、時代に合ったものを作り出していた、知恵や才覚に感動を覚えます。

堺市博物館 甲冑体験

体験コーナーでは、5世紀の仁徳天皇陵古墳から出土した甲冑を再現したものをかぶれます。かぶとが2.4kg、よろいが4.5kgなので、気合を入れて挑戦しましょう。SNS映え間違いなしなので、撮影は忘れずに。

堺市博物館 無料ゾーン VRツアー

無料ゾーンが充実しているのもうれしいところ。平成25(2013)年度にオープンした、百舌鳥古墳群シアターでは、約200インチの大型スクリーンで百舌鳥古墳群をはるか上空から見た映像を鑑賞できます。

少しスリリングに仁徳天皇陵古墳を体感したいならVR(バーチャルリアリティ)ツアーへ。地上から300m上昇し、仁徳天皇陵周辺をパノラマ映像で楽しめます。約1600年前の古墳建造当時の様子なども、CG映像で再現しています。視界いっぱいに広がる景色は本当に空を飛んでいるようで、記憶に残る体験になるでしょう。 

堺市博物館

住所 
大阪府堺市堺区百舌鳥夕雲町2 大仙公園内 
アクセス
JR阪和線「百舌鳥駅」より徒歩約10分 
開館時間
9:00~17:15(入館は16:30まで)
休館日
月曜日(祝・休日は開館)、年末年始
観覧料
一般200円、高校生・大学生100円、小学生・中学生50円 
※特別展体験ツアーは別途料金設定あり。VR体験ツアーは常設展示観覧を含み、中学生以上の大人800円、7才以上の小学生500円

百舌鳥・古市古墳群の魅力をボランティアガイドが解説

NPO法人堺観光ボランティア協会

堺市の観光名所を訪ねると、黄色のベストを着た方たちを見かけます。 例えば、堺市役所の展望ロビーでも、さりげなく「あそこに見えるのが、仁徳天皇陵古墳で…」と説明してくれます。この方たちは、NPO法人堺観光ボランティア協会の方々。20年以上前から堺市の観光スポットで観光客たちに案内をしています。

現在、実に約250人のガイドが所属。2カ月ほどの入門講座で歴史や文化を学んだガイドが、 毎日市内12カ所で堺の魅力をPRしています(年末年始、年に2日不定休)  。
定点案内のほかにも、事前予約すれば、モデルコースや観光客のオリジナルコースのツアーガイドもお願いできます(一部有料)。 

ガイドの西川史朗さんに聞いたおすすめ百舌鳥古墳

「前方後円墳から、円墳、四角形の方墳まで、ここでは色々な形の古墳が見られるんです。古墳群の中でも、なかなか珍しいですね」と話してくれたのはガイド歴10年以上の西川さん。様々な大きさの古墳があり、葬られている人の権力の象徴でもあると言います。
百舌鳥・古市古墳群には、日本の古墳の大きさでトップ10のうちの5つが含まれているそう。平成22(2010)年に、日本の世界遺産暫定リストに載ってから、ニュースで報道されるたびに注目度が上がり、訪れる人が増えていると言います。

古墳の形状などに違いがあっても、地上から見るとなかなか実感しにくいのも事実。古墳見学する際は、どういう部分に注目したらよいのでしょうか?西川さんがお気に入りの古墳を3つ紹介してもらいました。 

1番はやっぱり「仁徳天皇陵古墳」

仁徳天皇陵
提供:堺市

世界最大の「仁徳天皇陵」は、別名「大仙陵(だいせんりょう)」と呼ばれます。これはその昔、仁徳天皇陵が大きな山に見えたことからだと言われているそう。
「下から見ても、その雄大さは一目瞭然。春は桜並木がきれいですし、秋は紅葉も美しい。古墳の周囲2.85kmは散策路になっていますから、ゆっくりと回ってみるのもおすすめですよ」(西川さん)

タヌキを見られるかも!?「いたすけ古墳」

いたすけ古墳
提供:堺市

仁徳天皇陵の南に位置する「いたすけ古墳」。昭和30(1955)年に宅地開発による破壊の危機がありましたが、住民たちが声を上げ、保存のための活動をしました。翌年に国の史跡に指定されています。
「堺市の文化財保護のシンボルにもなっています。タヌキやカメが見られることもあって、観光客にも人気ですね」(西川さん)

美しいラインにほれぼれ「履中天皇(りちゅうてんのう)陵古墳」

履中天皇陵古墳
提供:堺市

上石津ミサンザイ古墳、石津ヶ丘古墳とも呼ばれる日本で三番目の大きさの前方後円墳。堀が二重になっているのが、平成6(1994)年に発見されました。
「履中天皇陵古墳の北側にあるビュースポットから、古墳の形がきれいに見えます。端正な姿にほれぼれします」(西川さん)

西川さんお気に入りの3つの古墳は、それぞれ徒歩20分ほどでアクセスできます。

堺観光ボランティア協会

ツアー詳細・申し込み
こちら(外部サイト)

堺の偉人・千利休と与謝野晶子に触れる 

堺の偉人といえば、室町時代に生まれた茶道千家の始祖・千利休。そして、『みだれ髪』などで知られる情熱の歌人・与謝野晶子などがいます。

さかい利晶の杜

仁徳天皇陵古墳から徒歩約40分のところに平成27(2015)年にオープンした「さかい利晶の杜(さかいりしょうのもり)」は、台湾や韓国からも観光客が訪れる人気のスポット。施設名は、千利休と与謝野晶子の名前から一文字ずつ取っており、その名の通り2人のことを体験しながら学べます。

さかい利晶の杜 千利休展示

入口を入ると、奥に千利休茶の湯館があります。堺市出身の歌舞伎役者・片岡愛之助さんが千利休の音声解説をしていたり、堺の町を描いた住吉祭礼図屏風の大型タッチパネルがあったりと楽しめます。

さかい利晶の杜 茶室比較

千利休が40代と60代の時に建てた茶室を比較できる展示は必見。柱の造りや光の入り具合など、年月を経てわびさびを意識したものに変化をしている様がじっくりと鑑賞できます。  

さかい利晶の杜 与謝野晶子記念館

2階に上れば、与謝野晶子記念館。晶子の季節の歌と、美しい日本の風景を映し出す映像がマッチした「詩歌の森」がお出迎え。

さかい利晶の杜 晶子の肉声

晶子の肉声を聴くことができるコーナーも忘れずに体験しましょう。

与謝野晶子 装丁

晶子は夫である与謝野鉄幹から、自身が作る本の装丁にはこだわるよう言われていたといいます。こだわりが詰まった装丁は、現代の私たちが見てもおしゃれそのもの。イラストの色合いや、タイトルの字体など、一つひとつが乙女心をくすぐり、じっくりと見入ってしまいます。

さかい利晶の杜 茶の湯体験

千利休について学んだら、お茶を飲みたくなってきたのでは?同施設は、1階に茶の湯体験施設があります。立礼(りゅうれい)呈茶を行っており、予約なしで抹茶と和菓子をたしなむことができます。

さかい利晶の杜 茶の湯体験 お点前

日によって、表千家、裏千家、武者小路千家、それぞれの先生のお点前を目の前で楽しめます。和菓子は堺の和菓子店のもので、月に3回変更されるため、リピーターも多いそう。この日は表千家の先生たちがもてなしてくれました。

さかい利晶の杜 茶の湯体験 抹茶

お茶を点てる間、先生が掛け軸などの説明をしてくれます。もちろん、お茶の飲み方も丁寧に教えてくれます。「お菓子で、まず口の中を甘くしましょう」 と和菓子の深見草(牡丹の花)を勧めてくれました。歩き疲れた体にしつこくない甘みが広がり、癒やされるようです。「器の正面を避けて、茶を飲みましょう」とたててくれた味わい深い抹茶が、のどをゆっくりと通り至福の時。

さかい利晶の杜 茶の湯体験 

訪れた人たちが茶道具について先生に質問するなど、なごやかなひと時が流れます。堺の偉人について詳しくなって、お腹も少し満たされて。ほっこりとした気分になれるスポットです。

さかい利晶の杜

住所 
大阪府堺市堺区宿院町西2-1-1 
アクセス
阪堺線「宿院駅」より徒歩約1分、南海本線「堺駅」より徒歩約10分
開館時間
9:00~18:00(茶の湯体験施設は10:00~17:00)
休館日
第3火曜日 ※祝日の場合は翌日、年末年始
利用料
千利休茶の湯館・与謝野晶子記念館:大人(大学生を含む)300円、
高校生200円、中学生以下100円 
立礼呈茶(抹茶と和菓子):大人500円、高校生400円、中学生以下300円 

小腹がすいたら珍しい穴子のパンはいかが?

手づくりパン創作工房「プランタン」

堺といえば、かつて穴子の名産地として有名でした。8年ほど前、穴子料理を復活させようという動きがあり、さかい利晶の杜から徒歩約20分にある堺の手づくりパン創作工房「プランタン」でも、地元の専門店から仕入れた穴子を使ったパンを創作。それが今や定番商品になった「穴子サンド」「穴子ピザ」です。穴子独特の臭みを抑えるのに苦労し、商品として店頭に並ぶまでに1カ月ほど試行錯誤したといいます。

穴子ピザと穴子サンド

穴子ピザは、わさびマヨネーズを使い、青ネギをあしらった穴子丼をイメージした商品。青ネギのシャキシャキとした食感に、わさびマヨネーズがきいて、穴子の風味もしっかりと感じられます。
穴子サンドは、甘辛い穴子のフライとタルタルソースが絶妙なハーモニー。どちらも、かつての穴子の町・堺を復活させようという店の方々の熱い思いが詰まっています。

全国的に見ても珍しいメニューなので、一食の価値あり。昔の堺に思いを巡らせながら、いただきましょう。

手づくりパン創作工房プランタン

住所 
大阪府堺市堺区櫛屋町東1-2-12
アクセス
阪堺線花田口駅より徒歩約1分
定休日
火曜日 
価格
穴子ピザ200円、穴子と野菜のサンド280円(いずれも税抜)
電話
072-224-0722

大阪市内から少し離れただけで、日本最大級の古墳群、そして茶の湯の世界に触れられる堺。足を運べば、歴史や文化の魅力に引き込まれるでしょう。必ず誰かに話したくなる、その理由を体感してみませんか?

取材・写真・文/宮本美智子

※掲載内容は公開時点のものです。ご利用時と異なることがありますのでご了承ください。

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