旅の楽しみ方

【兵庫・灘の男酒編】日本酒好き必見!関西の二大酒蔵を巡る1泊2日

兵庫・灘と京都・伏見。関西には二つの有名な「日本酒の郷」があります。情緒あふれる酒蔵やスポットを巡る日本酒の旅へ出かけましょう。まずは、「灘の男酒」と言われる灘エリアへ。昔から今に続く日本酒造りを感じる旅をどうぞ。

兵庫・灘と京都・伏見。関西には二つの有名な「日本酒の郷」があります。情緒あふれる酒蔵やスポットを巡る日本酒の旅へ出かけましょう。まずは、「灘の男酒」と言われる灘エリアへ。昔から今に続く日本酒造りを感じる旅をどうぞ。

※関西の二大酒蔵を巡る1泊2日 伏見編はこちら


日本酒の生産量1位は何県か、ご存知ですか? 米どころとして知られる新潟、それとも秋田でしょうか。実は正解は、1位が兵庫県、2位が京都府(※)と、どちらも関西なのです。
両県でも特にお酒造りが盛んな灘(なだ・兵庫)と伏見(京都)には、全国的に有名な酒蔵もあります。そこで、日本酒に興味があるあなたのために、灘・伏見の酒蔵を1泊2日でまわれるおすすめルートをご紹介します。

※国税庁「清酒製造業の概況(平成28年度調査分)」内「製成数量・課税移出数量の推移(都道府県別)」に基づく

灘の男酒、伏見の女酒

灘の男酒、伏見の女酒

灘と伏見の酒造りの歴史は古く、両方とも、1400年代には日本酒をつくっていたことを示す文書が残っています。1400年というと、足利家が将軍だった室町時代です。灘と伏見は電車で1時間半ほどで行ける距離ですが、そのお酒の特徴は「灘の男酒・伏見の女酒」と対比されるほど異なります。味の大きなポイントは、その土地を流れる水だそう。こればかりは実際に飲んでみないとわかりません。灘と伏見、両方の違いを探るべく、さっそく出かけてみましょう。

灘の酒蔵で「男酒」の秘密を探る旅へ

灘

甲子園球場のある西宮市から神戸市にかけて、約30もの酒蔵が集まっている灘エリア。5つの地域に分かれていることから「灘五郷(なだごごう)」と呼ばれ、日本を代表する酒どころです。
灘のお酒の特徴は、全国でも珍しい、ミネラル豊富な硬水を使っていること。灘の酒造りに欠かせないこの水を「宮水」と言い、しっかりした辛口のお酒が出来上がります。これが、「灘の男酒」と呼ばれるゆえんです。さらに、荒々しい味わいの新酒を夏の間に熟成させることで、秋には香り高いすっきりした飲み口に変わります。柔らかい伏見の「女酒」とは、まさに対照的な味です。

灘五郷の中心を流れる住吉川
灘五郷の中心を流れる住吉川

「白鶴酒造資料館」で昔の酒造りを知ろう

白鶴酒造資料館

まずは、全国的にもその名を知られる酒造メーカー、白鶴にやってきました。「白鶴酒造資料館」は、阪神住吉駅から徒歩約5分のところにあり、大きな看板が目印です。こちらの資料館の見どころは、大正時代から使われていた酒造りの道具と、当時を再現している超リアルな人形たちです。

白鶴酒造資料館
白鶴酒造資料館

人形は、蔵で実際に働いていた人をモデルにしており、一人ひとり顔が違います。現在の酒造りには機械も使われていますが、お米の微妙な蒸し具合の調整など、今でも職人さんの力は欠かせないそうです。そして、一部の高級酒では、今でもすべて手作業でお酒を仕込んでいるそうです。

約100年前、大正初期に建てられた酒蔵を利用した館内は、見どころたっぷり。1995年の阪神大震災で一度倒壊してしまいましたが、再度今の場所に建て直されました。

白鶴酒造資料館

灘の酒蔵はどこも東西に細長く、南と北に1棟ずつ蔵がある「重ね蔵」になっていました。北側の蔵は六甲山に面しており、冬には冷たい「六甲おろし」の風が当たります。さらに、南側の蔵が太陽を遮ることで室温が下がり、酒造りに適した環境を保つことができるのだそうです。

白鶴酒造資料館

数ある展示の中で、とくに興味深かったのが「きつね桶」「猫」「太鼓」など、形が似たものの名前がついた道具たち。これは昔、働きに来た丁稚(でっち)の子どもが、すぐ覚えられるようにと付けられた名前だとか。ぜひ、面白い名前の道具を探してみてください。

白鶴酒造資料館には、無料の試飲コーナーもあります。
お土産としても人気No.1なのが、こちらの「特別純米原酒 蔵酒」。白鶴のお酒は、しっかりした灘の男酒の特徴は残しつつ、料理の味を邪魔しない、飲み飽きない味になっています。試飲コーナーでは、ここでしか飲めない「蔵酒」のフレッシュな生原酒が味わえます。

試飲
酒蔵甘酒ソフト
酒蔵甘酒ソフト(300円)

また、甘酒のソフトクリームも、コクがあるリッチな甘さでおすすめです! 売店には日本酒を使った化粧水や入浴剤、酒粕におつまみなど様々な商品が揃います。ゆっくりと覗きたくなりますね。

白鶴酒造資料館

住所
神戸市東灘区住吉南町4-5-5
営業時間
9:30~16:30(入館無料/入館は16:00まで)
定休日
お盆・年末年始(メンテナンスによる臨時休館あり)
アクセス
阪神住吉駅より徒歩約5分

「菊正宗酒造記念館」で昔の蔵の空気を感じよう

菊正宗酒造記念館

続いても有名な酒造メーカー、菊正宗にやってきました。白鶴酒造資料館から歩いて5分ほどの場所にある、「菊正宗酒造記念館」。こちらも、以前は1659年の創業当時の蔵を使っていましたが、阪神大震災で倒壊してしまったそうです。その後、4年がかりで展示物を修復し、再オープンしました。門を入ると美しい庭があり、水車の音が涼しく響いています。

菊正宗酒造記念館
菊正宗酒造記念館

建物に一歩入ると、目に付くのが「菊正宗」の大看板。明治末期から昭和16年頃まで大阪支店に掲げられていた、ケヤキの一枚板の看板です。他にも、蔵で使われていた樹齢400年以上の柱や梁(はり)が随所にあり、当時の雰囲気を感じることができます。
では、展示室に入ってみましょう。

菊正宗酒造記念館
菊正宗酒造記念館

展示室では、国の有形民俗文化財に指定されている「灘の酒造用具」を、工程順に見ることができます。灘の酒造りに一番適していたのが、雑菌の少ない真冬の夜中だったため、かつては深夜3時から作業が行われていたそうです。当時の酒造りの雰囲気を出すため、中は薄暗くなっています。

菊正宗酒造記念館

灘のお酒の特徴とも言える工程が、こちらの「もと場」にあります。木の桶に蒸した米、米こうじ、水を入れてかき混ぜていくと、こうじ菌が米を解かして甘酒のようなものが出来上がります。このとき自然に発生した乳酸菌が、その糖分を食べ乳酸をつくります。酸性が強くなった中で、さらに元気な酵母菌が糖分を食べ、甘みの少ない辛口のお酒を生み出すのです。通常より手間も時間もかかるこの方法は「生もと造り」と呼ばれ、奥行のある深い味わいを作ります。

菊正宗は、この生もと造りにこだわり、「灘の生一本(きいっぽん)」と呼ばれる、辛口でキレのよいお酒をつくり続けています。

「もと場」には、お米をかき混ぜる時間やタイミングを調整するために歌われた「もとすり歌」のビデオが流れていますので、ぜひ聴いてみてください。

続いて、2017年11月にオープンしたばかりの、新しい工房を訪れてみましょう。

菊正宗酒造記念館

それが、こちらの「樽工房」です! 鏡開きや結婚式のときに木づちで叩くのでおなじみの、あの酒樽を作っている工房です。

菊正宗酒造記念館

酒樽の製造は、なんと職人さんの手作業です。こんな間近に樽作りが見られるのは、菊正宗だけかもしれません。樽工房の見学は現在、団体以外の個人・グループのみ受け付けています。見学できる時間を事前にお問い合わせの上ご参加ください。
また、売店では生原酒や季節のお酒が無料で試飲できますので、そちらもお忘れなく。

菊正宗酒造記念館

住所
神戸市東灘区魚崎西町1-9-1
営業時間
9:30~16:30(無料 入館は16時までに)
定休日
年末年始
アクセス
阪神魚崎駅より徒歩約10分

「浜福鶴吟醸工房」で現代の酒造りを見学

浜福鶴吟醸工房

続いては、菊正宗から住吉川を渡った先、徒歩3分ほどの場所にある、浜福鶴を訪れました。こちらでは、日本酒の中でも香り高い吟醸酒をつくっている、「吟醸工房」が見学できます。

今回案内してくださったのは、浜福鶴で40年以上酒造りに携わっていた、宮脇米治さんです。

浜福鶴吟醸工房

お父さんも杜氏(蔵のリーダー)だったという宮脇さんは、17歳のときから浜福鶴で働き始め、1995年の阪神大震災で蔵が倒壊するまでの間、昔ながらの酒造りに携わり続けていたそうです。震災後、60以上あった灘の酒蔵は半分以下に減ってしまいましたが、なんとか地域を盛り上げようということで、浜福鶴吟醸工房がオープン。宮脇さんは現在この工房内で、団体の案内役と、無料試飲コーナーを担当されています。

吟醸工房では、昔の道具のほか、現在の機械化された工程もガラス越しに見ることができます。

浜福鶴吟醸工房
浜福鶴吟醸工房
浜福鶴吟醸工房

実際に酒造りを行っている10月末~6月までの間は、日本酒の元となる醪(もろみ)が発酵する音や、香りが体感できます。機械化により、昔よりも安定した品質でお酒が作れるようになったと、宮脇さんは語ります。工房では、さきほど菊正宗でも見た「もと場」を体験できるコーナーがあります。
今回は実際に「もとすり歌」を歌っていただきました!

浜福鶴吟醸工房

杜氏によって色々な種類があったという「もとすり歌」。浜福鶴に行ったら、ぜひ昔の貴重なお話を聞いてみてください。宮脇さんは、ショップ内の無料試飲コーナーにいらっしゃいます。

浜福鶴吟醸工房
浜福鶴吟醸工房

浜福鶴には、無料と有料の試飲コーナーがあります。一般的に、蔵では試飲できる数量が決まっていることが多いですが、浜福鶴の無料試飲コーナーでは宮脇さんおすすめのお酒が次から次へと出てきて、多くの種類を試すことができます。とくにおすすめは、この吟醸工房で作られている、純米吟醸酒。辛口のイメージがある吟醸酒ですが、浜福鶴では口当たりなめらかな甘口が味わえます。

さらに有料コーナーでも、おすすめの利き酒セットや限定酒が飲めますので、両方チェックしてみてください。

浜福鶴吟醸工房

住所
兵庫県神戸市東灘区魚崎南町4-4-6
営業時間
10:00~17:00(入館無料)
定休日
月曜日(祝日の場合翌日)
アクセス
阪神魚崎駅より徒歩約10分

「こうべ甲南 武庫の郷」でレトロな昭和建築を堪能

こうべ甲南 武庫の郷

「浜福鶴吟醸工房」最寄りの阪神魚崎駅から、電車で約10分の、新在家駅へ。駅から徒歩5分ほどの所にある、「こうべ甲南 武庫の郷」を訪れました。ここは、灘の酒蔵から出る酒かすを使った奈良漬、その名も「甲南漬」の製造元による資料館を中心とした施設です。
この甲南漬を製造している高嶋酒類食品は、灘の酒造組合に加入する中で、日本酒を製造していない唯一の会社なのです。
まずは、甲南漬の資料館から見ていきましょう。

こうべ甲南 武庫の郷

甲南漬資料館は、昭和5年に建てられた当時の社長宅を改装して作られました。国の登録有形文化財にも指定されており、テレビドラマに出てきそうなレトロな雰囲気たっぷりです。当時としては珍しい鉄筋コンクリートで作られているため、阪神大震災でも倒壊せず、昔のままの貴重な姿が残っています。ここで注目したいのは、現在は喫茶室やお食事処(平介茶屋)として利用されている、応接室や和室です。

応接室
和室

応接室は喫茶ラウンジとして利用でき、美しい中庭をのぞむ和室では、かまどご飯の定食(数量限定)をいただくことができます。

資料館という名の通り、甲南漬を造る過程や昔の生活用品の展示もあります。

こうべ甲南 武庫の郷

これは、明治時代から作られている「はくびし本みりん」を瓶詰めする古い機械。実はこの会社、日本酒ではなく「みりん」の製造元として、灘の酒造組合に加盟しているのです。はくびし本みりんは、原料にもち米と米こうじ、焼酎だけを使った昔ながらの調味料。みりんは元々、甘いお酒として主に女性に飲まれていました。現在でも、お正月におとそとして飲む地域があるそうです。このみりんを作る過程で出たみりん粕も甲南漬に入っているため、ほかの奈良漬とは違った旨みが出ています。

では、お隣の甲南漬本店で、色々なお漬物を試食してみましょう。

甲南漬本店
甲南漬本店
甲南漬本店

甲南漬は、スタンダードなウリ以外に、ナス、スイカ、キュウリなどが試食できます。どれも歯ごたえはシャキシャキしていて、しっかりお酒の風味がします。お酒の味が苦手な人には、甘めの「きざみ漬」がおすすめですので、ぜひ両方試してみてください。

こうべ甲南 武庫の郷

住所
神戸市東灘区御影塚町4-4-8
営業時間
10:00~17:00(お食事処「平介茶屋」は11:30~13:30まで、お食事数量限定。予約がおすすめ)
定休日
年末年始(お食事処はお盆も休み)
アクセス
阪神新在家駅より徒歩約5分

続いては伏見へ。灘と伏見は電車で約1時間半の距離!

電車で約1時間半

兵庫の灘エリアから京都の伏見エリアまでは、電車で約1時間半。

阪神電車を利用する場合は、一度大阪の中心・梅田に出て、大阪メトロ御堂筋線で淀屋橋駅に行き、京阪電車に乗り換え、中書島駅または伏見桃山駅で降ります。

阪神電車の近くを走る、JRを使う方法もあります。その場合も、灘方面から一度大阪駅に出て、JR大阪環状線で京橋駅下車、そこから京阪電車に乗り換え、中書島駅または伏見桃山駅に向かいます。
一度に移動してもいいですが、ちょうど中間の乗り換え駅が大阪になるので、大阪駅近辺のホテルで1泊するのもおすすめです。

取材・写真・文/ヒトミ☆クバーナ

※掲載内容は公開時点のものです。ご利用時と異なることがありますのでご利用の際は公式ホームページなどでご確認ください。

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