日本で26番目の世界文化遺産「佐渡島の金山」。世界に誇る金銀山400年の歴史をたどる

佐渡金山

2024年7月、UNESCO(ユネスコ・国連教育科学文化機関)の世界遺産委員会により、「佐渡島の金山」が世界文化遺産として登録されました。地元の市民団体による、世界遺産に向けた運動が始まったのが1997年。それから27年経った今年、国内では26件目の世界遺産として名を連ねることになりました。約400年にわたる世界的に見ても貴重な金山の歴史が詰まった「佐渡島の金山」をめぐります。

 

ジェットフォイルで新潟港から佐渡島へ

佐渡金山

首都圏からは上越新幹線で「新潟」駅へ。駅からはタクシーまたはバスを使って新潟港へ向かいます。佐渡島の両津港へはジェットフォイルを使って約1時間で到着。その後、両津港から「佐渡島の金山」までは路線バスで約1時間です。

 

「佐渡島の金山」を楽しむために「きらりうむ佐渡」で事前学習

佐渡金山

佐渡金銀山の玄関口・相川三町にあるのが佐渡金銀山ガイダンス施設「きらりうむ佐渡」。ここは、4つのシアターや展示室で佐渡金銀山の歴史をわかりやすく学べる施設です。また、遺跡めぐりツアーなどの情報を案内してくれる総合インフォメーションセンターも併設しているので、「佐渡島の金山」見学の前に訪れて情報を収集すると、自分に合ったスケジュールが見えてきます。

 

佐渡金山

館内には大型スクリーン、プロジェクションマッピング、3面スクリーン、レリーフ模型映像、4つのシアターを設置。それぞれ大迫力の映像で、佐渡金銀山の歴史を学べます。

 

佐渡金山

3面スクリーンの映像の中には、俳優に混じって地元の方々も名演技を披露しています。

江戸時代に本格的な開発が始まった相川金銀山は、国内で唯一、採掘から小判製造まで同じ場所で行われていた日本で唯一の鉱山。その工程を描いた鉱山絵巻が100点以上も残っていたことも、世界遺産登録の後押しになったといいます。そんな貴重な絵巻の秘密もこちらで知ることができます。

 

きらりうむ佐渡

住所
新潟県佐渡市相川三町目浜町18-1
開館時間
8:30~17:00(展示室最終受付16:30)
休館日
12月29日~1月3日
入館料
無料(展示室観覧:大人300円、小中学生150円)
公式サイト
きらりうむ佐渡

 

冒険気分で江戸幕府の財政を支えた金銀山の中へ

1601年に3人の山師によって開山された佐渡金山。1604年からは小判の製造がおこなわれ、当時の江戸幕府の財政を支えました。

最盛期には世界の約10%の金を手掘りしていたという世界的にも貴重な金山です。1989(平成元)年に操業を中止するまで、約400年の間、現役の金山として活躍してきたという長い歴史があります。

 

実際に金が掘られていた坑道に入り、当時の人々の働いている姿をリアルな人形で見ながら学べるのがここ「史跡 佐渡金山」です。自由に見学できる2つのコースがあります。

まず暗い階段を深く降りて坑道の中を歩いて見学したのは「宗太夫坑 江戸金山絵巻コース」(大人1,000円/所要約30分)。江戸時代の初期に開削された手掘り坑道「宗太夫坑」を歩いて進みます。

 

現代にそのまま残されている「佐渡金銀山絵巻」をもとに、山師や人足の作業中の様子や作業を休憩する人々などを忠実に再現。リアルな人形の姿を見ると、当時の様子がいきいきと伝わってきます。

 

佐渡金山

第1展示室では「佐渡金銀山絵巻」に描かれた、江戸時代の佐渡金山の仕事や生活の様子が紹介されています。また、第2展示室では本物の金塊に触れられる体験も!

 

近代化された明治以降の機械掘り坑道を歩く

佐渡金山

明治維新以後、金山は政府の方針により官有化され、英国人鉱山技術者の指導のもと近代的鉱山技術が導入されて生産額が増えていきました。1889(明治22)年、宮内庁御料局の所轄になりましたが、1896(明治29)年に三菱合資会社に払い下げられます。

そして、1989(平成元)年まで操業が続けられました。その佐渡金山の近代化に貢献した機械掘り坑道を見学できるのが「道遊坑 明治官営鉱山コース」(大人1,000円/所要約40分)です。

 

坑道を含め、トロッコ、機械工場、粗砕場など多くの設備が操業当時の姿のままで残されています。国の重要文化財「機械工場」は、昭和10年代に建設された建物。展示されている機械類は実際に平成元年まで使用されていたものが残されています。

 

佐渡金山

このコースでは、佐渡島の金山のシンボル「道遊(どうゆう)の割戸(わりと)」を間近で見ることができ、佐渡金山の絶景も楽しめます。

 

佐渡金山

国指定史跡の「道遊の割戸」の2つに割れた山頂部は、江戸時代初期に手掘りで金の鉱脈を掘り取った結果、山が2つに割れたようになったといいます。1日に10センチメートルほどしか掘れなかったという硬い山を割れるまで掘った山師たちの金への執念がうかがい知れます。

 

興味や時間に合わせてツアーやコースを選んで学ぼう

佐渡金山

ほかにも、眼鏡をかけて異世界の洞窟探検ができる「ISLAND MIRRORGEコース」(大人3,000円/約30分・要予約)、ヘルメットや長靴を着用して当時の山師のように坑道を歩く「ガイド付 山師ツアー」(大人2,500円/約100分・要予約)など、さまざまなコースが用意されています。

 

史跡 佐渡金山

住所
新潟県佐渡市下相川1305
営業時間
8:00~17:30(11月~3月は8:30~17:00)
定休日
年中無休
料金
・宗太夫坑 江戸金山絵巻コース(約30分):大人1,000円、小学生500円
・道遊坑 明治官営鉱山コース(約40分):大人1,000円、小学生500円
・共通券:大人1,500円、小学生750円
公式サイト
佐渡金山

 

鉱山とともに栄えた相川集落に当時のおもかげを見る

相川の京町通り
京町通り

金山開山以前には5、6軒ほどしかなかった相川集落は、江戸時代に金山が開山されると、金と働き口を求めて全国から多くの人が集まり、最盛期には5万人ほどがこの町に住んでいたそう。そんな鉱山で働いていた人々が生活をしていた相川の町を歩けば、栄えていた当時の生活を垣間見ることができます。風光明媚な高台にある江戸時代のメインストリート「京町通り」の夕焼けも、きっと「佐渡島の金山」めぐりの楽しい旅の思い出に。

 

佐渡奉公所跡
佐渡奉公所跡

江戸幕府から遠く離れた佐渡島で、江戸時代の財政を支えた「佐渡島の金山」。相川町の史跡や町を訪れると、タイムスリップをしたように豊かだった江戸時代の歴史と人々の暮らしを身近に感じることができます。そして佐渡といえば美しい風景とおいしい食事。ここに行かないと味わえない特別な体験をしに、佐渡島へ出かけてみませんか?

 

取材・文/山本美和 撮影/田辺エリ 

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