旅の楽しみ方

世界遺産・大浦天主堂と異国情緒あふれる周辺散策スポット

日本有数の観光地である長崎県。国宝であり、2018年に世界遺産にもなった「大浦天主堂」は、長崎のシンボルとしても有名です。ここはフォトジェニックな白亜の美しい外観だけではなく、ぜひ中に入ってゆっくり見学してほしい見どころの多いスポット。
また、大浦天主堂のある南山手はかつて外国人居留地だった面影が残るエリアで、異国情緒あふれる雰囲気の街にたくさんのお店が並んでいるので、カップルで歩いているだけで楽しめますよ。

大浦天主堂とはどんなところ?

大浦天主堂

大浦天主堂は、鎖国が終わった幕末に外国人用の教会として建てられた、日本に現存する最も古い教会です。正式名称は、「日本二十六聖殉教者聖堂(にほんにじゅうろくせいじゅんきょうしゃせいどう)」。

16世紀末に豊臣秀吉の命令で十字架にかけられ磔(はりつけ)にされたカトリック信者たちに捧げられた教会で、長崎駅近くにある西坂(にしざか)の殉教地に向けられて建っています。150年以上もの歴史あるこの教会は、1981年に長崎を訪問した当時のローマ法王も訪れました。

大浦天主堂

また、この教会はもう一つ、歴史的に重要な出来事が起こった場所でもあります。江戸時代初期から250年以上も続いた禁教の時代、キリスト教徒は迫害と激しい弾圧を受け徹底的に排除されていました。日本人にはいまだキリスト教の信仰が許されていなかった大浦天主堂の完成当初の1865年に、浦上の潜伏キリシタンがフランス人神父に信仰の告白をしたという「信徒発見」の舞台でもあります。

1933年には国宝に指定され、2018年には潜伏キリシタン関連遺産の一つとして世界遺産にも登録されました。

長崎駅から大浦天主堂までのアクセス

大浦天主堂へのアクセス

最寄り駅のJR「長崎」駅からは徒歩30分以上と離れているため、路面電車かバスを利用します。路面電車の最寄りは、「大浦天主堂」駅。長崎駅からはまず青ラインの「崇福寺」行に乗り、「新地中華街」の電停で降りて「石橋」行の緑ラインに乗り換えます。新地中華街で降りる際、のりつぎ券をもらうのを忘れずに。それがあれば、乗り換えした路面電車で使えます。

バスで行く場合は「長崎駅前東口」バス停から「田上」行に乗って「大浦天主堂下」バス停で降ります。

グラバー通り

電停やバス停から徒歩で5分ほど歩いて、グラバー通りというお土産屋さんが並ぶ坂を上がったところに大浦天主堂が見えます。バスは路線も多く複雑なので、長崎が初めての人には路面電車をおすすめします。

大浦天主堂の見どころとは?

真っ白に生まれ変わった天主堂の美しき外観

大浦天主堂

創建当時、木造の黒地に白いナマコ壁で現在の半分くらいの大きさだった大浦天主堂は1879年に増築された際、現在のように白く塗られたレンガ造りになりました。長い年月雨風により塗装がはがれ黒ずんでいましたが、2018年の改修工事の際に漆喰で純白の壁にお色直しをして、より一層美しさを増しました。

ライトアップされた大浦天主堂

閉館後の日没から22:00までは、外観がライトアップされてまた昼間とは一味違う景観となるので、ぜひ夜も訪れてほしいところ。クリスマスシーズンには、クリスマスイルミネーションで彩られます。

閉館後は敷地内には入れませんが、高台にあるので外からでも十分鑑賞が可能。夜のライトアップは白い壁が映えて一層綺麗なので、カップルで夜ここに戻ってきてこの周辺を散策デートするのもおすすめです。

150年以上も信者を見守り続ける2体の聖母マリア像

白亜の美しいマリア像

大浦天主堂には2体のマリア像があります。一つ目は入り口から階段を上ったところにある、天主堂正面の白亜の「日本之聖母像」。これは信徒発見の記念に、1867年にフランス人神父がパリに注文して作らせたもの。白い外観とマッチした白亜の美しいマリア様が訪れる人々を迎えてくれます。

信徒発見のマリア像

もう1体は、「信徒発見のマリア像」。天主堂内にある、正面の大祭壇右側にある小祭壇に飾られています。これは大浦天主堂創建当時にフランスから持ち込まれたもので、冒頭でもご紹介しましたが、江戸幕府によって弾圧されてきた浦上の潜伏キリシタンたちが、1865年に沈黙を破って神父に信仰を告白した歴史的瞬間を見守っていました。

彼らが告白の際に「サンタ・マリアの御像はどこ?」と求めたのがこの聖母像でした。以来150年以上もの間、この地で長崎の信者たちを見守り続けています。聖母マリアの像は、2体ともぜひチェックしておきたいところですね。

見とれるほど美しいステンドグラスは一見の価値あり

大浦天主堂のステンドグラス

大浦天主堂内に入って一際目立つのが、正面や後・側廊、高窓にはめ込まれたたくさんのステンドグラスです。ステンドグラスを通して入る柔らかな光が、堂内の厳粛な雰囲気を作り出しています。

大浦天主堂のステンドグラス

天気が良い日には光が差す方向によって鮮やかなステンドグラスのリフレクションが壁や床に映し出され、より一層天主堂内を明るく彩り、時間によってさまざまな表情を見せてくれます。

十字架のキリスト

その中でも最も代表的なステンドグラスに、正面祭壇奥に掲げられている高さ3メートルの「十字架のキリスト像」があります。

十字架のキリスト

これは1865年の天主堂の建立を記念してフランスの修道院から寄贈されたもので、日本にあるステンドグラスでは最も古いものでした。しかし、1945年に原爆の爆風で割れてしまったため、現在使われているものは戦後の復旧工事の際にフランスに発注して復元されたものです。

大浦天主堂のステンドグラス

天主堂内のステンドグラスは、時代ごとに修復された3種類が混在しています。1879年の増改築の時のもの、1945年の原爆で大破し修復されたもの、そして1990年の台風で被害を受けて修理したものがあります。

製法上まったく同じものを作れないがゆえ、同じ色のものであっても透明度や色味が少しずつ違っています。美しいステンドグラスが創り出す素敵な景観は、きっと目を奪われてしまうはず。

中世ヨーロッパを代表するゴシック建築様式の内観

ゴシック様式の大浦天主堂

大浦天主堂は、「ゴシック様式」という建築様式で建てられています。中世以降のヨーロッパの教会で多くみられる構造ですが、心を高く上げるために高い尖塔を持ち、ステンドグラスをはめ込み外の光を入れて内部を明るくすることで、心を神様に向けさせようとする造りになっているのだそう。天井はリブヴォールトといわれるアーチ型の特徴を持つ天井で、通称コウモリ天井とも呼ばれます。

「小バジリカ」の教会堂に認定された大浦天主堂

また、大浦天主堂は2016年に日本で初めて、「小バジリカ」の教会堂に認定されました。バジリカとは歴史的、芸術的、典礼・司牧的に重要で信仰共同体の中心になっている特定の教会のことで、日本で認定されているのはこの大浦天主堂のみ。文化的にも宗教的にも重要な建物の中で広い空間と明るい優しい光に包まれ、佇んでいるだけでまるでヨーロッパに来たかのような西洋の雰囲気を味わえるでしょう。

大浦天主堂では結婚式を挙げることもできる

世界遺産であり日本最古の教会であるここ大浦天主堂では、なんと結婚式を挙げることもでるんです! 信者でなくとも結婚講座を数回受ければ、歴史あるこの教会で式を執り行うことが可能。将来を考える大切な人と一緒にここを訪れ、結婚について考えてみるのもいいかもしれませんね。

大浦天主堂

住所
長崎県長崎市南山手町5-3
拝観時間
8:00~18:00(最終入館は17:30まで)
休館日
無休(教会行事により休館する場合があります)
拝観料
大人 1,000円、中高生 400円、小学生 300円
※大浦天主堂キリシタン博物館の入館料も含む
電話番号
095-823-2628
詳細
大浦天主堂公式ページ
拝観上の注意
建物内は撮影禁止。撮影には特別許可の申請が必要です。

大浦天主堂敷地内を散策

2018年4月オープン!天主堂の横の「キリシタン博物館」

大浦天主堂キリシタン博物館

メインの天主堂の拝観を終えたら、出て左折した数メートルほど先にある「大浦天主堂キリシタン博物館」もぜひ見学しましょう。2018年4月にオープンしたこの博物館は、明治以降に神学生がラテン語で授業を受けた「旧羅典神学校」と、大司教らの執務室となった「旧長崎大司教館」の2つの建物からなります。大浦天主堂の入り口で納めた拝観料にはこの博物館の入館料も含まれているので、見ないと損ですよ!

旧羅典神学校

大浦天主堂を左に曲がった上の方にある「旧羅典神学校」の建物の中では、大浦天主堂の成り立ちと共に二十六聖人や禁教時代、信徒発見についての展示があります。

大浦天主堂の模型
日本二十六聖人殉教図

入口を入ってすぐのところには、創建当初の大浦天主堂の模型や堂内の正面の祭壇に今も掲げられてある「日本二十六聖人殉教図」を真正面から見ることができる複製が置かれています。

旧大司教館

すぐ隣にある「旧大司教館」は3階建ての各フロアごとにテーマがあり、ここでも日本のキリスト教の歴史や文化を紹介しています。

金平糖
奇跡のカステラ

出口のある1階にはミュージアムショップがあり、ここでしか買えないカラフルな「金平糖」や「奇跡のカステラ」が販売されています。女性好みの可愛いお土産がたくさんあるので、ぜひチェックしてみてください。

大浦天主堂キリシタン博物館

住所
長崎県長崎市南山手町5-3
開館時間
8:00~18:00(最終入館は17:30まで)
入館料金
大浦天主堂拝観料に含まれる
休館日
12月31日~1月2日
電話番号
095-801-0707
詳細
大浦天主堂キリシタン博物館公式ページ

「信徒発見のレリーフ」は必見!庭園と記念碑のある広場

プティジャン司教像と聖ヨハネ・パウロ2世の胸像

キリシタン博物館を見学した後は、出口から数メートル先にある向かい側の庭園へ。砂利が敷かれた広場奥の小さな日本庭園前には、大浦天主堂を建てたプティジャン司教像と聖ヨハネ・パウロ2世の胸像などが並びます。

信徒発見のレリーフ

右手手前には歴史的な出来事から100周年を記念して建てられた「信徒発見のレリーフ」もあります。

祈りのためのグッツが集まる「オラショの店」

オラショの店

大浦天主堂の拝観受付の窓口の向かいに、「オラショの店」というキリスト教関連グッズを売っているお店があります。オラショとは、「祈り」を意味する潜伏キリシタン用語。大浦天主堂の敷地内にありますがここはシスターが運営するお店なので、営業時間は10:00〜16:00、月曜日がお休みです。大浦天主堂の開館時間とは異なるので注意してくださいね。

異国情緒がフォトジェニックな周辺スポット散策

大浦天主堂近くにはもう一つの人気観光スポット「グラバー園」があり、セットで訪れる人も多いです。しかし、南山手エリアはそれだけではありません。大浦天主堂周辺にあるおすすめの周辺にあるお店とスポットをいくつかご紹介します。

※グラバー園の「旧グラバー住宅」は現在、保存修理工事中です。特設展望デッキから外観のみ見学可能。完成は2021年4月の予定です。

かわいい長崎土産が揃うガラス専門店「グラスロード1571」

グラスロード1571

大浦天主堂へ続く坂道、グラバー通りの途中にあるガラス製品のセレクトショップ「グラスロード1571」。

ぽっぺん
グラスロードオリジナルの商品の数々

ビードロとも呼ばれる長崎のガラス玩具である「ぽっぺん」(660円~)や、ここでしか買えないグラスロードオリジナルの商品など、様々なかわいらしい商品が並んでいます。

ガラス細工「ガラスの天使」

長崎が舞台のテレビドラマ『愛し君へ』(2004年)で使用された、人気のガラス細工「ガラスの天使」(660円)が買えるのもここ。ブルーとピンクの2色があるので、長崎旅行の記念にカップルで2つ買っても良いかもしれません。ほかにもフォトジェニックな鮮やかなガラスで作られた長崎らしい商品が多数並んでいるので、ぜひお土産を探してみて。

グラスロード1571

住所
長崎県長崎市南山手町2-11
営業時間
9:30〜18:00
電話番号
095-822-1571
定休日
無休
アクセス
大浦天主堂から徒歩約1分

思わず写真を撮りたくなる!「長崎南山手プリン」

長崎南山手プリン

2019年4月20日にグラスロード1571横にオープンした、プリン専門店「長崎南山手プリン」。看板商品の「南山手ステンドグラスプリン」(420円)は、大浦天主堂の色鮮やかなステンドグラスの美しさを表現したという、花や果実から抽出された色素を使った天然素材のジュレが写真映えします。とろけるような滑らかな味わいでジュレとの相性もよく、見た目だけではなく味の評価も高い一品。

南山手ステンドグラスプリン

お店の横にある赤レンガの上は、プリンを置いてフォトジェニックな写真が撮れると女性に大人気のスポットになっています。お店の前にはベンチもあり、その場で食べることも持ち帰りもできますよ。

長崎南山手プリン

住所
長崎県長崎市南山手町2-11
営業時間
9:00〜18:00
電話番号
095-895-8886
定休日
無休
アクセス
大浦天主堂から徒歩約1分

雑踏を離れてゆっくりできる「カフェレストラン KIZUNA」

カフェレストランのKIZUNA(キズナ)

大浦天主堂から左に曲がり大浦教会側の道を進むと、かつての外国人居留地のフランス領事館跡地に建てられた「カフェレストラン KIZUNA(キズナ)」があります。

カフェレストランKIZUNAの店内
カフェレストランKIZUNAの店内

店内はインテリアがお洒落で、かわいい小物がたくさん!

キッシュプレートセット
キッシュプレートセット
セットのデザート
セットのデザート

ランチには長崎の特産品の「びわ」を使った「KIZUNAカレー」(1,100円)やごま団子付きの「長崎ちゃんぽん」(1,050円)、B級グルメの「トルコライス」(1,280円)といった長崎らしいメニューも。また、1日限定12食の「キッシュプレートセット」(1,100円)はデザートもついて大人気。

少しメイン通りを離れるので、落ち着いた静かな場所でランチやティータイムにゆっくりできますよ。

カフェレストランKIZUNA

住所
長崎県長崎市南山手町4-28
営業時間
平日 11:00〜15:00(L.O.14:00)
土日祝 ランチ11:00〜14:30(L.O.)、デザート11:00〜17:00(L.O.16:00)
電話番号
095-822-8211
定休日
火曜日
アクセス
大浦天主堂から徒歩約1分

祈念坂〜大浦展望公園〜グラバースカイロードの散歩コース

祈念坂
夜の祈念坂

大浦天主堂を出て、お店の横の細い道を右に曲がった先から案内表示に従って進むと約160メートル先にある、「祈念坂」。大浦天主堂の建物のすぐ横にある明治初期に造成された細い石畳の坂で、長崎を愛した作家の遠藤周作もよく訪れた祈りの坂です。カトリック教会や石畳の坂、長崎港などが眺望できるスポットで、数々の映画やアニメなどの舞台にも登場しています。

大浦展望公園

傾斜のある祈念坂を上がって左折すると数メートル先に、「大浦展望公園」があります。

大浦展望公園

昼間の景観も綺麗ですが、夜に訪れるとキラキラと輝く夜景とライトアップでロマンチックなムードが漂いとっても素敵。夜は人通りが少なく公園内にはベンチもあるので、二人きりでゆっくり景色や夜景を楽しんでください。

グラバースカイロードの展望台

また、その先を進むと右手にある垂直エレベーターで3階に上ると、すぐ側に「グラバースカイロード」の展望台があり、そこからの眺めは絶景です。

長崎の夜景

大浦天主堂、祈念坂、大浦展望公園の辺りは、2019年9月に夜間景観整備された新しいスポット。大浦天主堂のライトアップとともに、昼間だけでなく夜も訪れ、長崎の夜景とともに周辺のお散歩を楽しんでみてはいかがでしょうか。

異国情緒あふれる街並みは、歩いているだけで画になる!

大浦天主堂・博物館だけでもじっくり見学すると2~3時間、周辺スポットも含めると3~5時間はかかります。大浦天主堂は朝8時から開いているので、午前中からお昼にかけて観光してもよし、夜景やライトアップを楽しみに夕方から南山手地区の観光と散策を楽しんでもいいかもしれません。

もちろん大切な人と一時間ほどロマンチックな夜のお散歩にでかけるのも◎。夜には周辺のお店はほとんど閉まってしまうので、お土産物は昼間に購入しましょう。時間に余裕があれば、昼も夜も大浦天主堂の景観や長崎の異国情緒あふれる街並みを存分に堪能してくださいね。

取材・撮影・文/Miyaks

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