
400年もの歴史を持つ篠山(ささやま)城下町にたたずむ「篠山城下町ホテルNIPPONIA」。町に「暮らすように泊まる」というコンセプトを掲げており、城下町内に点在する歴史的建造物を起点として、まるで住んでいるかのように、城下町散策やサイクリング、季節のイベントへの参加などを楽しめます。もちろんブランド食材の宝庫・丹波篠山ならではの美食も堪能!地域全体を舞台にした新しい旅をしてみませんか。きっとあなたの「第二の故郷」になるはずです。
コンセプト「暮らすように泊まる」とは?

「暮らすように泊まる」というコンセプトを掲げる「篠山城下町ホテルNIPPONIA」。城下町全体をホテルに見立てていて、客室は、城下町内に点在しています。1つの建物内に客室などが集約されているわけではない「分散型ホテル」である点が特徴です。
歴史的建造物を客室とし、ぶらりと篠山城跡を訪れたり地元産の食材を使ったカフェに訪れたりと、まるで住んでいるかのような宿泊体験ができます。

400年もの歴史を持ち、歴史的建造物が多く残る丹波篠山ですが、過疎化が進み、せっかくの歴史的建造物も空き家になってしまっていました。そこで、NIPPONIAは空き家になってしまった歴史的建造物を客室に改修し、観光客が篠山城下町を回遊する「分散型ホテル」のシステムを作り地域活性化を実現。
このような「分散型ホテル」はイタリアをはじめ海外でも事例があり、地域創生をかなえる新たな旅のスタイルとして注目を集めています。

明治時代の元銀行経営者の旧邸宅から、江戸時代の長屋など、宿泊する客室によって造りが異なるのも魅力です。ペットと泊まれる客室もあり、愛犬と旅行を楽しみたい方にもおすすめ。それぞれの建物には、篠山城に献上していたお苗菊をはじめ、かつての篠山城城主が好んで育てた菊の名前がつけられています。


歴史を感じる館内には、壁や梁(はり)など当時の趣が残っています。非日常感を楽しんでもらいたいとの思いから、館内や客室内にはテレビ、時計は設置していないのもホテルのこだわり。日常から離れ、ほっと心を落ち着ける。そんなひとときが過ごせます。
チェックイン

チェックインは、フロントやレストランがある「ONAE棟」で行います。明治から続く建物で、元銀行経営者の邸宅を改修しているそう。

フロントにも、昔の台所がそのままに残されています。

チェックインの際には、ウェルカムドリンクと、篠山名物「しぼり黒豆」をいただけます。この「しぼり黒豆」は、丹波篠山の老舗・小田垣商店のもの。

篠山を知り尽くしたスタッフが、とっておきの観光情報を教えてくれます。お手製のガイドマップももらえるので、周辺散策の参考にぜひ。チェックインの手続きが終わったら、客室へ向かいましょう。
客室

「篠山城下町ホテルNIPPONIA」のお部屋は全19室。建物は7カ所に分散しています。こちらは「ONAE棟」にある「VMGコンフォート」で、約30平米、2名定員のお部屋です。


寝室とは別に和室や小さなデスクスペースもあり、天井が低く隠れ家のような雰囲気にワクワク。チェックイン後はこちらでゆっくりとお茶を飲みながら観光プランを練るのもよさそうです。

冷蔵庫内のビールやワイン、スパークリングワイン、ジュース、ミネラルウォーターなどのドリンクはすべて無料で楽しめます。なかには、1797年に創業した丹波篠山の「鳳鳴(ほうめい)酒造」を代表する地酒「鳳鳴」も!湯上りの一杯をお部屋で楽しめます。

アメニティは、希少な繭を使用した純国産天然シルク由来のスキンケア「SILMORE(シルモア)」を使用しています。髪がしっとりとした仕上がりに。

スキンケアセットは、酒蔵が作っている「MINUCA(ミヌカ)」のもの。清酒の蔵元でしか入手できない米由来成分で、お米全体の5%しか得られない「白ぬか」などが配合され、保湿力抜群です。

部屋着は、レトロなデザインがかわいらしい浴衣。館内のレストランへも、浴衣着用で出かけられます。


そのほか、最大4名まで泊まれる「VMGグランド」や、ペットと泊まれる「VMGプレミア」、檜風呂付きの「VMGプレミア」などがあり、利用シーンに合わせた部屋選びができます。
過ごし方

お部屋でひと休みした後は、街歩きへ!江戸や明治期の建物が残る街並みは風情があり、散策も楽しいもの。古民家をリノベーションしたおしゃれなカフェや雑貨店も多く、地元の食材を使った料理やお土産探しが楽しめます。
体験紹介①サイクリング

丹波篠山をたっぷりと堪能できるのが、「丹波篠山オリジナルガイドツアー付サイクリング体験」。地元に精通した「-丹探-TAMSAKU」のスタッフが案内役を務め、約2~3時間かけて自転車で丹波篠山の街をサイクリングするツアーです。

このツアーのポイントは、自分の行きたいところを伝えれば、ガイドにオリジナルのコースを作ってもらえること。今回は、「城下町も農村も両方見たい!」とお伝えし、篠山城大書院から篠山城下町、自然豊かな農村地域までをぐるっと一回りしました。

知識豊富なガイドの解説付きで、より丹波篠山のことを詳しく知ることができるのはもちろん、車では通りすぎてしまうような景色を楽しめるのもサイクリングツアーの醍醐味。徒歩より広範囲の場所を観光でき、丹波篠山の街を存分に楽しめます。

地元の方だからこそ知っている名所も教えてもらえます。今回は、弘誓寺の大イチョウへも案内してもらえました。
開催期間は1・2月を除く通年で、幼児向けの自転車の用意もあり、2歳以上のお子さんから参加可能。2歳~小学生までのお子さんは無料で利用できるので、家族でとっておきの思い出が作れます。
- 体験期間
- 通年(※1、2月除く)
- 所要時間
- 10:00〜12:00、15:30〜18:00の間で、約2〜3時間
体験紹介②季節のイベント

丹波篠山の歴史文化に触れたい方は、毎年秋に行われる「春日神社秋祭り参加体験」がおすすめ。2017年に丹波篠山市の無形民俗文化財の指定を受けた篠山三大祭のひとつで、地元の方とともに鉾山(ほこやま)の巡行に参加できます。迫力ある鉾山の巡行を間近で見られるのは、観客として外から眺めるのとはまた違ったおもしろさがあります。
- 料金
- 大人 5,000円/名、小学生 1,000円/名 ※小学生未満は無料
ディナー

城下町散策や体験ツアーをたっぷり楽しんだ後は、レストラン「LE UN(ルアン)篠山城下町ホテル NIPPONIA」にて、お待ちかねのディナータイム。窓の外に広がる日本庭園を眺めながら、丹波篠山の美食を堪能。夕食は地元食材をふんだんに使った「テロワールエナチュール」がテーマ。スイスのグランメゾンで活躍し、数々の受賞歴をもつ一流シェフ・石井之悠氏監修のフレンチをいただきます。


「食前のお愉しみ」として出されたのは、豚のコラーゲンと軟骨部分を煮込み、揚げた「テットドフロマージュ」。「米麴発酵した薩摩芋のポタージュ」 は、発酵することで甘みを増したサツマイモの濃厚な風味を楽しめました。

「大根のデクリネゾン 柚子香る帆立のムース」は帆立の濃厚さを口いっぱいに堪能できる一皿。また、「大根のデクリネゾン」には、地元の「中末農園」で栽培された大根を使用。デクリネゾンとは、「さまざまな調理方法で一つの食材を生かす」という意味。その名の通り、白のソースは大根の芽、緑のソースは大根の葉を用い、余すことなく食材が生かされています。


レストランでは、地酒をはじめアルコールメニューも多数取りそろえているので、料理とのペアリングを楽しみながら食事をいただくのもおすすめ。柔らかな味わいの「奥丹波 陽酒 純米吟醸 山田錦」や、お米の風味をしっかりと感じられる「鳳鳴 東雲の穂」など、丹波や丹波篠山の名酒をお供に、優雅な食事を楽しみましょう。

「塩漬け鱈と森田椎茸のブレゼ」は、タラを塩漬けすることによってギュッと旨みを凝縮。さっぱりとした鰹だしに、刻んだチョリソーのピリ辛さがアクセントに。地元「森田農園」で採れた肉厚な椎茸と合わせていただきます。

メイン料理は、「但馬牛のグリエ 季節野菜添え」。兵庫の特産である但馬(たじま)牛を、牛骨の旨みを詰め込んだソースで絡めています。地元「吉良農園」で作られた、空芯菜やジャガイモ、しめじ、カブ、紅芯大根などの有機野菜は、どれも甘みがあっておいしく、心と体がよろこぶ料理でした。

夕食はこれで終わりと思いきや、食事のあとにはお部屋で楽しめる焼き菓子のプレゼントが!客室にあるお酒やドリンクをいただきながら、おしゃべりにふける夜もいいでしょう。

ホテル周辺は17:00ごろに閉まるお店が多いようなので、まだまだ飲み足りない方は「おつまみセット」(1,210円)を追加注文して、部屋飲みを楽しむのもおすすめです。猪ジャーキーや丹波黒豆茶を使用した割干し漬など篠山の名産品が詰まっています。
朝食

朝食は、和定食。丹波篠山産の「デカンショ米」の炊き立てご飯に、丹波篠山の郷土料理「とふめし」、丹波篠山の黒豆入りのお味噌汁と、地元の食材をふんだんに使った料理が並びます。

「とふめし」とは、ゆがいた豆腐に炒めた根菜を合わせ、しょうゆで味付けしたもの。約120年前から地域で食べられている料理で、ふっくらツヤツヤのご飯にかけて食べると食が進みます。

兵庫の冬の味覚として外せない香住(かすみ)ガニと、地元産の大根を使った煮物は、だしが薫る優しいお味。

おかずには、鯛の塩漬け、鯛と大根と人参の南蛮漬け、黒豆のおから、卵焼きといった品々がラインナップ(内容は季節によって異なる)。ゆったりといただく朝食に、朝から優雅な気持ちに浸れます。

江戸や明治時代の建造物が立ち並ぶ街に、まさに「暮らすように」たたずむ「篠山城下町ホテルNIPPONIA」。当時の趣を残したまま改修した館内は、初めて訪れてもなぜか「懐かしさ」を感じられ、里帰りしたような温かな気持ちになりました。「篠山城下町ホテルNIPPONIA」を起点に、篠山城下町を巡り、あたたかな地域の人々と交流すれば、もとから住んでいたかのような落ち着いた、穏やかな時間が流れます。どこか懐かしい、心の故郷・丹波篠山へぜひ一度訪れてみては。
篠山城下町ホテルNIPPONIA
- 住所
- 兵庫県丹波篠山市西町25
- チェックイン
- 15:00 (最終チェックイン:20:00)
- チェックアウト
- 12:00
- 総部屋数
- 19室
- 駐車場
- あり
取材・写真・文/中田優里奈