
開港以来、異国の文化が取り入れられ、異国情緒漂う歴史的な洋館が今もなお残っている神戸の街。神戸といえば、ハイカラな洋館のイメージがある人も多いのでは?せっかく訪れたならば、神戸らしいすてきな洋館でひとときを過ごしてみたいですよね。
そこで、神戸の歴史的建造物をリノベーションしたレトロ建築カフェを5つご紹介。建築好きやレトロ好きにはたまらないラインナップです。北野異人館街からも近く、観光途中の立ち寄りもおすすめです。
目次
1.教会をリノベーション「フロインドリーブ」

1924(大正13)年にドイツ人のハインリッヒ・フロインドリーブ氏が創業した神戸の老舗ベーカリー「フロインドリーブ」。フロインドリーブ氏はドイツパンを日本に広めた人物で、NHK連続テレビ小説『風見鶏』に登場するヒロインの夫のモデルにもなりました。旧神戸ユニオン教会をリノベーションした教会カフェとして、地元神戸っ子をはじめ、多くの観光客に人気です。建物は国の有形文化財にも登録されています。

教会が建てられたのは1929(昭和4)年。2階のカフェスペースはもともと礼拝堂でした。その名残から、天井が高く開放感があり、どこか厳かな空気が流れています。
そんな「フロインドリーブ」で、おすすめのメニューは自家製サンドウィッチ。3代目が「ドイツで過ごしていたときによく食べていた母の味を楽しんでもらいたい」との思いから生まれた、「フロインドリーブ」の人気メニューの一つです。

なかでも「クラブハウスサンドウィッチ」(1,650円)は、じっくりと焼き上げたチキンやベーコン、たまごがたっぷり入ったボリューミーな一品。粗挽きマスタードと刻んだピクルスを混ぜ合わせた自家製マスタードマヨネーズとともに味わってみてください。

ケーキやタルトは常時5種類以上ラインナップされています。一番人気は、目にもかわいらしい「いちごのショートケーキ」(792円) 。


そのほか平日限定のモーニングセットや、ショップには、限定商品も多くあるので要チェック。発送にも対応しているので、神戸旅行のお土産にもおすすめです。
- 住所
- 兵庫県神戸市中央区生田町4-6-15
- アクセス
- 山陽新幹線・神戸市営地下鉄「新神戸」駅より徒歩約6分、各線「三宮」駅から徒歩約13分
- 営業時間
- 10:00〜18:00(ラストオーダ―17:00※ただしドリンクメニューなどは17:30まで注文可能)
- 定休日
- 水曜日(祝日の場合翌日休み)/その他臨時休業あり
- 公式サイト
- フロインドリーブ
2.美術品に囲まれるぜいたく「イタリア館(プラトン装飾美術館)」

北野異人館街にある「イタリア館(プラトン装飾美術館)」は、1915(大正4)年にアボイ氏の自邸として建てられた洋館です。北野エリアで公開されている異人館の中で唯一、今も人が住んでいるのが特徴。施設の案内は、実際に屋敷に勤めているメイドさんが行っています。

ダイニングではオーナー家族が実際に食事をとることもあるのだそう。

館内には18世紀から19世紀の家具や調度品、絵画、彫刻といった骨董美術品が並び、どこを撮っても絵になります。ミレーやルソーなどの絵画、ロダンやクローディオンの彫刻など、オーナーが長年かけて収集した美術品がずらりと展示されています。

館内にはフォトスポットが多くありますが、特に階段のところで写真を撮るのが映えると人気です。

そんな「イタリア館」では土日祝日限定でカフェの営業を行っており、南イタリア風のテラスで、プールや美術品を眺めながらティータイムを楽しめます。オーナー夫人自家製のケーキやクッキーなどのスイーツをいただきながら、優雅なひとときを。

特におすすめは、「カフェ・アフォガード」。冷たいバニラアイスに、温かいエスプレッソと香りづけのブランデーをかけたイタリアスイーツです。ほんのり苦味のあるエスプレッソが、アイスの甘さを引き立たせた大人な味わいのひと品。神戸でイタリア気分を味わいたい人は、ぜひご賞味あれ。
- 住所
- 兵庫県神戸市中央区北野町1-6-15
- アクセス
- 山陽新幹線・神戸市営地下鉄「新神戸」駅より徒歩約10分、各線「三宮」駅から徒歩約20分
- 営業時間
- 見学/10:00~17:00 カフェ/土・日曜、祝日のみ11:30~16:00
※スケジュールに変更がある場合があるので、公式SNSをご確認ください。 - 定休日
- 火曜日
- 入場料
- 大人800円、中高生500円
- 公式SNS
- Instagram「platon_kobe」
3.白亜の異人館「旧ムーア邸」

続いて紹介する「旧ムーア邸」は、北野異人館街のメインストリート「異人館通り」沿いに構えるお店です。

こちらの洋館が建てられたのは1898(明治31)年。北野異人館街にある「ラインの館」を設計したドレウェル夫人が同じく設計を担当した建物で、十数年前まではムーア家の一族が約100年にわたって住んでいました。現在は、1階やガーデンをカフェスペースとして活用しており、多くの観光客が訪れる北野エリアの人気カフェに。

おすすめの座席は、かつてサンルームだったソファ席。青と白のコントラストもおしゃれで、写真映えすること間違いなし!ゆらぎのある「大正硝子」や明治期の青タイル張りの暖炉など、店内には当時のまま残っている部分も多くあります。


「旧ムーア邸」を訪れたら、ぜひ食べてみてほしいのが「苺のミルフィーユ」。東京の銀座で長年愛されてきた「銀座マキシム・ド・パリ」のレシピや盛り付けを忠実に再現したお店の看板メニューで、このミルフィーユを目当てに遠方から足を運ぶ方も多いそう。テイクアウトもできるので、ホテルに持ち帰って楽しむのもおすすめです。

「苺のミルフィーユ」が有名な旧ムーア邸ですが、そのほかにも「季節のパフェ」や、ランチ限定の「サンドウィッチ」も人気。特に季節のパフェは、その時期に一番おいしい旬の国産フルーツをたっぷりと使用し、ビジュアルにもこだわったとっておきの逸品。季節ごとにメニューが変わるので、リピーターの方も楽しめます!
- 住所
- 兵庫県神戸市中央区北野町2-9-3
- アクセス
- 山陽新幹線・神戸市営地下鉄「新神戸」駅より徒歩約8分、各線「三宮」駅より徒歩約15分
- 営業時間
- 11:00~17:00
- 定休日
- 火曜日
- 公式サイト
- 神戸北野異人館 旧ムーア邸
4.一部屋ずつ異なる雰囲気「スターバックス コーヒー 神戸北野異人館店」

北野異人館街へ向かう途中の北野坂沿いにある「スターバックス コーヒー 神戸北野異人館店」は、なんと国の有形文化財になっている、珍しいスターバックス コーヒー。1907(明治40)年にアメリカ人のマーチン・ジェームス・シェー氏によって建てられた建物を活用しています。もともとは北野の別エリアにありましたが、阪神・淡路大震災後に神戸市が建物を解体。その後、保管していた部材を使って移築、復元されたのがこの「スターバックス コーヒー 神戸北野異人館店」なのです。
建物は2階建てで、波形の瓦を積んだ「桟瓦葺(さんかわらぶき)」、外壁は板の上下が重なり合うように張られた「下見板張り(したみいたばり)」を採用するなど異人館の典型的な特徴をもっています。

当時の歴史が感じられるよう、建具やフローリングを活かしつつ、建築当初の年代の調度品を配置するなどして作り上げた趣深い空間が魅力。

部屋ごとに雰囲気が異なるので、訪れるたびに座席を変えて違う景色を楽しむのもおすすめです。
1階、2階ともソファ席が多く、ゆっくりとくつろげるのもうれしいポイント。2階には洋書を並べた本棚が設置された部屋があるなど、店内のあちこちに当時の生活を思わせる要素を取り入れているところもこだわりなのだとか。北野観光の際は、ぜひチェックしてみてくださいね。
- 住所
- 兵庫県神戸市中央区北野町3-1-31 北野物語館
- アクセス
- 山陽新幹線・神戸市営地下鉄「新神戸」駅より徒歩約13分、各線「三宮」駅より徒歩約13分
- 営業時間
- 8:00~22:00
- 定休日
- 不定休
- 公式サイト
- スターバックス コーヒー 神戸北野異人館店
5.最古の異人館でアフタヌーンティー「北野メディウム邸」

「北野メディウム邸」は、1887(明治20)年に建てられたロシア人貿易商の私邸。北野異人館街にある異人館の中では最古の建物で、1980(昭和55)年には神戸市の伝統的建造物に登録されています。スタデニック夫妻が住んでいたことから、かつては「旧スタデニック邸」とも呼ばれていました。

白を基調にした下見張りの外壁に、赤や緑をアクセントカラーに配したモダンな外観がポイント。窓ガラスや床は当時のまま残っており、明治期の人々の暮らしぶりを感じられる貴重な建物です。

そんな「北野メディウム邸」で、人気のメニューはアフタヌーンティー。東京のカフェ「Ginger Garden Aoyama」とコラボレーションして開発された限定メニューで、販売が始まるやいなや、またたく間にSNSでも話題となりました。アフタヌーンティーを目当てに、東京や大阪など遠方から来る人も多いそう!
なお、アフタヌーンティーは12:00〜14:00、15:00〜17:00の2部制(完全予約制)。内容は季節ごとに変わります。最新のメニューはお店のInstagramでチェックしましょう。


取材で訪れた日は、「CHERRY & AMERICAN CHERRY ADDICTION Afternoontea」と題したさくらんぼとアメリカンチェリーを使ったメニューがラインナップ(2024年7月14日まで)。華やかなスイーツの数々に胸キュン!お店のマスコットキャラクター「メディウムくん」のチョコレートがトッピングされたパフェもかわいいので、ぜひ記念撮影をお忘れなく。


アフタヌーンティーは予約制ですが、12:00〜18:00のカフェタイムは予約なしでも利用可能。19:00〜24:00はカフェ&バーとして営業しており、季節限定のデザートプレートや、自家製シフォンケーキ、クレープ、パフェなど見た目にも味にもこだわったスイーツをお酒とともにいただけます。昼とはまた違った雰囲気の洋館で、ぜいたくな夜のひとときを楽しむのもおすすめです。
- 住所
- 兵庫県神戸市中央区山本通2-9-19 旧スタデニック邸
- アクセス
- 山陽新幹線・神戸市営地下鉄「新神戸」駅または各線「三宮」駅より徒歩約15分
- 営業時間
- アフタヌーンティー/12:00~17:00(2部制) カフェ/12:00~18:00 夜カフェ&バー/19:00~24:00
- 定休日
- アフタヌーンティー・カフェ /水曜日 夜カフェ&バー/火・水曜日
- 公式サイト
- 神戸メディウム邸
今回紹介したレトロ建築カフェは、いずれも明治や大正期の面影が残る趣たっぷりな雰囲気が魅力。神戸の歴史を感じられ、建築好き・歴史好きにはたまらない空間です。映えスポットも満載で、フォトジェニックな写真を撮りたい人にもおすすめしたいお店ばかり。
長い間積み重ねられた歴史に思いを馳せながら、おいしいスイーツやお茶を堪能する時間は、なんともぜいたく。神戸のハイカラ文化を存分に味わってくださいね!
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