京都・貴船ではじめての川床と貴船神社をめぐる納涼旅

目にも鮮やかな緑に、貴船川のせせらぎ。自然を感じながら京都らしい風情を味わえる貴船エリアは、凛とした魅力があります。一度訪れれば虜になる京都の奥座敷・貴船で、夏の風物詩「川床料理(かわどこりょうり)」を味わいに出かけましょう。

京都中心部から約1時間!納涼の貴船へ

叡山電車 貴船口へ向かう叡山電車

JR「京都駅」からJR奈良線で「東福寺駅」へ。京阪本線に乗り換えて「出町柳駅」に着いたら、さらに叡山電車に乗り継ぎます。約30分電車に揺られれば「貴船口駅」に到着。そこから京都バスの貴船行に乗れば、約5分で目的地に到着です。

緑あふれる貴船エリア

このエリアは京都屈指のパワースポットとして知られる「貴船神社」があることもあり、神々しさすら感じられる癒やしの観光地。市内中心部より気温が低いため、ひんやりと心地よい空気が漂います。

貴船の川床
貴船の川床

貴船の夏の風物詩といえば、川沿に店が立ち並ぶ川床料理でしょう。川床料理は、下流の鴨川では「かわゆか」、上流の貴船川では「かわどこ」と呼びます。貴船では5月1日に川床開きがあり、9月末まで涼を感じながら懐石料理を満喫できます。

昭和7年創業の老舗「京・貴船 ひろや」

京貴船ひろや

訪れたのは貴船神社の北参道からすぐの「京・貴船 ひろや」。貴船エリアには20軒ほどの京料理店がありますが、宿泊も扱うのはほんの数軒。同店はその一つです。昭和初期に叡山電車の開通とともに、川床料理を始めたそう。

京貴船ひろや

関西圏はもちろん、東京からも日帰りで訪れるなど、全国からお客さまが足を運びます。毎年訪れるリピーターも多いそうです。懐石料理は一品ずつ提供するため、2時間ほどかけてゆっくりと食事を楽しみます。

自慢の鮎の塩焼きとそうめん

同店の懐石料理で特筆したいのは、6月から本格的に提供される鮎の塩焼きとそうめん。鮎は琵琶湖から仕入れ、4~5日間貴船川の水が入ったいけすに泳がせます。そうすることで身が引き締まり雑味がなくなることで、格別な味わいになるのだそう。
夏の料理の代名詞ともいえるそうめんにもこだわっており、奈良の三輪そうめんを2年寝かしたものを使用。コシのある食感を堪能できます。

清水焼の鞍馬天狗の蓋

器にも注目しましょう。京都を代表する伝統工芸品の「清水焼」を使っています。鞍馬(くらま)エリアで有名な鞍馬天狗の蓋がついた食器など、眺めているだけで料理への興味がそそられます。

京貴船ひろやの懐石料理「貴船ごよみ」 貴船ごよみ(8,000円)

今回紹介する懐石料理は、6月末まで期間限定の「貴船ごよみ」(8,000円)。※メニューは一例です。内容は時季によって変更になります。

<お品書き>
先八寸  蓬豆腐、蛍烏賊、菜種辛子味噌和え他
小吸椀  丸羽二重蒸し
向 附  鯛へぎ造り
煮 物  おこわ蒸し
焼 物  鱸塩麴焼き
揚げ物  春子天婦羅、長芋新茶揚げ他
留め椀  赤出汁
御 飯  ちりめん雑魚飯
香の物  三種盛り
水 物  カクテルフルーツ・柏餅

しみじみと一品ごとの心尽くしに感動

京貴船ひろやの先八寸

まずは、先八寸(さきはっすん)から。「蕨新木の芽煮」は、山菜の上品な渋みが感じられます。「玉筋魚釘煮」は、山椒香る存在感のある一品。「蓬豆腐」はもちっとした食感で、蓬の風味が口の中に広がります。

京貴船ひろやの鯛へぎ造り

向附の「鯛へぎ造り」とは、身の繊維に沿って包丁を入れる手法で、弾力ある食感を満喫できます。紅芯大根や人参を使ったあしらいが、目にも楽しく、涼を感じさせます。

京貴船ひろやのおこわ蒸し

赤飯を鯛の切り身で包み蒸し上げた煮物の「おこわ蒸し」。あっさりしながらも風味をしっかり感じられる鯛と丁寧に炊かれたおこわが、ショウガの効いた餡に絶妙にマッチしています。

京貴船ひろやの鱸の塩麹焼き

「鱸(スズキ)の塩麹焼き」は、身の締まった鱸に、まろやかな旨みの塩麹が絡みます。「鯖寿司」は、花山椒がよいアクセントに。「青梅煮」は、ほろほろと崩れるような食感に感動します。青梅は針で丁寧に刺し、煮詰めてシロップにつけ、出来上がるまでに実に1年かかっているそう。

京貴船ひろや 長芋の新茶揚げ

「長芋の新茶揚げ」は、芋の甘さをしっかりと感じられます。

一品一品に、丁寧な手仕事から漂う温かさがあり、食べ進めるほどに次の一品が楽しみになる贅沢なお料理。川のせせらぎと、あふれんばかりの緑を間近に感じながら、格別な時間が流れます。

ひろやの梁瀬さんが伝授!

川床料理をもっと楽しむ極意

京都の川床料理というと、馴染みのない初心者には少し敷居の高いイメージがあります。しかし、「貴船の川床料理と言っても、難しいことや堅苦しく考えることはないんですよ」とは同店で40年以上勤める梁瀬優子(やなせゆうこ)さん。川床初心者が知っておきたい心得や、より川床を楽しむコツを教えてもらいました。

京貴船ひろやの梁瀬さん 同店で40年以上勤める梁瀬さん

 

  1. 川床料理は予約が必要?
    「基本的に予約は必要です。当日でも空いていれば予約できますよ」。

    予約の受付は基本的に電話のみで、3ヵ月前から受け付けているとのこと。今回のように川床料理を目当てに訪れる場合は、早めに予約しておきましょう。

  2. おひとり様でも楽しめる?
    「残念ながら、2名様からでのご利用になります」。

    貴船エリアの川床料理は、基本的にどこもおひとり様での来店はNGだそう。仲の良い友達や、大切な人と一緒に訪れるのがおすすめです。

  3. 雨が降ってきても大丈夫?
    「雨が降ってきた場合は、テーブルや座布団、ござを撤収し、室内でのお食事になります。小雨でも撤収します。ただ、雨が上がれば再度川床でお食事いただくこともできます」。

    天気予報をみて事前に決めるということはあまりなく、その時々の天候で判断しているそうです。万が一、予報が雨だったとしても、当日降っていなければ川床でいただける可能性があるそうです。

  4. 川床で写真は撮ってもいいの?
    「ご自身が食べるお料理の写真は気にせず撮影してください。中には他の方のお邪魔になるような場所で、写真を撮られる方がいらっしゃいます。席が空いていれば構わないのですが、迷惑にならないよう、みなさんが気持ちよくお食事できるように気遣いの気持ちを持っていただければと思います」。

    他の方への気遣いは、マナーとして忘れないようにしたいですね。まれに川に入ってしまうお客さまもいらっしゃるのだとか。危険なので川には入らないようにしましょう。

  5. ドレスコードはあるの?
    「特にございません。普段着で気軽にお越しください。トレッキングをしてそのまま来られる方もいらっしゃいますよ」。

    川床料理というとつい身構えてしまいますが、服装は気にしなくても良いのがうれしいですね。

 

京貴船ひろやの川床

その他にも川床を楽しむコツについても梁瀬さんに伺うと、「川がすぐそばを流れており、夏でもひんやりと冷える時があります。同店でも、ひざ掛けを用意しておりますが、羽織るものがあれば心強いですね」とのこと。特に夜は冷えるので、1枚上着を用意した方が間違いなさそうですね。

また、川床料理だけでなく、他にも貴船エリアで楽しめることを紹介してもらいました。「お食事の前に散策、ハイキングがおすすめです。近くにパワースポットがたくさんあるので、回って来てから、お食事される方も多いんですよ。叡山電車で貴船口の次の駅、鞍馬で降りて、鞍馬寺から貴船エリアへ歩いて来られる方もいらっしゃいます」。近くにある「貴船神社」も、本宮から奥宮までの往復で30分くらいかかるので、少し歩きたい方におすすめの散策スポットだそうです。

京貴船ひろやの川床で食事

天井を張らず、美しい緑を存分に感じながら食事を満喫できる、ひろや。心もすっかり癒やされる川床料理。贅沢な時間で、身も心も充電し、暑い夏を乗り切りましょう。

本日いただいたお料理の他にも、ひろや名物の「鮎の石庭盛り」などを盛り込んだ以下のようなコースもあります。予算に応じてお好みのコースを選んでください。

京貴船ひろやの一萬三千円会席 一萬三千円会席(15,444円/税・サービス料込)写真提供:京貴船ひろや
京貴船ひろやの一萬五千円会席 一萬五千円会席(17,820円/税・サービス料込)写真提供:京貴船ひろや
京貴船ひろやでもらえるうちわ

懐石料理をご注文いただいた方にプレゼントされるうちわ。貴船でのひとときを思い出す記念の品、大切に使いたいですね。

京・貴船 ひろや

住所
京都市左京区鞍馬貴船町56
電話番号
075-741-2401
営業時間
昼食 11:00~14:00(L.O.)/夕食 17:00~19:00(L.O.)
川床料金
5・6月は8,000円~、7月以降は平日昼15,444円~/夜17,820円~、9月は9,504円~(税・サービス料込)
アクセス
叡山電車貴船口駅から送迎あり
※貴船口駅からは貴船神社方面貴船行のバスもあり、多い時で土曜・休日は1時間に8本、平日は6本出ています。
駐車場
無料専用駐車場有(10台)

縁結びで有名…始まりは水神様の「貴船神社」

貴船神社の表参道

貴船に来たなら、ひろやの梁瀬さんもおすすめのパワースポット「貴船神社」は立ち寄りたいですね。初夏は春日灯籠と、青もみじのコントラストが映えます。本殿の南に位置する表参道の階段は、圧巻の数の春日灯籠が並ぶ絶好の撮影スポット。譲り合って写真を撮影する観光客の姿がたくさん見られます。

貴船神社の手水舎

伝説によると、初代・神武天皇(じんむてんのう)の皇母である玉依姫命(たまよりひめのみこと)が水源の地を求めて黄船に乗って大阪湾から淀川、鴨川をさかのぼって現在の貴船神社の奥宮にたどり着き、水神を祀ったのが創建とされています。以降、雨乞いの神様として信仰されてきました。
貴船は「氣生根(きふね)」とも書かれ、大地の「氣」が「生」まれる、「根」源の場所として人々に信じられてきました。

貴船神社の社務所

では、なぜ縁結びの神様としても有名なのでしょうか? それは、平安時代の女流歌人・和泉式部が参拝し、心変わりをした夫との復縁を祈願して、成就したことがきっかけとされています。近年ではSNSの普及で、特に若い女性を中心に縁結びの祈願に訪れる人が急増しているといいます。

貴船神社の本宮

貴船神社は「本宮」、縁結びの神を祀る「結社」、創建の地である「奥宮」の三社からなります。せっかく貴船を訪れるなら、時間にゆとりを持って、ゆっくりとすべての社を巡ってお参りするのがおすすめです。

ご神水に浸せば運勢が!人気の「水占みくじ」

貴船神社の水占みくじ

本宮前の社務所の近くで、参拝者が必ずといっていいほど運試しするのが「水占みくじ」。水占みくじ(200円)をいただき、すぐそばに流れるご神水につけると…。

貴船神社の水占みくじにはQRコードがついている

ゆっくりと運勢が浮かびあがります。おみくじにあるQRコードにも注目。QRコードにアクセスすると、お告げが4カ国語(英語、中国語、韓国語、台湾語の繁体字)に翻訳されて見られます。近くに外国人の観光客がいたら、教えてあげるとおもてなしになるかもしれません。

貴船神社の水占みくじのおみくじ結び所

引いた水占みくじはそばにある「おみくじ結び所」に結び、神様にご加護をお祈りしましょう。

貴船神社の絵馬

また、同神社ではかつて歴代天皇が雨乞などのご祈願の際に、神馬(生き馬)を奉献して祈願されたと伝えられています。それが時代と共に形を変えて、やがて現在の絵馬になったとか。
こちらでは、季節限定のオリジナル絵馬が登場するのが特徴。青もみじ形の絵馬(500円)は4月中旬から6月末まで、秋には紅葉の色を表した「紅葉絵馬」が登場します。かわいらしいデザインと限定という言葉が乙女心をくすぐります。

貴船神社の結び守文型

お守りなどのグッズも女子ウケしそうなおしゃれなものが揃います。そのほとんどがオリジナルでデザインしたものだそう。人気No.1は、縁結びのシンボルともいえる「結び守文型」(1,000円)。水色と桃色の2色あります。これは結の社で奉納する結び文をモチーフにしたもので、開運や復縁にご利益があるとされています。

貴船神社のお守り 御神塩(写真左・100円)と御神塩守(各300円)

厄除けのお守りや、お祓いされた塩が入った塩守も人気。面白いものでは、自転車やバイクのハンドルなどに取り付ける「二輪守」(700円)もかわいらしいデザインなので、要チェックです。

同神社の権禰宜・鈴木玉樹さんは「心身ともに浄化される場所。参拝いただいて、清らかな状態に戻って帰っていただければ」と話しています。水の神様をお祀りする神社内は、マイナスイオンたっぷりでとても清らかな場所。お参りするだけで、心がすっと落ち着いていくのがわかりますよ。

貴船神社

住所
京都市左京区鞍馬貴船町180
電話番号
075-741-2016
参拝時間
境内拝観 [5~11月]6:00~20:00[12~4月]6:00~18:00 授与所受付 9:00~17:00(ご祈祷受付は15:30まで)
拝観料
無料
アクセス
叡山電車「貴船口駅」から京都バス(33系統・貴船行)で約5分、「貴船」バス停下車徒歩約5分
駐車場
あり(2時間500円)

目にも優しい緑と川のせせらぎに包まれ、歩くだけで癒やされる貴船エリア。「貴船神社」をはじめとするパワースポットと川床料理を満喫すれば、心身ともに満たされるはず。涼を求めて、特別な京都の夏のひとときを味わいに出かけてみませんか?

取材・撮影・文/宮本美智子

※掲載情報は公開時点の物です。2019年7月公開。ご利用時と異なることがありますのでご了承ください。

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