
和歌山県那智勝浦にある「碧き島の宿 熊野別邸 中の島」は、船でしか辿り着けない、唯一無二の温泉宿。島内には6本もの源泉が湧き出し、波打ち際の絶景露天風呂は、温泉好きが「一度は入ってみたい!」と憧れる存在です。全室オーシャンビューの客室やラウンジでの地酒・梅酒のサービス、さらには黒潮と紀伊半島の恵みが織りなす極上の美食も、旅の感動をぐっと深めてくれます。そんな「碧き島の宿 熊野別邸 中の島」の魅力を詳しくお伝え!
アクセス
旅の始まりは専用船で

都内からは、羽田空港から約1時間20分のフライトで南紀白浜空港へ。そこから、約2時間のリムジンバス・もしくはJR特急「くろしお」を経て、JR紀伊勝浦駅に到着。
そして、旅の最後のステップは「碧き島の宿 熊野別邸 中の島」の専用船!紀伊勝浦駅から徒歩約7分の場所にある観光桟橋へ向かい、シックでモダンな船に乗り込みます。

高級感が漂う船内は、まるで洗練されたラウンジのよう。窓から広がる紺碧の海と、遠ざかる港町の風景を眺めていると、どんどん期待が膨らんでいきます。
一島一旅館のぜいたくな環境

桟橋を出て約5分。静かに波を切る船が、碧き楽園へと近づいていきます。

この島にあるのは、「碧き島の宿 熊野別邸 中の島」ただひとつ。まさに「一島一旅館」のぜいたくな環境です。

到着してまず目を奪われたのは、白い岩が敷き詰められた神秘的な中庭。その壮麗な景色に、思わず足を止めてしまいます。この岩は、ただの庭の装飾ではありません。那智勝浦のシンボルでもあり、深い歴史と信仰を宿す「那智山」から運ばれたもの。岩と木、水が織りなす景観は、熊野の神聖な力が息付いてるかのようです。

館内へ進むと、深みのあるブルーが空間を優しく包み込むラウンジ「磐座(いわくら)」が。ジャズやクラシックのレコードが流れる大人な雰囲気で、傍らには、俳優ショーン・コネリーのサインも。

チェックイン時には、香り豊かなコーヒーや紅茶と一緒に、熊野の銘菓などをいただけます。夜になれば、おつまみや和歌山の地酒・3種の梅酒が飲み放題に。時間ごとに変わるぜいたくなひとときを楽しめます。
客室
波音を聞きながらゆったり過ごせる客室

ルームキーには、かわいらしいクジラのフォルムのキーホルダーが。古くからクジラ漁が行われてきた、南紀勝浦らしいすてきなデザインです。
「熊野別邸 中の島」は、1961年に「ホテル中の島」として開業し、半世紀以上もの間、旅人を迎え続けてきた老舗温泉宿。 そして、2019年、現在の名へと生まれ変わりリブランドオープン。このルームキーも、2019年に一新されたものです。

客室には、新館「凪の抄(なぎのしょう)」と「潮聞亭(ちょうもんてい)」という二つの客室タイプがあり、それぞれ異なる趣を持っています。「凪の抄」は全室に露天風呂を備えた和モダンな客室。そして「潮聞亭」は和の趣を大切にした純和風の和室になっています。どちらも全室オーシャンビューなので、人数や過ごし方など、旅のスタイルに合わせて選んでみては。
今回訪れた「凪の抄」にある「露天風呂付ラグジュアリーデラックス」は、まさに特別な滞在をかなえるワンランク上の客室。広さ75平米の開放的な空間の中で、最大4名まで宿泊可能です。客室露天風呂付きなので、家族やカップル、気の置けない友人とプライベートな時間を満喫するのにぴったり。

このお部屋には、海がすぐそばの絶景テラスを完備。デッキチェアに腰を下ろし、ただ海を眺めるだけで、日常の喧騒が遠ざかり、心が深く安らぎます。

夜は、シモンズのマットを使用したベッドに身を預け、極上の眠りへ。ふんわりとした寝心地と、しっかりと体を支えてくれる絶妙なバランスにうっとり。

客室には、浴衣と作務衣の2種類を用意しています。特に浴衣は、熊野の歴史が息づく特別なデザイン。那智詣で道標とされた、那智山の守り神・ヤタガラスが描かれています。

テラスには、専用の露天風呂も。温泉ではないものの、潮風がそっと頬をなで、波音が静かに響く。そんな極上のロケーションで、ぜいたくな湯浴みを楽しめます。

湯上り後の肌や髪のケアにも、細やかな心遣いが光ります。箱入りで用意された「マーガレット・ジョセフィン」のアメニティは、上質なケアを約束するこだわりのアイテム。
さらに、新館の客室には全室ダイソンのドライヤーを完備。パワフルで速乾性に優れたダイソンだから、髪に優しく、美しい仕上がりに。
温泉
波打ち際の絶景露天風呂

なんと言っても、この宿最大の魅力は、海と一体になったような、波打ち際の絶景露天風呂「紀州潮聞之湯(きしゅうちょうもんのゆ)」。ここでは、静かに打ち寄せる波の音をBGMに、心ほどける湯浴みができます。
さらに驚くのは、奥に広がる洞窟風呂から源泉が豪快にかけ流しになっていること!これほどぜいたくな温泉体験がかなうのも、1島1旅館という唯一無二のロケーションと、圧倒的な湯量を誇る6本の源泉があるからこそ。

一つ上の階には、海を見渡す露天風呂と寝湯コーナーが。ごろんと寝転べば、ほんのりとあたたかな湯に包まれながら、究極のリラックス体験ができます。

「紀州潮聞之湯」だけではなく、広々とした露天風呂と内風呂を備えた大浴場も用意されています。ここはロッカールームも、洗練されたデザイン。シンプルながらも機能的で、リラックスしながら身支度を整えられます。

入口には、ずらりと並ぶシャンプー&コンディショナーの中から、気分に合わせて好きなものを選べるシャンプーバーが。種類も豊富で、旅の気分をさらに盛り上げてくれます。

内風呂からも、窓越しに勝浦の海を一望。

内風呂の階段を降りると、さらに開放感抜群の露天風呂が。ここの温泉は、美肌の湯として名高い三大美肌泉質「硫黄」をたっぷり含んでおり、肌の新陳代謝が促され、湯上がりはしっとりとなめらかになるのだそう。さらに、塩の膜が肌をやさしくコーティングし、ぽかぽかと体の芯から温めてくれます。ほかに、貸切露天風呂もあるのでゆっくりグループで過ごしたい方はぜひチェックしてみてください。
湯上がりはビール飲み放題のうれしいサービスも


温泉でじっくりと温まった後は、さらにうれしいサービスが。それが湯上がりラウンジ「瓶玉テラス」で行われる、ビール飲み放題&アイスキャンディ食べ放題!キンキンに冷えたビールで火照った体を潤せば、思わず「最高……!」と声に出したくなるかも。

「瓶玉テラス」横には、島の守り神「白龍大神」が祭られています。こちらは、特に金運や祈願成就のご利益があるのだとか。静かに手を合わせることで、旅の充実度がぐっと深まるかもしれません。

夕食は2025年にリニューアルされたばかりの「ダイニング熊野の恵」で。和歌山出身、和食ひとすじ40年以上の料理長が、素材そのものの持ち味を最大限に引き出し、ひと皿ひと皿にこだわりを込めて仕上げます。

お造りの盛り合わせは、海の幸に恵まれた熊野らしい一品。那智大社の振ヶ瀬橋(ふりがせばし)をモチーフにした飾り付けにも心が踊ります。
この日は、那智勝浦で獲れた生マグロ、ブリヒラ、アセロラ真鯛、そしてシマアジが並び、どれも新鮮そのもの。口に運ぶと、噛みしめるたびに甘みがじわりと広がります。この締まった身と豊かな旨みは、熊野灘の荒波にもまれた魚だからこそ!

お楽しみのメインは、しゃぶしゃぶ。松阪牛・伊賀牛・熊野牛の3種類のお肉を食べ比べながら、それぞれの個性をじっくりと堪能できます。

そのまましゃぶしゃぶするだけでなく、和歌山特産の柑橘の皮を削り、お塩とともにいただくという楽しみ方も。爽やかな香りがふわりと広がり、お肉の旨みを一層引き立て、余韻までぜいたくな味わいに。お肉一枚ごとに驚きがあり、食べるたびに心が弾みます。
しゃぶしゃぶの後には、ちょっとうれしいサプライズも待っています。どんな一品が登場するかは、味わうまでのお楽しみ!

デザートの中で特に印象的だったのは、那智の黒飴蜜を練り込んだ吉野の葛餅。
口に運ぶと、もっちりとなめらかな食感が広がり、その中から黒蜜の深いコクと上品な甘さがじんわりと染み渡ります。葛のやさしい口どけと、黒蜜の奥深い甘みが絶妙に調和し、ひと口ごとに幸せを感じる味わい。食後の締めくくりにふさわしい、余韻の残る逸品でした。

滞在中、もしタイミングが合えば、ぜひ立ち寄りたいのが船着き場横に作られた「黒潮足湯」。なんと、この足湯は潮の満ち引きの関係で、1日わずか2時間しか入浴できない幻のスポット。潮風が心地よく吹き抜ける開放的なロケーションで、この島ならではの温泉の恵みをじんわりと感じられますよ。
「碧き島の宿 熊野別邸 中の島」は、海に浮かぶ島ならではの、「ここだけの魅力」が詰まった秘境の温泉宿。記念日やとっておきの休日に。離島のラグジュアリー空間で、特別な島旅をしてみませんか?
碧き島の宿 熊野別邸 中の島
- 住所
- 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町勝浦1179-9
- アクセス
- JR紀勢本線「紀伊勝浦」駅から徒歩約7分の「観光桟橋」より専用船で約5分
- チェックイン
- 15:00 (最終チェックイン:18:00)
- チェックアウト
- 11:00
- 総部屋数
- 44室
取材・撮影・文/安藤美紀