佐賀県南部、穏やかな有明海に抱かれた太良町(たらちょう)は、名物「竹崎蟹」をはじめとする豊かな海の幸に恵まれた美食の宝庫。その海岸線に寄り添うようにたたずむ「太良嶽(たらだけ)温泉ホテル 蟹御殿」は、客室や露天風呂、サウナからも海を一望できるリゾート旅館です。
潮の満ち引きが生み出す神秘的な景色を眺め、波音をBGMに心身をととのえる時間は、究極のリフレッシュ。絶景と美食に心を解き放つ、「蟹御殿」でのリトリートステイをご紹介します。
海沿いのプレミアムリゾートを目指して、爽快ドライブ
2024年3月にリニューアルオープンし、全室露天風呂(または半露天風呂)付きのリゾート旅館へと生まれ変わった「蟹御殿」。長崎自動車道・武雄北方(たけおきたがた)ICから車で約60分、有明海沿いを走るドライブルートがおすすめです。
電車の場合は、最寄りのJR肥前大浦駅から車で5分ほど。無料送迎サービスも利用できます(要事前予約)。
和と北欧の心地よさが調和するラウンジ
玄関で迎えられて館内へ足を踏み入れると、まず目に入るのは木の温もりあふれるラウンジ。和の趣に北欧のセンスが心地よく調和し、細部にまでこだわった空間づくりが伝わってきます。
窓辺にデザイナーズチェアが並び、好みのチェアに腰かけて、有明海と雲仙の稜線の景色をゆったり楽しめます。
チェックイン時、長崎県産のびわ紅茶と、口当たりなめらかな自家製ミルクプリンのウェルカムサービスも。旅の疲れがふっとほどけていくようでした。
客室へ向かう前に、色とりどりの浴衣から好みの一着を選べるのもうれしいところ。お気に入りの浴衣に身を包めば、館内で過ごす時間が一層特別に感じられます。
オーシャンビューで温泉付きスイート仕様の本館客室
靴を脱いでくつろぐ旅館らしい開放感と、ホテルの快適性を兼ね備えた客室も「蟹御殿」の大きな魅力。本館12室と離れ4室の全16室がスイート仕様で、すべての客室に露天風呂または半露天風呂を備えています。
オーシャンビューと北欧家具に癒される本館客室「エグゼクティブ・スイート」
今回宿泊した「エグゼクティブ・スイート」(73平米、定員5名)は、畳敷きのゆとりある広さ。ベッドには体をやさしく包み込み、深い眠りへと誘う「シモンズ」の特注マットレスが採用されています。
太良町は日本最大級の干満差で知られ、潮の満ち引きは月の引力によって生まれることから、「月の引力が見える町」とも呼ばれています。館内には月のモチーフが随所に取り入れられ、客室の天井や照明にも、月を思わせる丸い意匠がさりげなくあしらわれていました。
窓際のソファにごろりと身をゆだね、長崎県波佐見(はさみ)町の「白山陶器」の急須でお茶を淹れてひと休み。海を眺めたり、本を読んだり。そんな気の向くままに過ごす時間が、日常の疲れを静かに溶かしてくれます。
この客室には、20世紀を代表する北欧・デンマークの家具デザイナー、ハンス・J・ウェグナーがデザインした「ママベアチェア」も。首や背中までやさしく受け止めてくれる座り心地に、思わず長居したくなります。
そして、何よりぜいたくなのが、客室に備わる半露天風呂。とろみのあるやさしい肌当たりの湯は、低張性弱アルカリ性で神経痛や冷え性、疲労回復などへの効能が期待できます。
浴槽に使われている十和田石は、水に濡れるとブルーグリーンの色合いが一層あざやかに映えます。
バスアメニティには、肌と環境に配慮して作られた英国のボタニカルブランド「bamford(バンフォード)」のシャンプー、コンディショナー、ボディソープが。
洗面スペースには、大きな鏡に加え、ライト付きのメイクミラーも用意されているのがうれしいポイント。
「雪肌精」のスキンケアアメニティ、「DHC」のヘアミルクやボディ&ハンドミルク、「ReFa」のドライヤー、サステナブルブランド「MiYO ORGANIC」のヘアブラシなど、ヘアからスキン、ボディケアまで、人気ブランドのアイテムがそろっています。
「KUSU」のアロマディフューザーの清らかな香りも五感を満たしてくれます。
カップルステイにおすすめの本館客室「プラチナ・スカイ・スイート」
エグゼクティブ・スイート以外の客室も一部紹介します。
本館最上階にあるのが「プラチナ・スカイ・スイート」(54平米、定員5名)。カーペット敷きで、大きな窓の前に畳スペースが設けられ、開放感あふれる眺めを存分に楽しめます。
半露天風呂では、心地よい海風を感じながらの湯浴みがかないます。シンプルでクラシックなデザインの洗面ボウルも印象的。
この客室は特にカップルに人気なのだとか。蟹御殿では、記念日のサプライズ演出などの相談にも乗ってくれるそうで、大切な人との特別な日にもおすすめです。
プライベート感あふれる離れの和洋室「オーシャンスイート」
離れの客室もご紹介しましょう。よりプライベート感を重視する人や、子連れでも周りに気兼ねなく過ごせるのが魅力です。
4室ある離れの中で唯一、露天風呂から海を望めるのが「オーシャンスイート」(デッキを含め約80平米、定員5名)。
リビングとひと続きになった開放的なウッドデッキの中央に露天風呂を配置し、竹林の緑と広い空、有明海の風景を独占できます。
寝室は、畳の上でゆったりと静かな夜を過ごせます。
温泉と絶景とサウナでととのう「有明海の湯」
蟹御殿での滞在のハイライトのひとつが、こだわりのサウナを備えた温泉棟「有明海の湯」。1階と2階にある浴場は、朝と夜で男女入れ替え制。6:00~10:30は1階が男性、2階が女性、15:00~23:00は1階が女性、2階が男性となります。
眺望抜群! 2階の温泉&サウナ
2階の大浴場は、空と海、内湯のブルーのグラデーションが印象的です。
2階の「グラヴィティサウナ」ももちろんオーシャンビュー。大きな窓一面に、有明海と雲仙の絶景を楽しめます。
サウナ室には樹齢350~400年の無垢材「スプルース」を使用。熟練の職人が手で削り出したなめらかな曲線が体になじみ、腰かけると、包み込まれるような心地よさがあります。セルフロウリュができるのも魅力です。
サウナでしっかり温まったら、テラスの水風呂でクールダウン。太良岳山系のやわらかな地下天然水が、火照ったからだをすっと落ち着かせてくれます。
水風呂は深さが130~150センチもあり、立ったまま入れる造り。浴槽内の階段を下りて行くと、まるで海に入っていくような不思議な感覚をおぼえます。
水風呂の後は、フルオーシャンビューのテラスで外気浴を。絶景を眺め、潮風を感じながら、至福の“ととのい“を体験できます。豊富に用意されたタオルや女性用のガウン、そして、サウナから水風呂、外気浴へと続くスムーズな動線もサウナーから高く評価されているそう。
1階は初心者でも入りやすい低温式サウナ
1階の大浴場でも海の景色が空間に溶け込むように広がります。
1階の「グリッドサウナ」は、直径20ミリのスプルース材を格子状に組み合わせた独創的なデザイン。サウナ室の温度は約80℃とやや低めで、体への負担が比較的少なく、じっくりゆっくり温まりたい人やサウナ初心者にも入りやすい設定です。
サウナヒーターは日本初導入の「AINO」のもの。こちらもセルフロウリュを楽しめます。
「有明海の湯」は日帰り入浴にも対応していますが、静かな朝の空気や星空を仰ぐ夜の時間を満喫できるのは、宿泊者だけの特権です。
脱衣所にはタオルや、客室同様に「ReFa」などの高級ドライヤー、「雪肌精」のスキンケアアメニティまで一通りそろっているので、手ぶらで気軽に利用できます。
ドリンクやアイスの無料サービスがうれしい「リカバリーラウンジ」
1階には湯上がりの休憩や待ち合わせに便利な「リカバリーラウンジ」もあります。
ラウンジでは、冷たいアイスや濃厚いちごプリン、体を潤すデトックスウォーターの無料サービスが。温泉やサウナ後にいただく冷たいスイーツのおいしさは格別です。
最上階にはインフィニティ露天風呂も
本館最上階の7階には、圧倒的な開放感の「展望露天風呂」もあります。
あえて内湯を設けず、自然をダイレクトに感じられる設計で、有明海との一体感を味わえます。こちらは宿泊者限定で、男湯と女湯の入れ替えはありません(写真は男湯)。
竹崎蟹と新鮮な海の幸が彩る豪華な夕食
温泉で癒やされた後は、お待ちかねの夕食。本館のレストラン「ebb and flow」で、有明海の旬を味わうぜいたくな時間が始まります。
夕暮れの海を望む窓際の席は宿泊予約の先着順なので、早めの予約がおすすめ。4室ある個室は、小さな子どもと一緒の場合、優先的に案内してもらえます。
今回いただいたのは「竹崎蟹&佐賀和牛溶岩焼プラン」。料理の内容は季節や仕入れ状況によって変わりますが、メインの蟹と和牛を筆頭に、活魚の盛り合わせや大エビの塩焼きなど、全13品が並びます。アナジャコなどの有明海の希少な味覚に出合えるのも、この地を訪れる醍醐味です。
漁師から直接仕入れる天然の竹崎蟹は、旨味がもっとも引き立つ塩ゆでで。ひとり一杯ずつ供される豪快さに気分が高まります。スタッフが目の前で手際よくさばいてくれて、その職人技にも見入ってしまいます。
竹崎蟹は、きめ細かくしっとりとした身が特徴のワタリガニ。1年中提供されていますが、夏から秋はオス、冬から春は卵が詰まったメスが旬を迎え、季節ごとのおいしさを楽しめます。
まずは何もつけずにそのままで。口いっぱいに広がる濃厚な旨味と甘みに、思わずうなってしまいました。この蟹を目当てに毎年訪れるリピーターが多いというのも納得です。
鮮度抜群のお刺身は、九州ならではの甘口醤油や風味豊かな海苔味噌、おろしたてのワサビと、一切れごとに味わいを変えながら楽しめます。
見事な霜降りが入った佐賀牛のサーロインは、阿蘇の溶岩プレートで焼くことで、驚くほどやわらかく、口の中でとろけるような食感に。ワサビ塩や岩塩とともに味わうと、肉本来の甘みとコクが一層引き立ちます。
佐賀ならではのペアリングも見逃せません。世界的な評価を得ている地酒「鍋島」は、3種飲み比べ(1,980円)で個性の違いを堪能できます。
お酒が苦手な人には、佐賀県産のゆずを使ったノンアルコールスパークリングがおすすめ。爽やかな香りとほろ苦さが広がる、大人のための一杯です。
締めのご飯は、蟹の出汁をお米一粒一粒がしっかりと吸い込んだ、香り豊かな「蟹釜飯」。もし食べきれなくても、おにぎりにして持たせてくれる心配りもうれしいところです。
デザートには、なめらかなブランマンジェと濃厚なキャラメルアイスが登場。コースの最後を心地よい甘さで締めくくってくれました。
無料ワインサービスのある談話室で一日の余韻を楽しむ
食後、もう少しお酒を楽しみたいなら談話室へ。19:00~22:00の間、赤・白・ロゼワインやスパークリングワイン、ノンアルコールドリンクを、樽から直接注いで自由に味わえます。
そのほかの時間帯も、自家焙煎コーヒーやデトックスウォーターなどが並び、朝は野菜ジュースも堪能できます。
談話室から外に出ると、「月灯テラス」が広がります。ランタンチェアに身を委ね、ドリンクを片手に、月明かりに照らされた海を眺めるひとときは格別です。
お部屋に戻って、もう一度温泉に浸かり、ふかふかの布団に包まれて眠りにつく。この宿ならではのぜいたくな夜を過ごしました。
地元の名物と炊きたてご飯が並ぶ朝食
一日のはじまりは、地元の恵みを味わう朝食から。レストランへ向かうと、太良町名産のみかんをその場で搾ったジュースが迎えてくれました(秋~5月頃限定)。
席に着くと、玉手箱のような御膳が登場。蓋を開けると、肉厚な鮭の味噌幽庵焼きや、太良町産のブランド豚肉「金星豚」、カニ焼売、有明海でとれたクラゲなど、ご飯が進むおかずが並びます。彩り豊かなラインナップに、朝から食欲をそそられます。
有明海といえば海苔も特産。七輪でさっと炙ってもらうと、香ばしい香りがふわりと立ち、焼きたてならではのパリッとした軽やかな食感を楽しめます。
ご飯は、佐賀県産米「さがびより」を南部鉄器の釜で炊き上げたもの。一人ひとりの朝食スタート時間に合わせて炊くこだわりようで、炊きたてのご飯は、つややかな粒立ちとやさしい甘みがたまりません!
長崎のブランド卵「太陽卵」は、ぜひ卵かけごはんで。箸で持ち上げられそうなほど濃厚な黄身には、佐賀・唐津の「マツキン醸造」の醤油がよく合います。すっかりお腹も満たされ、一日の元気をチャージできる大満足の朝食でした。
チェックアウトは11:00とゆったり。朝食後にもう一度温泉やサウナに入ったり、テラスで海を眺めてのんびりしたりと、最後まで思い思いの時間を満喫できます。
有明海の絶景に包まれながら、温泉やサウナで心身をほどき、竹崎蟹と地元の旬に舌鼓を打つ。「蟹御殿」は、忙しい日常から少し離れて自分をととのえたいときに訪れたくなる一軒です。自分へのご褒美はもちろん、大切な記念日にもぴったり。次の休日は佐賀・太良町で、海と湯と美食に癒やされる時間を過ごしてみませんか。
太良嶽温泉ホテル 蟹御殿
- 住所
- 佐賀県藤津郡太良町大浦乙316-3
- アクセス
- 【車】長崎自動車道「武雄北方IC」より車で約60分
【電車】長崎本線「肥前大浦駅」より車で約5分(無料送迎あり、要予約) - 総部屋数
- 16室
- チェックイン
- 15:00(最終チェックイン19:00)
- チェックアウト
- 11:00
- 駐車場
- 無料
取材・写真・文/吉野友紀


