秋田県仙北市角館(かくのだて)の武家屋敷通りは立ち並ぶ武家屋敷とともに、四季折々で違う表情を見せる桜が見どころ。春は満開の桜、初夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色ーー。季節を感じながら、歩いて楽しむ観光がおすすめです。
近年は、モンブラン専門店や、おしゃれなプリン専門店などスイーツショップが新たにオープン。散策の休憩時間も楽しめるスポットが充実しています。今回は、半日で歩いて楽しむ「みちのくの小京都」角館の魅力をご紹介します。
角館へのアクセス
角館駅までの片道は、秋田新幹線を利用すると東京駅から約3時間、仙台駅から約1時間半、秋田駅から約45分です。秋田駅からレンタカーなど自動車を利用した場合は約1時間。角館駅から武家屋敷通りまでは徒歩約20分です。
四季折々の風景を楽しめる仙北市角館・武家屋敷通り
仙北市角館・武家屋敷通りは、約400年前に角館地方を領していた芦名義勝により造られました。当時は武家屋敷約250軒があったとされます。その後の1656(明暦2)年、佐竹氏一門の北家が管理し、城下町を形成しました。
現在でも角館の町割は変わらず、10軒ほどの武家屋敷が見学できます。この地区は、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。
武家屋敷通りのシダレザクラ
武家屋敷通り沿いにはシダレザクラが並びます。春は満開の花、夏は爽やかな緑など季節とともに、武家屋敷に彩りを添えています。例年4月下旬から5月上旬までは、角館の「桜まつり」が行われて賑わいます。
約300年前、佐竹北家が角館を管理してから植えられたものとされ、樹齢約300年以上のものを含めて400本余りがあります。
樺細工伝承館
角館の伝統工芸品・樺(かば)細工の振興と、広域観光の拠点を目的に開設された施設。樺細工を中心に、角館の歴史や文化、人々の暮らしなどの資料を幅広く展示しています。
樺細工制作の実演も行っており、伝統工芸士の技術を間近で見ることができます。繊細な動きの手元など熟練した技術に注目してみてください。
館内は樺細工をはじめとした物産の売店や喫茶店も併設。ゆっくりと角館の文化や歴史について学ぶことができます。
樺細工伝承館
- 住所
- 仙北市角館町表町下丁10-1
- 開館時間
- 9:00~17:00(4月~11月)、9:00~16:30(12月~3月)※最終入館は閉館時間の30分前まで
- 休館日
- 年末年始(12月28日~1月4日)
- 入館料
- 大人(高校生以上)300円、子ども150円
- アクセス
- 角館駅から徒歩約20分
角館歴史村・青柳家
3,000坪の敷地内に重要文化財に指定されている青柳家母屋のほか、武器蔵や解体新書記念館などの6つの資料館があり、抹茶やよろい、着物の着用(有料)など日本文化を体験できます。
母屋は約200年前の建築を現代に残し、玄関や土間から内部の様子を見ることができます。武具や古文書などテーマ別に資料館があり、秋田や日本の歴史・文化を学ぶことができます。
休憩や昼食をとれる施設も併設されており、ゆったりと楽しみたいスポットです。
角館歴史村・青柳家
- 住所
- 仙北市角館町表町下丁3
- 開村時間
- 9:00~17:00(夏期)、9:00~16:00(冬期)
- 定休日
- なし
- 入村料
- 大人500円、中高生300円、子ども200円
- 公式サイト
- 角館歴史村・青柳家
- アクセス
- 角館駅から徒歩約20分
武家屋敷「石黒家」
仙北市指定文化財。約210年前の武家の生活様式を残す建物を中心に、江戸時代以降の日本文化を現代に伝えています。
角館の武家屋敷では唯一、現在も子孫が母屋に住んで生活しており、ガイドも務めています。母屋の座敷に上がることができ、欄間など内部の作りを間近で見ることができます。
蔵では、石黒家が代々受け継いできた武具甲冑や『解体新書』などの古文書、生活用品などを展示。季節に合わせて、ひな人形や五月人形を飾っています。
歴史とともに、長年にわたり武家屋敷で生活を営む「伝統の心」を直に体験できます。
武家屋敷「石黒家」
- 住所
- 仙北市角館町表町下丁1
- 公開時間
- 9:00~17:00
- 定休日
- なし
- 入館料
- 大人(高校生以上)400円、子ども(小中学生)200円
- 公式サイト
- 武家屋敷「石黒家」
- アクセス
- 角館駅から徒歩約20分
桧木内川堤の桜並木
武家屋敷通りから桧木内川(ひのきないがわ)沿いへ行くと、約2キロメートルにわたりソメイヨシノが植えられ、春は満開の桜を楽しむことができます。開花時期には「桜のトンネル」も見られ、中を歩いて春を満喫。
春に行われる「桜まつり」(4月下旬~5月上旬)に合わせて、「武家屋敷通りのシダレザクラ」とともに楽しみたい桜の名所です。
昼食は秋田の郷土料理をアレンジした「角館懐石」を堪能
料亭 稲穂
秋田の郷土料理に新たなアレンジを加えた料理を提供しています。郷土の味と地場産の食材に特にこだわっています。
県外からの観光客におすすめなのは「角館懐石」(2,420円)。秋田の郷土料理・きりたんぽや、日本三大うどんの一つ・稲庭うどんなど、秋田ならではの味を楽しめる懐石料理です。
角館駅からは徒歩7分。料亭の入り口は緑にあふれ、季節により違う風景を楽しめます。
料亭 稲穂
- 住所
- 仙北市角館町田町上丁4-1
- 営業時間
- 11:30~13:30(昼の部)、17:00~21:00(夜の部) ※前日までの予約が必要
- 休業日
- 不定休、サイトを確認
- サイト
- 料亭稲穂
- アクセス
- 角館駅から徒歩約7分
新しくオープンした角館のスイーツショップに注目
みちのく懐かしの味 あきたプリン亭
秋田の新しい名物として誕生した「みちのく懐かしの味 あきたプリン亭」。かわいらしい外観の店舗が特徴のテイクアウト専門店です。
小瓶に入ったプリンは、店内工房で手作り。定番の「なめらかプリン」や「レトロプリン」、「武家屋敷プリン」や「マロンプリン」など角館の魅力を詰め込んだプリンが味わえます。春は「さくらプリン」など季節限定品も販売。訪れた時期で、さまざまな味に出合えます。
みちのく懐かしの味 あきたプリン亭
- 住所
- 仙北市角館町横町16
- 営業時間
- 10:00~17:00
- 定休日
- 年末年始のみ休業
- 公式サイト
- みちのく懐かしの味 あきたプリン亭
- アクセス
- 角館駅から徒歩約13分
モンブランスイーツ専門店「RÉGAL RITZ(レガール リッツ)」
2022年3月にオープンした秋田県初のモンブランスイーツ専門店。仙北市は日本一大きな栗・西明寺栗が特産品で、「栗の郷」といわれています。角館に行ったら、訪れたいスイーツ専門店です。
自慢の一品は「焼きモンブラン」。マロンクリームが乗った焼き菓子で、栗の甘さを存分に味わえます。
店舗は築120年以上の蔵を改装した趣ある雰囲気。店舗でしか味わえない「絞りたてモンブラン」は現地でぜひ、食べたい一品です。
店舗情報
- 住所
- 仙北市角館町下新町34
- 営業時間
- 10:00~17:00
- 定休日
- 不定休
- 公式サイト
- RÉGAL RITZ
- アクセス
- 角館駅から徒歩約11分
お土産は「秋田の味」を買い求めに!
安藤醸造 本店
1853(嘉永6)年創業の醸造業。160年以上培ってきた技術を磨きながら、みそやしょうゆなど秋田の味を作り続けています。
店舗ではみそやしょうゆ、漬物など個性豊かな商品が並びます。
本店では商品の購入のほか、仙北市指定文化財・安藤家「煉瓦造蔵座敷」も見学できます。季節により五月人形(4~5月)やひな人形(2~3月)が飾られます。
一番人気は「しろだし」。独自開発された「イワナのしょっつる」をブレンドしたまろやかな中に深みのある味わいが特徴の万能だしです。お世話になっている人への贈り物や親しい人へのお土産を買いに、訪れたいお店です。
安藤醸造 本店
- 住所
- 仙北市角館町下新町27
- 営業時間
- 8:30~17:00
- 定休日
- なし
- 公式サイト
- 安藤醸造 本店
- アクセス
- 角館駅から徒歩約12分
角館周辺の宿のご案内
宿泊は秋田県仙北市角館のほか、近隣では日本一深い湖「田沢湖」の周辺、全国花火競技大会の「大曲の花火」が開かれる大仙市大曲などもおすすめです。
長い歴史がある角館の武家屋敷通りでは、由緒ある建造物や伝統工芸を間近で体感できるのはもちろんのこと、地元の食材を活かした郷土料理やスイーツなどが楽しめるのも魅力です。
春の桜の時期だけではなく、季節ごとにさまざまな趣を堪能することができるので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?
取材・撮影・文/アキテッジ(株)