
和歌山県・那智勝浦にある「南紀勝浦温泉 ホテル浦島(以下「ホテル浦島」)」は、半島そのものがホテルになったかのような圧倒的スケールの温泉リゾート。波音が心地よい唯一無二の洞窟風呂「忘帰洞(ぼうきどう)」をはじめ、個性豊かな4つの大浴場をめぐりながら、冒険気分で温泉を満喫できます。そして夕食は、勝浦漁港で水揚げされた新鮮な生マグロが食べ放題バイキング&ドリンクインクルーシブ!誰もがきっと心を奪われる、ここだけの非日常が広がっています。
アクセス
亀の船に揺られて「ホテル浦島」へ

羽田空港から飛行機に乗り、南紀白浜空港まで約1時間。空港からリムジンバスで海沿いをぐるりと2時間ほど走り、紀伊勝浦駅へ(リムジンバス以外にも、白浜駅からJR特急「くろしお」が出ています)。
そこから徒歩約5分で、勝浦港・観光桟橋に到着します。

時間になると、まるで絵本から飛び出したような「亀の船」がお出迎え。つぶらなひとみのかわいいフェイスに思わず笑顔がこぼれます。(※天候や時間によってシャトルバスの場合もあります)
さあ、いざ「ホテル浦島」へ向かいましょう!

勝浦の青い海を渡りながら船旅気分を味わっていると、5分ほどで「ホテル浦島」の本館が見えてきます。
紀伊半島がまるごとホテル!?

東京ドーム約4.5個分という、紀伊半島の広大な敷地に建つ「ホテル浦島」。敷地内には、「本館」「山上館」「日昇館」「なぎさ館」という4つの建物があります。ひとつひとつが大型ホテルのようなサイズで、収容人数は計1,300人超え。エントランスやロビー、売店、温泉、レストラン。どこをとってもスケールが大きく、まるでひとつの町を歩いているような気分になります。
客室
日昇館「和室」

今回宿泊したのは、カップルや小グループ、気ままな一人旅にも最適な「日昇館」の和室。お部屋の広さは42~51平米。名前の通り、朝日が差し込む東向きの客室で、畳の香りに包まれながら過ごせます。

窓の向こうには、どこまでも続く太平洋の青が広がります。晴れの日はきらきらと水面が輝き、曇りの日はしっとりと深みを帯びる。刻々と表情を変えるその海を、ただぼんやりと眺めているだけで、心がゆっくり整っていくようです。

備え付けの浴衣にあしらわれているのは、「ホテル浦島」の名物「亀の船」を思わせる亀たち。どこかとぼけた表情がキュートで、ほっこり癒やされます。

本館には、色とりどりの浴衣が並ぶコーナーも(レンタル料1,000円)。淡いものからビビッドなものまで、色や柄の多さに思わず目移りしてしまいます。鮮やかな浴衣で思い出の写真を撮るのもいいですね。
山上館「和洋室」

海抜80メートルの高台に建つ「山上館」は、その行き方がユニーク。「山上館」へは、全長154メートルの専用エスカレーター「スペースウォーカー」で向かいます。日本一の高低差(77メートル)を誇り、その乗車時間は、5分45秒。エスカレーターにしては異例の長さで、まるでアトラクションにでも乗っているかのようです。


「山上館」は、何といっても山の上からの眺望が自慢。10帖の和室とツインベッドの洋室が一体になった和洋室タイプは、たっぷり60~90平米もあり、最大5名まで利用OK。家族旅行やグループ利用でも安心です。「山上館」宿泊者限定の温泉もあり、よりぜいたくな滞在がかないます。
湯めぐり
個性派大浴場を冒険するようにめぐる

お部屋でひと息ついたら、いよいよお楽しみの温泉へ。敷地内から湧く源泉は10もあり、大浴場は全部で4カ所。それに加えて、山上館のゲストだけが楽しめる専用のお風呂もひとつ。最大5カ所の湯めぐりができるのだから、温泉好きにはたまりません。
「忘帰洞」
ここで絶対外せないのは、「忘帰洞」と呼ばれる天然洞窟温泉。「忘」れて「帰」らずとの名を持つこの洞窟風呂は、かつて紀州藩のお殿様がこの地を訪れ、波音と湯けむりに包まれた洞窟風呂にすっかり心を奪われたことから名付けられました。
時代を超えても、誰もが帰りたくなくなる。そんな温泉とは、いったいどんなものでしょう?

さっそく洞窟内に一歩足を踏み入れると、そこはまるで別世界。自然が何千年もかけて生み出した天然の洞窟をそのまま生かしているため、ゴツゴツとした岩肌がむき出しのまま。あまりの力強さに思わず息をのんでしまいます。

そんな岸壁に抱かれるように、湯船が4つ点在しています。メインは、三角窓のように開けた、海のパノラマが広がる露天風呂。近づくと、打ち寄せる波音が洞窟内に響き渡ります。吹き寄せる波しぶきを見ながら、ただぼんやりと湯船に身を沈めれば、時の感覚さえも消えてしまいそう。

湯船だけでなく洗い場までもが、洞窟の中に。まるで探検家になったような気分です。

風と波が何千年もかけて刻んだ洞窟での湯浴みは、まさに唯一無二の体験。泉質は、pH7.3の中性で含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉。すべての湯船に、源泉かけ流しで注がれています。どの湯船からも硫黄の香りが漂い、温泉好きの心をときめかせます。

「忘帰洞」は、男女入れ替え制。朝に見る海、夕暮れに染まる海、暗闇に沈む海。時間ごとに変わる景色を、男女それぞれ趣の異なる湯船で楽しめます。
「滝の湯」と「ハマユウの湯」

「忘帰洞」のすぐ近く、本館にあるのが、男女入れ替え制の「滝の湯」と「ハマユウの湯」。那智の滝をイメージしてつくられた「滝の湯」は、大きな岩肌から源泉がどばどばと豪快に流れ落ちています。

露天風呂エリアには、あつ湯とぬる湯の湯船があります。あつ湯で全身をしっかり温めた後は、ぬる湯でゆったりと。
玄武洞(げんぶどう)

洞窟風呂といえば、「忘帰洞」が有名ですが、「日昇館」にも天然洞窟風呂があります。それが、こちらの「玄武洞(げんぶどう)」。入り口からすでに、洞窟感満載!

手前には、湯船から湯があふれる大きな内湯があり、奥に、紺碧の海を一望できるこぢんまりとした露天風呂があります。注目すべきは、内湯と露天風呂で、注がれる源泉が違い、2種類の湯を楽しめること。
内湯は、特に成分が濃く、甘い硫黄の香り。露天風呂はすべすべ、しっとりの浴感です。海が近いので潮騒も心地よく、「忘帰洞」に勝るとも劣らない最高のロケーションです。
「磯の湯」

玄武洞から近い、日昇館の「磯の湯」も、ぜひ入ってほしい名湯。洞窟風呂のような派手さはないものの、2つに分けられた浴槽には、それぞれ違う源泉をかけ流しで注いています。手前のお湯は、無色透明に見えますが、これは源泉の位置が湯船から近く、酸化していないから。抜群の鮮度が魅力です。


湯めぐりの際は、スタンプラリーにチャレンジしてみて。4つの湯めぐりスタンプが貯まったら、「忘帰洞」のかわいいイラストが描かれた入浴剤をもらえます。旅の記念にぴったりです。
「遙峰の湯」

山上館に泊まった人しか入れない「遙峰(ようほう)の湯」は、33階にあり、見晴らしが最高。湯船に身を沈めると、目の前には那智の山々が悠然とたたずみ、その麓には穏やかな勝浦湾が青く輝きます。そして視線を移せば、港町の家々が折り重なるように並び、紀伊の絶景を独り占めしている気分に!
夕食
勝浦産の生マグロも和歌山梅酒も心ゆくまで

たっぷり温泉で心も体もほぐした後は、待ちに待った夕食バイキング。今回のお食事会場は、日昇館にある絶景バイキングレストラン「サンライズ」で。地元産の食材にこだわった「熊野cuisine」をコンセプトにした約60種類のお料理がずらりと並びます。
熊野エリアは、マグロをはじめとする新鮮な魚介が次々に水揚げされ、山では季節の野菜や山菜、香り高い柑橘類も届く地域。海と山、両方を抱く、食材の宝庫だからこそできる、珠玉の料理が並びます。

那智勝浦と言えば、グルメな人が一度は訪れてみたいと思う「マグロの町」。ホテルから目と鼻の先にある勝浦漁港は、延縄(はえなわ)漁法による生鮮マグロの水揚げ量が日本一を誇る場所なのです。一匹ずつ丁寧に釣り上げるこの伝統漁法のおかげで、マグロの身は傷みが少なく、ぎゅっと締まった極上のお味に。そんな自慢の生マグロを、食べ放題で心ゆくまで味わえます。

マグロコーナーには、地元の漁港から直送された生マグロのお刺身やお寿司、ポキなどがずらり。冷凍されていない、天然物ならではの上品なマグロの風味と、もっちりとした食感がたまりません。マグロ本来のうまみが口の中いっぱいに広がります。

ひと際目を存在感を放っていたのは、大きなマグロのカマ焼き。目玉の周りや頬肉といった、普段なかなか味わえないめずらしい部位にも出合えます。

マグロをぜいたくに使った炊き込みご飯「浦島めし」も、バイキングの人気メニュー。その上に「山椒入りカレー」と「ごぼうチップス」を載せれば、 「生マグロフェス2025」 の「まぐろカレーコンテスト」 で1位を獲得したメニューになりますよ。

外はサクッ、中はふわっ。マグロのうま味がぎゅっと詰まった「まぐろメンチミニバーガー」も、ここでしか食べられない人気メニューです。牛や豚よりさっぱりした味わいで、何個でも食べられそう。

春から初夏にかけてのお楽しみが、「ひろめのしゃぶしゃぶ」。ひろめは、一見わかめのような海藻ですが、食べると、わかめより肉厚かつぷりぷりな、唯一無二の食感。これを熱いスープにくぐらせるだけで、鮮やかなグリーンになり、磯の香りが立ちます。
さらに、2025年1月から、アルコール&ソフトドリンクがインクルーシブになり、バイキングがパワーアップしました!紀州の梅酒をはじめとした約30種類の果実酒、赤・白・スパークリンクワイン、生ビール、地酒などがそろい、すべて飲み放題です。

ほかにも、高級食材の国産牛のローストビーフやうなぎの蒲焼きも食べ放題。うなぎには、地元の山椒がよく合います。地元産の食材の作り立て天ぷらも外せません。
地元・熊野地方や熊野灘で獲れた山海の幸を思う存分味わいつくし、和歌山名物の梅酒を堪能すれば、波音と共に心地よく眠れそうです。
朝食
夜だけじゃない。朝から飲み放題の豪華な朝食ブッフェ

朝食も夕食と同じ、日昇館のブッフェレストランでいただきます。朝は約30種類の和食&洋食が食べ放題に。紀州の自然と恵みを味わい尽くせるお料理が並びます。特に目を奪われるのが、生マグロを使った「まぐろの漬け丼」。ぜいたくな生マグロを好きなだけ乗せられます。

さっぱり系のご飯が食べたい時は、お茶漬けがおすすめ。鯛のお刺身やしらす、辛子明太子、マグロ昆布佃煮、焼き鮭ほぐし身など、多彩なトッピングが10種類以上も並びます。

ご飯の上に好きな具材をのせ、お出汁をかければ、「自分好みのお茶漬け」の完成です。地元産「うめたまご」で卵かけごはんにするのもおすすめです。そのほか、和歌山名産・みかんを食べて育った「みかん鶏」を使った「みかん鶏のつくねと大根のおでん」や、その場で作り立てをいただけるだし巻き卵など、ほっとする味が並んでいました。

そして驚いたのは、赤・白・スパークリングワインから、生ビールまで、朝食時もインクルーシブであること!朝から天然生マグロをお腹いっぱい食べて、窓の向こうに広がる海を眺めながら、優雅なひとときを過ごす。そんなぜいたくが、ここでは当たり前のようにかないます。
散策
遊歩道を散策しながら、岬の絶景を満喫

朝食後、少し運動がてら、山上館から続く小道を抜けて「狼煙山(のろしやま)遊園」へ向かうことに。朝のやわらかな光を浴びた小径は、緑に包まれ、ところどころ木漏れ日が揺れています。深呼吸すれば、潮の香りと森の香りが混ざり合うのも、この場所ならでは。

ふっと視界が開けた場所からは、歴史好きにはたまらない「山成島」を一望できます。『平家物語』にも登場するこの島を眺めていると、なんだか時間の流れがゆるやかにほどけていくよう。

さらに奥へと進むと、紀伊半島の先端を見渡せる展望テラスにたどり着きます。足元をのぞけば、断崖絶壁が……!ここから見る景色は、雄大な海と空がひと続きになって、まるで世界の果てに立っているかのような気分になります。

チェックアウトを済ませたら、再び亀の船にのって、ホテルを出発。最後の一瞬まで、心がときめき続ける1泊2日の旅でした。
何度も訪れたくなる「ホテル浦島」
すべてがアトラクションのように楽しめる、紀伊半島最大級の温泉リゾート「ホテル浦島」。「洞窟風呂」をはじめとする多彩な温泉をめぐり、地元の海と山の恵み「熊野Cuisine」を心ゆくまで味わう……。亀の船が連れて行ってくれる楽園で、思う存分リフレッシュしてみませんか?
ホテル浦島
- 住所
- 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町勝浦1165-2
- アクセス
- JR紀勢線「紀伊勝浦」駅から徒歩約6分の桟橋より、専用ボートまたはシャトルバスで約5分
- チェックイン
- 15:00 (最終チェックイン:22:00)
- チェックアウト
- 10:00
- 総部屋数
- 365室
取材・撮影・文/安藤美紀