かずら橋で知られる徳島・祖谷の秘境宿
徳島県の観光名所として特に有名な祖谷渓(いやけい/いやだに)。中でも「祖谷のかずら橋」は、絶景の中に架かる変わった吊り橋としてとても人気があり、日本中のみならず海外からも多くの観光客が訪れています。
そんな祖谷渓でもう一つ旅行者に人気のスポットがあります。それが「新祖谷温泉 ホテルかずら橋」。かずら橋のある祖谷温泉にはいくつもの温泉宿がありますが、特にこの宿が人気の理由はケーブルカーで行く天空露天風呂です。日帰り利用もでき、祖谷渓の大自然を眺めながら浸かる温泉と、おもてなしの心に満ちた宿の魅力を紹介します。
ホテル自慢の天空露天風呂とは?
ホテルかずら橋の最大のウリが「天空露天風呂」。祖谷渓の大自然を見ながら祖谷温泉を堪能することができます。
しかも露天風呂まで行く際に、ワクワクする仕掛けがあるのです。それが宿の3階と露天風呂をつなぐケーブルカー!
露天風呂にはケーブルカーに乗って向かいます。一見小屋のように見えますが、ボタンを押せば露天風呂入り口まで運んでくれます。
少しずつ天空露天風呂に近づいていく演出に、ワクワク感が高まります。たどり着いた先には、男女それぞれの露天風呂や足湯、休憩処などがあります。
男性用の露天風呂「雲海の湯」と女性用の「樹海の湯」からは祖谷の大自然が一望できます。湯温はそれほど高くないので、ゆっくりと景色を味わいながら体を温めましょう。
また「樹海の湯」には畳のスペースも設けられています。乳幼児を連れて入る場合でも、このスペースがあれば入浴の準備をしやすいですね。ホテル側のきめ細やかなおもてなしの心が感じられます。
男女の露天風呂の奥には、貸し切り露天風呂「筍の湯」が用意されています。
別料金になりますが、家族での利用や自分だけの癒し時間を堪能したいという方はぜひこちらも利用してみてください。
筍の湯からの景色ももちろん最高です。しかも浴槽の向こう側には緑が多く、癒し効果はさらにアップ。大自然の中での開放的な時間は日頃の疲れを吹き飛ばしてくれること間違いなしです。
入浴後の休憩所もこだわりの空間になっています。
湯上がり休憩所「半兵衛の家」はケーブルカーの発着場そばにあります。外観は茅葺の趣ある建物、中は囲炉裏があり、むしろが敷かれています。まるで映画のセットのような空間。
半兵衛の家の入り口の逆側には足湯まであります。露天風呂からの景色とは少し違った角度で祖谷の山々を眺めながら足湯を楽しんでみてください。
どのお風呂も6時〜23時までならいつでも利用できるというのも嬉しいポイント。青空、夕焼け空、夜空と色々な情景の下で温泉を楽しむことができます。
※立ち寄り湯の場合は10時〜16時まで。貸し切り風呂は宿泊者のみ利用可
さらに足湯周辺は夜間にかなり暗くなるため、天空露天風呂はホテルの敷地内で最も星が見えるスポットです。カップルやご夫婦で足湯に浸かりながら星空観賞といった素敵な時間を過ごしてみるのもいいのではないでしょうか?
最後にもう一つチェックしておきたいのが貸し切りの五右衛門風呂です。貸し切り露天風呂と同じくこちらも別料金となりますが、昔ながらの五右衛門風呂を体験することができますよ。
祖谷地方をはじめ、かつては全国的に使われていたこちらのタイプのお風呂。風呂釜の下で火を燃やしその熱でお湯を温めているため、底は触れられないほど熱くなります。入るときは風呂釜に置いてある板を踏んで、下に沈めながら入ってくださいね。
もし湯加減を自分で調節したいというときは、手元の蛇口で水やお湯を出すこともできます。使い方はお風呂の入り口に注意書きがあるので、しっかり確認してから入るようにしましょう。
現代ではほとんど見かけなくなった五右衛門風呂ですが、ここでは現役で活躍中。体が芯から温まる昔ながらのお風呂を体感してみてくださいね。
おもてなしの心を感じる滞在
ホテルかずら橋の魅力は露天風呂ということで紹介してきましたが、それ以上に宿泊客の満足度を高めているのは、若女将をはじめとするスタッフの方々から感じられるおもてなしの心。
徳島の祖谷はまさに秘境と呼ぶにふさわしい、とても山深い自然に囲まれた場所です。日常の喧騒から離れ、安らぎを求めてきた人に寄り添ってくれる心からのおもてなし精神に、ホテルかずら橋では触れることができるでしょう。
チェックインの際の丁寧な案内にはじまり、ホテルを後にするときにはスタッフが総出で見えなくなるまで見送ってくれます。その一つひとつに宿泊客が癒しを感じるのではないでしょうか。
そんなスタッフの方々のおもてなしを食事の際にも感じることができます。
料理だって自慢です!並ぶは徳島の郷土料理
食事会場は囲炉裏付きの食事処「田舎亭」「阿佐」「古味」のいずれかとなります。ほとんどの食材は近くの場所でとれたものばかり。地産地消のこだわりメニューが食卓にズラッと並びます。
地元に根付いた郷土料理のため見慣れない品が出てくるかもしれませんが、スタッフの方が説明してくれるのでご安心ください。もしわからないことがあれば質問してみましょう。
山深い祖谷地方では多くの山菜やきのこがとれ、キレイな水の流れる川もあるので魚も新鮮そのもの。食卓にはイタドリやゼンマイの小鉢、季節野菜の天ぷら、川魚のアマゴのお刺身などが並びます。鍋は郷土料理の一つであるぼたん鍋です。
かずら橋周辺のお店でも目にした味噌田楽「でこまわし」もメニューの一つ。こちらでは、そば団子や石豆腐、こんにゃくが使われています。鮎の串焼きは、夕食前の早い時間から準備してじっくり火を通しているので、骨まで食べられて丸ごと川の幸を堪能することができます。
さらにはそば米雑炊や祖谷そばといった徳島の名物グルメもメニューに含まれており、隅から隅まで徳島の味に浸ることができるメニューとなっています。
そば米雑炊というのはお汁の中に茹でたそば米を入れたもので、徳島市内でも家庭料理として時折食卓に並びます。県外の人はその存在すらご存知ないでしょう。そんな郷土料理づくしの食事は見た目から豪華なディナーというよりも、長年その土地に根付いてきた文化を感じることができる滋味深いものばかり。
夕食の途中には若女将が祖谷の民謡を披露してくれる一幕も。美しい歌声につい聴き入ってしまうはず。徳島の味に、徳島の民謡、その全てを本場で楽しんでくださいね。
様々な客層に応える部屋タイプ
部屋は展望風呂付モダン和洋室、露天風呂付客室、12・10・8畳の和室、と合計5種類から選択できます。おすすめは和室と洋室のいいところを両方使うことができるモダン和洋室の部屋。
こちらの部屋なら畳のスペースは欲しいけど、寝るのはベッドがいいという方にもピッタリ。マッサージチェアもあるので、部屋の中でゆったりとくつろぐことができます。
その他にも露天風呂付客室「天神」は、プライベートで上質な時間を過ごせる部屋です。露天風呂からはもちろん祖谷の景色を眺めることができます。
この2タイプの部屋は海外からの旅行客にも人気。かなり前もって予約しないと埋まってしまうので、注意しておきましょう。
かずら橋のライトアップへ
夕食が終わったらまた軽くお風呂に入ってあとは寝るだけ…ではありません。まだ楽しみは残っています。毎日20時から、とある場所へのツアーが行われています。そのツアーというのが、夜のかずら橋を見学するというもの。
実は、かずら橋は夜になるとライトアップされるのです。昼とは違う雰囲気のかずら橋を見られるのはこの周辺で泊まった人だけ。ホテルかずら橋では、希望者をバスでかずら橋まで送迎してくれるので、チェックインの際にスタッフへ確認してみてください。
暗くて危険なため渡ることはできませんが、見るだけでも充分ツアーに参加する価値はありますよ。昼間のスリルとはまた一味違った魅力を感じてみてください。
ツアーではかずら橋近くにある、こちらもライトアップされた琵琶の滝を見ることができます。天候によっては中止になる場合がありますが、無料で参加できるので体力に余裕がある方は参加をおすすめします。
朝は雲海に出会えるかも
夜のかずら橋と同じく、ホテルかずら橋に泊まった際にもう一つ見て欲しいのが朝の雲海。
夜とは異なり、送迎バスが出てないので車で行く必要があります。ホテルから20分ほどの場所にある「吾橋・雲海展望台」。秋から冬にかけて、かなりの確率で祖谷渓に広がる一面の雲海を見ることができます。
雲海が出やすい時間帯は日の出から1〜2時間程度。早起きが必要ですし、様々な条件が揃わないと雲海を見ることはできませんが、展望台周辺は雲海発生の地理的条件に適しているため、高確率で雲海と出会うことができるスポットです。
雲海を見た後はホテルでの朝食を楽しんでください。
朝ごはんも祖谷の美味でいっぱいです。最後まで徳島づくしを満喫してくださいね。
露天風呂やおいしい郷土料理に加え、かずら橋や雲海の展望台など周辺の観光スポットも充実している「新祖谷温泉 ホテルかずら橋」。初めての訪問でもなぜか懐かしいと思えるような居心地の良さが、旅の満足度を高めてくれます。ぜひ秘境の温泉宿で、徳島の良さと安らぎの瞬間を感じてみてください。
新祖谷温泉 ホテルかずら橋
- 住所
- 徳島県三好市西祖谷山村善徳33-1
- 総部屋数
- 26室
- 宿泊料金
- おひとり様 15,000円~(2名1室利用時・税抜)
※宿泊価格は2018年11月28日時点のおひとり様あたりの最低料金です。ご予約時と異なることがありますので予めご了承ください。
- 日帰り利用料金
- 【天空露天風呂】大人:1,200円、6~12歳:600円、3~5歳:300円
※日帰りでは五右衛門風呂をご利用できません。
- アクセス
- 【電車】JR土讃線「大歩危」駅から路線バスで約20分、タクシーで約15分
【車】徳島自動車道「井川池田IC」より大歩危経由で約50分
取材・写真・文/岡本大樹