
高知県といえば、幕末の志士「坂本龍馬」が生まれ育った場所。高知城にほど近い現在の高知市上町1丁目が、坂本龍馬の出生地です。
そんな坂本龍馬生誕屋敷跡地に、2024年11月に開業したのが「hotel nansui」。「自分を洗濯する旅」をコンセプトに、日本の洗濯を夢みた志士・坂本龍馬の軌跡に触れられるラグジュアリーホテルです。龍馬に思いをはせ、瞑想するように自分と向き合うーー心が研ぎ澄まされる宿、hotel nansuiの魅力をお届けします。
目次
- ・アクセス
- ・オキャクバ
- ・チェックイン
- ・客室
- ・Bar Lounge
- ・屋上「Yugao Terrace」
- ・ディナー
- ・朝食
アクセス
エントランスでは「龍馬」がお出迎え

坂本龍馬の生誕跡地という特別な場所を旧ホテル南水から受け継ぎ、新たな高知観光のデスティネーションとして産声を上げた「hotel nansui」。アクセスはとさでん交通「上町一丁目」より徒歩約3分です。高知龍馬空港からはタクシーで約30分もしくは公共交通機関を乗り継いで行くことも可能。空港連絡バスに乗って「北はりまや橋」で下車し、「はりまや橋駅」からとさでん交通の路面電車に乗ると、最寄りの「上町一丁目」に到着します。

hotel nansuiのデザインは「高知駅」やNHK「連続テレビ小説」で話題となった「牧野富太郎記念館」を設計した、内藤廣建築設計事務所出身の建築家・蘆田暢人さんが担当。ファサードは坂本家の家紋「組あい角に桔梗紋」からインスピレーションを得たデザインです。

スタイリッシュな建物の中でひときわ光を放つ、hotel nansuiのロゴ。「龍馬が目指した、新しい日本の夜明け」を表現しています。朱色と墨色は龍馬がしたためた「手紙」の色から。龍馬はその強い想いを家族や親しい友人に手紙を通して伝えており、彼の精神が息づくようなデザインとなっています。



エントランスでゲストを最初に迎えてくれるのは「志(こころざし)の龍馬像」です。そして壁一面のタペストリーには日本地図が描かれています。朱色の線をたどると、「高知」「江戸」「鹿児島」など各地が繋がっていることに気がつくでしょう。そう、こちらは龍馬が歩いた軌跡を、文献資料をもとに描写されています。その距離、およそ地球一周分。31歳の若さで亡くなった龍馬が奔走した人生や熱い想いを感じ取れます。

円形の空間には、江戸時代の1844年に箕作省吾が制作した世界地図「新製輿地全図(複写)」が飾られています。アートディレクションを担当した大島正幸さんは坂本龍馬自体ではなく、龍馬の「行為」をテーマとしたそうです。変革の風が吹いていた動乱期に、幕末の志士はこの地図を見て何を思ったのかーーそんなことを想起させる展示となっています。
オキャクバ
ハッピーアワーに一杯

チェックイン時間の15:00にオープンする「オキャクバ」で一杯楽しむのもおすすめ。ハッピーアワーに高知のクラフトビールやおつまみを提供する、木~日曜日限定のお店です。ちなみに「オキャク」とは初めて会う人ともわけ隔てなく楽しむ高知の宴会文化。宿泊者以外も利用でき、地元の人や観光客が交流できるような空間となっています。
チェックイン
龍馬が生まれ育った町を眺める

チェックイン時間になったら1階からエレベーターで上がり、7階「Reception Lounge」へ。龍馬が見た「宇治島」や「六島」を模したグリーンのソファに座り、チェックインを行います。

最上階の7階から見えるのは、龍馬が生まれ育った町。約200年の時を経て町並みは変わっていても、遠くに望む筆山や鏡川は当時と変わらないことでしょう。
客室
ツイン

客室数は33室で、全3タイプ。扉を開けると、すべての客室に龍馬が綴った「文字」のアートが飾られています。文字は龍馬が京都・近江屋で暗殺される5日前に書かれた「新国家の手紙」から選ばれた一文字です。

「ツイン」はセミダブルのツインベッドと小上がりスペースが設けられた約37平米の空間。高知県産のスギ無垢材を使用した心落ち着くデザインで、「おこもり感」をコンセプトにしています。定員2名。

小上がりスペースは2人でゆったりと会話を楽しめるソファ付き。靴を脱いで上がる日本旅館式のため、足を解放させてくつろげます。

くつろぎの時間のおともには、高知市小津町で制作された「尾戸焼」のカップに入れて味わうコーヒーを。世界の各大陸のコーヒー豆を知り尽くした焙煎士がhotel nansuiのためにブレンドしたオリジナルのコーヒーです。ピストルやブーツなど西洋の新しい文化に興味を持っていた龍馬はコーヒーもたしなんでいたのでは、と伝わっています。

ルームウェアとして用意されているのは、朱色のボタンがアクセントとなった上下セパレートタイプ。龍馬は手紙の中で大切な文章を朱色で書いていたそうで、細部まで龍馬を感じるデザインです。

hotel nansuiは全室バスタブ付き。清潔感のある真っ白なバスルームとなっており、広いバスタブは足をのばしてリラックスできます。

アメニティも厳選されたものがそろい、バスアメニティは日本発の植物バイオメソドロジーブランド「Waphyto(ワフィト)」。桑や菊など愛知県東三河産植物エキスが配合されており、ラベンダー・レモン・ゼラニウム・ローズマリーといったハーバルな香りが心地よいシャンプー・トリートメント・ボディーソープです。

ドライヤーはサロンクオリティの「MAGNETHairPro Dryer0+」。軽いため手が疲れにくく、髪を保湿しながら速く乾かしてくれるアイテムです。
コーナーツイン

約38平米の「コーナーツイン」はベッドルームとソファスペースが一体となっており、「ツイン」と比べて広さを感じるレイアウト。こちらも障子や坂本家の家紋をもとにデザインされたヘッドボードなど、龍馬が駆け抜けた時代からインスピレーションを受けてつくられた空間です。定員2名。
プレミアムサウナスイート

約86平米の「プレミアムサウナスイート」は限定1室の特別な客室。広々としたベッドルーム&リビングルームとなっており、最大4人宿泊できます。

プレミアムサウナスイートの大きな特徴が「プライベートサウナ」。高温のドライサウナ、水風呂、整いルームを独り占めできる贅沢な客室です。ドライサウナはセルフロウリュ可能。循環式の水風呂で、水温を常に低く保っているのもこだわりです。
Bar Lounge
高知のお酒をフリーフローで楽しむ


客室で荷ほどきを終えたら、7階「Bar Lounge」で至福の時間を。高知のお酒やソフトドリンクをチェックインからチェックアウトまで、滞在中いつでも自由に利用できます。

お酒はセルフで注げる「生ビール」をはじめ、高知県の酒蔵「土佐鶴酒造」や「濵川商店」の日本酒、高知県の特産品である柑橘を使ったリキュールなど、胸踊るラインナップ。炭酸もあり、自分好みの飲み方で楽しむことができます。

軽いおつまみとして用意されているのは、高知県民なら知らない人はいないほど有名な「ミレービスケット」。サクサク食感のコイン型ビスケットで、クワトロチーズ味やブラックペパー味など数種類から選べます。

Bar Loungeの隣には「SHI-SHI Library」と名付けられたブックコーナーが。坂本龍馬に関連する書籍・漫画が並んでおり、お酒を片手に読書をするのもおすすめです。
屋上「Yugao Terrace」
お酒を片手に、高知城も見えるテラスへ

天気の良い日にはお酒を持って屋上「Yugao Terrace」でくつろぎの時間を。高知の空と龍馬が見た風景をオープンエアな空間で見渡せます。「Yugao(夕顔)」とは、龍馬が新しい日本をつくるための提案「船中八策」を考えた船の名前です。


Yugao Terraceの正面に見えるのは「筆山」、裏側は「高知城」。テラスを彩る高知生まれの「松」の盆栽も見事で、土台の銅板は「1115mm」です。11月15日に生まれ、亡くなったと伝わる龍馬にかけたサイズとなっています。
ディナー
高知の食材をふんだんに使用したガストロノミー

ディナーは朱色の壁と大きな行灯が印象的なRestaurant「MARGINAL」で。MARGINALとは「境界」を意味し、固定観念に捉われない自由な発想で境界に立つ坂本龍馬の生き様を表しています。

壁に飾られているのは「新国家の手紙」。ここから自分の部屋に飾られている文字を見つけるのも一興です。



料理は龍馬が好んで食べたとされる長崎の和華蘭料理の要素も取り入れながら、高知の豊富な食材をふんだんに使ったジャンルレスなガストロノミー。四万十豚、鰹、土佐和牛などその時々によって最善の食材を用いて、固定観念に捉われない新しい料理を提供します。
朝食
白米をおかわりしたくなる高知尽くしの朝ごはん

朝食は土鍋で「大野見村のこしひかり」を炊いた、炊き立てごはんを中心とした和食。高知県産の「ゆずたま」と「土佐ジロー」の2種類のたまごで、たまごかけごはんを楽しむことができます。ごはんに高知県宇佐町「竹内商店」の削りたて本枯鰹をかけて味わうのも絶品。心落ち着く、高知尽くしの朝ごはんとなっています。

チェックアウトを終えてエレベーターに乗り、1階で目の前に飛び込んでくるのは「桂浜」の風景。龍馬が最も愛したと伝わるその海は、「また、頑張ろう」と思わせてくれる不思議な力があります。

坂本龍馬の生誕跡地で激動の時代に思いをはせ、新しい日本を目指した龍馬の精神を感じる「hotel nansui」。心を洗濯したいーーそんな時に泊まりたくなる、特別なラグジュアリーホテルです。もちろん「高知城」や「ひろめ市場」といった定番観光地には徒歩圏内で、ホテルを拠点に「桂浜」や「高知県立坂本龍馬記念館」といった龍馬ゆかりの地をめぐるのもおすすめ。現代の喧騒から離れ、自分を見つめる高知旅へ出かけませんか?
hotel nansui
- 住所
- 高知県高知市上町1-7-12
- アクセス
- とさでん交通上町一丁目駅より徒歩約3分、JR高知駅より車で約8分
- チェックイン
- 15:00 (最終チェックイン:23:00)
- チェックアウト
- 11:00
- 総部屋数
- 33室
取材・撮影・文/小浜みゆ