ホテル界のレジェンド的存在であるイアン・シュレーガー氏とマリオット・インターナショナルがタッグを組み、世界各地に約20軒を展開する最高級ホテルブランド「エディション」。日本初進出となる「東京エディション虎ノ門」に続き、2024年3月に誕生したのが「東京エディション銀座」です。設計デザインを手掛けるのは、日本を代表する建築家・隈研吾氏。和の繊細さとモダンな感性の融合した空間が、ラグジュアリーかつ心地よいホテルステイへと誘います。
シグネチャーバー「Punch Room Tokyo」や、日本の豊かな食文化を反映させたモダンブラッスリー、ナチュラルワインにフォーカスしたルーフトップバーなど、レストラン&バーも充実。お酒も楽しみながら銀座の中心で優雅に過ごす、1泊2日の滞在記をお届けします。
目次
- ・チェックイン
- ・客室
- ・The Roof
- ・夕食
- ・Punch Room Tokyo
- ・朝食、チェックアウト
チェックイン
銀座の街に溶け込むスタイリッシュなホテル
デパートや高級ブランドショップが建ち並ぶ、日本でも有数の繁華街・銀座。洗練された空気をまとうこの街の中心地に「東京エディション銀座」はあります。アクセスは東京メトロ「銀座」駅、または「銀座一丁目」駅より徒歩約3分。街路樹が茂る銀座マロニエ通りを歩いていくと、街に溶け込むスタイリッシュな格子のファサードに覆われた14階建ての建物が見えてきました。
隈研吾氏いわく、銀座は「世界の最先端と日本の伝統文化が織りなす街」。そこで「織る」をコンセプトに「東京エディション銀座」をデザインし、内外観のあちこちに縦線と横線が織りなす格子の意匠が見られます。
ドアマンの笑顔に迎えられて中へ入ると、エントランスとシームレスに「Lobby Bar」が広がっていました。ここはイアン・シュレーガー氏の唱える「ロビーソーシャライジング」を象徴する吹き抜けの開放的な空間。宿泊客はもちろん、ビジターもカフェやバーとして利用でき、昼夜を問わずさまざまな人が集い、交流が生まれます。
ほのかにいい香りが漂っていることにも気付きました。これは、全世界のエディションで使用されているシグネチャーフレグランス「Black Tea」。ホテルに行ったことのある人なら誰もが知る、このエディションオリジナルの香りは、ファンも多いそうです。
一角にあるチェックインデスクの後ろには、20世紀初頭の大きな金屏風が輝いていました。ほかにも「Lobby Bar」には着物の帯や歌舞伎の写真集といった、日本の伝統文化を表現するアイテムがさりげなく配置されています。
チェックインを終えたら、そのまま「Lobby Bar」でウェルカムドリンクを。赤・白・スパークリングワインから選べ、さっそく一杯いただいて、心も体もリラックスモードに。お酒が飲めない人には、エルダーフラワートニックウォーターなどが用意されています。
「Lobby Bar」の利用時間は8:00~22:00。こだわりの地元ロースタリ―のコーヒーや、時間帯によって変わるオリジナルスイーツや軽食もあります。
客室
デラックスキング
客室は3階から13階に位置し、スイート10室を含む全86室。今回は、26室あるデラックスキングに宿泊しました。広さ41~45平米で、定員は2名。キングサイズのベッドが1台置かれ、その上にはエディションのシグネチャーであるエコファースローがかかっていました。
窓際には銀座の通りを見下ろすソファとサイドテーブルを配置。床や家具にはダークウォールナットが用いられ、シンプルで洗練されていながら、温かみと安心感があります。
家具はカスタムデザインを施したオーダーメイド品。大きめの木製デスクを備えた部屋もあり、ちょっとした書き物や作業をするのに便利です。
広々とした洗面台は明るくて使いやすく、台に使われたグリーンマーブルが高級感を演出。ライトやミラーの曲線がやわらかい雰囲気をプラスしています。バスルームにはバスタブとレインシャワー、ハンドシャワーを備え、ゆっくりお湯に浸かって休むことができます。
お部屋で着用してくつろげる浴衣は、エディションのオリジナルデザイン。日本の伝統文様である七宝柄を取り入れています。
バスローブは、背中にエディションのロゴが入っています。フード付きで内側はふわふわの肌触り。館内で購入可能です。
バスルームに備え付けられていたのは、「LE LABO」特製のシャワージェル、シャンプー、コンディショナー。もちろん、香りはエディションオリジナルの「Black Tea」です。同じラインのバスソルトもあり、バスルームが心地よい香りに包まれます。
アメニティは環境に配慮したものが置かれ、ヘアブラシやクシ、歯ブラシは竹製、ボディスポンジはへちま製、かみそりはサトウキビ由来の素材が使われています。
東京とロンドンを拠点にするお茶のブランド「SAYURI(サユリ)」のキューブ入り日本茶、ニューヨーク発のプレミアムティーブランド「HARNEY&SONS(ハーニー&サンズ)」のティーバッグ、ネスプレッソのカプセルコーヒー、紙パック入りのミネラルウォーターは無料。有料のミニバーには国産のワインやジン、ウイスキーなどがそろっています。
スーペリアキング
こちらは、7階から13階に位置するスーペリアキング。広さ45平米で定員は2名、ふかふかのキングサイズベッドが1台置かれています。デスクがないぶん、ソファと丸テーブルは大きめです。
各部屋には世界で活躍するアーティスト、丸山サヤカさんやTAKAY PHOTOGRAPHYさんによる作品が飾られています。
The Roof
緑に囲まれたルーフトップバー
お部屋でくつろいだあとは、ルーフトップバー「The Roof」に向かいました。冬季を除く4~11月にのみ営業していて、営業時間は、17:00~23:00(L.O.フード21:00、ドリンク22:30)。現在は無休で営業していますが、天候によりクローズする場合があります。
エレベーターに乗って屋上に足を踏み入れると、都会の真ん中にあるとは思えない、緑に囲まれた開放感あふれる空間が。長テーブルやグループで利用できるソファ席、少人数向けのテーブル席など、さまざまなシチュエーションに合わせた座席が用意されています。
ナチュラルワインに特化していて、赤、白、ロゼ、スパークリング、オレンジと、幅広いワインをラインナップ。ルーフトップという場所に合わせ、かしこまりすぎず、みんなで楽しく飲める1本をセレクトしているのだそう。
ワインのほかに、シーズナルカクテルなどのドリンク、軽食もオーダーできます。この日はオレンジワインの「キ リュ クリュ ギュスターヴロレンツ」(グラス3,000円)とオリーブのマリネ(1,800円)をいただきました。
屋上をぐるりと囲むシダやオリーブの木は、周囲の街並みが見渡せるよう、あえて低めに配置されています。高級ブランドのビルやデパートが建ち並び、遠くには東京タワーの姿も。銀座ならではの景色を楽しみながらグラスを傾けていると、非日常感から日頃の疲れが飛んでいくようでした。
夕食
「Sophie at EDITION」でプリフィクスコースを
ディナーは14階のモダンブラッスリー「Sophie at EDITION」で。こちらのバーカウンターでも気軽に一杯楽しむことができ、夕食前にアペリティフ(食前酒)としてカクテルをいただくことにしました。
オーダーしたのは、季節によって変わるシグネチャーカクテルの中から「Tokaji Melon Daiquiri」(2,300円)。貴腐ワインとラム、メロンフレーバーの烏龍茶を合わせたもので、しっかりとメロンの風味を感じられつつ、すっきりとした味わい。食前にぴったりの一杯でした。
「Sophie at EDITION」は大きく2フロアに分かれ、計114名を収容する広々とした空間。窓側のフロアはブロンドオークとライムグリーンのカラーリングがポップな印象で、そこにいるだけで心がうきうきと踊り出します。
営業時間はブレックファースト7:00~10:30、ランチ12:00~15:00(L.O.14:30)、アフタヌーンティー12:00~17:00(L.O.15:00)、ディナー17:30~22:00(L.O.20:30)。宿泊客以外も利用可能で、フランスの伝統菓子をアレンジしたアフタヌーンティーは特に人気です。
バーカウンター側はダークグリーンがアクセントになり、天井も低めで落ち着いた雰囲気。壁には国内外の7人のアーティストによる東京のストリート写真が飾られ、アヴァンギャルドなエッセンスを加えています。
料理はカジュアルなブラッスリースタイルで、関東近郊の農家や生産者から仕入れたローカルな食材や調味料をふんだんに使用しているのが特徴です。例えば、無農薬・無化学肥料栽培を40年以上続ける埼玉「陽子ファーム」から届く野菜や、ケージフリー(※鶏をケージの中に入れずに飼育する方法)のオーガニック卵など、おいしくて安心・安全な食材を厳選しています。
アラカルトとコースがあり、今回は宿泊プランに付いたプリフィクスコース「シェフのおまかせ3コースディナー」をいただきました。前菜、メイン、デザートで構成され、季節で変わる2~3品からそれぞれ好きなものを選ぶことができます。まずは、ウェルカムドリンクのスパークリングワインで喉を潤します。
前菜の前に出てきたのは、サービスのシェフからの一皿。日によって内容は変わりますが、この日は夏らしい「すいかのガスパチョ」で、ローズマリーの香りをつけたクルトンとミントオイルがアクセント。爽やかな風味に食欲が刺激されます。
前菜は「東京ブラータのムース」をチョイス。クリーミーで濃厚な東京産のブラータチーズにフルーツトマトとドライトマト、旬のイチジクを合わせ、バルサミコ酢の代わりに東京でつくられた真黒酢(まっくろず)を使用しています。ピスタチオの食感が楽しく、見た目も華やかな一品です。
メインは、「低温調理した鬼の宝ポークのグリル」を選びました。鬼の宝ポークは自然豊かな新潟・中魚沼郡津南町にてフリーストール(※母豚のストレスを低減する飼育方法)で飼育された豚肉で、旨みがぎゅっと詰まっています。
下に敷かれているのは、バスク地方の煮込み料理・ピペラードを北海道産のとら豆や鞍掛(くらかけ)豆でアレンジしたもの。仕上げにフォンドボーベースのソースを掛けて味わいます。お肉がジューシーでワインにもぴったり。
デザートは「ピーチ パリ・ブレスト」。フランスの伝統菓子に旬の桃を使い、クランブルとアールグレイのアイスクリームを添えています。お皿も桃をイメージしてパウダーでピンク色に。盛り付けも美しく、食べ応えのある一皿です。
食後のドリンクはコーヒーか紅茶を選べ、小菓子も付いてきます。この日はパッションフルーツとヘーゼルナッツのチョコでした。
食事をする前は「3品ではもしかしたら物足りないかも…」と少し心配していましたが、一皿一皿に手が込んでいてボリュームも十分。2人以上なら違う料理を選んで、シェアして楽しむのもおすすめです。
Punch Room Tokyo
日本初上陸の「パンチ」に特化したバー
ディナーのあとは、2階の「Punch Room Tokyo」でもう一杯といきましょう。こちらは、柑橘類やスパイスを使ったカクテル「パンチ」にフォーカスしたエディションホテルのシグネチャーバーで、銀座が日本初進出。店内は格子の天井や壁に覆われたムードたっぷりの空間で、鮮やかなサファイアブルーのソファが目を引きます。
営業時間は、火~木曜日の18:00~24:00(L.O.フード23:00、ドリンク23:30)、金・土曜日18:00~26:00(L.O.フード25:00、ドリンク25:30)。日・月曜日はお休みで、木~土曜日はDJも出演し、たくさんの人でにぎわいます。
世界8カ所に展開する「Punch Room」ですが、メニューはその土地ごとに異なります。「東京エディション銀座」のメニューはシニアバーディレクターの齋藤秀幸氏が手掛け、「WONDERLAND」というコンセプトのもとにレシピを考案。
19世紀のロンドンのプライベートクラブで使われていたレシピをもとに、日本酒やお茶など和の要素を取り入れたユニークな一杯を楽しむことができます。オーダーしたのは「赤いベリー」(2,300円)。赤米酒と紫蘇、国産紅茶などを使ったパンチです。
2人以上で同じパンチを頼むと、銀のパンチボウルに入れて提供されます。シェアしながら飲めば、より一層思い出に残る夜になりそうです。
朝食、チェックアウト
メインが選べるビュッフェで大満足
翌朝、朝食前に館内のジムでのワークアウトからスタート。窓から明るい日の光が差し込み、体が一気に目覚めていきます。イタリア発の高級フィットネスマシンメーカー「テクノジム」のマシンがそろい、24時間利用可能です。
運動後はいよいよ朝食へ。ディナーと同じく「Sophie at EDITION」でいただきます。今回セレクトしたのは「ソフィーズ ブレックファースト」。こちらには、ビュッフェスタイルの「コンチネンタルブレックファースト」が含まれ、焼きたてのパンやフレッシュなサラダ、生ハムなどのシャルキュトリー、フルーツなどがずらりと並びます。
メインディッシュは好きなものを一品選択可能。ケージフリーのオーガニックエッグを使ったオムレツや目玉焼き、エッグベネディクトなどの卵料理に加え、和定食、お粥、タルティーヌなど幅広いラインナップです。甘いものが好きなら、あずきとホイップクリームが添えられた抹茶フレンチトーストといった選択肢も。どれにしようか迷う時間も楽しいひと時です。
チェックアウトは12:00なので朝食後もゆっくり過ごせ、銀座でのショッピングを楽しむ時間があるのもうれしいですね。
銀座という都会の真ん中で、ラグジュアリーな時間を過ごせる「東京エディション銀座」。洗練された客室でのリラックスタイムはもちろん、それぞれ独自の世界観を持つレストランやバーでの体験は、日常を忘れさせてくれる特別なものでした。次のお休みは「東京エディション銀座」で大人の休暇を過ごしてみませんか。
東京エディション銀座
- 住所
- 東京都中央区銀座2-8-13
- アクセス
- 東京メトロ「銀座」駅、「銀座一丁目」駅より徒歩約3分
- チェックイン
- 15:00
- チェックアウト
- 12:00
- 客室数
- 86室
- 駐車場
- あり
撮影/岡村智明 取材・文/土田理奈