阿波おどりは徳島における夏の風物詩。毎年お盆期間に4日間開催され、県内はもちろん全国各地からの訪問客で賑わう大規模なお祭りです。その歴史は長く、江戸時代から現在に至るまで人々に愛されているお祭りではありますが、2018年には運営上のトラブルが発生。2019年は問題も解消されて無事に開催されましたが、今後も同じように楽しめるのか? 阿波おどりの本来の魅力と共にご紹介します。
※2020阿波おどりは、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響で開催中止が決定しました。
国内有数の知名度を誇るお祭り、徳島の「阿波おどり」とは?
阿波おどりは毎年お盆に徳島で行われているお祭り。その時期には県内の様々な場所が会場となり、少しずつ違った日程で開催されています。その中でも最も規模が大きく、開催期間も長いものが徳島市中心部で行われる徳島市の阿波おどりです。通常、徳島の阿波おどりと言えばこれを指します。
徳島市阿波おどり(以下、阿波おどり)が開催されるのは、曜日には関係なく例年8月12〜15日。11日には前夜祭(こちらは屋内)が開催され、毎日お昼にも様々な場所で阿波おどりを見ることができますが、本番はその4日間の夕方以降の時間帯となります。
徳島県民の1年はお盆をピークに回っていると言われるほどで、その4日間は徳島駅周辺の市内中心部が広い範囲で熱気に包まれ、大変な盛り上がりを見せます。遠方から訪問し徳島駅前に降り立つと、すぐに町中を満たす音と熱気に気づくことでしょう。
選抜阿波おどり 前夜祭
- 開催日
- 毎年8月11日
- 開演時間
- 【第1部】11:00~【第2部】15:00~【第3部】19:00~
- 開催場所
- アスティとくしま
選抜阿波おどり
- 開催日
- 毎年8月12〜15日
- 開演時間
- 【第1部】11:00~ 【第2部】13:30~ 【第3部】16:00~
- 開催場所
- あわぎんホール
阿波おどり
阿波おどりを楽しむのに、知っておきたい用語をチェック!
まず、阿波おどりを見る前に、知っておきたい専門用語をいくつかご紹介。その熱気や迫力は予備知識なしでも楽しめますが、事前にチェックしておきましょう。
連(れん)
阿波おどりのグループのこと。歴史ある有名連や学生による学生連など、連ごとにそれぞれ特徴があり、踊りや編成が異なります。
鳴り物
踊りに欠かせない伴奏を務める鉦(かね)や三味線、笛、大太鼓などの楽器のこと。
演舞場
特設の桟敷席が置かれた阿波おどりの会場のこと。有料と無料の演舞場があります。
総踊り
阿波おどり振興協会に所属する14の有名連が集結し、踊り子千人・鳴り物数百人という規模で演舞場を進んでいく大迫力な踊りのこと。フィナーレとして、有料演舞場(4カ所のうち1日1カ所のみ)で行われます。
女踊りと男踊り、連のバリエーションが生む阿波おどりの魅力
阿波おどりの見所はもちろん踊りそのものではありますが、女踊りと男踊りで特徴が違う点や、連によってパフォーマンスが少しずつ異なっているという点も、多くの人の心を掴む魅力です。
一般的に、阿波おどりのイメージとして強いのは女踊りでしょう。笠をかぶり、両手を頭上に伸ばして踊るその姿は、動きの流麗さも相まって気品や華麗さが感じられます。
女踊りの動きが揃っている様子は、まさに集団の美。両手の動きのタイミングだけでなく、腕を伸ばす角度や足を上げる高さなど、一朝一夕では決して成し得ない完成度の高い踊りが見る者を圧倒します。
一方で、男踊りはあえて細かい動きを揃えていない連も多く、一人ひとりのダイナミックな動きからは自由さが感じられます。連によっては高くジャンプするパフォーマンスがあるなど、女踊りとは一味違う動きの迫力が見所です。
なお、女踊りは女性だけが踊りますが、男踊りは性別問わず女性でも踊ることができます。それぞれの魅力を見比べてくださいね。
また、連によって連員の構成であったり、服装やパフォーマンスなど、見所はバリエーションに富んでいます。そのため、好みの連を見つけるという楽しみ方もあります。好きな連があればその連を追いかけてみるのもいいですね。
徳島空港から開催場所までのアクセス
阿波おどりが開催されるのは徳島駅周辺となるため、徳島まで飛行機でアクセスする場合には、空港から会場まで移動する必要があります。飛行機の到着に合わせて発車するリムジンバスだと所要時間は約30分、通常の路線バスだと約40分で徳島駅に到着します。料金はどちらも440円です。
荷物が多い場合はタクシーの方が動きやすいでしょう。ただ、阿波おどり開催中は夕方以降になると、どんどん街中が混雑していきます。できるだけ時間に余裕のあるプランニングをおすすめします。
徳島阿波おどり空港から徳島駅前まで
- 所要時間
- [リムジンバス]約30分
[路線バス]約40分
[タクシー]約30分
- 料金目安
- [リムジンバス]440円
[路線バス]440円
[タクシー]約4,000円
- 乗り場
- [リムジンバス]1番乗り場
[路線バス]2番乗り場
[タクシー]タクシー乗り場
- アクセス
- 阿波おどり実行委員会公式ページ
「ニワカ」でも大丈夫! 飛び入り可能な「にわか連」で踊ってみよう
阿波おどりの楽しみは見るだけではありません。期間中は毎日、「にわか連」というその場限りの連が誕生するのです。参加条件や料金は一切かかりませんし、時間になったら2カ所ある集合場所(あわぎんふれあい広場と元町おどり広場)のどちらかへ行けば参加できます。
基本的な動きを教えてもらえば、あとはにわか連の一員として演舞場を練り歩いていくだけ。服装も決まりはなく、動きやすいものであれば問題ありません。にわか連の名前入りオリジナルハッピも500円(預かり金3,000円、返却時2,500円返金)でレンタルできます。
阿波おどりの唄の一節には「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損」というフレーズがあります。その言葉通り、ぜひ踊る阿呆になってみてくださいね。
にわか連
- 開催日
- 8月12〜15日
- 集合時間
- 18:30〜、20:30〜
- 参加料
- 無料
- あわぎんふれあい広場
- 徳島県徳島市幸町2-5(市役所・市民広場)
- 元町おどり広場
- 徳島県徳島市元町2
阿波おどりをどこで観る? 有料演舞場と無料演舞場の違い
演舞場が町の色々なところに置かれているのも、阿波おどりの特徴の一つです。特設の桟敷席が組まれた有料演舞場は4カ所あり、どっしり構えて有名連を観たいという場合に最適。無料の桟敷席が設置された演舞場もありますが、席取りは早い者勝ちになります。
その他にも川辺や公園に設置されている半円状のステージや商店街の中や橋の上など、開催期間中は至る所で鳴り物の音が響き、踊り子たちが躍動しています。
屋台で好きなものを買って食べ歩きながら気になったところで立ち止まって楽しむ、というのも阿波おどり全体の雰囲気を味わえるので、最もお祭り気分を満喫できる方法と言えるかもしれません。
ただ、有料演舞場でしか開催されないプログラムもあります。それが「総踊り」。阿波おどり最大の見所ともいえる総踊りを確実に観たいという場合は、Web(チケット阿波おどりなど)や電話、コンビニ、特設窓口販売所で購入できる有料演舞場のチケットを取ってくださいね。
有料演舞場
- 藍場浜演舞場
- 周辺の屋台の充実度が高い演舞場(全長122m)
- 市役所前演舞場
- 初日に開幕式が行われる演舞場(全長110m)
- 南内町演舞場
- 映画『眉山』の撮影でも使われた演舞場。踊りを正面から観られる特別観覧席あり(全長122m)
- 紺屋町演舞場
- 周辺は徳島一の繁華街となっていて飲食店が充実(全長100m)
- チケット購入方法
- Web(チケット阿波おどりなど)・電話・コンビニ・特設窓口販売所
阿波おどり実行委員会公式ページ
無料演舞場
- 両国本町演舞場
- 全ての演舞場の中で最も長い演舞場(全長170m)
- 新町橋演舞場
- 桟敷席以外にも観覧スペースが多く、近くで踊りを観やすい演舞場(全長110m)
- 元町演舞場
- 2018年に復活した演舞場(全長58m)
その他
阿波おどりと一緒に楽しみたい、徳島のご当地グルメ
阿波おどりを楽しみに徳島県を訪れた際、せっかくなら同時に徳島ならではのグルメも楽しみたいですよね。徳島駅周辺には多くの飲食店が軒を連ねていますが、その中でも徳島の名物を食べられるお店をご紹介。
まずおすすめしたいのは、徳島のご当地グルメとして着々と知名度を高めている徳島ラーメン。駅前には、「麺王」や「よあけ」といった徳島県内でも有名な2店が並びます。
他にも徳島の地鶏である「阿波尾鶏(あわおどり)」を使ったメニューをはじめとして、特産品のフィッシュカツやすだちを使ったお酒などを提供している「一鴻(いっこう)」は、徳島駅前と秋田町に店舗があり、夕食としても酒の席としても利用しやすいお店です。
2018年に起こったトラブルと今後の展望
2018年のトラブルについては全国的なニュースにもなっていたので、おそらく耳にした方も多いのではないかと思います。そのため「開催自体されるのか?」「これまで通りに楽しめるのか?」といった点が、2019年の開催時には危惧されました。しかし蓋を開けてみれば大きな問題は起こらず、台風によって2日間休止になったこと以外は例年通りに開催されました。
一つだけ大きく変わった点は、総踊りの会場が日替わりになったこと。2018年以前は「南内町演舞場」のみでの開催だったものが、2019年には毎日総踊りの演舞場が変わるシステムとなりました。それ以外に変更点はほとんどなく、楽しめる環境は十分に整ったといえるでしょう。
一度は生で観て欲しい、徳島の夏の風物詩「阿波おどり」
始まりは江戸時代。そこから数百年に渡って続いてきた阿波おどり。現在ではその人気は発祥の地である徳島だけにとどまらず、東京・高円寺や埼玉・越谷などで大規模なお祭りとして開催されています。しかし、延べ1,000以上の連が参加して総踊りも行われるのは徳島のみ。ぜひ一度、徳島で本場の阿波おどりを堪能してみてくださいね。
※2020阿波おどりは、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響で開催中止が決定しました。
撮影・取材・文/岡本大樹