
奈良観光といえば「奈良公園」や「東大寺」の大仏などが挙げられますが、奈良の魅力は歴史スポットにとどまりません。奈良駅からも近い「ならまち」エリアは、古き良きまち並みの中に”最旬の奈良”が詰まった場所。観光名所を巡ったあとに、ランチやお土産選びで立ち寄るのにぴったりなお店をピックアップしました!
「ならまち」とは

「奈良町(ならまち)」は、奈良時代に日本の首都として栄えた「平城京」の外京※部分にあたる地域のこと。
現在は、国道369号から北を「奈良きたまち」、南を「ならまち」、そこからもうひとつ南の「京終(きょうばて)駅周辺」の3つに分かれており、それぞれでまちづくり活動が行われています。
今回紹介するならまち~京終駅エリアは、江戸時代末期から明治時代にかけての町家の面影を残しつつも、新旧さまざまなお店が点在し、見どころも多いエリアです。
※外京…平城京の東側に張り出していた地域で、現在の奈良町を形成する中心となった
優しいランチで行列必至の町屋カフェ「カナカナ」

築約95年の町屋を雰囲気はそのままにリノベーションしたカフェ「カナカナ」。2001年にオープンして以来、長年愛され続けているお店です。特にランチタイムは多くの人でにぎわっています。

名物は、仕入れによって異なるメイン料理に加え、小鉢が5品に、高菜ご飯とお味噌汁、食後のドリンクがつく「カナカナごはん」。

取材時のメインは「タラの唐揚げ 和風トマトソース」でした。柔らかい唐揚げが、トマトの甘みと酸味が際立つソースに浸され、優しい味ながらもしっかりと旨味を感じます。小鉢ひとつひとつも繊細な味わいで、丁寧に作られていることが伝わる逸品ばかり。

料理以外にも「焼きプリン」(550円)や「白いチーズケーキ」(605円)、毎年春に登場する季節限定パフェなど自家製スイーツも人気です。ランチだけでなく、カフェメニューをメインに訪れるお客さんも多いそうです。ぜひ一度立ち寄ってみてください。
カナカナ
- 住所
- 奈良県奈良市公納堂町13
- 営業時間
- 11:00~19:00(L.O18:30)
- 定休日
- 月曜(祝日の場合は翌日)
- アクセス
- 近鉄「奈良」駅から徒歩約15分
- 公式サイト
- カナカナ
ツヤツヤふっくら!炊き立てかまどご飯が名物「竈」


観光案内所とカフェ、食堂の3施設が集まる複合施設「鹿の舟」の中にある食堂「竈(かまど)」。その名の通り、竈で炊き上げるご飯を主役にしたランチが名物です。

季節ごとに内容が変わる定食は、随時2種類が用意されています。

取材時の主菜は、奈良県産の旬野菜と大和ポークのせいろ蒸しでした。素材そのものの力強さを感じる味わいで、厳選された調味料も食材を引き立てています。炊き立てのご飯は、おかずはもちろん副菜や漬物との相性も抜群です。

自慢の竈は奈良・宇陀の左官職人さんによるもの。

奈良の吉野桧の薪を使い30~40分、ときに火吹き竹で火力が落ちないよう調整しながら炊き上げたご飯はふっくらツヤツヤで、どのおかずにも負けないおいしさ。おかわりが1回無料なのもうれしいポイントです。

店内にはショップも併設されており、奈良県産の厳選した食品や調味料、日本の台所道具などが並びます。お土産や贈り物を選ぶのにも最適です。

竈
- 住所
- 奈良県奈良市井上町11 鹿の舟内
- 営業時間
- 11:00~16:00(L.O15:00)※ご飯がなくなり次第終了
- 定休日
- 水曜
- アクセス
- JR「京終」駅から徒歩約10分、近鉄「近鉄奈良」駅から徒歩約17分
- 公式サイト
- 竈
旬のフルーツを極上スイーツに「堀内果実園」

果樹専門の農園「堀内果実園」が手がけるフルーツ専門のカフェ。自家農園の果物のほか、全国からそのとき一番旬の果物を厳選し提供しています。

画像提供:堀内果実園
このお店の名物は、糖度12~13度、酸味のバランスも絶妙な奈良県産ブランドいちご「古都華(ことか)」をふんだんに使用した、12~4月頃限定のパフェ「古都華園」。みずみずしく甘酸っぱいいちごとホイップクリーム、コンフィチュールが三位一体となり、口いっぱいに広がります。
そのほか、季節のフルーツを使った限定パフェも豊富にそろいます。

画像提供:堀内果実園
旬のフルーツを使ったサンドも見逃せません。ハーフサイズをテイクアウトすることも可能です。ほか、4~10月にはかき氷も登場し、行くたびに新しい旬メニューに出合えますよ。

春休み、夏休み期間には特に連日行列ができ、整理券を配ることもあるそう。午前~昼ごろが狙い目です。
堀内果実園 奈良三条店
- 住所
- 奈良県奈良市角振町23
- 営業時間
- 10:00~19:00(L.O18:30)
- 定休日
- なし
- アクセス
- 近鉄「近鉄奈良」駅から徒歩約3分
- 公式サイト
- 堀内果実園
稀少な本葛100%の和スイーツ「吉野葛 佐久良」

吉野本葛を扱う専門店&甘味処「吉野葛 佐久良」。葛根から1割しか取れないという稀少な吉野本葛100%の和スイーツを堪能できます。築160年以上の町屋で、趣のある座敷も素敵です。

特製黒蜜をつけて食べる「くずきり」は、上質な吉野本葛ならではのなめらかなのど越しと歯応えが魅力。冷たいので夏におすすめの一品です。
葛は時間を置くとどんどん白くなり、風味も変わってくるので、提供されたらすぐにいただきましょう。

注文を受けてから練り始める「くずもち」は、ほんのり温かくもっちり柔らかい上品な歯ごたえ。特製黒蜜をかけてから、きな粉をつけていただきます。

店内に入ってすぐの場所には、本葛商品や葛菓子など贈答品もそろっているので、お土産探しにもちょうどいいお店です。
吉野葛 佐久良
- 住所
- 奈良県奈良市高御門町2
- 営業時間
- 10:00~17:00(L.O .16:30)
- 定休日
- 水・木曜
- アクセス
- 近鉄「近鉄奈良」駅から徒歩約10分、JR「奈良」駅から徒歩約15分
- 公式サイト
- 吉野葛 佐久良
非日常空間で味わう和の心「茶論 奈良町店」

画像提供:中川政七商店
「中川政七商店」が手がける「茶論(さろん) 奈良町店」は、茶道の新しい楽しみ方・学び方を提案する茶道カフェ。こちらでは奈良の名店「樫舎(かしや)」製の和菓子に、抹茶や煎茶、ほうじ茶などが選べるお茶セットが味わえます。

築130年の町家をいかした和室からは日本庭園も一望でき、非日常的でありながら心落ち着く空間です。茶道体験や四季折々の茶会など、催し(要事前予約)も開催しています。
茶論 奈良町店
- 住所
- 奈良県奈良市元林31-1
- 営業時間
- 10:00~19:00(LO.18:30)
- 定休日
- なし
- アクセス
- 近鉄「近鉄奈良」駅から徒歩約8分、JR「奈良」駅から徒歩約15分
- 公式サイト
- 茶論 奈良町店
かき氷
奈良といえば、かき氷もはずせません! 先ほどご紹介した「堀内果実園」や「茶論」のほか、「ほうせき箱」など、ならまちにはかき氷の人気店がひしめき合っています。こちらの記事にまとめているので、ぜひ参考に!
高速餅つきは一見の価値あり!「中谷堂」

店頭にて、高速で餅つきしている様子を見られる「中谷堂」。佐賀県産のもち米、北海道十勝産の小豆など厳選素材を使ったよもぎ餅が名物です。
威勢のいい掛け声とともに、高速餅つきが始まると店頭はギャラリーでいっぱいに。臨場感あふれる餅つきは一見の価値あり!

店主の中谷さん曰く、高速餅つきは「パフォーマンスでやっているわけではなく、高速つきがおいしいよもぎ餅を作るために必要」なのだとか。


つき終わった餅にはすぐにあんこが詰められ、あっという間によもぎ餅になります。できたてはふわふわで、まるで耳たぶのような柔らかさ。ほんのり温かくてとってもおいしいです!

各メディアでも紹介され、いつも観光客でいっぱいの「中谷堂」。

餅つきは売れ行き状況を見て随時行われています。店頭に次の餅つきタイムが提示されているのでチェックしてみてください。
中谷堂
- 住所
- 奈良県奈良市橋本町29
- 営業時間
- 10:00~19:00 ※売り切れ次第閉店
- 定休日
- 不定休
- アクセス
- 近鉄「近鉄奈良」駅から徒歩約5分
- 公式サイト
- 中谷堂
味も見た目も映えるソフトクリーム「カフェ エトランジェ ナラッド」

奈良市観光センター「ナラニクル」内にある「カフェ エトランジェ ナラッド」。

このお店の注目は「おいりソフト」。キュートすぎる見た目がSNSで話題を呼んでいます。
鹿のクッキーが乗った大和茶ソフトとバニラソフトのミックスに、もち米でできたふわふわのあられ「おいり」をトッピング。奈良県特産の大和茶を使ったソフトも茶葉の風味がよく、見た目、味ともに奈良らしさを感じる商品です。

奈良市観光センター「ナラニクル」は、観光情報をゲットするのにも便利なのでぜひ立ち寄ってみてください。
カフェ エトランジェ ナラッド
- 住所
- 奈良県奈良市上三条町23-4奈良市観光センター ナラニクル内
- 営業時間
- 月~木・日10:00~22:00(L.O.21:30)、金~土・祝前日11:00~23:00(L.O.22:00)
- 定休日
- 無休
- アクセス
- 近鉄「近鉄奈良」駅から徒歩約5分、JR「奈良」駅から徒歩約10分
- 公式サイト
- カフェ エトランジェ ナラッド
奈良県のいいモノがそろう「中川政七商店」


日本の工芸をベースに、奈良県をはじめ、全国800以上の作り手とともにつくったオリジナル商品約3,000点を展開している「中川政七商店」の旗艦店。キッチン用品に食品、ファッションにインテリアまでの生活雑貨を取りそろえるほか、奈良を訪れた記念となるような限定品も販売されています。

画像提供:中川政七商店
おすすめは「かや織ふきん」。奈良の工芸「かや織」をいかした中川政七商店の看板商品です。
丈夫なのに柔らかく、速乾性と吸収性に優れており、使うほどにふわふわに。ならまちの情景や鹿の玩具が散りばめられた柄は奈良本店限定なので、お土産にもぴったりです。

中川政七商店が手がける複合商業施設「鹿猿狐(しかさるきつね)ビルヂング」には、ほかにもスペシャルティコーヒー専門店「猿田彦珈琲」や、すき焼き割烹「㐂つね」が出店しています。ぜひあわせて巡ってみてください。
中川政七商店 奈良本店
- 住所
- 奈良県奈良市元林院町22番 鹿猿狐ビルヂング
- 営業時間
- 10:00~19:00
- 定休日
- なし
- アクセス
- 近鉄「近鉄奈良」駅から徒歩約7分、JR「奈良」駅から徒歩約15分
- 公式サイト
- 中川政七商店 奈良本店
かわいすぎるパッケージの金平糖「砂糖傳 増尾商店」

「砂糖傳(さとうでん) 増尾商店」は、1854年創業、170年以上続く老舗砂糖店。安政元年の創業時からこの場所に立ち、ならまちでも特に風格ある店構えが特徴です。

和三盆や黒糖など各種の砂糖がそろうほか、米を麦芽で糖化した古来続く甘味料「御門米飴」や「奈良はちみつ」などを扱っています。

ここでの注目は、パッケージがかわいすぎると話題の「奈良こんふぇいと」。増尾商店の厳選した砂糖を使った金平糖です。塩味や珈琲味、大和ほうじ茶味など約15種ある金平糖と、20種の化粧箱をチョイスして好きな組み合わせにできます。
箱の柄は本店限定や、季節限定のものもあり、お土産にも喜ばれるはず。自分用にもコンプリートしたくなるかわいさです。
砂糖傳 増尾商店
- 住所
- 奈良県奈良市元興寺町10
- 営業時間
- 9:00~18:00
- 定休日
- 年末年始
- アクセス
- JR「京終」駅から徒歩約9分、近鉄「近鉄奈良」駅から徒歩約15分
- 公式サイト
- 砂糖傳 増尾商店

観光名所の立ち寄りついでにしてはもったいないほど、見どころ満載の「ならまち」。風情ある町屋通りを歩くだけでも楽しく、今回紹介しきれなかった気になるお店もたくさんありました。ぜひ足を運んで、お気に入りのお店を見つけてみてくださいね。
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取材・文/加藤絵里子 撮影/玉川美保