東京・あきる野の森で見つけた♪ おとぎ話に出てくるような可愛らしいアートスポット「深沢小さな美術館」

東京・あきる野の森で見つけた♪ おとぎ話に出てくるような可愛らしいアートスポット「深沢小さな美術館」

提供:ことりっぷ

 

深い森に囲まれた、秋川渓谷にも近い東京・あきる野市の深沢エリア。その山奥で、妖精たちが道先案内人をしてくれる、不思議で可愛いアートスポットを見つけました♪


「深沢小さな美術館」は、造形作家・友永詔三さんが創り上げたギャラリー。江戸時代の古民家をリノベーションした幻想的な空間で、友永さんが紡いだ、やさしい物語の世界を楽しめます。

 

 

道先案内人は、森の妖精たち

道先案内人は、森の妖精たち 道すがら立っている森の妖精たちを目印に

東京都・あきる野市に広がる、自然豊かな観光スポット「秋川渓谷」。その玄関口となる、JR五日市線の終着駅「武蔵五日市駅」から、さらに3kmほど離れた場所に「深沢小さな美術館」はあります。

道中、山道を進むと、白いヒゲをたくわえた小人があちこち現れます。彼らは、造形作家・友永詔三さんが作り出した森の妖精「ZiZi(ジィージィー)」。風に揺れる葉の影から顔をのぞかせたり、庭の片隅でそっと佇んでいたり。まるで森の守り人のように訪れる人を優しく見守ってくれます。

 

入り口で出迎えてくれたのは、3人の妖精。木のぬくもりに笑顔をのせて、「ようこそ♪」とささやく声が聞こえそう。

 

物語の世界へ誘われる緑のアプローチ

物語の世界へ誘われる緑のアプローチ

奥へ進むと、そこは緑に囲まれた別世界。緑、また緑。石畳の小路を進むと、周囲の木々が寄り添うように並び、やわらかな木漏れ日が足元を照らします。

 

森の中には、水槽の中をスイスイ優雅に泳ぐ錦鯉の姿も。風に揺れる緑、ゆっくりと流れる水の音、そして錦鯉の静かな動き……。そのすべてが心地よくて、思わず立ち止まって深呼吸したくなるほど。

 

森の中に溶け込む、可愛らしい美術館

森の中に溶け込む、可愛らしい美術館 おとぎ話に出てきそうなメルヘンな建物

しばらくすると、色とりどりの草花に囲まれた石の家が見えてきます。ここは、ギャラリーであり、アトリであり、友永さんのご自宅。江戸時代末期の古民家を購入し、友永さん自らがリノベーションしたのだとか。

驚くことに、石を埋め込んだ凸凹の壁も、不思議な形の窓も扉も、すべて友永さんの手づくり。今から40年以上も前に造り始めたのにも関わらず、まだ完成していない。物語の途中の家です。

 

今もなお現役で活躍し続ける友永さん

高知県生まれの友永詔三さんは、40年以上前にNHKで放送された人形劇「プリンプリン物語」の人形を生み出したアーティスト。国内外で幅広く活躍し、ニューヨークでも個展を開催。創作への情熱は尽きることなく、80歳を迎えた今も、ひとつひとつの作品に生命を吹き込んでいます。

 

どこか懐かしく、ほっこり癒やされる作品の数々

どこか懐かしく、ほっこり癒やされる作品の数々 奥に飾られている大きな木版画も見応えたっぷり

中に入ると、手しごとのぬくもりが空間を包みます。濃茶の梁は、江戸時代の名残をそのままに。愛らしさの中に、どこか不思議な驚きを秘めた造形が展示されています。

思わず目を奪われる綿帽子のような照明は、「樹の娘」と書いて「きのこ」と読む、1986年生まれの作品。これは、もともとお寺にあった桐の木の形を活かし、木と和紙で丁寧に作り上げられたものだとか。

 

ファンにはたまらない、プリンセス・プリンプリンの人形

そしてガラスの向こうに佇むお姫さまは、NHKの人形劇「プリンプリン物語」でおなじみ、プリンセス・プリンプリンです。

ホロホロチョウのまつげを持ち、繊細な日本刺繍の糸やインドの小物でおめかし。その精巧な造りに、思わず時間を忘れて見入ってしまいます。

 

くぐもった光が射す窓辺には、「プリンプリン物語」に出てくる「ルチ将軍」の原画が。実際にテレビに登場したキャラクターのスケッチが、今、目の前にあるなんて。物語に命を吹き込んだ“はじまりの線”に、心がほころびます。

 

さらに奥には、「プリンプリン物語」の人形約250体を展示。ずらりと並ぶ個性的な顔ぶれに、思わず「この子、いたいた!」と声が出てしまうかも。ルチ将軍の人形もあるので、探してみてくださいね。

 

小人たちが、スイカを割って、結婚式をあげて、温泉に浸かりながらお酒をぐびっと呑んで。こちらは、友永さんの子ども時代の記憶をもとに作り上げた、やさしさあふれる作品です。

小人たちは、とっても表情豊か。それぞれが静かに物語を秘めていて、眺めるだけでふんわりと優しい気持ちになります。

 

「魚が歩いたらいいな」友永さんが少年時代に感じたことが、作品となって、今ここに。

 

そんな友永さんの作品は、実は身近なところにも。明治神宮の干支鈴の原型も、友永さんの手によるもの。ねずみ年から続くこの楽しみも、今年でもう6年目になりました。

 

ここにいると、窓の向こうも作品の一部。作品を見ているのか、風景を見ているのか。気づけば、アートと自然の境界線が、ふわっと消えていくような不思議な感覚に包まれます。

 

美術館には、思わず深呼吸したくなる。自然豊かなテラスも完備。水面をすべる鯉の姿、木々を抜ける風の音、湿った森の香り。日常のスピードをゆるめてくれるこの場所で、五感をそっと開けば、静かで豊かな時間が味わえますよ。

作品はすべて、写真・動画撮影OK。 お気に入りの瞬間を切り取って、大切な思い出として持ち帰ってくださいね。

 

 

文:安藤美紀

 

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