
提供:ことりっぷ
哲学の道といえば、忘れてはならないのが椿。大豊神社では晩秋から春にかけてさまざまな種類の椿が花を付け、4月上旬には桜と椿の競演が目を楽しませてくれます。3月下旬から4月上旬にかけて特別公開される法然院や霊鑑寺では、とっておきの花景色が繰り広げられますよ。
桜と椿で華やぐ哲学の道を銀閣寺から南禅寺へ花さんぽ
桜色に染まる哲学の道は、京都を代表する春の風景。前編では北の銀閣寺橋からスタートして、落ち着いたたたずまいの美術館やギャラリー、ランチスポットなどへ立ち寄りました。後編では、社寺めぐりをしながら、桜見ができるカフェや地元で愛される町中華を訪れます。
境内を次々に彩る椿や枝垂れ梅と桜の夢の競演「大豊神社」
社殿の背後にそびえる椿ヶ峰は、その名の通り椿の名所。100本余りの椿が、晩秋から春にかけ、バトンタッチをするかのように次々と花を咲かせます。また、1月には甘い香りを放つ蝋梅(ろうばい)、2月には枝垂れ梅、3~4月には枝垂れ桜が満開に。さらに、参道の山野草にも春の訪れを感じることができますよ。
こちらは枝垂れ桜と椿が競演する4月上旬の境内。 年によって花の時期が異なるので、今年はどのような風景が見られるかも楽しみのひとつです。
水玉(水器)を持つ狛ねずみの御利益は、縁結び、子授け、安産、繁栄
大国社の狛ねずみは、数々の試練から大国主命(おおくにぬしのみこと)を助けたという神話が起源。椿の季節には、頭に花をちょこんと差しておめかししています。
ぜひ狛ねずみに願いを託して絵馬を奉納してみて。縁結びや学業成就の御利益があるそうですよ。
30種以上の椿が咲き誇る、皇室ゆかりの雅な寺院「霊鑑寺」
「霊鑑寺」は、江戸時代初期に後水尾天皇が開き、以来、明治時代まで皇室の女性が住職を務めた門跡寺院。椿の寺とも呼ばれ、春と秋の限られた時期にのみ公開されます。
長い石段の先にたたずむ山門をくぐると、椿の花手水やミモザの花がお出迎え。春の境内は椿に彩られ、花の色や形、散り方などの多彩さに驚くばかりです。
雅な書院は後西天皇の院御所から移築。上段の間は門跡が座るため床が一段高くなっています。狩野派による華麗な障壁画で飾られており、幼い門跡が遊んだであろう御所人形や、貝合わせなど皇室ゆかりの寺宝も多いです。
哲学の道の桜に染まる開放感あふれるカフェ「riverside café GREEN TERRACE」
哲学の道沿いにあるリゾート感あふれるオープンテラスカフェ「riverside café GREEN TERRACE(リバーサイドカフェ グリーンテラス)」。3月下旬から4月上旬にかけては、テラス席やガラス張りの店内から桜見ができます。
「京のおばんざいらんち(ドリンク付き)」1,900円。この月のメニューは、チキン南蛮、大根とゆず皮の甘酢和え、かぼちゃのそぼろ煮、彩ひじきに、雑穀ご飯とサラダ・みそ汁が付く
京のおばんざいが味わえるランチからスイーツまで、あらゆるシーンに対応。かつてこの場で谷崎潤一郎の親族がカフェを営んだことにちなみ、法然院で谷崎潤一郎の墓参りをした後に、ここを訪れる文学ファンも多いそう。
粉をほとんど使わずクリームチーズをたっぷり使用した「バスク風 チーズケーキ(ドリンク付き)」1,300円。粗塩で味変を楽しんで
「桜スカッシュ(春限定)」800円
あの名店の味を引き継ぐ、地元で愛される町中華「北京料理 盛華亭」
哲学の道さんぽが終わった後のディナーは、「北京料理 盛華亭」で京中華はいかがですか?
今は亡き京中華の名店・盛京亭の支店として開店し、40年以上も親しまれてきた北京料理店です。
あんでとじた「海老と野菜のあっさり煮付け」 1,595円、サラダみたいな「豚と野菜の冷製細切り炒め」 693円。2品とも味付けのベースは塩と日本酒。京中華のやさしい味わいが堪能できる
京中華の特徴は、ニンニクを使わず、油控えめという点。さらに宮廷料理にルーツをもつ北京料理には辛さ控えめという傾向も。そんなやさしい味わいの京中華がリーズナブルに楽しめる盛華亭は夜のみの営業なので、さんぽ後のディナーにぜひ。
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いかがでしたか? 花とアートにあふれる春爛漫の哲学の道。桜の見えるカフェでひと休みしながら、春の1日をのんびりと過ごしてみませんか。
文:戸塚江里子 写真:小川康貴 編集:ことりっぷ編集部